著者
中村 雅子
出版者
日本教育心理学協会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.76-85, 2003
被引用文献数
2

本研究では,青年の環境意識や環境配慮行動の形成に及ぼす母親の言動の影響を,母親と子どもから独立に回答を得て,両者のデータをマッチングさせることにより検討した。分析対象者はオンライン機器による調査で回答を得た,中学生から独身社会人までの男女およびその母親の273組である。環境意識尺度・環境配慮行動尺度を目的とする重回帰分析,および13の環境配慮行動のそれぞれの実行の有無を目的としたロジスティック回帰分析の結果,以下のことが明らかになった。1)子どもの環境意識尺度に対して説明変数として母親の環境意識尺度の効果が有意だった。2)環境配慮行動尺度に対して母親の環境配慮行動,とくに実践とともに家族にも協力要請を行った場合の効果が有意だった。3)いずれの場合も母親変数の投入で重回帰分析の説明力が大きく改善された。4)個別の環境配慮行動を目的変数とするロジスティック回帰分析では,13項目のうち10項目について母親の環境配慮行動の実政-要請の変数が最も有効な説明変数であった。以上のことから,環境意識形成および具体的な行動場面での母親の影響の重要性が確認された。また発達段階別に見ると,子どもが中学・高校生の年齢段階よりも大学生等・社会人の年齢段階の方が母親関連の変数の影響が大きかった。
著者
川端 望
出版者
アジア経営学会
雑誌
アジア経営研究 (ISSN:24242284)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.79-92, 2016 (Released:2017-03-31)
参考文献数
24

This paper examines the growth of Hoa Phat Group and Hoa Sen Group, two private companies in Vietnam, and their achievement of leading status in the long and flat sectors of the local iron and steel industry. Both companies have benefitted from innovations in the production system and market-oriented management that exploited local market conditions and factor endowment. Compared to state owned enterprises and other private companies, HPG and HSG exhibited speedier and more valiant managerial behaviors. Moreover, they adopted technology and focused on market segments ignored by foreign companies. HPG’s organizational behavior is regarded as catch-down innovation while HSG demonstrated the initial stage of disruptive innovation. However, both companies have been forced to adapt their corporate strategies with the disappearance of favorable local conditions given global competitive pressures.
著者
内藤, 若狭
出版者
巻号頁・発行日
vol.[138],
著者
岸本 充生
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
雑誌
Synthesiology (ISSN:18826229)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.31-37, 2008 (Released:2008-05-13)
参考文献数
6
被引用文献数
3 2

化学物質のヒト健康に対するリスク評価に関して、社会のニーズを、1)基準値や規制値の導出、2)リスクの懸念のないものを選り分けるスクリーニング評価、3)異なる種類の化学物質同士のリスクの比較や排出削減対策の費用対効果の評価、の3つに区別したうえで、1)と2)に応える形で設計された現行のリスク評価手法はそのままの形では、新たなニーズである3)を満たすことができないこと示し、トルエンを例に、3)を満たすための新しいリスク評価手法を提案した。質調整生存年数を健康リスクの指標とすることで、異なる種類の化学物質同士、さらには事故や疾病等の他のリスクとも比較することが可能となる。
著者
山崎 幸治
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第45回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.37, 2011 (Released:2011-05-20)

本発表では、今後のアイヌを含めた文化人類学的日本研究の方法論開発に向けての素地を整えることを目的に、発表者のこれまでのアイヌ研究における実践から、現状における課題を提示し、今後の研究方法のあり方を展望する。日本の先住民族であるアイヌに関する研究の実践事例は、分科会副題『「日本人」がどのように日本を調査して日本語で語るか』に内包されている様々な問題を顕在化させよう。

1 0 0 0 OA 南史80卷

著者
唐李延壽撰
出版者
毛氏汲古閣刊
巻号頁・発行日
vol.[16], 1640
著者
山本 晴彦 岩谷 潔 張 継権
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.210, 2005 (Released:2005-07-27)

