著者
井上 昭夫 黒川 泰亨
出版者
日本林學會
雑誌
日本林學會誌 = Journal of the Japanese Forestry Society (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.130-134, 2001-05-16
参考文献数
19
被引用文献数
3

針葉樹における二変数材積式を理論的に誘導した。相対幹曲線式としてKunze式を採用した。既存の研究成果に基づいて, 相対高0.7と0.5における正形数&lambda;<SUB>0.7</SUB>と&lambda;<SUB>0.5</SUB>は, それぞれ0.7と1.0で安定していると仮定した。これらの仮定より, 相対幹曲線式の係数を推定する二つの方法を誘導した。これらの方法によって推定される係数は, 互いに等しいと仮定した。その結果, 次の二変数材積式が得られた;v=&pi;d<SUB>b</SUB><SUP>2</SUP>h/4{2(1-h<SUB>b</SUB>/h)}<SUP>1.060</SUP>。ここで, vは幹材積, d<SUB>b</SUB>は胸高直径, hは樹高, h<SUB>b</SUB>は胸高 (=1.2m) である。この材積式をスギとヒノキの資料に適用した。推定された幹材積の標準誤差はスギで0.028m<SUP>3</SUP>, ヒノキで0.025m<SUP>3</SUP>であった。誘導した材積式の仮定と関数形に基づいて, この材積式の特徴について考察した。
著者
南雲 秀次郎 田中 万里子
出版者
日本林學會
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.278-286, 1981
被引用文献数
3

地位の異なるスギ林分から採取した樹幹解析木の資料によってスギ林木の相薄幹形を分析し,その結果にもとついて材積表を調製した。中央相対直径&eta;<sub>0.5</sub>の値は,地位が高いほど大ぎくなる。また,林齢に関しては, 40年生までは林齢に応じて高くなりその後は変化を示さないことがわかった。このことは,同一胸高直径,同一樹高の林木でも地位の高いもののほうが,また, 40年生ごろまでは林齢が高まるにつれて,樹幹がより完満になることを意味している。以上の結論と&eta;<sub>0.5</sub>の変化の大きさを考慮して, 40年生以上と以下の2群に分けて吉田式によって相対幹曲線式を決定し村積表の調製をおこなった。また,同一資料に対して山本一シューマッカー式を適用してその精度を比較した。その結果,相対幹曲線武にもとつく方法のほうが精度が若干よいことがわかった。
著者
石田旭山 編
出版者
正宝堂
巻号頁・発行日
vol.和2冊(下), 1887
著者
太田 晶二郎
出版者
吉川弘文館
雑誌
日本歴史 (ISSN:03869164)
巻号頁・発行日
no.446, pp.p74-78, 1985-07
著者
酒井 秀晃 中村 雅子 五十嵐 善英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.388, pp.41-48, 1999-10-25
参考文献数
7

公開鍵暗号に対するSemantic Securityの新しい定義を提案する.Semantic Securityとは,平文に関するどのような部分情報も部分解読困難であることをいう.従来のSemantic Securityの定義はChosen-Plaintext Attackに対しての定義であり,Chosen-Ciphertext Attackに対しては定義されていなかった.そこでChosen-Plaintext Attackに対してもChosen-Ciphertext Attackに対しても有効な定義を提案する.また,公開鍵暗号に対してSemantic SecurityとIndistinguishabilityが等価であることを示す.新しいSemantic Securityの定義とGoldwasserとMicaliによるSemantic Securityの定義の関係を示す.Chosen-Plaintext Attackに対して,ある公開鍵暗号が新しい定義の意味でSemantic Securityを満たしているならばGoldwasserとMicaliによる定義の意味でもSemantic Securityを満たしているが,その逆は成り立たない.
著者
児玉 公信
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:21888809)
巻号頁・発行日
vol.2019-IS-147, no.7, pp.1-8, 2019-02-28

