著者
織田 和家
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 社会学篇 (ISSN:21863156)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.93-107, 2013-03-15

日本社会の特性として個人的な判断を欠き、他人任せになる傾向があるといわれるが、筆者はその原因として「イマジネーションの欠如」を指摘したい。「イマジネーション」とは一般的には「想像力」を意味することばであるが、ここでは「人間が社会生活を営む上で不可欠な、『見えざるもの』について考察する態度」と定義する。具体的には「この行為を行えば次はどうなり、どのような結果になってどのような効果/損失をもたらすか」という「未来へのまなざし」、過去という「見えざるもの」に対し積極的に目を向け、真実を求め、「人間は何をしかねないのか」を知り、そこから和解と共生を実現しようとする「過去へのまなざし」、周囲に流されるのではなく「自分」はどうなのかと考察・自省する「自己へのまなざし」、単なる自分の価値感情の押しつけになることなく、他者理解を行おうとする「他者へのまなざし」であり、別の視点からミルズの「社会学的想像力」も求められよう。イマジネーション欠如の理由として、筆者は仮説として「むきだしの資本主義」「安楽への全体主義」に加え情報化の弊害を指摘したい。そしてイマジネーションを回復するためには「実態交流」「労働組合の経営外的機能」「教育に於けるイマジネーション養成のための努力」の3点を指摘したい。
著者
河野 麻実子 吉野 智恵 松浦 洋一 浅田 雅宣 河原 有三
出版者
公益財団法人 日本ビフィズス菌センター
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.87-92, 2004 (Released:2005-03-04)
参考文献数
15
被引用文献数
1

健常成人94名 (男性32名, 女性62名, 平均年齢35.4歳) に, 1包中Bifidobacterium longum JBL01を包含したシームレスカプセル0.2g (2.0×109 CFU), Lactobacillus gasseri JLG01およびEnterococcus faecium JEF01を包含したシームレスカプセル0.1g (それぞれ5.0×108 CFU) およびオリゴ糖0.29gを含むビフィズス菌製剤 (商品名 ビフィーナR) を1日に1包, 2週間摂取させた. 供試試料の摂取により, 便秘傾向者 (排便回数が5回以下/週) 群の排便回数が有意に増加し (p <0.01), 排便量も増加の傾向がみられた. 排便回数が週5回を超える非便秘傾向者群においても排便量の増加傾向がみられた. 全群で, 便の形状の改善傾向が認められたが, 特に便秘傾向者群および下痢傾向者群で顕著であった. さらに, 両群で, 便の色の明るい色調への移行傾向が認められた. 以上の結果より, 本製剤の摂取は, 排便回数および便性状の改善に有効であることが示唆された.
著者
野里 貴仁 小島 泰三
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.95, pp.43-48, 1996-09-27
参考文献数
5

筆者らはオブジェクト指向技術を用いて、分散型監視制御システム構築環境の設計・実装を行なっている。多種多様な監視制御システムに適用することとソフトウェアの再利用性を高めることを目的として、監視制御システム用のアプリケーションフレームワーク、HolyGhostを開発した。HolyGhostとGUI構築用ライブラリであるGhostHouseと共に用いることで、複雑なGUIを持つ監視制御ソフトウェアを容易に、かつ再利用性高く作成することが可能になる。本論文では、監視制御対象をモデル化するために用いたミラーワールド方式と呼ぶ手法と、分散監環境で通信量を低減するための機構について説明する。We design and develop distributed supervised control systems with Object Oriented technology. For the purpose of applying various supervised control systems and raising reusability of the system software, we are developing an application framework called HolyGhost. Using HolyGhost and GhostHouse which is class library for building GUI, we can create the system software which has complex GUI easily, and make the software high-reusability. In this paper, we describe Mirror-World method for modeling the systems and the mechanism for reducing the traffic in the system.
著者
村田 潔
出版者
北海道大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.13-22, 2008-03-10
被引用文献数
1

ネット上に公開されている無数の情報の中から,自らが利用したい情報を見つけ出すためのツールとして,検索エンジンは広く利用されている。あらゆるタイプのメディアがデジタルメディアに集約化され,サイバースペースがリアルスペースの「ミラーワールド」であると見なされるようになりつつある今日,検索エンジンは,人々が何を見て,何を知ることができるのかを決定する要因となってきている。このことは,個人や組織が知ることのできる情報が検索エンジンによって制約されるばかりではなく,個人や組織が発信した情報が他者によって知覚されるか否かについても検索エンジンの機能が大きく影響していることを意味する。この点において,検索エンジンがどのような検索結果を表示するのかは,民主主義の根幹である言論の自由に対する直接的な影響力を持ち,したがって,ネット検索企業は,その社会責任の重さを認識し,それを全うするよう行動しなければならないのである。
著者
長谷川 大 安彦 智史 小林 裕 佐久田 博司
出版者
一般社団法人 情報システム学会
雑誌
情報システム学会誌
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1-12, 2015

本論文では,情報伝達効果の高いデジタルサイネージデザインの検討を目的として,自律移動型デジタルサイネージの移動方略における生物らしさが情報伝達効果に及ぼす影響を検証する.実験システムとして,12星座占いによる「今日の運勢」を提示する移動型デジタルサイネージを構築し,生物らしい移動方略として人を追従する動作を実装した.本デジタルサイネージを,生物らしい動作を行う条件(生物条件),機械的な繰り返し動作を行う条件(単調条件),および動作を行わない条件(固定条件)の3条件で比較実験を行った結果,生物条件では固定条件より利用者数が増加する傾向があり,また,生物条件では単調・固定条件と比較して,運勢占いの結果と実際の今日の運勢が一致していたと回答する利用者の割合に増加がみられた.
著者
清畢〓撰
出版者
江蘇書局刊
巻号頁・発行日
vol.[5], 1869
出版者
日経BP社
雑誌
日経パソコン (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.537, pp.26-33, 2007-09-10