中国東北地区(戦前の旧満州、以下「満州」と称す)に広がる畑作地帯はダイズ・トウモロコシなどの穀物の大生産地であり、わが国へも輸出されている。地球温暖化に伴う高緯度地帯の気候変動に基づく収量予測を行うには、長期間の気象観測資料の収集・分析が必要である。ここでは、戦前の満州における気象観測業務の変遷と気象資料の保存状況の調査、満州気象デジタルアーカイブの構築について紹介する。満州における気象業務は、わが国が日露戦争に際して軍事上の目的から、中央気象台(現在の気象庁)が1904年8月に大連(第6)・營口(第7)、1905年4月に奉天(第8)、5月に旅順(第6・出張所)に臨時観測所を設けたのが始まりである。その後、これらは関東都督府に引き継がれ、名所変更をはじめ、長春、四平街、周平子等に測候所や支所が開設された。1925年以降は、南満州鉄道株式会社(満鉄)に一部を委託し、満鉄委託観測所が開設されて気象業務の充実が図られた。満州国設立当時には、関東観測所(大連)、関東観測所支所(旅順・營口・奉天・四平街・新京)、満鉄委託観測所(鞍山・開原・撫順・鄭家屯・林西・洮南・齊々哈爾・哈爾濱・海倫・鳳凰城・海龍・敦化)が設けられていた。建国以降は、新京に中央観象台を設置し、黒河・海拉爾等に観測業務が開設されたが、1937年12月、治外法権の撤廃及び満鉄附属地行政権の委譲に伴って、旅順・奉天・四平街・新京の4支所は満州国に委譲された。1940年の満州気象月報によれば、観象台(所)は新京の中央観象台を含めて42ヶ所、簡易観測所が126ヶ所となっている。大連の関東観測所は、関東気象台官制(昭和13年勅令第705号)により、関東気象台として引き続き気象業務を施行している。わが国が満州における気象業務を開始する以前、ロシアは満州を横断する東清鉄道を敷設し、1898年に哈爾濱_-_大連間の南満鉄道の敷設権と関東州の租借権を獲得していた。ロシアは、この年に東支鉄道建設局において哈爾濱に気象観測所を設置し、さらに10数ヶ所の気象観測所を設けていた。東支鉄道は、満州国建国とともに北満鉄道と改称し、1935年3月調印の満ソ条約に基づき満州国に委譲された。筆者らは、三菱財団平成15年度人文科学研究助成を受けて、山口大学経済学部の東亜経済研究所、気象庁図書館、国立国会図書館、広島大学附属図書館気象文庫、北海道大学附属図書館旧外地関係資料(北方資料データベース)の膨大な満州関連の資料から、気象観測記録に関わる資料を収集(図2)・整理(表1)し、データベース化を行っている。中国では「旧満州 東北地方文献職合目録」が大連市・黒龍江省図書館が編者となり出版されているが、中国の図書館における旧満州の気象観測記録に関わる資料の蔵書数はきわめて少ない状況にある。また、中国国家気候資料センターの所蔵資料も1940年以降の気象資料は見当たらないのが現状である。1940年までの月データについては満州気象資料と東亜気象資料に掲載されている。デジタルカメラで資料を撮影し、OCRソフトを用いて画像のデジタルデータベース化を進めている。未掲載データを満州気象月報(図2)で補完し、2005年3月には完成する。1941年3月以前の気象観測の日データについては、主要都市においてデジタルアーカイブの構築を予定している。
著者
平井 愛山
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.13-20, 1985-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
14
被引用文献数
6 8

魚脂中に多く含まれるω-3系の多価不飽和脂肪酸,ことにエイコサペンタエン酸(C20: 5,以下EPAと略)には抗血栓,抗動脈硬化作用のあることがグリーンランドエスキモーにおける疫学調査,あるいは一連のEPAに富む魚肉や魚油濃縮物の摂食実験より明らかにされている.そこで魚を多食する食事習慣が血漿脂肪酸構成や,血小板機能あるいは血栓性疾患の発症頻度にいかなる影響を及ぼすかを明らかにする目的で,千葉県下の沿岸漁村と内陸部の都市近郊農村において3年間にわたり疫学調査を行なつた.漁村住民における1日平均魚肉摂取量およびEPA摂取量は農村住民と比較して明らかに高値で,血漿総脂質のEPA含量およびEPA/アラキドン酸(AA)比も間様に漁村住民で有意に高値であつた.一方漁村住民の血小板凝集能は農村住民と比較して明らかに低下していた.漁村住民の3年間にわたる調査の結果,魚肉摂取量(EPA摂取量),血漿EPA/AA比および血小板凝集能が密接な関係を持つて変動することが認められ,漁村住民において農村住民と比較して,血小板凝集能が有意に低下している理由の一つとして,漁村住民が魚を多食し, EPAの摂取量が農村住民より明らかに多いことが考えられた.漁村地域(勝浦市)の虚血性心疾患および脳血管障害による訂正死亡率は,近郊農村地域(柏市)と比較して低値の傾向が認められた.
著者
横山 俊一郎
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian cultural interaction studies (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.305-326, 2014-03-31

