著者
秋濱 一弘
出版者
一般社団法人 日本燃焼学会
雑誌
日本燃焼学会誌 (ISSN:13471864)
巻号頁・発行日
vol.59, no.187, pp.49-54, 2017 (Released:2018-02-15)
参考文献数
21
被引用文献数
6

Gasoline vehicles, particularly, Gasoline Direct Injection (GDI) vehicles were subjected to regulations of PM (Particulate Matter) emissions because of the sales increase of GDI vehicles in the market. In this article, the emissions standards of PM for gasoline vehicles in Japan, EU and USA (EPA) are reviewed, and the latest regulatory trend are compared. The outline of PM generation in a GDI engine are explained as the fundamental information. In cold-fast-idle condition, for example, PM emissions in GDI engine originate from the wall fuel films produced by the fuel jet. The reported chemical compositions of exhaust PM are summarized. The major component is found to be Elemental Carbon (EC). Finally, the need for the modeling of PM generation is discussed for the numerical simulation in order to investigate the GDI engine with lower PM emission in the future.
著者
唄 孝一
出版者
医学書院
雑誌
公衆衛生 (ISSN:03685187)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.10-14, 1973-01-15

健康権という概念を,独立の熟したことばとしては耳にしたことは必ずしも多くない.そして今,健康権を唱導することに私はたしかにある意欲と使命感とを感じている.しかし,それとともに,この新しいターミノロジーのもとにまた「××権」を一つ加えることに,ある種のシュプレヒコールにあるあの空しさ,とまではいわぬにしても,こういう問題のとり上げ方の必要性に多少の懐疑心をすてきれないこともまた事実である.この二つの,少なくとも外見的には矛盾する自己反応を,ともかくもじっとふりかえりみつめてみよう,そしてさらにこの心象風景を生み出す客観的条件の考究に着手してみよう,これが本稿の趣旨である. 端的にいって,健康権というとき,憲法25条を思い出さない人は少ないであろう.すなわちそれは「すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」ことを明記しているからである.これは生存権的基本権として注目され,単に法学界だけでなく法律実務上でも,いや国民生活一般の上でかなり論議されまたそれなりに機能してきた規定である.
著者
安田 正次 沖津 進
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.74, no.12, pp.709-719, 2001-12-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1 4

上越山地平ヶ岳頂上部の湿原において乾燥化に伴う非湿原植物の侵入を明らかにするため,湿原とその周囲の植生分布を調査した.湿原の境界域にはハイマッとチシマザサが分布し,それらは湿原に侵入していた.まずハイマッが湿原内に侵入し,それがその後にチシマザサが侵入可能な環境を形成すると推察された.チシマザサは湿原の乾燥化を助長させていると考えられた.以上から,湿原に侵入したハイマッは後にチシマザサなどの植物に生育場所を奪われる先駆的植物と推定された.同時にチシマザサの侵入により非湿原植物の侵入がさらに進むと推測された.
著者
中澤 高志 川口 太郎
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.74, no.12, pp.685-708, 2001-12-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
61
被引用文献数
2 4

本稿では長野県出身の東京大都市圏居住世帯に対して行ったアンケート調査に基づき,ライフコース概念を取り入れて,地方出身者世帯の大都市圏内での住居経歴を分析する.住居経歴は40歳世代, 50歳世代, 60歳世代の三つの世代について収集し,住居経歴の終点が特定の地域に収敏することのない発地分散的データであるという特徴を持つ.大都市圏内の住居移動に関する一般的特徴の多くは世代を超えて安定しており,結婚後の住居移動回数はおおむね1~2回で, 20歳代後半から30歳代前半の時期に住居移動の頻度がピークに達する.世帯が持家の取得を目標とすることは世代を通じて揺るぎないが,持家を取得する時期は住宅市場の動向に左右され,取得する持家の形態も戸建住宅から集合住宅へと世代を追って急速に変化した.住居移動の空間的特徴は,短距離移動,セクター移動,外向移動が卓越していることであり,これらは郊外に向かう跳躍的移動と従前の居住地の周辺で行われる短距離の移動に大別される.世帯の持家取得欲求は大都市圏の同心円的な地価水準の下で実現されるため,外向移動はとりわけ持家を取得する移動に典型的にみられ,結果として居住の郊外化が大きく進展する.すなわち家族段階の発達とそれに伴う住居形態の変化という住居経歴の時間的軌跡は,住宅市場の動向に代表される社会経済的背景と大都市圏の同心円構造を反映した空間的軌跡として現出するのであり,それ自身が大都市圏を外延化させる原動力となっていた.
著者
斎藤 功 仁平 尊明 二村 太郎
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.74, no.12, pp.661-684, 2001-12-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
43

