著者
畝見達夫 田中穂積 市川惇信
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1980, no.1, pp.1-10, 1980-04-18

コンピュータによる自然言語処理は様々な面で、その重要性を増しつつあるが、本研究では、そのための道具の一つとして、1978年に電総研で開発された「拡張LINGOL」をベースに、より柔軟な文法規則表現が可能なパーザを基礎とする自然言語処理のためのプログラミングシステムを作成した。LINGOLは文脈自由文法を基礎にしてはいるものの、実際に計算機上で動かすという都合上、各文法規則における右側非終端記号の記述個数を高々2つに制限しており、そのため、非終端記号および文法規則の数が増し、文法大系の記述が繁雑になるという欠点を有していた。本研究では、その記述個数制限をなくし、それに加えて、非終端記号の不定数回繰り返しの指定も許すこととし、より柔軟な文法表現を可能にした。本システムによる構文解析木がn進木となることから、これを「n進木LINGOL」と呼ぶことにする。尚、こういった機能拡張に伴い、システム自体のプログラムをほぼ全面的に作成し直す結果となった。
著者
石沢 賢二 粉川 牧 半貫 敏夫
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.115-127, 1993-07

アイスドームの製作技術と時間によるその変形を研究するために, アイスドームの建設が試みられた。直径10mの膜を送風機で膨らませ, 水と雪をこの上にかけた。約13tの水を使って厚さ7cm, 高さ3mのものができあがった。天井はクリープにより, 徐々に変形が進み, 中央部は99日間で55mm沈下した。また, 夏にはアイスドームの厚さが昇華により急速に薄くなったため, ロータリ除雪車で時々雪掛けを行った。このアイスドームは倉庫あるいは作業場として有効に使用できた。もうひとつのアイスドームは, このために持ち込んだ造水装置を使用して実施したが, 強風と低温で大変な作業だった。また, 水を使わない雪だけのスノードームの製作も試みたが, 固まらなかった。
著者
澤村香澄 高木彬尋 石塚貴浩
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.437-438, 2012-03-06

北海道情報大学では組み込みシステムについて学ぶ講義を行っている。使用しているのは、アーム型産業用ロボットである。開発用のプログラムシミュレータも存在するが、開発言語がアセンブラレベルの言語であるため、Java言語等に慣れた学生には開発が困難であった。特に、プログラムのラベル管理、レジスタの個数制限や間違いやすい座標データ入力等が障害になっている。これらを解決するためにペイントシミュレータを開発した。このペイントシミュレータを用いることで、座標データの実座標系への変換、ロボット稼働時の安全性の確保、システムの信頼性の向上、そして開発期間の短縮を狙っている。
著者
川上和彦
雑誌
胃と腸
巻号頁・発行日
vol.25, pp.1227-1230, 1990
被引用文献数
10
著者
小田 麻代 山本 福壽
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.99-103, 2002-09-30
参考文献数
20

水耕栽培法を用い、培地に添加したアルミニウムがクヌギ(Quercus acutissima Carr.)、クスノキ(Cinnamomum camphora (L.) Sieb.)およびユーカリ(Eucalyptus viminalis Labill.)の2年生苗木の成長とバイオマス配分におよぼす影響を調べた。苗木は0、0.027、0.27、2.7、および27mMのアルミニウムを添加した改良Hoagland培地を用いて水耕栽培した。2.7mMのアルミニウム処理をした苗木は、バイオマスの増加が認められ、新根の形成による増加は他の器官での増加に比べて顕著であった。これらの結果から、樹木のアルミニウム耐性には根量増加が重要な役割を果たしているものと考えられた。

1 0 0 0 OA 岷江入楚

著者
中院通勝
出版者
飛鳥井雅章 写
巻号頁・発行日
vol.[51], 1643
著者
小田 麻代 山本 福壽
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.79-84, 2008-04-30
参考文献数
18

