著者
永井 聖剛 Patrick J. Bennett 熊田 孝恒 Melissa D. Rutherford Carl M. Gaspar Diana Carbone 奈良 雅子 石井 聖 Allison B. Sekuler
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.51, 2007

Classification image法により視覚情報処理方略を詳細に示すことが可能である.例えば,顔画像が提示され個人弁別課題が与えられたとき,「顔のどの部分にどれくらい強く処理ウェイトをおくか」をピクセル単位で明らかにすることができる(e.g., Sekuler et al., 2004).ただし,この方法は相当数の試行数を必要とし,障害者など特殊な被験者に適用することは容易では無かった.本研究ではサブ・サンプリング刺激提示,ならびにデータ加工法の洗練により,従来より遙かに少ない試行数で,従来と同等に高い精度で顔情報処理の特徴を明らかにすることに成功し,自閉症者の顔情報処理を詳細に調べた.実験の結果,自閉症者においても健常者と同じく目・眉の領域に処理のウェイトをおくが,自閉症者ではそのウェイトが弱く,額にも処理ウェイトをおくなど健常者にはみられない処理方略を示した.
著者
新保 みさ 角谷 雄哉 江口 泰正 中山 直子
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.246-250, 2015

目的:学会セミナー「研究・実践からアドボカシー(政策提言)へ」は,アドボカシーについて学び,学会としてのアドボカシーのあり方を議論するためになされた.本報告では,講演後になされた,「研究・実践からアドボカシー(政策提言)へ」に関する総合討論の概要をまとめた.<br>内容:総合討論では,第1部の講演の内容やアドボカシーに関して,総合司会を中心に,講演者と参加者が相互に質問や意見交換を行った.主な話題としてアドボカシーへの原動力,アドボカシーの担い手,学会としてのアドボカシーのあり方に関して議論があった.講演者はこれまで関わってきたグローバル,国,自治体,企業のそれぞれのレベルにおける視点で発言をしていた.討論を通じて,日本でアドボカシーを進めるための課題として,行政機関における人材育成のあり方や大学の役割があげられた.政策を作る側からも学会としてアドボカシーを行う必要性が述べられ,今後の方向性が確認された.<br>結論:講演者と参加者の議論によって,アドボカシーはそれぞれのレベルで推進されているものの,課題があることが分かった.今後,日本健康教育学会としてのアドボカシーを推進するためには,意見を1つにまとめ,議論を重ねていく必要がある.
著者
村本 賢三
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.142, no.2, pp.58-62, 2013 (Released:2013-08-09)
参考文献数
10

Biologicsと言われる生物学的薬剤は,医療全体に大きな影響を与え,治療における改革を促進してきている.これらから新たに得られている知見も多く,病気の発症メカニズムの解析にも大きく貢献している.たとえば,抗TNFα抗体は,関節リウマチの前臨床モデルにおける抑制効果はあまり強くはないが,臨床においてTNFαが重要な働きをしていることに議論の余地はない.今後も生物学的薬剤は,成長し貢献していくことが予測される.しかしながら,世界的に医療費高騰が問題となりつつある中,より安価な薬剤の開発が求められているのも事実である.そこで,現状での生物学的薬剤の状況を踏まえた上で,開発中の低分子薬剤の状況について説明する.また,日本発の低分子薬剤,中でも我々が検討してきた新規抗リウマチ薬であるイグラチモドの開発経緯とその関節リウマチにおける抑制メカニズムに関して概説する.イグラチモドは,第III相試験において,メトトレキセートの効果不十分例における併用試験において24週で,プラセボ群30.7%に対して,イグラチモド群は69.5%と有意な改善効果を示した.我々は,この抗リウマチ作用のメカニズムとして,既存の抗リウマチ薬にない作用であるB細胞に対する抑制作用を提唱している.イグラチモドは,細胞増殖等には影響がないが,ヒトとマウスのB細胞からの抗体産生を明確に抑制する作用を示した.これは他の抗リウマチ薬にない作用であり,新規の薬剤であると言える.最後に,今後の薬剤開発の方向性やこれらの使い分けに関して,論じた.この拙文が今後の自己免疫疾患領域における創薬を考える一助となれば幸いである.
著者
小川 龍
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.14, no.9, pp.691-694, 1994-11-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
2

1 0 0 0 朱舜水

著者
朱舜水記念會編
出版者
朱舜水記念會事務所
巻号頁・発行日
1912

1 0 0 0 國民道徳訓

著者
徳川達孝述 平塚睢鳩編
出版者
至誠堂書店
巻号頁・発行日
1915
著者
加藤 菊也 石井 信
出版者
地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所)
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

