著者
田林 明
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.437-460, 1994
被引用文献数
2 2

本報告では富山県東部の黒部川扇状地において, 1948年から1991年までの44年間にチューリップ球根栽培を行なったことのあるすべての農家を取り上げ,その分布変化から球根栽培地域の形成過程を明らかにし,さらに形成の諸条件を考察した.その結果, 1950年代にはいくつかの特定の集落から栽培が周辺に拡大し,そして1960年代以降再びその集落あるいは近辺に後退したことがわかった. 1950年代中頃までにチューリップ球根栽培が盛んになった地域が,現在でも核心となっている.また,球根栽培の分布域と,旧町村をいくつか統合した範囲が対応していた.チューリップ球根栽培地域の形成条件としては,気候や土:壌などの自然条件とともに,富山県花卉球根農業協同組合の役割,他の農業経営部門や農外就業との関係,先覚者や指導者,地域組織の存在,行政からの助成などが重要である.年齢や後継者の有無,技術水準など,栽培者の個人の属性も関係していた.
著者
丸山 徹
出版者
慶應義塾経済学会
雑誌
三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.102, no.4, pp.681(47)-691(57), 2010-01

小特集 : 高橋誠一郎の経済学深刻な流動性危機に悩む16世紀末葉のフィレンツェ。文運に恵まれた商人B・ダヴァンツァーティの残した講義録『貨幣論講義』は, 近代的な貨幣理論の曙を告げる作品であるとともに, その基礎としてイタリアの古い効用理論を継承し, 17世紀へ伝達する成果でもあった。この論文は『貨幣論講義』の主要内容を整理・紹介し, その意義を考える覚え書。Florence was suffering from a severe liquidity crisis in the end of the 16th century."Lezzione delle Monete," a transcript of lectures left by the culturally endowed merchant B. Davanzati, marked the dawn of modern monetary theory based on the old Italian utility theory. This lecture also played an indispensable role in the transmission of the Italian way of thinking to the 17th century. The present note intended to organize and introduce the main contents of the "Lezzione delle Monete", and consider its significance.
著者
藤原 恵利子 三川 隆 矢口 貴志 長谷川 美幸 池田 文昭
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会大会講演要旨集 日本菌学会第55回大会
巻号頁・発行日
pp.36, 2011 (Released:2012-02-23)

Conidiobolus属菌は主に土壌,腐植などに生息する腐生菌であるが,一部の菌はヒト,動物に感染症を起こすことが知られ,特に熱帯圏では本菌による播種性感染症が報告されている.本属菌は接合菌類のトリモチカビ亜門,キクセラ亜門と系統関係にあることが示唆されており,接合菌類の系統進化を論じる上で鍵となる系統的位置にある菌群であると考えられている.本属菌の分類・同定は形態や生理学的性状に基づいた研究により現在32種以上知られているが,本属菌の系統分類は未だ確立されていない.我々は本邦産の本属菌の種相互の系統関係の解明を目的とし,土壌,腐植などから本属菌を分離し系統分類学的な研究を行っている.本属菌は15℃~35℃で生育する中温性菌が研究の対象となっており40℃以上で生育する菌に関する研究は殆どない.今回は高温条件下で発育する本属菌の分離法および系統的位置関係を検討した. 土壌,腐植など530サンプルを用いて40℃および25℃で5日間培養し,40℃のみで発育した菌株を分離した.参照株としてヒトから分離された高温性菌(IFM58391、IFM55973)を用いた.これらの菌株の18S rDNAの塩基配列を決定し系統解析を行った.高温性菌は4株(F325,F328,F329,F330)検出された.系統解析の結果,分離菌株4株およびIFM株は4つの系統群に大別された.今回分離した高温性菌およびIFM株は相互に類似した形態学的特徴を示すが,18S rDNAでは多様な系統関係にあり,形態,生理特性,遺伝子などの多相的な方面からの分類が必要であると思われた.
著者
秋場桂園 著
出版者
麻生義一郎
巻号頁・発行日
1884
著者
村尾 麟一 森脇 喜一 村越 望 大門 康祐 稲葉 稔
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.36-55, 1985-03