我が国の森林土壌は,一般に弱酸性であり,特に針葉樹林では酸性土壌(pH4-5)が見られることがある.土壌酸性化の過程では,カルシウム,マグネシウム,ナトリウム,カリウムなどの陽イオン溶脱の後に,アルミニウムの滲出が生じ,それによる植物への毒性が指摘されている.作物の研究ではアルミニウム感受性の植物で,アルミニウムによるリン欠乏症などのほかに,根における細胞膜や細胞分裂への影響があることが知られている.一方で,アルミニウム耐性植物の報告もいくつかおり,チャノキやユーカリの一種は酸性土壌に適応し,アルミニウム解毒能があるとされている.我々の過去の実験では,シラカシ,ミズメ,ユーカリ(Eucalyptus viminalis),オオバヤシャブシ,クヌギ,クスノキなどでアルミニウムによる著しい発根が確認されている.そこで本研究では,クヌギ実生苗に及ぼす酸とアルミニウムの影響を,伸長成長,根の伸長,光学顕微鏡による根の細胞の観察,サイトカイニン様物質の分析により調べた.一年生のクヌギ実生苗をpH5.8の1/5濃度のHoagland培地で水耕栽培し,対照区とした.また,1/5濃度Hoagland培地にpH4.0及び2.7mMの酸とアルミニウム添加処理を行い,処理後4週間の伸長,肥大成長及び根の伸長量を計測した.同じ苗木から光学顕微鏡による観察用の根の切片を採取した.また,4週間後の各器官の乾物重量を測定した.その結果,2.7mMのアルミニウム処理によって,葉と茎の乾物重は減少した.しかしながら,対照区の根の伸長が8.5cmであったのに対し,2.7mMのアルミニウム処理区の根の伸長はおよそ31cmであった.また,2.7mMアルミニウム処理区の根の木部と師部の細胞数は増加し,水平方向の表皮細胞数も増加した.表皮細胞の直径と長さ,および表皮の幅も2.7mMアルミニウム処理区で増加し,根の直径と木部及び師部の幅も増加した.また,一部のサイトカイニン様物質にもアルミニウム処理によって増加したものがあった.これらのアルミニウムによるクヌギ実生苗の根量の増大は,根細胞にアルミニウムを蓄積し,地上部へのアルミニウム毒性の発現を抑制する機能であると予測している.
著者
鈴木 圭輔 宮本 雅之 平田 幸一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.8, pp.1885-1895, 2014-08-10 (Released:2015-08-10)
参考文献数
23
被引用文献数
4 5

高齢者では加齢に伴う変化として,若年者と比べて睡眠相が前進する.睡眠構築では深睡眠が減少し,浅い睡眠となり,その結果中途覚醒,早朝覚醒は増加する.また高齢者では様々な原因で不眠を起こす場合があり,生活の質を低下させる要因となる.そのため,まず治療可能な身体疾患や薬物の関与,原発性睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群,レストレスレッグス症候群,レム睡眠行動異常症)の合併の評価を行うことが重要である.
著者
荒木 陽一 村上 健二 井上 昭司
出版者
農林水産省中国農業試験場
雑誌
中国農業試験場研究報告 (ISSN:09134239)
巻号頁・発行日
no.21, pp.41-58, 2000-12

湿害防止に有効な遮根シートを含め,各種資材を活用した圃場条件下における湿害防止技術について,根系の異なるスイートコーン,ホウレンソウならびにシュンギクを供試して検討した.また,湛水処理が根の酸素消費量に及ぼす影響を検討した. 1.スイートコーンの場合,栽培期間中の降雨とそれによる地下水位上昇の影響は高畝,ポリマルチならびに雨よけハウスのいずれによっても同程度に軽減された.遮根シートの敷設は土壌の乾燥を助長し,生育,収量の低下をもたらした. 2.ホウレンソウでは,雨よけハウスが最も効果的で,次いで遮根シート>ポリマルチ>高畝の順であった.遮根シートの敷設は露地の場合有効であったが,雨よけハウスでは土壌の乾燥による生育の抑制を引き起こした. 3.シュンギクはホウレンソウと同様の反応を示した. 4.根の酸素消費量からみると,湛水処理による影響はホウレンソウが最も大きく,次いでシュンギク,スイートコーンの順であった. 5.湛水処理による1株当たりの根の酸素消費量の減少は根量の減少によるもので,いわゆる根の呼吸活性(単位乾物当たりの酸素消費量)の低下によるものではなかった.
著者
野田 浩子
出版者
吉川弘文館
雑誌
日本歴史 (ISSN:03869164)
巻号頁・発行日
no.831, pp.1-16, 2017-08
著者
堀 透 藤井 英二郎 安蒜 俊比古 浅野 二郎
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.13-18, 1982-07-31
被引用文献数
4 6