本稿は,アメリカ合衆国の冬小麦地帯の中央にあるカンザス州を事例として,エレベーター社の競合と系列化に注目しながら,グレインエレベーターの地域的展開の様相を時間・空間的に明らかにした.カンザス州では,鉄道の西進に伴って19世紀後半からグレインエレベーターが建設された.エレベーター社は穀物を購入するだけでなく,農業資材や日用品を販売することによって,農家との密接な関係を保った.しかし,農協や製粉会社など,郡域の農家から穀物を集荷する地方のエレベーター社は,吸収・合併を繰り返したたあ,現在に至るまで同じ社名で存続しているのはわずかである. 1950年代後半以降,フリントヒルズ西端の旧チザムトレイルに沿った,鉄道路線の集まる都市で,ターミナルエレベーターが建設された.これは,地方のカントリーエレベーターから穀物を集荷し,国内外に出荷するための巨大エレベーターである.コーリンウッド社やガーヴェイ社は,ターミナルエレベーターを建設したり,地方のエレベーターを購入したりすることで,広域的な集荷圏を持っエレベーター社に発展した.しかし, 1980年代以降,これらのターミナルエレベーターは,カーギル社やADM社などの穀物メジャーによって次々と買収された.このように,世界の穀物市場を支配している合衆国の穀物メジャーは,郡レベルで始まったエレベーター社の競合の結果,広域的に展開したエレベーター社を系列下に収めることによって,最終的に穀物の集荷地盤を垂直的に統合 したのである.
著者
柿本 佳美 KAKIMOTO Yoshimi
出版者
京都女子大学現代社会学部
雑誌
現代社会研究 (ISSN:18842623)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.39-51, 2009-12

本稿は、「甘え」が象徴する社会構造によって、日本社会における「自由」と「権利」概念理解のずれが生じることを指摘する。土居は、日本社会においては、「甘え」に象徴される、子が親から無条件で受容される関係が関係性のモデルとなることで、個人による集団への従属を善とする社会規範が形成され、「自由」を「わがまま」とも理解するずれが生じたことを指摘する。明治初期における西欧世界からの法システムの導入は、個々人の属性に依存する社会関係が存続したことで、諸概念の理解においてゆがみを伴っていた。属性に依存する社会規範は、社会関係が希薄化した現代社会においても、個々人に「分を守る」ことを求める。「自由」と「権利」の概念理解の両義性は、属性・役割を社会規範の規準とし、個の意識を曖昧にすることで「甘え」を許容する日本の社会構造から生じる。ここに、既存の社会にはない新しい知の理解には、その社会の価値規範の影響によるずれを避けることができないことを見て取ることができよう。This article aims to clarify the reason why Japanese people have the double-edged understanding about the notion of the freedom and the rights. The word "Amae" symbolises the social structure in Japan where parents accept the unconditional indulgence of their child. Being based on this model of the relationship, this structure makes the miss-leading about the freedom and the rights, sustained by the social norms which premise the dependence of the individual to the society. This doulde-edged understanding on the freedom and the rights comes from the structure of the Japanese society, which depends on the personal social status and position and which weakens the self-consciousness, too. We can see the inevitable influence of the social value and norm on the introduction of the sciences which have developped in the different culture back ground.
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.794, pp.52-59, 2005-04-18

「世界のTANGE」。丹下健三氏は世界のモダニズム建築家たちと同列に評価された日本で初めての建築家だった。上の世代の巨匠たちを追い抜いて、世界的な評価を勝ち得ることができたのはなぜか。 3月25日、東京カテドラル聖マリア大聖堂。門下生を代表して弔辞を読んだ磯崎新氏は、時折声を詰まらせながらこう語った。

1 0 0 0 OA 通志200卷

著者
宋鄭樵撰
出版者
謝氏彷武英殿本刊
巻号頁・発行日
vol.[4], 1859
著者
石場 厚
出版者
愛知県警察本部刑事部科学捜査研究所
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

