著者
近藤 日出夫
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.134-150, 2009-10-20 (Released:2017-03-30)

本研究は,発達的背景と問題行動歴に着目して,殺人を犯した男子少年の類型化を試みるとともに,殺人に至る機制の違いなどを明らかにすることを目的とした.2001年から2006年までの5年間に,殺人を犯して少年鑑別所に収容された男子少年73人を分析の対象とした.彼らが発達過程のどの時期に,どのようなリスク要因等を被ってきたのかを,家庭環境,学校場面,問題行動歴などの領域ごとに調査し,そのデータに潜在クラス分析を適用することによって,殺人少年の類型化を試みた.分析の結果,外在化型,内在化型,遅発型の3類型を導き,それぞれの発達経路なども踏まえて,その特徴を明らかにした.外在化型は早期から窃盗や暴力などを繰り返していたグループであり,不良交友関係を背景とした集団による殺人が多かった.内在化型は,家庭や学校場面における不適応状態が慢性化していたグループであり,単独犯や親族殺が多かった.遅発型は,本件直前までは何とか表面的な適応状態を維持できていたグループであるが,集団追従的又は状況圧力に耐え切れずに本件に至る場合が多かった.
著者
村田 修 宮下 盛 那須 敏朗 熊井 英水
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.145-151, 1995

マダイの卵にクロダイ精子を媒精して作出した交雑魚 (マクロダイと呼ぶことにする) の養殖品種としての特性を明らかにする目的で, その成長, 生残率, 外部形態, 環境ストレス耐性などについてマダイおよびクロダイ両種と比較した。<BR>(1) 媒精した浮上卵の受精率はクロダイ>マダイ>マクロダイの川頁, 孵化率はマダイ>クロダイ・マクロダイの順であった。<BR>(2) 孵化後30日目までの生残率はマダイ>マクロダイ>クロダイの順であったが, その後71日目から140日目までのそれはマクロダイおよびクロダイの方がマダイよりも著しく高くなった。<BR>(3) 成長は孵化後約8ヶ月目まではマクロダイ>マダイ>クロダイの順であったが, 満1年目からはマダイの方がマクロダイよりも徐々に大きくなり, 満3年目におけるマクロダイの成長はマダイよりは遅いがクロダイよりは早く両親の中間となった。<BR>(4) 環境ストレス耐性では, 水温上昇および低下, 比重低下, 並びに溶存酸素低下に対してマクロダイはいずれもクロダイよりも弱かったが, マダイよりも著しく強かった。<BR>(5) 外部形態や体色などからマクロダイはクロダイに近く父系遺伝が強いことが示唆された。

