著者
近藤 みゆき
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.45-52, 2001-03-31

マクロビオティックとは英語で, 日本語訳は「禅式長寿法, 自然食の食事法」とある.ベジタリアニズムの一種で, その食事内容は, 玄米・菜食中心で, 時として魚介類や卵を食べることもある.人々がベジタリアンを選ぶ理由は, 思想・信条的理由, エコロジーへの配慮のため, あるいは, 社会的倫理的信念からなど, いろいろある.最近, アメリカでは, 疾病の予防や健康の向上のためにベジタリアン食が選択されることが多くなってきた.1970,80年代からベジタリアンに関する学術論文も増えてきており, ベジタリアン食を摂取している人たちは, ある種のガン, 虚血性心疾患, 高血圧症, 糖尿病の罹患率が明らかに低いということが知られている.本報では, ベジタリアンの全体像をとらえ, この中でマクロビオティックについて, 起源・内容などを紹介する.また, マクロビオティックに関する学術論文から栄養的側面もとらえる.
著者
府川 宗雄
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.96, no.7, pp.600-601, 1990-07-15
著者
山路 勝彦
出版者
関西学院大学
雑誌
関西学院大学社会学部紀要 (ISSN:04529456)
巻号頁・発行日
vol.97, pp.25-40, 192, 2004-10-28

This paper is concerned with the Colonial Exposition in the early 20^<th> century in Tokyo and Osaka. The content is as follows: 1. The Colonial Exposition in 1912/13 The Takusyoku Hakurankai, held in Tokyo in 1912, was the first Colonial Exposition in Japan, the purpose of which was to display special products from colonies such as Hokkaido, Sakhalin, Taiwan, Korea and Manchuria. This exposition was aimed to provide an opportunity to demonstrate that the Japanese government had succeeded in ruling these colonies. 2. Anthropologists and the Display of Aborigines It is quite interesting that many physical anthropologists at Tokyo University, like Tsuboi Shogoro, worked together with the government staff, displaying aborigines from the colonies as if they were just exhibits. These anthropologists were delighted that they had an opportunity to measure the parts of the bodies of aborigines. The Tokyo Anthropological Association issued commemorative postcards entitled "Aborigines in Japanese colonies". 3. Aborigines in Expositions in the Syowa era Aborigines of the Colonial Exposition were just like a display in a museum, showing their costumes or their features for the Japanese people. However, the situation changed slightly in the Syowa era. In those days, aborigines joined in events of various expositions, performing their traditional music and dances on the stage planned by entertainers in a funny style. Aboriginal dancers were no longer silent objects of exhibition.
著者
棚次 亘弘 成尾 芳博 倉谷 健治 秋葉 鐐二郎 岩間 彬
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.55-106, 1983-03

The Institute of Space and Astronautical Science (ISAS) has developed the two thrust level of LH_2/LOX propulsion system; one is the 7-ton thrust level one and the other is the 10-ton thrust level one. The 7-ton thrust level engine was aimed at usimed at using for the second stage of the Mu vehicle. And the 10-ton thrust level engine is planned to back up the H-1 project being performed by the National Space Development Agency (NASDA). The both engines are the gas generator cycle which consists of the tubular wall thrust chamber, the "ISAS Arrangement" turbopump, the "reverse-flow" type gas generator and the solidpropellant turbine spinner. The development of the 7-ton thrust level engine has started in 1976. By 1980 have almost finished the development tests of its major components. In early 1980 the engine system has been integrated and then the verification tests have been carried out. On the other hand, the development study of the 10-ton thrust level engine started in 1979. In midyear 1981 the engine system has been completed. The both engines were combined with the battle-ship type of tank system, and stage firing tests were carried out successfully from Sep. 1981 through Apr. 1982. The 7-ton thrust level engine worked well within the range from 78% to 1l8% of its rated power. And the 10-ton thrust one worked well within the range from 75% to ll3%. In the present paper, an outline of the LH_2/LOX engine systems developed in ISAS, the progress in the establishing of an operation of engine systems and the performance capability of two systems are described.
著者
常松 淳
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.152-169, 2007-09-30 (Released:2010-04-01)
参考文献数
45

