著者
Jiangman WANG Chun LI
出版者
(公社)日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.199-211, 2017 (Released:2017-05-27)
参考文献数
28
被引用文献数
10

The Pacific Decadal Oscillation (PDO) and North Pacific Gyre Oscillation (NPGO) are the two dominant low-frequency modes in the North Pacific. This study focused on the simulation capability of the two leading low-frequency modes in current-coupled models, based on 24 coupled model outputs from the Coupled Model Intercomparison Project Phase 5 (CMIP5). Results showed that most of these models captured the two low-frequency modes, but the air–sea coupling relationship (covariability of the ocean low-frequency modes with the atmospheric forcing modes) captured by CMIP5 models had drastic differences. Four models (CCSM4, CESM-WACCM, MIROC5, and NorESM1-M) not only captured the spatial and temporal characteristics of the PDO and NPGO modes but also simulated their air–sea coupling relationships. Therefore, we selected these four models to examine changes in the PDO and NPGO modes under different global warming scenarios using RCP4.5 and RCP8.5 forcing (RCP: Representative Concentration Pathway). In future RCP scenarios, the spatial patterns of PDO and NPGO showed no obvious changes. However, the dominant periods of the PDO and NPGO modes were shorter, which is consistent with faster oceanic Rossby waves induced by enhanced upper oceanic stratification in the warming scenarios.
著者
諏訪 賢一郎 俵原 敬 浮海 洋史 尾関 真理子 待井 将志 田村 純 宮島 佳佑 神田 貴弘 安見 和彦
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.484-489, 2013

症例は62歳, 男性. 発熱にて当院受診. 心電図にてI, II, aVL, V4~6にST上昇を認め, さらに心筋逸脱酵素とCRP上昇を認めた. また心エコーにて心尖部前側壁と中部下壁に壁運動低下が認められた. 緊急心臓カテーテル検査にて前壁, 側壁, 下壁の一部に壁運動低下を認めたものの, 左室駆出率57%であり, 冠動脈に有意狭窄を認めなかった. 以上所見より急性心筋炎と診断. 第4病日の心臓MRIでは, シネMRIにて左室駆出率11%, 全周性高度壁運動低下, T2強調画像black blood像にて左右両室全体に高信号, そして遅延造影MRIにて心尖部寄り側壁の心外膜側を主とした遅延造影を認めた. 同日心筋生検を施行. リンパ球の浸潤を多数認め, リンパ球性心筋炎と診断した. また血行動態破綻のため大動脈バルーンパンピング (intra-aortic balloon pumping ; IABP), 経皮的心肺補助装置 (percutaneous cardiopulmonary support ; PCPS) を導入. その後も心機能は悪化し, 大量免疫グロブリン療法, ステロイド短期大量療法を施行するも第9病日に死亡した. 剖検では心筋へリンパ球主体の高度の炎症細胞浸潤, 心筋の凝固壊死, 融解, 変性と間質浮腫を認めた. 初期軽症期から入院し血行動態破綻直前に心臓MRIの撮影ができた劇症型心筋炎の貴重な1例を経験したので報告する.
著者
竹内 嘉江 小出 博志 増野 和彦 松瀬 収司
出版者
長野県林業総合センター
雑誌
長野県林業総合センター研究報告 (ISSN:1342775X)
巻号頁・発行日
no.20, pp.41-64, 2006-05

アカマツ林におけるマツタケ増産のための環境改善施業効果について,平成12~16年の5年間調査と試験を行った。主な内容は次のとおりである。(1) 上伊那郡辰野町と下伊那郡豊丘村に各々0.5haの試験地を設定して,気象観測と発生量調査等を行った。(2) マツタケのシロ数は,5年間に辰野町施業区では1箇所,対照区では0箇所で変動なく,豊丘村施業区では22箇所,対照区では8箇所で変動がなかった。(3) 豊丘村試験地での5年間の子実体発生状況をみると,施業区では合計1,137本,46.3kgとなり,対照区と比較して340%本,359%生重となった。(4) 5年間の豊丘村施業区での発生本数の推移をみると,25年間の平均値と比較して127,34,63,138,114%となり,作柄の規則性は認められなかった。(5) イノシシ掘り起こし被害を防止するため,n-ラク酸を散布する試験を行ったが,効果判定は明確にできなかった。(7) シロの前線に位置する広葉樹の根圏を枯らしてシロを広げる施業を行ったところ,子実体発生本数の増加が認められた。(9) 子実体発生本数と気象条件との関係を調べた結果,相関係数r=0.82となる豊凶指数を見出すことができた。
著者
朝鮮総督府 編
出版者
朝鮮総督府
巻号頁・発行日
vol.大正11年, 1922
著者
堀貞次良 著
出版者
朝陽社
巻号頁・発行日
1943
著者
中島 滋美
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.2, pp.225-233, 2013 (Released:2013-02-05)
参考文献数
33

