- 著者
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成本 迅
- 出版者
- 日本生物学的精神医学会
- 雑誌
- 日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
- 巻号頁・発行日
- vol.25, no.3, pp.135-138, 2014 (Released:2017-02-16)
- 参考文献数
- 12
報酬予測と意思決定はさまざまな精神疾患で障害されていることが報告されている。最近では,計算論を用いた洗練された神経画像研究も報告されるようになってきている。本シンポジウムでは,神経計算論研究の第一人者である大阪大学の田中沙織准教授から報酬予測と意思決定に関する最新の計算論モデルについて紹介があり,ご自身のセロトニン制御による意思決定関連脳活動の変化に関する研究データが報告された。次に,オランダ,アムステルダム大学の Damiaan Denys 教授からは,強迫性障害に対する脳深部脳刺激療法の治療効果と神経画像研究について報告があった。最後に京都府立医科大学の酒井雄希助教から,セロトニン神経系の障害が想定されている強迫性障害,神経性大食症,抜毛症における報酬予測神経活動の異常に関するデータが報告された。計算論と神経画像研究の統合による精神疾患の意思決定神経基盤の理解に向けて一つの方向性が提示された。