日本の法の世界では,「要件=効果」モデルを核心とする「法的思考」に収まる形で“ナマの”紛争を再構成することが自らの活動を法的なものにすると考えられている.民事訴訟において裁判官は,この枠組みに即して権利(不法行為責任の場合なら損害賠償請求権)の有無を判断することになるわけである.このような法的枠組みと,紛争当事者からの非‐法的な期待や意味付けとが齟齬を来すとき,社会からの自律を標榜する法は一体いかなる仕方でこれに対処しているのか? 本論文は,不法行為責任をめぐる近年の特徴的な事例――制裁的な慰謝料・懲罰的損害賠償を求めた裁判や,死亡した被害者の命日払いでの定期金(分割払い)方式による賠償請求――の分析を通じて,この問いに答えようとするものである.これらのケースは,法専門家によって広く共有された諸前提――不法行為制度が果たすべき目的に関する設定や,定期金方式を認めることの意義など――と相容れない要素を含んだ請求がなされた点で共通するが,前者は全面的に退けられ後者は(一部の訴訟に限っては)認められた.法の条件プログラム化がもたらす「(裁判官の)決定の結果に対する注意と責任からの解放」(N. Luhmann)という規範的想定と,法専門家に共有された制度目的論が,諸判決で示された法的判断の背後において特徴的な仕方で利用されている.
著者
野上嘉三郎 著
出版者
国友社
巻号頁・発行日
vol.前編, 1890
著者
深堀 聰子
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.1_22-1_27, 2019 (Released:2019-02-02)
参考文献数
9

Unlike its European model, the Japanese Diploma Supplement focuses not on improving fair recognition of qualifications but on making explicit the learning outcomes actually acquired by students through completion of their degree programs. This paper argues that this difference is due to the fact that the Japanese Higher Education Quality Assurance System is not equipped with a Higher Education Qualifications Framework. Because Japanese universities are unable to define their expected learning outcomes based on an agreed framework of higher education learning outcomes, they are obliged to convince stakeholders of the value of the degrees they confer by demonstrating the learning outcomes actually achieved by each of their graduates. This paper argues the urgent need of the higher education community to engage in collaborative discussion on higher education learning outcomes which will lead to the construction of a Japanese Higher Education Qualifications Framework.
著者
島岡 隆行 中山 裕文
出版者
国際ジオシンセティックス学会 日本支部
雑誌
ジオシンセティックス論文集 (ISSN:13446193)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1-10, 2014 (Released:2015-04-27)
参考文献数
13

廃棄物埋立地の遮水工に遮水シートが用いられてから約40年が経過し,今では最も一般的で,多くの実績を有する遮水材料となっている.その間,遮水シートの材料特性に関する知見に比べて,廃棄物埋立地への遮水材料としての適用に関する知見は不足していた.本報では,実埋立地の遮水シートを対象とした劣化の実態と耐久性の予測手法の提案を始め,リモートセンシング技術を活用した精度高い遮水シート敷設時の接合検査法の開発や広範囲にわたる迅速な遮水工の管理手法を紹介している.また,廃棄物処分場が抱える問題と解決のための遮水シートに係る研究課題について述べている.
著者
田邉 佳紀 小野寺 麻由 中務 真人 國松 豊 仲谷 英夫
出版者
The Geological Society of Japan
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.126, no.4, pp.167-181, 2020-04-15 (Released:2020-07-31)
参考文献数
36
被引用文献数
1