ペプシノゲン(PG)法,ABC分類および胃X線検査の現状と問題点,および胃がん検診における位置づけを考察した.PG法は血清学的胃粘膜萎縮診断法で,効率よく胃がん危険群を囲い込むことができるが,PG陰性胃がんが存在するため胃がんを見落とす可能性がある.PG法と血清ヘリコバクター・ピロリ(Hp)抗体検査を併用したABC分類は,両者の弱点を補い合う組み合わせで,血液検査で簡便に実施できる胃がんリスク評価法である.胃X線検査は対策型検診として唯一認められている検査法で,画像によるHp感染診断も可能である.ABC分類と胃X線検査を相補的に利用すると,効率のよい「リスク別胃がん予防&検診」が構築できる.
著者
望月 直美 小林 正夫 西大路 賢一 釜口 麻衣
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.545-555, 2014 (Released:2014-10-15)
参考文献数
16

人間ドックで胃がんリスク評価(ABC分類)を実施した。対象は1223例, 平均年齢は56.3歳であった。A群が全体の61%でA群の割合は年代が上がるにつれ低下した。同時に実施した内視鏡検診でC群から3例, A群から1例の胃がんが発見された。いずれも年齢は65歳以上で内視鏡的に胃粘膜の萎縮は高度であった。ABC分類の結果と内視鏡的胃粘膜萎縮度を比較した結果, A群の13.9%は内視鏡的に萎縮を認める, いわゆる「偽A群」であった。内視鏡的に萎縮を認めない真のA群と比較すると, 「偽A群」では60歳以上, およびHp抗体価3.0U/ml以上の症例が有意に多かった。「偽A群」のうち高度の胃粘膜萎縮を有する20例はPGI低値, Hp抗体価3.0U/ml以上の両方, あるいはいずれかに合致し, Hp既感染, または現感染が考えられた。胃がんリスク評価を正確に行うため, 初回は内視鏡による画像診断を併用することが望ましい。
著者
松原 剛 金杉 洋 熊谷 潤 柴崎 亮介
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.1550-1555, 2016-07-06

平常時から継続的に人々の流動や分布を把握することは,様々な分野の基盤情報として需要が拡大しつつある.人々の流動を把握する手段として,屋外においては GPS を利用した衛星測位技術が確立しているが,地下や屋内等 GPS が利用できない場所では,様々な屋内測位手法が提案されており,施設ごとに独立して設置されている.人々の流動や分布の変化を屋内施設 ・ 地下空間に渡って捉えるには,少なくとも施設単位の粒度で位置を特定する必要がある.本論文では東京都内の地下鉄駅を対象に,携帯電話網の通信で参照される基地局セル ID と各地下鉄駅の対応表を作成し,地下鉄利用時の利用駅の推定を試みた.
著者
堀 正義 中野 学 松本 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.732, pp.75-80, 2005-03-11

現在, インターネットを構築している重要な技術の一つとしてDNS(Domain Name System)がある.DNSはドメイン名とIPアドレスを対応付けるシステムであり, 多くのユーザに利用されている.しかし, サーバ内のキャッシュを改竄するDNSキャッシュ汚染攻撃や, 名前解決応答パケットの偽造によるDNSスプーフィング攻撃により, ユーザを不正なサーバに誘導して個人情報を盗むといった行為が可能である.本論文ではこの問題に対し, 複数のDNSサーバに名前解決要求を送信し, その応答を確認, 比較することでDNSを安全に利用する方式を提案する.また, 実装を行うことで, 提案方式利用時の名前解決に要する処理時間の増加について評価した.
著者
木村 辰男
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.269-291, 1963
被引用文献数
1

(1) 等運賃線は,運賃の地域的構造を示す一つの有効な方法である。そしてその構造は場所によって非常に変化し,かならずしも模式的な同心円にはならない。(2) 鉄道車扱貨物運賃の複雑な構造は,わが国の鉄道で現在行なわれているさまざまの制度や,大都市・地形による路線の迂回に基づくものであり,とくに前者の制度的な要因は重要な意味をもっている。(3) トラック貨物運賃の構造は比較的同心円状を示すが,山地では迂回も多くなり,運賃構造もいくぶん不規則になる。鉄道のような制度的要因に左右されることはほとんどなく,主に地形による道路網分布の疎密に左右される。しかし全般的に鉄道に比べれば規則的である。(4) 末端運送の諸掛りを考慮に入れた鉄道運賃とトラック運賃の構造をつき合わせることによって,両交通機関の運賃競争力の分界線が得られる。これは貨物の種類によって変動し,また都鄙の度合いによって差異のみられる鉄道諸掛りや,トラック運賃のダンピングの程度によっても変化する。(5) この分界線は種々の地理的意味をもっており,鉄道・トラックの運賃構造の結節地域を画定する。また,これは交通機関選択の重要な基準になり,両交通機関の競合・補完の問題を中心にして,交通地理における運賃のダイナミックな一つの側面を示しているものといえる。(6) しかし現実における交通機関の選択に際しては,運賃ばかりでなく運送速度その他の運送のサービスの質的な面についての諸考慮もあわせて行なわれる。運賃を当面の課題として取り上げた関係で,本稿ではこれらの問題を一応見すごすことにするが,個々の貨物の動きと運賃その他の運送のサービスなどとの関連については,今後の考察にゆずりたい。(7) 本稿では車扱運賃だけを対象にしたが,近時における路線トラック事業の進展は,むしろ小口扱においての鉄道・トラックの競合関係が強くみられるから,小口扱貨物運賃の検討も必要である。(8) 最近は経営合理化の観点から,鉄道貨物取扱駅の大幅の整理と,それに伴う貨物集約輸送体系の新しい組織化が進行しつつあり,これに伴って運賃構造にも大きな変化がもたらされようとしている。これについては,貨物運賃構造の図示法の問題とも関連して,今後の検討がなお必要である。
著者
渡部 大輔
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.631-636, 2010-10-25
参考文献数
23
被引用文献数
1