文部科学省グローバルCOEプログラム 関西大学文化交渉学教育研究拠点
著者
梶田 正巳 中野 靖彦
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.160-170, 1973

1. TABLE1のごとく, 独立した2種類の対連合学習を5才から13才の5つの年齢水準の児童に実施した。刺激は, 線画で全体として関連のないようなものを選んだ。反応はカラーラベルである。実験は, パスの表裏に刺激と反応を入れ, 色のボールを当てる遊びとして実施した。学習完了後, 実験者は, 提示刺激を20秒間自由再生させ, その後でどのようにして速くボール当てをできるようにしたか, 質問した。そして, 実験者は, この応答と実験中に与えられる手掛りを基礎にして, 被験者がどのような学習型を採ったか判断した。カテゴリーは,(1) 刺激と反応を直接連合するS-R型,(2) 個別反応刺激のみS-R 結合し, それに属さぬ刺激には, 総て共通反応をするE R型,(3) 学習型を決定できないUD, とした。<BR>まず, 2種類の学習課題が, 発達的にどのようなパフォーマンスを生むか分析した。その結果, 次の事が明らかとなった。<BR>(1) 打切り基準内で, 学習基準を達成しえなかった被験者は, 5才児で最も多く, 7才児, 9才児と少なくなった。未到達者は, 第2学習課題で多かった。<BR>(2) 第2学習課題が, 第1学習課題より多くの試行数を要した。また, 年少児が, 年長児より多くの試行を必要とした。年齢水準と課題に相互作用はみられなかった。<BR>(3) どの年齢をとっても, 第2学習課題で提示刺激の再生される数は多かった。しかし, 刺激の何割が正しく再生されたかを示す正再生率をみると, 2種の学習課題に相違はみられなかった。また, 一貫して, 個別反応刺激の正再生されやすい傾向がみられた。<BR>(4) 年長児が年少児より, 個別反応刺激をはじめに続けて反応しやすい傾向がみられた。また, 個別反応刺激から反応する被験者は, ほとんど総てER型学習者と判定されていた。<BR>次に, 分類された学習型に分析の視点を移して, 整理してみると,<BR>(1) 特に, 5才児には, S-R型学習者が多く, 第1 学習課題では, 7才児でER型学習者がドミナントになった。第2学習課題) においても, 5才児でS-R型学習者が多くみられ, 7才児で両学習型は均衡し, 9才児では, ER型学習者が大多数を占めた。7才から8才の間に, 移行期のみられることが示唆された。<BR>(2) 第1学習課題では, S-R型とER型学習者の間に, 学習基準までの試行数の相違はみられなかった。しかし, 第2学習課題ではER型学習者がS-R型学習者より速く学習を完了しており, ここではうER型学習者の発達的増加が試行数の発達的減少に貢献していた。両学習課題のこのような相違は, 課題を構成する刺激の数によって考察された。<BR>2. 研究方法について対連合学習の実験では, 研究者の操作する実験条件にデータを整理する視座を定め, パフォーマンスの種々の側面について関係を調べるのが普通である。この研究でも, 始めに, そのような点から, 2種類の異なった学習課題が発達的にどのようなパフォーマンスを生じさせたか検討してきた。一般的に言って, このようなアプローチは, 研究者が誰でも一致しうるような, また, それゆえに, 再構成可能な独立変数に依存しているので, 資料を分析整理するには, 比較的危険度の少ない方法であろう。しかし, 一定の外部条件を操作したとしても, 被験者の中には実にさまざまな内的過程の生起していることは, あまりにも明らかなことである。ある操作が, ある内的過程に, 一義的に対応しているようなことは, きわめて稀なことではないであろうか。特に, 人間の学習のごとき, 複雑な対象を扱う場合には, その感をまぬがれえない。このように厳密にできる限り外部条件を整えたとしても, 多様な内的過程の干渉によって, パフォーマンスの高い予測性を十分に獲得できないでいるのである。たとえば, 著者らの弁別移行学習の研究においても, 移行条件は確かにパフォーマンスに有意差をもたらしはしたが, 条件とパフォーマンスの関連度は, せいぜいω2 =. 16にとどまっていた (梶田1972)。<BR>それでは, このような欠陥を補なう他の分析方法をとるとしたら, どのような方法が考えられるであろうか。直ちに可能な方法は, 所与の条件下で, 実際, 被験者がどのような内的過程を経ているかを質問し, 接近し, 記述, 分類することであろう。
著者
小竹 佐知子
出版者
山梨県立女子短期大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

