著者
高鍬 裕樹
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.61-77, 2014

本論文では,米国財務省内国歳入庁による図書館記録調査事件(1970年)を詳述する。内国歳入庁の調査官が複数の公立図書館を訪れ,図書請求票への調査を要請した。多くの図書館員はこの要請を拒絶したが,受け入れざるを得なくなったり,自発的に受け入れた図書館もあった。この調査にたいしてアメリカ図書館協会(ALA)は反対を表明し,さまざまな反対運動が起こった。連邦議会の上院議員からもこの調査にたいして疑念が出され,最終的に内国歳入庁は,図書館調査を停止し,繰り返さないとした。しかし,ある特定の場合には,図書館の記録を調査することが適切である場合もあるとしたのである。この調査をきっかけに,ALAは『図書館の権利宣言』の解説文『図書館記録の秘密性に関する方針』を採択した。ALAが図書館記録の秘密性について実質的な意味で保護するきっかけとなったのがこの事件である。

1 0 0 0 OA 町方書上

出版者
巻号頁・発行日
vol.[122] 深川町方書上 三,
著者
伊藤 秀和
出版者
日本物流学会
雑誌
日本物流学会誌 (ISSN:13493345)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.16, pp.201-208, 2008-05-28 (Released:2011-03-14)
参考文献数
9
被引用文献数
2

環境負荷低減のため、国内貨物輸送においては、トラック輸送から環境負荷の小さい内航海運や貨物鉄道へのモーダルシフトは不可欠である。本論文では、モーダルシフト進展への政策示唆のため、複数輸送経路の競合が見られる北海道発域外向け内貿ユニット化可能貨物を対象とすることで、荷主の輸送経路選択に影響を与える要因を明らかにし、その影響の程度を比較・議論することを目的とする。具体的には、物流センサス・データを用いて、離散選択モデルのひとつの手法で、近年注目されているランダム・パラメータ・ロジット・モデル (RPLM) による荷主の輸送経路選択分析を行った。その結果、長距離海運・貨物鉄道利用荷主に比べ、近距離海運・海峡フェリー航路のトラック主利用荷主の時間価値が高く、非弾力的であることが明らかとなった。また、ロット・サイズは航空利用に大きく影響することを確認した。さらに弾力性効果分析により、鉄道輸送時間短縮は他の輸送経路に比較してモーダルシフトに貢献することを、道内利用港湾アクセスが長距離海運利用のボトルネックになっていることなどを議論した。
著者
横井 亮子 吉田 美奈子 笹川 栄子 平田 耕造
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.537-547, 2006-09-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
25

異なるサイズのガードルの衣服圧測定と, ガードルによる身体圧迫が心拍数, 皮膚血流量, 皮膚温, 呼吸量に関する項目, および主観的評価におよぼす影響を, 3つのサイズ変化に対応する独自に開発した加工ガードルを用いて解析した. (1) 各部位の衣服圧において加工ガードルは, 既存ガードルとの間に有意な相関 (r=0.95, p<0.01) が得られ, サイズ変化に十分対応していることが確認された. (2) 加工ガードルのサイズが小さくなるに伴い, 衣服圧値は徐々に高くなり, 圧感覚もよりきついレベルへ移行した.この時心拍数は有意に増加した.下腿部の皮膚血流量は有意に減少し, 同皮膚温も有意に低下した.1回換気量, 予備呼気量は有意に減少し, 予備吸気量は有意に増加することが明らかとなった.
著者
Nolan Wesley Hayes Qiang Gui Ammar Abd-Elssamd Yann Le Pape Alain Benjamin Giorla Sihem Le Pape Eric R. Giannini Zhongguo John Ma
出版者
Japan Concrete Institute
雑誌
Journal of Advanced Concrete Technology (ISSN:13473913)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.179-190, 2018-04-26 (Released:2018-04-27)
参考文献数
41
被引用文献数
23

A large-scale testing program on alkali silica reaction (ASR)-affected concrete structural members without shear rein-forcement representative of structural members found in nuclear power plants is presented. Three concrete specimens, designed to experience a free expansion rate of approximately 0.15% per year were fabricated and placed within a controlled environmental chamber (38 ± 1°C (100 ± 2°F) and 95 ± 5% relative humidity (RH)). Sixty-four (64) embed-ded transducers and twelve (12) long-gauge fiber-optic sensors provide evidence of strong anisotropic expansion and oriented ASR-induced cracking resulting from the confinement effect caused by the reinforcement layout and addi-tional structural boundary conditions. Surface cracking is not indicative of internal ASR-induced damage/expansion.