本研究では、古代において国府と京を結んでいた七道駅路を中心として、古代物流ネットワークの形態解析と物流システムの移動利便性として移動距離や日数、運賃との関係について分析した。七道駅路ネットワークを構築した上で、本路・支路によって結ばれている国府の隣接グラフを構築した。そして、最小木と重複しない隣接グラフの辺は、地方と京をなるべく短い距離で結ぶように、放射・縦断方向に長い辺が構築されていることが明らかになった。七道駅路を用いた物流システムについて、運賃は距離と線形に比例する関係が見られ、往復日数の方が距離よりも運賃と比例関係が強いことが明らかになった。海上輸送は、陸上輸送と比べて、所要日数が少なく、運賃も大幅に低いことが明らかになった。このように、地形の起伏や広大な河川、海上輸送を含むかどうかが、移動に大きく影響していることが明らかになった。現在価値への換算すると、現代のトラック運賃と比べて、遠距離に行くほど差が広がっていることが明らかになった。このように、古代の物流においては、現代より日数、費用ともに大きくコストをかけて運ばれていたことが定量的に明らかになった。
著者
種子 彰
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

A Wegenrが大陸の南北アメリカのとアフリカの沿岸プロフィールが一致することから,大陸移動仮説を提唱して,古生物学や地質の連続性を根拠に証明しようとした.今では海洋底拡大仮説やマントル熱対流仮説や大西洋中央海嶺の発見やトランスフォーム断層の発見や地磁気の反転と海底テープレコーダー仮説など実証的な観測でプレートテクトニクスがほぼ定説となっている.しかし,ウェゲナーが示せなかった大陸移動の駆動力はプレートテクトニクスでもまだ謎のままである.ウェゲナーが指摘していた,70%を占める深海洋底(-5km)の形成起源やプレート境界の起源,プレートテクトニクスの起源を探究する努力が忘れられていた.弧状列島と海盆の起源も謎のままである. この全てを統一的に解明できる新パラダイムが望まれていた.それはアブダクションによるマルチインパクト仮説であり,地球物理学と太陽系惑星学から"地球と月のミッシングリンクの解明"で述べられた.それによると,このプレートテクトニクスの起源の他に,月の形成や深海洋底の起源,コアの偏芯や木星大赤飯の起源や水星や冥王星の起源,更には小惑星帯の起源や分化した隕石の起源も統一的に解明できる新パラダイムの提案である.アブダクションは,ある仮説による結論が複数の現状を説明できれば出来るほどその仮説の正しさが保証されるという考え方である.発想の大転換であり創造的推論と呼ばれており,物理的意味がある仮説で,アイデアが正しければ,飛躍的な進歩が得られる. 太陽系の誕生から約40億年前まで経過してCERRAが木星摂動により軌道変形し木星と太陽の張力で断裂した時,CERRAと地球は分化凝固していた. 本仮説では複数マントル破片がほぼ同じ軌道を巡りの廻り巡り間欠的に衝突することが,度重なる生物種大絶滅の原因であり,マントルを剥ぎアイソスタシーにより5km 深さの海の起源となった.アイソスタシーにより衝突マントル欠損部にダーウィンの隆起が起きたとき,周囲の地殻が剥離したプレートが凹型にへこんで,その境界亀裂が弧状列島を形成した.太平洋を中心とした弧状列島やテーチス海の形成時のジャワ島等,弧状列島の外側に連なる海溝弧はプレートが弧状列島の下に潜り込みを示しています.プレート境界は複数のマントル断裂片が地球へ衝突した時の亀裂に起因している.本仮説では,地球が自転している為,衝突により欠けたマントルがアイソスタシーで凸になった時,慣性モーメントが不均一(アンバランス)になった地球では,慣性モーメントを最小にする駆動力が発生する. 一つの仮説だけで,全ての謎を統一した進化として説明できる事は,アブダクションの成果である.