配植計画に関する視覚心理的研究の一つとして,単木を見る際の眼球運動をケヤキ,ヒマラヤスギ,クスノキを対象として測定した。ケヤキ,ヒマラヤスギでは幹に沿った垂直的な注視点の移動パターンがみられ,クスノキでは左右方向の水平的な注視点の移動パターンがみられた。また注視点の分布は,ケヤキでは樹冠中央部と幹,ヒマラヤスギでは上部の幹,クスノキでは樹冠中央部に集まり,特定の部位に集中する傾向がみられた。

1 0 0 0 OA 衣服と運動量

著者
笠井 美恵子
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.161-166, 1968-05-30 (Released:2010-03-11)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

衣服とは, 静姿の人体によく合っていて, しかも日常生活における運動機能を十分に果すことのできる立体的構造をもった着心地のよい“きるもの”をさす. 広くいって“肌着からドレスまで”ふくまれることになる.そういう衣服のために運動量 (ゆとり) を合理的にするため“上腕の動き”に例をとり, 胴の構造体を組立てた実験研究の報告である.(1) 上腕の動きを日常生活にしぼって, 斜前方向で, 高さが低位・水平位・高位の3種類とした.(2) 静姿の人体に直接, 水平・垂直の線を引き, 上腕の動きにともなっておこる人体表面 (皮膚面) の伸縮の変化を視覚的に捕えた.(3) 人体の線を紙に写しとったものを Shell (殻) という. 静姿・低位・水平位・高位の Shell をそれぞれ一平面上にひろげてみた.静姿の Shell は衣服の造型性を生み出し, 運動の Shell は運動量を算出するのに役立った.(4) 更に, 断面構造に焦点を当てて, 運動量 (%) を貯える位置を明確にした.(5) 運動量をふくめた, 衣服のための構造体 (胴) を(3)と(4)から造り上げた.この実験の結果, 胴の構造体の運動量は腕孔を中心として前後面の奥行にとり, 側面脇下には不必要なこと, 特に背巾の運動量は3動作のうち, 最も目立たない低位にその基準をおくべきことなど重要な結論を得た.
著者
鈴木 佑介
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.161, 2009