SESSAME WG2 の 「話題沸騰ポット」 の分析モデルには疑問がある.そのモデルでは,「ふた」 や 「給湯口」 がクラスとなっている.「ポット」 というシステムにおいて,「ふた」 や 「給湯口」 はどれほどのデータや責務を持っているというのだろうか.経験的に,このモデルは少なくとも二つの目的を混合していると感じる.一つはポットの制御システムの設計,もう一つはポットの物理的構造の設計,すなわち部品表である.従来の部品表のモデルは 「品目」 クラス間の再帰関連で記述され,そのインスタンス群は木構造となる.ここでは,「ふた」 や 「給湯口」 は 「品目」 クラスのインスタンスとされる.しかし,製品が多仕様化する現代では 「ふた」 や 「給湯口」 などの部品のバリエーションが多数あり,それゆえその間のリンクには明確な制約が必要となる.これを記述する部品表は Fowler のいう分析モデルの知識レベルにあるが,これまでデータモデルの視点でしか議論されないできた.本報告では,こうした多仕様の部品表を記述するためのモデリング要素としてステレオタイプ <<item>> を提案し,「話題沸騰ポット」 の多仕様版のモデルを記述してみる.この作業を通して,制御システムとのモデルの分離を試みる.
著者
西 千秋 高瀬 力男 村上 卓男 小藤田 久義 松原 和衛 出口 善隆
出版者
Japanese Soceity of Livestock Management
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.135-142, 2012-12-25 (Released:2017-02-06)
参考文献数
18

近年,我が国では列車と野生動物との衝突事故が発生している。特に大型哺乳動物との列車事故は,野生動物保護の面から問題があるばかりか,鉄道会社にとっても列車の遅延などの経済的損失をまねくとともに,安全輸送への信頼を損ないかねない。そこで大型哺乳動物と列車との衝突事故の実態を調査し,対象種の生活史との関係を考察した。1999年から2003年に発生した哺乳動物と列車との衝突事故を調査対象とし,JR東日本盛岡支社から情報を得た。衝突事故動物種毎に,1999年から2003年までの発生件数を月ごとに集計した。衝突事故動物種は,シカ,カモシカ,クマに分類した。その結果,シカとカモシカを合わせた割合が,事故発生件数の約80%を占めた。クマと列車の事故件数は,どの年も10件未満であった。シカと列車との事故は6月と10月に多く,二峰型を示し,カモシカとの事故は7月に多く,一峰型を示した。クマでは初夏から9月にかけて事故件数が増加し,その後減少した。事故の発生時期は,シカ,カモシカ,クマの3種とともに,繁殖期,分散期などの生活史と深く関わっている事が示唆された。また,自己発生時間帯は夜間が中心である事がわかった。
著者
岡本 祐之
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

ヒトおよびラット皮膚においてiNOSが誘導されNOが産生されることが明らかとなった。乾癬をはじめ、アトピー性皮膚炎、扁平苔癬、水疱症、膠原病などの炎症性皮膚病変においてiNOSが表皮ケラチノサイトに発現されていることが認められたが、iNOSの発現様式は疾患によって異なっていた。乾癬ならびにアトピー性皮膚炎の表皮におけるiNOS発現の推移を調べると、ステロイド外用剤による治療によって皮膚症状の改善とともにiNOS発現の低下が観察された。2種類の実験的接触皮膚炎、すなわちアレルギー性および一次刺激性皮膚炎では、表皮におけるiNOS発現に明らかな差は観察されなかった。紫外線皮膚炎におけるNO関与では、少量の紫外線(UVB)照射によりケラチノサイトはNOの産生上昇を示した。マウスに紫外線照射を行い、照射前または照射後にNOSの阻害剤であるL-NAMEを腹腔投与し耳介腫脹を日焼け細胞数を測定すると、腫脹の程度および日焼け細胞数ともL-NAMEの投与により抑制された。一方、紫外線のマウス接触アレルギー反応抑制作用に対する効果を検討すると、L-NAME投与は紫外線の抑制作用に影響を示さなかった。今回の研究において、NOは紫外線の皮膚に対する直接障害に関与するものの、紫外線が及ぼす免疫反応には効果が認められないことが示された。アトピー性皮膚炎患者よりリンパ球を採取し、ケラチノサイトと混合培養しそのNO産生への影響を調べると、ケラチノサイトからのNO産生がアトピー性皮膚炎患者リンパ球では正常人リンパ球に比べて有意に増強することが認められた。以上の実験結果より、紫外線をはじめとする種々の起炎刺激に対して生じる皮膚炎や炎症性皮膚疾患にNOが関与していることが示唆された。
著者
Shin-ichi NAKAMURA Takamitsu TSUKAHARA
出版者
JAPANESE SOCIETY OF TOXICOLOGIC PATHOLOGY
雑誌
Journal of Toxicologic Pathology (ISSN:09149198)
巻号頁・発行日
pp.2018-0060, (Released:2019-06-06)
被引用文献数
1

