著者
畠山 真一
出版者
学校法人 尚絅学園 尚絅大学研究紀要編集部会
雑誌
尚絅大学研究紀要 A.人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.29-42, 2014

本論文では,日本のポップカルチャーの根幹をなす「カワイイ」概念を分析し,それが,ロボット工学における「不気味の谷」現象と関係づけられることを主張する。「不気味の谷」現象とは,ロボットが人間に似てくれば,似てくるほど,あるレベルの類似度までは、共感度・親近感が上昇していくが,その類似度が一定を超えると,「不気味」に感じるようになるという現象である。この不気味に落ち込んでいく部分が「不気味の谷」と呼ばれる。本論文では,カワイイが,その不気味の谷の直前に位置するプロダクトに当てはまる概念であることを主張する。
著者
Seiji Kobayashi Kazunori Fugo Ryo Hatano Kazuto Yamazaki Chikao Morimoto Hiroyuki Terawaki
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
pp.1027-22, (Released:2023-02-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1

As coronavirus disease 2019 (COVID-19) vaccine booster campaigns progress worldwide, new reports of complications following COVID-19 vaccination have emerged. We herein report a case of new-onset anti-glomerular basement membrane (GBM) disease concomitant with myeloperoxidase-antineutrophil cytoplasmic antibody positivity concurrent with high levels of interleukin (IL)-26 following the second dose of the Pfizer-BioNTech COVID-19 vaccine. The temporal association with vaccination in this case suggests that an enhanced neutrophilic immune response through IL-26 may have triggered necrotizing glomerulonephritis and a T-cell-mediated immune response to GBMs, leading to the development of anti-GBM antibodies, with an enhanced B-cell response after the vaccination triggering anti-GBM IgG and the onset of anti-GBM disease.
著者
中野 綾子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.22-34, 2012-11-10 (Released:2018-01-12)

本論は、学徒兵として戦場に行く可能性のあった学生の読書行為を視座とし、日本出版文化協会による読者層別図書推薦運動の言説を学生メディアなど多様な資料をもとに分析することで、戦場と読書が結びついていくさまを明らかにした。そこからは、従来のロマン的で典型的な学徒兵の読書イメージではない、戦場における「望まれていた書物」と「望んでいた書物」、「読める書物」の三つが複雑に絡み合った複数の読書イメージの可能性が立ち上がってくる。
著者
川越 敏司
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.15-25, 2019-01-18 (Released:2019-01-19)
参考文献数
30

実験経済学においては被験者の選好統制を行うために報酬を支払うが,これまで使用されてきた様々な報酬支払法のどれにも問題があり,これらの問題を回避するには1回限りの実験を行う必要があることを提案する.
著者
木村 巌 横山 俊一
出版者
木村巌,横山俊一
巻号頁・発行日
pp.1-226, 2018-03-01

1. コンピュータの上での数学・数論2. 体上の楕円曲線の一般論3. 有限体上の楕円曲線に関連した計算問題4. 楕円曲線のMordell-Weil群 : descent 理論5. 楕円曲線の計算法入門 : 実践編6. 楕円モジュラー形式の導入7. モジュラー形式の係数とGalois表現8. 特別な楕円モジュラー形式の高速計算理論について9. モジュラー形式に付随する2次元法l-Galois表現の計算10. 高さとArakelov理論,それらのGalois表現の計算への応用11. Hilbertモジュラー形式の計算12. 重さ1の楕円尖点形式に伴うArtin 表現13. PARI/GPによる重さ1のモジュラー形式の計算

49 0 0 0 警察学論集

著者
警察大学校 編
出版者
立花書房
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, 2000-03
著者
吉村 彰大 松野 泰也
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会誌 (ISSN:18802761)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.54-69, 2019 (Released:2019-01-25)
参考文献数
47
被引用文献数
1 1

