著者
村田 ひろ子
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.78-94, 2018 (Released:2018-07-20)

NHK放送文化研究所が加盟する国際比較調査グループISSPが、2017年に実施した調査「社会的ネットワークと社会的資源」の日本の結果から、他者との接触や友人づきあい、人間関係と生活満足度との関連について報告する。SNSの利用頻度と他者との接触の関係をみると、SNSを頻繁に利用している人のほうが、親しい友人との接触も多い。高齢層についても、SNSの利用者で18歳以上の子との接触が多い。50代以上の中高年男性では、友人づきあいが希薄な傾向がみられる。例えば、「悩みごとを相談できるような友人がいない」という人は、全体で2割なのに対し、男性50・60代でいずれも3割台、70歳以上では半数を超える。また、「落ち込んだときの話し相手」や「家庭の問題についてアドバイスをもらう相手」として「親しい友人」を挙げるのは、全体で4割なのに対し、男性50代以上の各年層で2割から3割程度にとどまる。生活満足度との関連では、他者との接触や友人数が多いほど、生活に満足している割合が高い。特に40、50代の中年男性では、悩みごとの相談相手の人数によって、生活満足度が大きく異なる。
著者
冨田 直明
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.517-526, 2022-07-15 (Released:2022-07-13)
参考文献数
28

目的 愛媛県A保健所管内で多発するダニ媒介感染症である日本紅斑熱(以下JSF)と重症熱性血小板減少症候群(以下SFTS)の感染原因とその対策を研究した。方法 JSFとSFTSの患者を確定診断した医師が愛媛県感染症発生動向調査事業に基づく調査票を用いA保健所に届出した症例であった。結果 JSFの2003年8月から17年間の届出数は91例(県全体の56.5%)男性44例平均年齢59.4±18.3歳,女性47例平均年齢65.7±13.8歳であった。届出当該者の住居環境割合は柑橘栽培の山に隣接する住宅地が67.0%で,農作業や日常生活において野山に立入らずともマダニとの接触が度々と考えられた。届出当該者の職業割合は柑橘栽培31.9%,退職26.4%,農業14.3%であった。臨床症状の発生率は発熱と全身性発疹が全例,刺し口73.6%,肝機能障害69.2%,播種性血管内凝固症候群(DIC)14.3%,神経症状11.0%であり死亡割合は1.1%であった。刺し口の確認された症例には重症と定義されたDICの割合が有意に低率であった。SFTSの2013年12月から7年間の届出数は14例(県全体の42.4%)男性7例平均年齢71.1±14.4歳,女性7例平均年齢80.6±7.4歳であった。届出当該者の住居環境割合は山間の住宅地が85.7%,届出当該者の職業割合は退職者が85.7%であった。臨床症状の発生率は発熱と顕著な白血球と血小板の減少が全例,刺し口57.1%,下痢71.4%,神経症状57.1%,出血傾向42.9%であった。死亡割合は35.7%で全例に神経症状と出血傾向を合併し発病から死亡までの日数は平均11.2±3.6日であった。生存例は死亡例に対して刺し口の確認の割合が有意に高率であった。結論 当地域は愛媛県内で有数な柑橘類生産地のために柑橘栽培の山での作業中にマダニの頻回な刺咬により感染するJSFは職業病と考えられた。柑橘栽培従事者は必ずダニ媒介感染症の予防法を習得すべきである。また一般住民も含めた啓発により最近の届出数は漸減している。現在,SFTSは4類感染症であるが血球貪食症候群を発症後に急速に死亡に至る危険性があり,SFTSを診察した医師は早急に集中治療室のある基幹病院への移送が必要である。
著者
金﨑 雅史
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.969-973, 2017-12-18 (Released:2018-01-10)
参考文献数
18

