著者
香川 由紀子
出版者
名古屋大学国際言語センター
雑誌
名古屋大学日本語・日本文化論集 (ISSN:1348804X)
巻号頁・発行日
no.28, pp.97-111, 2021-03-31

本稿では2019年度に実施した、名古屋大学国際言語センター全学向け日本語プログラムの入門講義「日本文学」について、作品の選択と学習者の表現活動および学習者の反応について報告した。留学生向けの文学の授業では、日本語運用能力が高い学習者を、読解に留まらず周辺知識を得て作品を味わい楽しむことに導くことが望まれる。そのためには教師の解説のみでなく、学習者が参加する活動が必要である。「日本文学」の授業ではこれに向けて、文化比較やジェンダーの観点から話し合いができる作品を近代文学を含めて選択し、表現活動として短歌の現代語訳を行った。学習者のアンケートからは、テーマが明確で平易な日本語で書かれた作品が読みやすいとは限らず、難解でも内容に共感し表現を味わっていることがわかった。古文や近代短歌を現代語訳する活動に関心のある学習者もおり、オノマトペや役割語など通常の日本語の授業で産出までは扱わない表現を、学習者が実際に使ってみる場にもできることが確かめられた。
著者
沖田 学 森岡 周 宮本 謙三 八木 文雄
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.541-545, 2007 (Released:2008-01-31)
参考文献数
19
被引用文献数
3

立位姿勢バランスの維持に問題を有する脳腫瘍の症例へ足部機能に焦点を当てた運動療法を施行し,改善が認められたので報告する。この運動療法とは,重心の変化を知覚し制御する役割を担う足部の能力に対して,足部の変化を制御しながら変化を知覚して判断する認知過程を通じて運動学習していく認知運動課題である。この課題として,縦軸もしくは横軸の不安定板を水平保持させながら,両端のいずれかに配置した重量負荷の位置を判断させた。これを左右足に1日各10回施行し,正判断数を記録した。また,開眼・閉眼下における立位姿勢動揺を3,4日ごとに計測した。課題の進行に伴い立位重心動揺が減少したことから,視覚性外部情報ではなく,内部の感覚情報を手掛かりとして重心偏位を認知することにより,効果的で精密な立位姿勢バランス制御の達成が可能になることが示唆された。
著者
広瀬 侑 佐藤 桃子 池内 昌彦
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.9-15, 2009-03-31

シアノバクテリアは真正細菌の中で独自の分類群を構成するが,非常に多様で生態学的にも重要である.またモデル生物として研究が非常に進んでいる.研究材料として代表的な種を選んでその特徴を概説する.
著者
山本 征孝 島田 雄宇 椿野 稔 栗田 雄一 大宿 茂
雑誌
研究報告高齢社会デザイン(ASD) (ISSN:21894450)
巻号頁・発行日
vol.2015-ASD-3, no.7, pp.1-5, 2015-11-07

嚥下障害を有する患者にとって,頸部や肩甲帯・体幹の姿勢を変化・保持させることは重要である.病院ではベッド上で食事をすることもあり,体力の低下した高齢者では不安定なベッド上では姿勢が崩れやすく,嚥下が行いにくくなる.そこで,当院で入院している患者を対象に頸部・肩甲帯の位置関係が嚥下障害に及ぼす影響を調査し,頸部・肩甲帯を同時に調整できる嚥下補助装具を作成したため報告する.
著者
矢原 隆行
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.343-356, 2007-12-31 (Released:2010-04-01)
参考文献数
29
被引用文献数
1 1

近年日本では,伝統的に女性的職業(pink-collar job)とみなされてきたいくつかの職業において,いまだ少数ながら男性の参入が着実に生じている.とりわけ,看護,介護,保育等のケア労働の領域で働く男性たちの姿は,それがさまざまな男性優位の職業領域に進出して活躍する女性たちの姿と対照して観察されるとき,今日の職業領域におけるジェンダー体制の変容を体現するものとして解されうる.しかし,これまでジェンダーに関する大量の成果を生み出している女性学のみならず,「男性性」に焦点をあてる男性学の領域においてさえ,そうした「男性ピンクカラー」に焦点を当てた社会学的研究はきわめて乏しい.本稿では,現代日本における男性ピンクカラーについて,とりわけ「ケア労働の男性化」という視座から観察を試みる.当事者を含む多数の語りから明らかなように,男性ピンクカラーは,ケア労働の領域における少数派であるがゆえ,時に「トークン」として位置づけられる.しかし,その位置づけは,男性が多数派であるような職業領域における少数派としての女性と単純な対称をなすものではない.そこに見出される捩れは,ケア/労働およびそれを取り巻く現代社会における普遍としての《男》というジェンダー秩序を映し込み,かつ映し返すものである.
著者
松田 真希子 松田 佳子
出版者
日本語教育方法研究会
雑誌
日本語教育方法研究会誌 (ISSN:18813968)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.36-37, 2016 (Released:2016-12-22)
参考文献数
6

In recent years, task-based Japanese teaching materials, such as Dekiru Nihongo (DK), have been published. This study provides a practical report of an intensive Japanese language program using the textbook DK for international university students, comparing it with the program that uses Minna no Nihongo (MN). The results indicate that students can improve their listening and production skills more by using DK, less grammatical knowledge is provided in DK, and academic contextualization is required to fulfill students' learning needs.
著者
綾木 雅彦
出版者
日本白内障学会
雑誌
日本白内障学会誌 (ISSN:09154302)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.27-30, 2016 (Released:2016-06-30)
参考文献数
27

白内障手術による運動機能と睡眠の改善効果について検討したので報告する.倫理委員会の承認のもと, 対象は研究の同意を得た白内障患者226名と視覚障害模擬患者11名である.方法は4メートルの歩行速度と睡眠の質(PSQI値=ピッツバーグ睡眠質問票)と生活の質(VFQ-25)を術前と術後2カ月, 7カ月に測定した.その結果, すべての指標が有意に増加し, 白内障手術により睡眠と歩行の質が改善することが示された.さらに, 視覚障害模擬患者による実験から, 視覚障害と歩行速度が相関することが示された.白内障は高齢者には必発の病気であり, 白内障の予防, 診断, 治療の進歩は高齢者の健康長寿に寄与すると考える.
著者
小股 憲明
出版者
京都大学人文科学研究所
雑誌
人文學報 (ISSN:04490274)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.201-241, 1994-01

英文目次誤植修正済. (原文) An Lese Magesty Affair in 1898 : The Speech of Republic by the Minister for Education Ozaki Yukio
著者
高志の国文学館
出版者
高志の国文学館
巻号頁・発行日
vol.平成27年度, no.(1), 2017-01-13
著者
渋谷 綾子
出版者
東京大学史料編纂所附属画像史料解析センター
雑誌
東京大学史料編纂所附属画像史料解析センター通信
巻号頁・発行日
no.91, pp.27-29, 2021-01-31

2020年10月12日、前近代日本史情報国際センターとの共催研究会報告。松尾大社所蔵史料の料紙におけるデンプン粒の分析を素材に、古文書料紙研究の現状を紹介。