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著者
小川菊松 編
出版者
誠文堂新光社
巻号頁・発行日
1941
著者
地神 裕史 濱中 康治 三富 陽輔 中村 拓成 加藤 知生
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに,目的】近年,中高齢者の健康増進に対する意識の高まりにより水泳愛好者の数は増加している。一般社団法人日本マスターズ水泳協会の2012年度の統計では協会に登録している選手数は年々増加しており,登録者数が最も多い区分は60-64歳であったと報告している。また,水泳は日本整形外科学会が提唱するロコモティブシンドローム予防のための運動としても推奨されており,今後も愛好者の増加が予想される。一方で水泳,特に競泳は肩関節や腰部の障害が多いスポーツであることも過去の先行研究により明らかになっている。健康増進のために始めた水泳により運動器の障害を引き起こし,ADLやQOLを低下させぬよう,理学療法士として適切な知識をもってこれらの愛好者をサポートすることは非常に意義深いと考える。我々が所属している日本水泳トレーナー会議は創設22年を経過しており,約100名の理学療法士が所属している。22年の間に水泳選手に対する様々なサポート活動を展開してきた。今回,当会に所属する理学療法士を中心にマスターズの水泳大会をサポートし,マスターズスイマーの障害に関する調査を実施すると同時に,コンディショニングを行う機会を得た。よって本研究の目的は,マスターズスイマーの障害の実態を調査すると同時に,理学療法士に求められるコンディショニングの手技や対応部位を明らかにすることで,水泳愛好者に対して適切な医学サポートを実施するための情報を蓄積することである。【方法】対象は日本マスターズ長距離大会に参加した水泳愛好者839名(女性265名,男性374名)のうち,我々が開設したオープンブースを利用した83名(女性58名,男性25名)とした。対象者に対して水泳歴や主訴など一般的な情報を聴取し,症状に対する運動療法やマッサージ,ストレッチなどを行い,その実施内容や実施部位を解析した。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は日本水泳トレーナー会議の倫理委員会の承認(承認番号13-002)を受けて実施した。対象者に対しては書面にてインフォームドコンセントを実施し,本研究の趣旨を理解し,賛同した対象者には署名にて同意をもらった。【結果】本研究の対象者の年齢は52.9±13.0歳(21-77歳),水泳歴は19.3±12.6年(1-55年)であった。主訴部位は重複ありで計161部位,そのうち「肩関節」が最も多く全体の28.6%であった。次いで「腰部・骨盤帯」が18.0%,「股関節」が14.3%であった。また,実施した手技の数は,重複ありで計208,内訳は「マッサージ」が全体の59.1%,「ストレッチ」が30.8%,「エクササイズ」が9.6%であった。【考察】上述したように,健康増進のために水泳を始める中高年者は今後も増加することが予想される。一方で水泳は肩関節や腰部の障害を引き起こす可能性もあるが,荷重関節に負荷が少なく,適切なサポートを行うことで長く継続できるアクティビティになると考える。今回の結果から,マスターズスイマーの抱えている痛みの部位は肩関節が最も多く,次いで腰部・骨盤帯という結果であった。これは半谷らが行った競技力の高いトップ選手に対して行った先行研究と同様の結果であり,障害部位は競技力に依存するものではなく,競技特性により生じている問題点であることが明らかとなった。また,コンディショニングに対するニーズや実際に対応した手技を集計した結果,マッサージやストレッチが多くなった。その要因として,水泳はノンコンタクトスポーツであり,障害の発生機序の多くはオーバーユースによるものであることが挙げられる。筋や腱の炎症に由来する痛みであれば,適切な疲労回復を促すような手技を講じることが結果的には障害予防に直結することが示唆された。しかし,セルフコンディショニングの意識が高いトップ選手に対して行った同様の調査では,マッサージを希望する割合は全体で50%以下であったことを考えると,マスターズスイマーはまだまだ自身で行えることを適切に行えておらず,トレーナーなどの第3者に依存的である姿勢が明らかとなった。今後,会としても教育啓発活動を継続的に実施し,セルフコンディショニングの意識を高めることで末永く水泳を続けられる中高年者が増えるようなサポート活動を展開していくことの必要性を感じた。【理学療法学研究としての意義】理学療法士はスポーツ領域において障害予防のサポートをリードするスペシャリストとなる必要がある。今回のような研究を通じて障害の実態や現場でのニーズを調査し,その結果から具体的な取り組みを実施することは大変意義があると考える。
著者
Ken-Ichiro Ishii Ryoma Kamikawa
出版者
日本プランクトン学会、日本ベントス学会
雑誌
Plankton and Benthos Research (ISSN:18808247)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.164-170, 2017-08-22 (Released:2017-08-24)
参考文献数
42
被引用文献数
7

The non-photosynthetic diatoms Nitzschia spp. are known to have evolved from photosynthetic species to heterotrophic species by the loss of photosynthesis. We investigated their ability to tolerate wide ranges of temperatures and salinities. Nitzschia spp. were capable of surviving or thriving even at 5°C and 35°C. In addition, these diatoms were also capable of surviving at salinities of 0.5 and 12.0, while thriving at those from 1.0 to 9.0. Such tolerance to a wide range of temperatures and salinities would allow these non-photosynthetic diatoms to thrive in mangrove estuaries, where environmental conditions often drastically fluctuate. Our experiments revealed that the growth rates of the non-photosynthetic diatoms were larger than those estimated based on cell volumes and temperature, suggesting that these non-photosynthetic diatoms may be an important group of organisms contributing to material circulation by growing heterotrophically in mangrove estuaries.
著者
堀田 政二 浦浜 喜一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア = The journal of the Institute of Image Information and Television Engineers (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.1750-1755, 1999-12-20
参考文献数
14
被引用文献数
3 1

Fuzzy clustering has been developed as an effective way of searching for a video by using a query or by browsing a video database. Each video in the database is segmented into shots by fuzzy clustering on the basis of the coarse color composition of frames. The type of shot boundaries, i.e., whether the change is discontinuous (called a cut boundary) or continuous (such as fade and wipe), can be detected by variation in the membership values at the boundary.Every video is summarized by a set of representative images of its shots. Fuzzy clustering is also used for searching for a target video by browsing a video database. In this search, representative images of shots are displayed and one of them is selected if it is the target video. The display region is narrowed successively by tracing hierarchical fuzzy clusters of shots. Additionally, the color correlogram of a video retrieved by querying shot images is shown to be superior to that retrieved according to a histogram.
著者
及川 正明 笠嶋 快周
出版者
日本ウマ科学会
雑誌
Journal of equine science (ISSN:13403516)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.41-56, 2002-06-01
参考文献数
55
被引用文献数
1
著者
Gebes Vincent
出版者
日経BP社
雑誌
日経コミュニケ-ション (ISSN:09107215)
巻号頁・発行日
no.280, pp.118-121, 1998-10-19