進行したがんやCOPDを有する患者において,薬物療法などの病態生理学的治療によって呼吸困難の病態を完全に改善できることは少ない.しかし,多くの慢性疾患と一致して,COPDでは身体活動性は重要な生命予後指標であり,呼吸困難の存在は身体活動制限の主要因子である.したがって,適切な治療のうえでなお存在する呼吸困難にも多角的視点から緩和的介入が求められる.本稿では,呼吸困難に苦しむ患者の暗澹たる思いに光を灯す手法となり得る非薬物療法を自験例も含めて概説する.
著者
赤塚 純一 永井 伸治 本阿弥 眞治
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集B編 (ISSN:18848346)
巻号頁・発行日
vol.77, no.784, pp.2391-2400, 2011 (Released:2011-12-25)
参考文献数
18
被引用文献数
3 5

This paper propose two new flow visualization methods based on the Background-Oriented Schlieren (BOS) technique for compressible flow. One is “Simplified background-oriented schlieren (S-BOS) ”. This technique does not require a cross-correlation algorithm, which is typically used in BOS. The data processing is much simpler than that of the original BOS, since image displacement associated with density gradient is algebraically calculated from intensities of the images with the periodic background pattern. Moreover, it easily allows us to automate the data processing, because it is neither necessary to remove incorrect vectors nor to optimize parameters such as the interrogation window and search window. The other is referred to “Wavelet-based background-oriented schlieren (W-BOS)”. This technique provides a schlieren image using continuous wavelet transformation for the periodic background pattern. By transforming the periodic intensity pattern into the phase, a schlieren image can be obtained easily. Since the optical setup in both techniques is simpler than that of a conventional schlieren imaging, they could be used in various situations including field tests. A wind tunnel test was conducted in a 1 m × 1 m supersonic wind tunnel. Their usefulness was demonstrated by comparing with the conventional schlieren images.
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.35-55, 1989 (Released:2022-07-14)

パネリスト潮田健次郎(トーヨーサッシ株式会社社長)三戸 公(中京大学商学部教授)今井賢一(一橋大学商学部教授)植之原道行(日本電気株式会社副社長)司会 伊丹敬之(一橋大学商学部教授)
著者
沼上 幹
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.59-69, 1989 (Released:2022-07-14)

この論文の目的は,組織と戦略と技術の三つ巴の相互進化プロセスを捉えるための概念的な足場を構築することにある.まず,技術進化が市場の需要によって導かれると考える市場プル理論と,技術自体の論理によって導かれると主張する技術プッシュ理論を対比させながら検討することから議論を始める.その上で,技術進化が企業進化を一方的に規定するのではなく,企業による概念創造活動が技術進化の方向を規定すると考える構想ドリブン・モデルを検討する.
著者
上田 義朗
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.39-49, 1989 (Released:2022-07-14)

日本企業の役員兼任によって生じる企業間ネットワーク・人的ネットワークは,その存在が確認されているにもかかわらず,その意義は未だに明らかではない.本稿は,ネットワークの研究動向のなかに自らを位置づけ,次に,役員兼任ネットワークの断絶と修復に関するアメリカの先行研究2編を紹介する.さらに,日本の都市銀行3社における役員兼任の実態が具体的に議論される.これらによって,日本での今後の体系的な実証研究の手がかりを提示する.
著者
外山 圭助
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.890-894, 1994-06-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

リンパ増殖性疾患の診断には,理学的所見としてリンパ節腫脹.検査所見として末梢血異常,すなわちリンパ球増加などが認められることによって,その存在が予測される.確定診断には,リンパ節生検による組織検査,および免疫組織学的・免疫細胞学的検索が必須である.末梢血異常を認めた場合は,リンパ球の形態学的検索と細胞表面形質の検索が重要である.
著者
森川 和則
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.11-16, 2016-01-20 (Released:2016-04-20)
参考文献数
7

人間の視覚により知覚される主観的現実が物理的現実とは異なる場合がある。この現象は錯視と呼ばれる。この論文では日常生活に潜む錯視を視覚心理学の観点から論じる。錯視を積極的に活用している文化の代表格は化粧と服装(ファッション)であり,この分野での実証的・定量的研究を解説する。また,服装におけるバイカラー錯視,大きさ対比の錯視,アモーダル補完の錯視など,および服装以外の商品・製品における同化のデルブーフ錯視の例を紹介する。
著者
金 勲 林 基哉 開原 典子 大澤 元毅 阪東 美智子
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.77-87, 2015 (Released:2015-12-01)
参考文献数
15
被引用文献数
4 4