南極観測事業におけるホーバークラフトの有用性・適応性に関し, 南極用実用艇建造のための技術データを得ることを目的として, 実験用小型ホーバークラフトが開発建造された。ホーバークラフトは重量2.8tの周辺スカート圧力室型で, 揚力ファンより分岐されたダクト中に装備された方向舵とパフポートによって操縦される。艇は1981年に昭和基地に自力搬入され, 1981から1982年にかけて33時間の走行試験と氷状調査が実施された。計画最高速力55km/hが達成されたが, 走行中エンジンエアクリーナーへの雪の目詰まり, 駐機中ファン空気吹き出し部の凍結などのトラブルが経験された。実験用南極ホーバークラフトの計画, 設計, 主要目, 登坂推進性能, 走行試験の経過と結果が記述されている。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ア-キテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.661, pp.62-63, 2000-03-06

阪急電鉄京都線・西京極駅の北側に広がる西京極総合運動公園の拡張事業。京都市は線路を挟んで南側の敷地3万6000m2に大小二つの屋内プール,多目的広場などを2002年6月までに整備する。メーンプールは50mプールで,飛び込みプールと併設し,3000席の観覧席を設ける。冬はアイススケートリンクに転換が可能だ。
著者
松尾 幸忠
出版者
中國詩文研究會
雑誌
中國詩文論叢 (ISSN:02874342)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.94-108, 1989-10-31
著者
安藤 真太朗 白石 靖幸 長谷川 兼一 坂口 淳 三田村 輝章 鍵 直樹 篠原 直秀
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.213-216, 2016

<p>本研究では、結露とカビ発生に関する各指標がアレルギー性疾患に及ぼす影響を明らかにすること及び、自宅の周辺環境による影響を考慮するために、マルチレベル分析等の多変量解析を実施した。結果として、カビが複数箇所で発生している住居に住む児童ほどアレルギー性疾患を有する可能性が高く、また、地域性を考慮しても個人レベルでは「カビの発生」が、都道府県レベルでは「交通量」や「工場」等の周辺環境がアレルギー疾患に影響を与えていることが示された。</p>
著者
垣内 恵美子 奥山 忠裕 寺田 鮎美
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.44.3, pp.403-408, 2009-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
8

社会的便益を過小評価されがちな美術館活動について、その受益者及び社会的便益をある程度客観的に推計することにより、その社会的便益にふさわしい適切な支援のあり方を検討することを目的として、岡山県倉敷市にある大原美術館を事例として取り上げ、CVM(仮想評価法)を用いた市民調査を実施した。結果として、大原美術館が、近隣地域(倉敷市及び岡山市)の市民に与える総便益は年間約6億円と推計され、将来世代のためといった遺贈価値、他の人が利用しているからといった代位価値、誇りに思うといった威信価値、都市の魅力を高めるなどの非利用価値が大きいことがわかった。また、WTP(支払意志額)に影響する変数は、大学院レベルの学歴及び所得、大原美術館への総訪問回数となった。また半数を超える市民が支払意志を有することから地方自治体による一定程度の支援は正当性を有すると考えられるが、同時に、相対的に高いWTPを有する一部の市民が存在することから、別途これらの人々の支援を得るスキームを考えることも必要であろう。
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.766, pp.82-85, 2004-03-22

大阪府豊中市。阪急宝塚線・庄内駅を降りてしばらく歩くと、変わった外観のマンションが目にとまった。一見、南に開けたバルコニーと思ったのは、実は廊下。北側片廊下に南側バルコニーという従来型とは対極にある南側片廊下のマンションだ。芦澤竜一建築設計事務所(大阪市)が設計した。 北側片廊下をやめたのは、敷地の北側ギリギリに14階建てのマンションが建てられるからだ。