近年、脱法ハーブと呼ばれる薬物の乱用が大きな社会問題となっている。脱法ハーブとは、合成カンナビノイドと呼ばれる大麻と作用が類似した成分を添加した植物片のことで、これをタバコ状にして喫煙、もしくはお香のように焚き、気化した成分を吸引摂取する。したがって体内には合成カンナビノイドの他に、その燃焼生成物も同時に摂取しているものと考えられる。合成カンナビノイドの薬理作用や毒性または代謝を明らかにするうえでも、実際には何を吸引しているのかを明らかにする必要があるため、今回、いくつかの合成カンナビノイドの燃焼生成物の成分を明らかにすることとした。はじめに、実際の脱法ハーブ吸引を想定するべく、合成カンナビノイドを市販の紙巻きタバコに添加した模擬試料を作製し、燃焼実験を行った。実験に用いた合成カンナビノイドは10種類で、発生した煙をジクロロメタンで回収し、ガスクロマトグラフ質量分析装置で煙の成分をそれぞれ詳細に検討した。つぎに、合成カンナビノイドを、高周波熱分解装置(キューリーポイントパイロライザー)を用いて熱分解した。熱分解に用いるパイロホイルの種類については、タバコの燃焼付近の500℃から900℃の範囲のものを検討し、燃焼実験の結果と比較したところ、汎用的に用いられる590℃のパイロホイルを用いて熱分解すれば、実際の燃焼を再現できる可能性を示した。今回の研究により、多くの合成カンナビノイドは熱に対して比較的安定であったものの、ある種の骨格をもつ合成カンナビノイドについては熱に対して不安定なことがわかった。これらの合成カンナビノイドについては、薬理作用や毒性または代謝の研究の際、その燃焼生成物についても合わせて検討する必要があると考えられる。
著者
Yasufumi Kijima Teiji Akagi Yoichi Takaya Satoshi Akagi Koji Nakagawa Kengo Kusano Shunji Sano Hiroshi Ito
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.227-234, 2015-12-25 (Released:2015-12-25)
参考文献数
29
被引用文献数
8 35

Background:A therapeutic strategy in patients with atrial septal defect (ASD) and significant pulmonary arterial hypertension (PAH) remains controversial. This study aimed to assess the effect of PAH-specific medications and subsequent transcatheter shunt closure (ie, a treat and repair strategy) in these patients.Methods and Results:Among 646 patients with ASD, 22 patients (mean age of 56±20 years) who had PAH [mean pulmonary artery pressure ≥25 mmHg and pulmonary vascular resistance (PVR) ≥3 Wood units] underwent successful transcatheter ASD closure. Prior to the procedure, 8 patients received PAH-specific medications (PHM group) and 14 patients did not (non-PHM group). Initially, the PHM group had higher PVR compared with non-PHM group (9.6±3.8 vs. 4.2±1.0 Wood units, P<0.01). After treatment with PAH-specific medications, PVR in this group decreased to 4.0±0.8 Wood units (P<0.01). No adverse events were observed in either the PHM or non-PHM group during or after the transcatheter procedure. In the PHM group, during a treatment period of 52±48 months, the World Health Organization Functional Classification significantly improved (3.0±0.5 to 2.0±0.0, P<0.01), as well as in the non-PHM group (2.1±0.6 to 1.5±0.5, P<0.01).Conclusions:Treat and repair strategy provided substantial improvement and no worsening of the WHO-FC, even in patients with ASD and significant PAH. Long-term hemodynamic follow-up is mandatory to evaluate the ultimate efficacy and safety of this new strategy. (Circ J 2016; 80: 227–234)
巻号頁・発行日
vol.[4], 1600
著者
南 英一
出版者
一般社団法人 日本鉱物科学会
雑誌
鉱物学雜誌 (ISSN:04541146)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-24, 1954-09-30 (Released:2009-08-11)
参考文献数
19
被引用文献数
1

1 0 0 0 OA 花押藪 7巻

著者
丸山可澄 輯
出版者
松雪齋
巻号頁・発行日
1690
著者
早川 弘之 高井 富美 田中 博道 宮坂 貞 山口 健太郎
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.1136-1139, 1990-05-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
18
被引用文献数
18 23

Displacement of a hydroxyl group in pyrimidine nucleosides having a vicinal diol system by a fluorine atom was investigated by using diethylaminosulfur trifluoride (DAST). Though participation of the base moiety often thwarts the desired introduction of a fluorine atom, it was found that appropriate modification of the base and/or sugar moieties allowed the desired fluorodehydroxylation to occur, giving 5'-, 3'-β-, and 2'-α-fluorinated uracilnucleosides in good yields.