アフリカヨシネズミ(齧歯目,ヨシネズミ科)は二種の現生種がアフリカ・サハラ以南に生息している.先行研究では,現生のヨシネズミ属はその化石記録からアフリカの後期中新世末に出現したと考えられていた.日本-ケニア調査隊はケニア北部に分布する上部中新統ナカリ層(約10Ma)からヨシネズミ属の新種Thryonomys kamulai, sp. nov.を発見した.筆者らは頬歯化石を基に本種の記載を行い,ヨシネズミ属の中では小型で,また固有の稜縁歯(lophodonty)を有することが特徴づけられた.この発見により,ヨシネズミ属の初産出記録が後期中新世の約10Maに更新され,彼らは少なくとも10Ma以前にアフリカに生息していたことが考えられる.
著者
竹下 欣宏 桐生 和樹 花井 嘉夫 北澤 夏樹 川上 明宏
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.5, pp.291-307, 2017-05-15 (Released:2017-07-25)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

2014年9月27日午前11時52分ごろ,御嶽山で水蒸気噴火が発生した.我々は,この噴火による詳細な降灰範囲を明らかにすることを目的として,長野県,山梨県,群馬県,東京都においてアンケート調査を実施した.アンケート結果と既存の研究による降灰確認地点に基づき降灰域を検討した結果,長野県中南部および山梨県の北西部の広い範囲において9月27日の噴煙から1g/m2以下の微量な降灰があったことが明らかになった.27日の噴煙による微量な降灰域は,降灰軸の南側,特に木曽山脈と赤石山脈に囲まれた南北に長い伊那盆地内において広いことが明らかになった.このことは,微量な降灰域は上空の風だけでなく,地上付近の風と地形にも影響を受けることを示している.微量な降灰域に対する地上付近の風の影響は浅間山や桜島のマグマ噴火でも確認されており,細粒な火山灰が降下する際には普通に起こっているものと考えられ,2014年御嶽山の水蒸気噴火でも確認された.
著者
田中 健一
出版者
名古屋大学高等教育研究センター
巻号頁・発行日
2012

2011年度名古屋大学学生論文コンテスト優秀賞(附属図書館長賞)受賞
著者
佐藤 彰一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

タキトゥスが『ゲルマーニア』を著した後1世紀以前の北西ヨーロッパを生活圏とした「ゲルマン人」の実態を探る一環として、彼らの経済生活を解明しようとした。筆者はタキトゥスの前掲書第45章に見える、ゲルマン人の琥珀交易の実態を解明したいと考えた。琥珀は松材に含まれる樹脂が化石化したもので、北海沿岸からバルト海南岸、南東岸、東岸を産地としている。古代の著作家の記述にはシチリア島や地中海北岸のリグリア地方でも産するとあるが、通常琥珀酸10~13%含まれるのに、これらの地域から産するものには琥珀酸の含有が欠けていて、紛い物である。真正の琥珀は「北の黄金」と称され、装飾品、薫香剤として重宝され、現在の中東地域まで「輸出」された。この点は最近シリアで発見された貴族身分の女性の墓から見つかった琥珀ビーズが蛍光スペクトラム分析で、バルト海産の琥珀であることが実証されている。研究は古典古代の著作家の記述の網羅的な調査と、そこから浮かび上がるバルト海地方とギリシアを初めとする東地中海地方との交易のルートの調査を行なった。後者の問題は主に最近の考古学研究の発掘報告書に導かれた。ホメロスも含めて、ホメロス以前の琥珀に関する所見があり、筆者が注目したのは交易ルートのうち、おそらく最も古いと思われるものがバルト海から南ロシアを経て、黒海に至るルートである。それはトロイ戦争が起こったとされる前1200年よりも古い『アルゴナウタイ』の伝承に反映していると思われる。「アルゴナウタイ」の航海者たちが、黒海から現在のアゾフ海に入り、ドン川を遡り、いくつかの河川ルートを使って、バルト海と思しき海に達し、そこから北海に入り、イベリア半島を周航し、「ヘラクレスの柱」すなわちジブラルタル海峡をへて、地中海経由で故郷ギリシアに帰還するのである。北西ヨーロッパと東地中海世界との交易は、想像以上に古い歴史を持っているのである。