Herein, we describe the case of a 6-year-old female ferret that died within a few days of the onset of anorexia and reduced spontaneous locomotor activity. Necropsy revealed a dark red abdominal mass of unknown origin between the right lobes of the pancreas and the proximal jejunum, with massive blood retention in the peritoneal cavity. Histopathologically, spindle-shaped or sometimes polygonal tumor cells were proliferating with irregularly shaped vascular spaces containing blood components and surrounding-tissue infiltration. In some areas, tumor cells formed distinctly dilated blood vessel-like structures. Immunohistochemically, most of the tumor cells were strongly positive for CD31, but factor VIII-related antigen immunoreactivity was confined to the area with dilated blood vessel-like structures. Based on these findings, the tumor was diagnosed as an abdominal hemangiosarcoma. Abdominal hemangiosarcoma excluding cases of the liver and spleen are rare in ferrets.
著者
三島 佳奈子 堀口 利之 野島 啓子 三宅 直之 磯崎 英治
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.204-210, 1997-04-20
参考文献数
19
被引用文献数
3 2

薬効ピーク時に移動能力, ADLが向上する一方で, 一時的な起声困難が出現する若年性パーキンソン病患者を経験した.本症例の起声困難はドラッグコントロールにより改善しており, 薬物 (L-DOPA) に起因するすくみ現象による声帯の内転障害と考えられた.同一個体内で歩行と発声という異なる運動間ですくみ現象が時間的解離をもって出現した原因について考察した.結果, 同一個体内においても四肢・体幹と喉頭ですくみ現象の発現機序に相違がある可能性, あるいは薬物の治療閾値がおのおのの筋において異なる可能性を考えた.また, 本症例の起声困難には"kinesie paradoxale"を伴っており, 声帯のすくみ現象には発声を他の目標行動に変換して誘発する方法が有用であった.<BR>A 62-year-old man with juvenile Parkinson's disease was reported. When L-Dopa was working the patient felt difficulty in voicing although he could walk smoothly. Meanwhile, when L-Dopa was not working his difficulty in voicing disappeared but he was unable to walk. This discrepancy between voicing and walking is disussed.<BR>Laryngofiberscopic examination showed the following intriguing findings. When L-Dopa was working the patient's vocal cords assumed the hyperabduction position. Also, during an attempts at phonation, the vocal cords developed a tendency to adduct but were unable to. This movement seemed to correspond to a"freezing"phenomenon in walking. The adduction tendency of the vocal cords ameliorated temporazily by voluntarily making a cough instead of voicing. Such a phenomenon appeared as a freezing of vocal cord movement with kinesie paradoxale.<BR>Two hypotheses were raised to explain this "see-saw" phenomenon between voicing and walking. First, the mechanism of the freezing phenomenon might differ for voicing and walking. Second, the threshold for the effectiveness of L-Dopa might differ for the intrinsic laryngeal muscles controlling voicing and for the limb and truncal muscles controlling walking. The task of hawking which we attempted was very useful in speech therapy on PD patients who exhibited the freezing phenomenon of the vocal cords with kinesie paradoxale.
著者
小田嶋 奈津 松永 高志 古川 哲雄 塚越 廣
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.231-236, 1990-06-25 (Released:2009-09-03)
参考文献数
14

発病1年7ヵ月後に一側上肢の粗大振戦様の激しい不随意運動の出現を認めた橋出血の1例について報告した.この不随意運動は運動時と姿勢時に認められ, 表面筋電図では上腕二頭筋と上腕三頭筋で2~3Hzの高振幅, 相反性の律動的群化放電を認め, 同時に躯幹筋や胸鎖乳突筋にも小さな群化放電を認めた.本例の不随意運動は活動時振戦に属するが, 運動時, 姿勢時とも振幅が極めて粗大で, あまりにも激しい動きであった.MRIでは一側橋被蓋部のみに病巣が確認され, 不随意運動の責任病巣を考える上で興味ある症例と考えた.