鉄道は環境負荷の小さい交通機関であり、低炭素社会の構築に重要でありながら、近年は赤字路線の廃止と他輸送機関への代替が続いている。近年、費用便益分析が鉄道存廃の判断基準に用いられているが、鉄道の廃止に伴う周辺道路への影響や交通権の保障などの観点から、費用便益分析のみを判断基準とするのは好ましくない。そのため本研究では、鉄道路線の廃止が並行道路に与える影響の評価と、それに伴う経済的 / 環境的負担の比較、検討を通じて、路線が持つ社会的な存在意義の評価に新たな切り口を提供することを目的とした。具体的には、鉄道の存廃による並行道路の混雑変化への影響と、CO2排出量変化を評価した。さらに、路線の赤字と廃止によって必要となる道路改良費を比較した。対象は、既に廃止された2路線と、経営安定性の低い13路線とした。その結果、廃止された2路線では、利用者の80%が自動車利用に転換しても道路混雑は悪化しないと推計され、実際の道路状況とよく一致した。現存する13路線では、7路線が廃止によって並行道路の混雑を悪化させると予測され、うち6路線では大幅な悪化が予想された。この6路線では、鉄道の赤字額が周辺道路の道路改良費を下回ったことから、路線の維持がより合理的であることが示唆された。CO2排出量では、利用者数の最も少ない阿佐海岸鉄道を除いて鉄道の運行によって軽減できていると推計された。この結果から、鉄道の運行によってCO2排出量を削減するためには、一定以上の利用が必要であるという既存研究と同様の結果が確認された一方、排出量の削減効果と経営安定性との相関は、混雑変化と経営安定性に比べ弱いことが示唆された。本研究を通じ、並行道路の混雑変化と財政負担、CO2排出量変化を個々に比較、検討することが、地方鉄道の社会的な存在意義を評価する新たな切り口となることが示唆された。
著者
田邊 真理子 中山 正 加藤 睦子 清井 理恵子 寺石 友美子 渡邊 正樹
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.655-661, 2017-06-05

多発消失性白点症候群(MEWDS)は,近視眼の若年女性に好発し,主に片眼の視力低下や光視症,視野欠損をきたす1)。検眼鏡的には眼底に白点病巣が多数出現するが,2 週間程度で消失し,症状も1 か月程度で自然に回復する2)。MEWDS は症状が軽微であることが多く,症状出現から受診までに時間が経っている症例が多いこと,自然治癒傾向があることから,白点病巣がどこに初発し,経過中にどのような広がりや消失過程をたどるのかということについての検討はなされていない。
著者
砂原 秀樹 村井 純
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.571-581, 2013-12-01 (Released:2013-12-01)
参考文献数
14

1984年10月,東京工業大学,慶應義塾大学,東京大学のUNIXマシンが接続され,JUNETとよばれるネットワークが誕生した。JUNETは,電話網の上に構築されたネットワークであったが現在のインターネットの基礎となったネットワークである。単にサービスを提供するだけでなく,人と人のつながり,つまりコミュニティーを生み,そこから次世代の計算機環境を考えるグループが誕生した。これがWIDEプロジェクトである。ここではInternet Protocol version 6(IPv6)の開発に関わる活動をはじめとして,グローバルなインターネットに資するさまざまな研究が進められてきた。本稿では,今年25年を迎えるWIDEプロジェクトの取り組みの歴史と成果,今後の展望について述べる。
著者
近藤 日出夫
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.157-176, 2008-10-20 (Released:2017-03-30)

女子少年による殺人で,最も多いのは今も昔も嬰児殺である.近年,妊娠中絶,できちゃった婚,シングルマザーなど望まない妊娠に対する選択肢が増加したにもかかわらず,女子少年による嬰児殺は横ばいのまま推移し,根絶させるに至っておらず,現在でも女子少年による嬰児殺の背景にある問題は十分に解決されたとはいえない.そこで本稿では,最近5年間に嬰児殺を犯した女子少年について,資質的特徴に基づいて,抑制型,不安定型,未熟型の3つのタイプに分け,それぞれのタイプごとに異性関係の持ち方,家族関係の特徴などから嬰児殺に至る背景要因を分析した.親に過剰な気遣いをするなど,自らの率直な感情表現を抑えがちであったタイプを抑制型,家庭的な問題を背景に情緒面での安定が図られてきていないタイプを不安定型,困難場面における問題解決能力に劣り,状況に依存した受動的な生き方を選択してきたタイプを未熟型とし,分析した結果,タイプごとに妊娠から犯行までの経緯もそれぞれ特徴があることを明らかにした.
著者
小寺 敦之
出版者
東洋英和女学院大学
雑誌
人文・社会科学論集 = Toyo Eiwa Journal of the humanities and social science (ISSN:09157794)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.29-46, 2014-03

As Internet use has proliferated worldwide, maladaptive patterns or negative impacts of Internet use, so-called Internet addiction, have been increasingly reported. This study critically reviewed literature and discussed some problems regarding the study of Internet addiction. Development of Internet addiction research and criticism of this subjectindicates that the research to date on Internet addiction 1) has no heoretical background, 2) lacks valid measurement, 3) may have resented misleading causal relationships, 4) has restricted research with a psychiatric paradigm, and 5) has been debated on the presumption that the Internet has brought negative consequences. IfInternet addiction truly exists, researchers must respond to these problems.