リムネットに続き,国内の大手プロバイダである東京インターネットを買収した米PSINet。これで同社傘下の国内プロバイダのユーザー数を合わせると,国内第2位となった。日本法人であるピーエスアイネットのギベス社長は,「NTTのOCNを抜いて国内トップを目指す」と意気揚々。
出版者
日経BP社
雑誌
日経automotive technology (ISSN:18819362)
巻号頁・発行日
no.34, pp.133-136, 2013-01

1990年代を通じたディーゼルターボエンジンの急速な進化により、欧州市場では、乗用車用でガソリンエンジンとほぼ半々というほどディーゼルエンジン比率が上がっている。ディーゼルのターボ化に次いで、ここ数年、顕著な拡大を見せているのが、ガソリンエンジンの排気量を下げて燃費を向上させ、低下した出力をターボチャージャなど過給機の装着で補う「ダウンサイジング」の動きだ。
著者
花岡 敏和
雑誌
情報処理学会研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.27, pp.13-18, 2004-03-08

スルッとKANSAIでは、今夏以降、順次、加盟各社局のICカードシステム導入を目指しますが、ICカードを乗車券としての単機能だけでなく、当初から物販機能や入退室機能を有する多機能カードとして発行し、乗車券機能はそのうちの1機能とした、新たな決済サービスを構築いたします。また、ポストペイ方式の採用により、ご利用実績に応じて各社局が割引を柔軟に設定することも可能となります。本日は、スルッとKANSAIの新たな決済サービス"PiTaPa"のサービス並びにシステムの概要に付いてご説明させていただきます。Starting this summer, Surutto Kansai Co., Ltd., will introduce in stage an IC card system that will cover various member companies and organizations. More than just a public transportation pass, the IC card will be issued from the beginning as a multifunctional card valid for such purposes as commercial purchase as well as authorized admission to and exit from restricted spaces. Use as a public transportation pass represents but one of the main function of this new payment system. Its post-use payment system will allow member companies and organizations to flexible propose discounts and other services card to users according to customer consumption.Today, we would like to introduce to you this new account settlement system from surutto Kansai, "PiTaPa", and familiarize you with its system and service.
著者
吉田 典弘
出版者
相模女子大学
雑誌
相模女子大学紀要. C, 社会系 (ISSN:1883535X)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.1-6, 2012

The purposes of this paper are to point put the problems of the Information Education of University and to develop a new concept useful in future. A new subject on Information literacy will begin in 2003 for high schools as "Information Studies". As a result, the Information Education for University will necessarily have to be changed. In this paper, logical thinking in automatic processing based on procedure methods is proposed. As a result, Teach in using Javascript make the logical thinking for the students.
著者
野口 寛樹
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.21-33, 2012 (Released:2013-04-06)
参考文献数
24

NPOにおいてミッションはその根幹にあり,組織が存在する理由である.よってNPOにおいてミッションを知ることは重要となる.またミッションを語る上で,多くの質的研究が積み重ねられて生きた反面,実際にNPOで使われている言葉を使用した量的研究は散見した限り少ない.本稿の目的は探索的定量研究に基づきNPOにおけるミッションの全体像を描写することにある.本研究では京都府認証NPO法人を中心に(2009年11月時点,N=1036,解散を含む),その定款から目的の項にある文を抽出し,ミッションマネジメントの概念を中心にテキストマイニング,ネットワーク分析を行っている.抽出された頻出語の傾向から,仮説構築的にミッションが抽象化しすぎることの問題,またミッションにおける同型化の議論,そして他分野間における協働可能性の指摘を行った.本研究が量的研究の方法論,議論の更なる深化のための一つの嚆矢となることを願う.
著者
森本 浩行 西田 一彦 西形 達明 玉野 富雄 森 毅
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.263-268, 2000

1959 (昭和34) 年の「大坂城総合学術調査」において, 現大阪城が豊臣秀吉創建のものではなく, すべて江戸時代初期の徳川幕府による築造であることが判明した. またこの調査により, 本丸天守台南側で地下深く埋れた石垣が発見された. その後, ガスや水道の埋設管敷設に係わる調査において, いくつかの地下石垣が発見された. 特に, 1984 (昭和59) 年に行われた大手前配水池南側の調査において, 大規模な石垣垣の隅角部が発見された. これらの地下石垣は地上の石垣とは規模も積み方も異なり, 豊臣時代の大坂城ではないかと考えられている. 本研究では, 筆者らが提示している数値評価法を用いて, この地下石垣の特徴について考察するとともに, 石垣構築の技術的な面から構築年を推定した.
著者
佐藤 大規
出版者
廣島史學研究會
雑誌
史学研究 (ISSN:03869342)
巻号頁・発行日
no.270, pp.34-55, 2011-02
著者
永島 福太郎
出版者
関西学院大学
雑誌
商學論究 (ISSN:02872552)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.17-31, 1975-02