8月上旬から9月上旬にかけ、NEC、ソーテック、ソニー、東芝、富士通、マウスコンピューターが秋冬商戦向け製品を発表した。それより一足早く発表を行ったゲートウェイも合わせて、秋冬モデルをまとめて紹介する。なお、ソニーは9月上旬時点で主力機種の新モデルを発表していない。後日に追加の発表があると思われる。日立製作所は新モデルを投入せずに夏商戦モデルを継続販売する。

1 0 0 0 OA 明治宝鑑

著者
松本徳太郎 編
出版者
松本徳太郎
巻号頁・発行日
1892
著者
伊藤 宏一 社団法人自動車技術会関東支部学生自動車研究会
出版者
東京都立航空工業高等専門学校
雑誌
研究紀要 (ISSN:03871355)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.153-159, 2001-10

都市部道路の交通容量の改善は,早急には実現困難であり,即効性のある改善策が求められている。通勤時間帯の渋滞の列を眺めていると,ドライバーだけの5人乗りの自動車が延々と連なっているが,もっと小さな自動車でも事足りるケースが多いと思われる。日本における10番目の自動車メーカーである株式会社光岡自動車のMC-1は,原動機付き自転車と同じ排気量49ccのエンジンを,全長が2mにも満たない小さな車体に搭載した省スペース・省燃費な自動車,まさにマイクロカーである。マイクロカーは,自動車に伴う環境問題やエネルギ問題に対する一つの解決策として,もっと普及しても良い筈であるが,今ひとつ普及していない。この原因として,その存在そのものが一般に知られていないこと及び,その動力性能,経済性,安全性などが紹介されていないことがある。そこで,シティ・コミューターとして極めてユニークな存在と言えるMITSUOKA MC-1を取り上げ,日産ディーゼル工業株式会社の茂木テストコースを用いて実車試験を実施し,定量的にその性能を明らかにすることにした。
著者
豊国
出版者
藤慶
雑誌
錦絵
巻号頁・発行日
1856
出版者
日経BP社
雑誌
日経コミュニケーション (ISSN:09107215)
巻号頁・発行日
no.410, pp.94-99, 2004-03-08

光岡自動車は今年2月,52拠点に東西NTTのBフレッツを導入し,従来のISDNからIP電話サービスに全面的に移行した。加えてWebでの販売情報の共有やビデオ会議システムの導入など,インフラを活用する取り組みを次々と開始した。 「10番目の国産乗用車メーカー」として知られる光岡自動車は,全国52拠点にIP電話事業者→アイピートークの法人向けサービス「IPTalk-Pro」を導入した。
著者
渡辺 隆行 大城 貞次 守田 昌美 八木 敦子 今井 厚 寺島 茂 高野 靖悟
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.104, 2009

〈はじめに〉わが国のHelicobacter pylori(以下H. ピロ<BR>リ)感染者は推定5,000万人とも言われている。H. ピロリ<BR>は胃炎や胃十二指腸潰瘍の主な原因として,さらに胃癌と<BR>の関わりも注目されている。当院では2005年よりH. ピロ<BR>リ感染診断と除菌判定法の検査として尿素呼気試験,2008<BR>年4月より尿中H. ピロリ抗体検査を行っている。尿素呼<BR>気試験は非侵襲的,簡便で感度,特異度ともに高く,尿素<BR>呼気試験陰性の場合は除菌成功の信頼性は高い。<BR>〈目的〉H. ピロリ検査の現状を把握し,スクリーニング<BR>検査として人間ドックに新規検査項目としての導入効果が<BR>あるか検討した。<BR>〈方法〉2008年2月から2009年1月までの1年間における<BR>尿素呼気試験440件の陽性率,年代別検査依頼数と陽性<BR>率,尿中H. ピロリ抗体の陽性率と尿素呼気試験陽性患者<BR>の除菌治療後の除菌成功率について検討した。<BR>〈結果〉尿素呼気試験陽性率は27%であった。年代別検査<BR>依頼数と陽性率を比較すると,30代では42件で38%,40代<BR>では66件で23%,50代では105件で23%,60代では151件で<BR>26%,70代では58件で33%,80代以上では14件で29%で<BR>あった。尿中H. ピロリ抗体の陽性率は58%であった。陽<BR>性患者の除菌治療後の除菌成功率は85%であった。<BR>〈考察〉尿素呼気試験陽性患者の除菌治療後の除菌失敗率<BR>は15%であった。薬剤耐性菌の存在も確認されたとの報告<BR>もあり,1回の除菌だけでは効果がない場合も考えられ<BR>る。尿素呼気試験と尿中H. ピロリ抗体との陽性率の比較<BR>では,尿素呼気試験の陽性率が低くなったことからも,今<BR>後,人間ドックのスクリーニング検査としては,検体採取<BR>が容易で迅速に結果報告が可能な尿中H. ピロリ抗体を行<BR>い,除菌後は尿素呼気試験でH. ピロリの有無を評価する<BR>方法を提案していきたい。<BR>