1 0 0 0 OA 康富記

著者
中原康富
出版者
巻号頁・発行日
vol.[94],
著者
田鍋 良臣
出版者
大谷学会
雑誌
大谷学報 (ISSN:02876027)
巻号頁・発行日
vol.96, no.2, pp.1-22, 2017-04
著者
五代秀尭, 橋口兼柄 共編
出版者
山本盛秀
巻号頁・発行日
vol.1(巻之1-3), 1905
著者
Ihara Y. Noda K. Kawamoto A.
出版者
American Physical Society
雑誌
Physical Review B (ISSN:10980121)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.41107, 2014-07-25
被引用文献数
6

The local electronic state at every crystallographically independent molecular site was separately investigated in the organic superconductor alpha-(BEDT-TTF)(2)NH4Hg(SCN)(4) using site-selective C-13-NMR spectroscopy. The density of states (DOS) at three molecular sites shows independent temperature variation, which is caused by the long-range Coulomb interaction. Comparing the present results with those for a nonsuperconducting counterpart alpha-(BEDT-TTF)(2)RbHg(SCN)(4), we found that the uniform DOS at two of three independent molecular sites is crucial to induce superconductivity. Taking the site-dependent DOS as a parameter, we constructed a phase diagram for a superconductor with long-range Coulomb interaction, an alpha-type BEDT-TTF family, and summarized the competition between charge instability and superconductivity.
著者
片木 宗弘
出版者
大阪府警察本部
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

トリプタミン系化合物の合成法は、その原料の入手のし易さと、合成経路の簡便さから、概ね、1)該当するインドール類(インドールあるいはメトキシインドール)を出発原料とし、オキサリルクロリドによりグリオキシルクロリドとした後、適当なアミン(例えば5-Me0-DIPTではジイソプロピルアミン)と反応させ、生成したグリオキシルアミドをリチウムアルミニウムヒドリドにより還元する方法、2)該当するトリプタミン類(トリプタミンあるいはメトキシトリプタミン)を出発原料とし、適当なハロゲン化アルキル(例えば5-Me0-DIPTでは2-ヨウドプロパン)と反応させる方法の2つの経路が考えられる。合成経路の簡便さでは、2)の方法が1段階の反応であるため遥かに簡便ではあるが、反応副生成物としてアルキル基が1つ導入されたモノアルキルトリプタミン類が必ず生成し、塩酸塩として再結晶を試みたがモノアルキルトリプタミン類を除去することは出来ず、これを分離除去するためには、カラムクロマトあるいは減圧蒸留が不可欠であった。一方、1)の方法では、合成経路は3段階の反応が必要であり、反応生成物が着色しやすいなどの欠点はあるものの、目的物以外のアルキルトリプタミンはほとんど生成せず、塩酸塩として再結晶すればかなり純度の高い塩酸塩が得られた。なお、再結晶法は、温エタノールを用いて溶解後、冷エーテルを加える方法が効果的であった。更に、実際密売されているトリプタミン類は塩酸塩であるが、これらに含まれる不純物をGC-MSにより探索したところ、純度は非常に高く、特にモノアルキルトリプタミン類の混在は見られなかった。このことから、トリプタミン類の密造経路としては、2)よりもむしろ1)の方が可能性が高いと示唆される。なお、実際合成にかかる原料代の面でも1)の方が安価であり、コスト的にもより可能性が高いと考えられる。
著者
石月 静恵
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学研究紀要 (ISSN:13447459)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.195-210, 2002-03-31

大阪朝日新聞女性記者恩田和子は,1917年に入社し,1948年に定年退職した。恩田は,1918年に大阪朝日新聞が開催した第1回婦人会関西連合大会の準備に奔走し,その後も大会の継続をはかった。1923年の第5回大会で全関西婦人連合会と改称し,1927年からは同会の理事長として女性運動を担った。恩田は,退職後も朝日新聞大阪本社社史編修室に嘱託として勤務し,大阪朝日新聞が女性問題をどのように捉えてきたのかを明らかにしようとした。その恩田が残した生原稿を最近筆者が発見した。それを基にして,大阪朝日新聞と女性問題の関連を今後調査し,ジャーナリズムとジェンダーの関わりを研究したい。本稿では,恩田史料のうち,明治期の大阪朝日新聞と女性問題に関わる部分を紹介する。
著者
川村 英樹 山元 拓哉 長友 淑美 鶴 亜里沙 石堂 康弘 横内 雅博 井尻 幸成 小宮 節郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.277-281, 2007 (Released:2007-06-01)
参考文献数
5
被引用文献数
1

25歳女性.妊娠34週突然左腰殿部痛出現.仙骨硬膜外ブロック施行されるも疼痛軽減せず当院産科に緊急搬送となる.入院時疼痛強く仰臥位不能,左仙腸関節部に圧痛を認めた.発熱,炎症所見(白血球数9400/μl,CRP 11.91)があり,骨盤部MRI上左仙腸関節周囲の信号変化,また血液培養,カテーテル尿培養よりメチシリン感受性黄色ブドウ球菌を認め,尿路感染に伴う菌血症により発生した化膿性仙腸関節炎と診断し,セファゾリンによる抗菌化学療法を開始.症状改善し妊娠39週にて帝王切開により出産.母子ともに経過良好であり産後3週自宅退院となる.仙腸関節は菌血症性関節炎の好発部位の一つであり,妊娠にともなう子宮の増大等が誘因と考えられた.胎児への影響を考慮する必要があるため診断,治療に難渋するが,妊婦の腰殿部痛の原因として化膿性仙腸関節炎も鑑別する必要がある.

1 0 0 0 OA 僧傳排韻

著者
尭恕 編
巻号頁・発行日
vol.巻10, 1000