【はじめに】<BR> 今回、両恥~坐骨骨折により歩行開始後に歩容の不安定感がみられ、転倒危険性のある症例を担当する機会を得た。新聞配達への強い復帰願望があるが、本人の歩行に対する不安感も強く、今回は立位での歩行訓練よりも臥位による訓練の有効性が高いと考え、その中で寝返り動作と歩行の共通点に着目し、寝返り動作に対しアプローチを行った。その結果、歩容に変化が見られ歩行に対する不安感の改善が得られたのでここに報告する。<BR>【症例紹介】<BR> 71歳女性。職業:新聞配達(歩行)。現病歴:平成20年10月29日両恥・坐骨骨折受傷。11月21日紹介転院、25日より理学療法・歩行訓練開始。<BR>【理学療法評価[H20.11.25]】<BR> 右股関節内旋時、右恥骨部に疼痛(VAS2/10)。両内転筋収縮時痛(VAS1/10)。腹直筋、腹斜筋normalレベル。両大内転筋、両大腿筋膜張筋、両腓骨筋の筋緊張亢進。歩行時、寝返り時疼痛無。<BR>【動作分析及び臨床推論】<BR> 右荷重応答期~立脚中期において骨盤右回旋が不足し、その後立脚中期後半にかけて体幹の前傾と共に骨盤が右後方へ引けていた。この現象は、右股関節内旋時の疼痛による内旋制限のため、左立脚後期で得た骨盤の前方かつ右回旋方向への加速度にブレーキがかかり、左下肢から骨盤・上部体幹への運動の連結が行えず、結果として右立脚中期後半において前方への重心移動を体幹前傾で代償したと考えた。<BR> 寝返りに関しては、右側への寝返り時、左下肢で床面を蹴り骨盤を右方向へ回旋させるものの、側臥位付近で骨盤の回旋にブレーキがかかり重心が支持面を超えることが出来ず、結果的に上部体幹右回旋を代償的に利用し腹臥位方向に移動していった。<BR> これらの結果より寝返りにおいて右股関節の内旋を誘導しながら左下肢から骨盤、さらには上部体幹への運動の連結を測り、床面を蹴ることにより作り出された回旋力を左下肢から上部体幹へスムーズに伝達させることにより歩容においても改善ができると考えた。<BR>【PTアプローチ】<BR> 1.筋膜リリース 2.股関節機能訓練 3.体幹機能訓練 4.基本動作訓練(寝返り)<BR>【結果[H20.12.15]】<BR> 右股関節内旋時痛、内転筋収縮時痛消失。右側への寝返り時、左下肢から骨盤、上部体幹の連結が図れ、股関節の内旋も可能となったことにより、左下肢で作った回旋運動のスムーズな上方への運動連結が見られた。その結果、骨盤の右回旋も可能となり、歩行においても体幹前傾での代償が減少した。また、それにより本人の歩行に対する不安感も軽減された。<BR>【まとめ】<BR> 今回、歩行に対する強い不安感のために、本人のデマンドを達成できない症例を担当した。このように歩行に対する本人の強い不安感がある場合、立位によるアプローチよりも寝返りと歩行のリンクに着目し、歩行訓練の一手段として寝返り動作にアプローチする事も効果的であると考える。
著者
本望 修 佐々木 祐典 浪岡 愛 中崎 公仁 浪岡 隆洋
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

脳主幹動脈閉塞による急性期脳梗塞においては、閉塞血管の灌流領域の脳代謝および機能は低下し、脳実質や脳血管は脆弱化している。一方、近年、血栓溶解療法や脳血管内治療の急速な進歩により、閉塞血管の再開通率は80-90%に至っている。このため、脆弱化した脳実質組織や毛細血管に対して、急速に血流が再開されることよって、脳細胞障害や出血性合併症等を引き起こす再灌流障害は、極めて重要な病態となってきており、急いで対応すべき課題となっている。我々はこれまで、脳梗塞動物モデルを用いた基礎研究で、骨髄幹細胞(mesenchymal stem cell: MSC)の静脈からの全身投与が治療効果を有することを多数報告してきた。治療効果のメカニズムとして、①神経栄養因子を介した神経栄養・保護作用、②サイトカインによる抗炎症作用、③脱髄軸索の再有髄化、④損傷軸索の再生、⑤軸索のSprouting、⑥血管新生による血流増加、⑦神経系細胞への分化による脳細胞の再生、⑧免疫調節作用などが、多段階に作用することが判明している。更に近年、これらの作用メカニズムに加え、⑨血管内皮細胞やペリサイトを再生させ、血液脳関門(blood brain barrier: BBB)を修復する治療メカニズムも報告している。本研究では、一過性中大脳動脈閉塞モデル等を用いて、再灌流障害に対する骨髄幹細胞移植の治療効果を詳細に検討することを目的とする。さらに、血栓溶解療法(tPA静脈内投与)と細胞移植治療との相互作用を解析し、tPAの副作用に対する軽減効果についても検討しており、補助金は適切に使用されている。