研究代表者のグループは大阪大学医学部病態制御外科及び腫瘍外科、京都大学医学部脳神経外科、大阪府立成人病センターのグループと共同で固形癌の遺伝子発現プロファイル解析を行ってきた。対象とした固形癌は乳癌、大腸癌、肝細胞癌、胃癌、食道癌、甲状腺癌、神経膠腫、肺癌である。測定遺伝子数は1500-3500個で、1500症例以上癌組織の解析を行った。本研究ではこのデータベースについて改良と更新を行った。Cancer Gene Expression Database (CGED, http://cged.hgc.jp)は、検索機能とデータ表示方法に特徴がある。データ検索は、通常の遺伝子名やGenBank accession numberなどのID番号のほか、同一機能グループに属する遺伝子をまとめて検索できるように、Gene Ontology termとSwissProtの機能アノテーション中のキーワードで検索できるようにした。また、遺伝子発現量は赤から緑のグラジエントで、臨床データはそれ以外の色を使ってモザイクプロットで表示した。異なる遺伝子の発現パターンを並べて表示できるだけではなく、発現パターンの類似した遺伝子を検索して表示できるようにもしている。さらに、発現パターンの表示を特定の遺伝子の発現量や臨床パラメータでソートして再表示する機能も備えている。これまでのCGEDには、乳癌(予後関連遺伝子探索用のデータ)、大腸癌、肝細胞癌、食道癌のデータが収納されているが、収録していないデータの標準化を肺癌以外のデータで終了し、データベースに収録した。
著者
森田 邦正
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
衛生化学 (ISSN:0013273X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.185-190, 1987-06-30 (Released:2008-05-30)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

The daily intakes of dietary fiber (DF) for the period from 1949 to 1984 were calculated according to national nutrition survey in Japan. The daily intake of DF had gradually decreased during the period from 1949 (17.9 g) to 1984 (14.2 g). The daily intake of cellulose, had slightly decreased during the period from 1949 (8.5 g) to 1970 (6.8 g) and its recent intake was 7.6 g. The daily intake of hemicellulose, which had decreased during the period from 1949 (5.7 g) to 1965 (4.0 g), was about 4.1 g after 1965. The daily intake of lignin, which showed a certain trend during the period from 1949 (3.7 g) to 1971 (3.8 g), suggested a remarkable decrease after 1972. The DF intakes of 12 individuals aged from 30 to 50 years were determined by duplicate collection of food consumed for three successive days. The individual intake of DF was varied from 6.6 g to 16.5 g per day. The average intake and standard deviation was 10.7±1.6 g. A correlation between DF consumption and the death rate of colon cancer from 1950 to 1984 was apparent (γ=-0.739, p<0.01). A negative correlation existed between the intake of hemicellulose and lignin and the death rate of colon cancer (γ=-0.689 and γ=-0.918). A correlation between DF consumption and the death rate of rectum cancer was highly significant (γ=-0.793, p<0.01). A negative correlation existed also between the intake of hemicellulose and lignin and the death rate of rectum cancer (γ=-0.786 and γ=-0.895).
著者
船越 公威 岡田 滋 永里 歩美 新井 あいか
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.167-181, 2015 (Released:2016-01-28)
参考文献数
35

特定外来生物のフイリマングースHerpestes auropunctatusの生息が,2006年~2011年の間に鹿児島県本土の2ヶ所(鹿児島市と薩摩川内市)で確認された.鹿児島市では,確認されて以後,生け捕り用カゴワナを利用して駆除事業が2009年7月から開始された.同時に,自動撮影装置による生息確認を2009年~2013年にマングース捕獲地点(耕作放棄地,荒地,竹藪および果樹園等)とその周辺域および山地林内で行った.また,2012年度にはヘアトラップによる体毛を採取し,マングースの根絶に向けた捕獲と在来種の生息状況を把握した.その結果,マングースの捕獲総数は115頭(雄47頭,雌68頭)であった.捕獲ゼロとなった2011年2月以降も集中捕獲を実施したが,捕獲されなかったことから,根絶またはそれに近い状況に入ったと判断された.一方,薩摩川内市で2011年12月に1頭が目撃され,2月4日に成獣雄1頭が捕獲された.その後のモニタリングでは捕獲ゼロであった.鹿児島市にマングースが定着して30年経過しながら,山地林内へ進出することなく喜入地区とその周辺の開けた地域で閉鎖的に存続していた理由として,本種の低温適応への生理的制限と競合関係あるいは天敵としてのテンの存在が考えられた.マングース駆除に伴う在来種の混獲による捕獲率や撮影率の変化から,在来種の生息状況を考察した.
著者
中窪 寿弥 船越 勝
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践研究指導センター
雑誌
教育実践研究指導センター研究紀要 (ISSN:09193065)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.117-129, 1997-03-31

生活科も本格実施から5年目を迎え、一つの転換点を迎えている。私たちは、このような問題意識から、子どもが自らの問いを持ち、主体としての学びを展開していくなかで、確かな学力と人格を育てる新しいタイプの生活科の実践の創造を追求してきた。本研究は、二年間にわたって、単元「麦茶をつくろう」の開発に取り組んだものであり、大麦の持っ教材的価値と実践的可能性について明らかにした。