日本は超高齢社会として世界で最も高齢化が進んでおり,これに伴う高齢者施設の需要が急増している。高齢者は免疫力や感受性,環境調整力が低下するため,適切な室内環境や衛生環境を提供できる体制整備が必要であるが,環境衛生の維持管理・指導の法的根拠がなく,その管理は建築物管理に専門知識・経験を有さない施設管理者・運営者に委ねられている可能性がある。本研究では,高齢者施設の実態と課題を把握し,環境改善及び対策に資することを目的とし,首都圏の高齢者施設を対象に現場設問及び冬期実測調査を行った。温度・湿度・二酸化炭素濃度の実態と湿度環境の改善に関する検討を行った結果,温度及びCO2濃度に関しては概ね良好に管理されていたが,湿度については施設側の努力にもかかわらず,全施設において冬期最低基準とされる相対湿度40%を満たせない環境にあることが明らかとなった。また,施設によって換気量にはかなりの差があることがうかがわれた。今回調査対象とした施設のなかで建築基準法改正後の施設では換気・空調による外気導入量が多いことに起因することにより,絶対湿度が低かった。測定結果から得られた絶対湿度差及びCO2濃度差の相関と人体からの水分及びCO2発生量による理論的な相関を比べることで,換気量及び加湿の実態を推察できる可能性が示された。
著者
Keita Yaginuma Shuichi Tanabe Takuya Miyano Hiroshi Nakagawa Satoshi Suzuki Shuichi Ando Manabu Kano
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.68, no.9, pp.855-863, 2020-09-01 (Released:2020-09-01)
参考文献数
24
被引用文献数
3

In-line monitoring of granule water content during fluid bed granulation is important to control drug product qualities. In this study, a practical scale-free soft sensor to predict water content was proposed to cope with the manufacturing scale changes in drug product development. The proposed method exploits two key ideas to construct a scale-free soft sensor. First, to accommodate the changes in the manufacturing scale, the process parameters (PPs) that are critical to water content at different manufacturing scales were selected as input variables. Second, to construct an accurate statistical model, locally weighted partial least squares regression (LW-PLSR), which can cope with collinearity and nonlinearity, was utilized. The soft sensor was developed using both laboratory (approx. 4 kg) data and pilot (approx. 25 kg) scale data, and the prediction accuracy in the commercial (approx. 100 kg) scale was evaluated based on the assumption that the process was scaled-up from the pilot scale to the commercial scale. The developed soft sensor exhibited a high prediction accuracy, which was equivalent to the commonly used near-infrared (NIR) spectra-based method. The proposed method requires only standard instruments; therefore, it is expected to be a cost-effective alternative to the NIR spectra-based method.
著者
篠木 幹子
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.85-100, 2002-06-30 (Released:2009-10-19)
参考文献数
22
被引用文献数
1

環境配慮行動の実行に前向きであるにもかかわらず, 環境配慮行動に取り組んでいない人々が現実には少なからず存在する.本稿では, リサイクル行動の中でも, ビン・缶のリサイクルと牛乳パックのリサイクルに焦点をあて, 態度と行動の間に矛盾を抱える個人のリサイクル不実行のメカニズムを検討する.ここでは, Diekmann and Preisendöfer (1998) によって提唱された3つの正当化の戦略 (注意変更戦略, 高コスト戦略, 主観的合理性戦略) を修正し, 新たに「行動貶化戦略」を加えて, 正当化に関する修正モデルが一般的な合理的選択理論のモデルの観点から捉え直せることを示した.次に, 各戦略に関する予測を導出し, 仙台市において実施した調査データを使用して分析を行い, 予測を検証した.その結果, 態度と行動の間に矛盾のある人の中で, 行動貶化戦略をとる人はほとんどいないことが明らかになった.また, 注意変更戦略に関しては, 正当化が行われる可能性を推測できるが, 明確な傾向は得られなかった.これに対して, コスト戦略, 主観的合理性戦略は, リサイクルの種類にかかわらず正当化が行われる傾向がみられた.