粘稠性のある食品のモデル系試料として、0〜15%濃度のデンプンゾル(粘度3.7Pa s以下)および油相体積分率0.3に調製して粘度を変えたエマルション(粘度2.1Pa s以下)を用い、香気成分には油-水間の平衡分散係数K_<ow>と空気-水間の平衡分配係数K_<aw>が大きく異なるdiacety1(K_<ow>=0.3、K_<aw>=1.6×10^<-3>)および2-heptanoe(K_<ow>=52.0、K_<aw>=11.6×10^<-3>)の2種類を、各モデル試料での濃度が0〜20ppm濃度となるように添加した。各試料5mlをパネルに供試して0〜2分間咀嚼させ、咀嚼中の放散香気をテナックスチューブ(2,6-diphenyl-p-phenylene oxide、35/60mesh)に補集し、ガスクロマトグラフィー(Carlo Erba MEGA 5300、検出器 FID、カラムSupelcowax 10(60m×0.25mm i.d.)、温度40℃4分間→95℃(2℃/min)→272℃(6℃/min)、ガス流量He 1ml/min)により放散量を測定した。両香気成分とも咀嚼時間に伴って放散量は増加しており、香気成分の違いによる放散量の違いは従来の報告と同様の傾向であったが、パネルにより放散量は大きく異なっていた(咀嚼2分時diacetyl低粘稠試料最低値300〜最高値800ng、高粘稠試料750〜2250ng、2-heptanone低200〜1750ng、高700〜1900ng)。同事に測定した分泌唾液量にもパネル間において大きな差が認められた(低0.3〜2.0g、高0.4〜2.8g)。これらの違いには男女差や年齢、人種による傾向は認められなかったが、分泌唾液量が多いほど試料媒体の希釈により、香気放散量の少ないことが認められた。

1 0 0 0 OA [京暦]

出版者
大經師降屋内匠
巻号頁・発行日
vol.天保11, 1839
著者
高橋 久美 山本 毅雄
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.23, pp.17-23, 1993-03-16

パターン・マッチング技術を利用する新しい図書館システムを提案した。図書を適当なサイズ(例えば100?200冊)のブロックに分け、背表紙にカラーコードのラベルを張ってこのブロックへの所属を表す。ブロックは同一の書架にまとめて置くが、ブロックの書庫内での配置、ブロック内での各図書の配置は任意である。ワークステーションによって制御されるビデオカメラで各書架の画像を得、カラーラベルと前もって作成してある画像目録を用いて、システムは常時、各図書の位置を把握している。利用者の検索に対して、書庫内での所属ブロックの位置が知らせるばかりでなく、書架に設置してある位置マーカがグループ内での求める位置を指示する。A new library system using pattern matching technology is proposed. Books in the library are classified into blocks of 100-200 each. A color-coded label on the back of a book specifies the block it belongs to. The arrangment of blocks in the library as well as that of books in a block can be arbitrary. Video cameras controlled by workstations monitor all the shelves. The image of each book is obtained and matched with the "image catalog" to identify the book. The system thus knows the position of each book in the library. The user may be directed to the book by a marker light attached to the shelf.
著者
新井省五郎 著
出版者
十字屋
巻号頁・発行日
vol.下の巻, 1898