著者
水原 寿里
出版者
文化女子大学
雑誌
文化女子大学紀要. 人文・社会科学研究 (ISSN:09197796)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.71-85, 2000-01-31

人間はその長い歴史の流れの中で, 文化や文明を発展させたが, 言葉の表現においても時代とともに変遷が見られる。社会全体が豊かになると, 言葉の表現も豊かになり, 同時に単語の窓味も多様性を帯びてくる。表の意味と裏の意味, また喩えなどにその豊かさが現れてくる。本稿の図的は, 長い歴史の潮流の中で, 文化的・政治的・社会的・宗教的な言語要因により「色」に対する中国語の用語用例がどう変遷したかを考察することにある。中国は国土が広いため, 各地域の風土・風俗習慣, また民族性などの特色が, 色彩の特色ともなって現れる。色の解釈によって, 中国語に含まれるニュアンスを正しく理解し, それを正確に使用したり, また各地域を一層よく理解したりするために, 色の言語用例に基づいて, その表層の意味(陽としての, 賛美し褒め称えるニュアンス) と,深層の慈味(陰としての, 皮肉・非難咎めのニュアンス) の二面から考察する。
著者
梅木 佳代
出版者
北海道大学文学研究科
雑誌
研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.35-67, 2016-01-15

本稿は,エゾオオカミ(Canis lupus hattai)に関する従来の研究動向を概観し,個々の論点における現状の到達点と問題点を整理することを目的とする。日本国内にかつて生息していたエゾオオカミおよびニホンオオカミ(Canis lupus hodophilaxあるいはCanis hodophilax)は,どちらも明治時代に絶滅した。これら在来のオオカミに対する関心は高く,明治時代以来さまざまな形で情報の発信と蓄積が行われてきた。しかし,その内容や成果の全体が整理されまとめられたことはない。本稿では明治時代から現在までに刊行された日本のオオカミについて記述がある文献を収集し,そのうちエゾオオカミに言及する213件の文献を分析対象としてその研究史を検討した。これらの文献の内容から,従来の知見の多くが限られた事例に基づいて提唱されたものであること,その妥当性の評価が行われていないことが示された。エゾオオカミに関する研究・議論においては,北海道内にオオカミが生息していた期間の記録や情報,そして確実な標本資料の双方が非常に少ないことが常に議論の前提とされてきた。しかし,専門的・学術的な議論の中ではそうした前提をふまえた「仮説」として提示された記述が,繰り返し参照されるうちに定説と化している。また,限られた情報に基づいて提唱された知見が一般化される一方で,エゾオオカミに関する情報や資料を体系的に収集し,情報を質・量ともに拡充しようとする試みはごく一部にとどまっている。今後のエゾオオカミに関する研究では,既存の知見の妥当性の評価が求められると同時に,検討対象とするべき情報や事例の数を増やすことが優先的に目指されるべきである。
著者
片山 卓也
出版者
JAIST Press
巻号頁・発行日
pp.1-146, 2021-12

国民年金法のような行政サービスに関する法令は,その内容は明確であり,文章上の見かけの複雑さの割には論理的深度は深くない.したがって,形式的手法によってその内容を記述することにより,可読性が高く,機械的なテストや分析が可能な法令記述が得られる可能性が高い.また,このような法令は我々の社会の制度的基盤であり,その法令実働化IT システムが我々の社会生活を 支えていることを考えると,法令に対する形式的技術の確立は重要である. 本書は,このような立場から行政サービスに関する法令を意図した通りに正しく作る上で,法令の形式的記述と自動検証技術の可能性を,国民年金法の基本的条文の述語論理による記述と定理自動証明器(SMT ソルバー)Z3Py による検証事例に基づいて述べたものである.近年の定理証明技術の進歩や計算機システムの高性能化により,このような技術は十分に実用化可能であるというのが本書の結論である.法令の度重なる改正に対応するため法令実働化ITシステムの内部構造劣化が進み,保守の困難性が社会的な問題となっているが,本書で述べる技術はこの問題に対する有力な解決法になると思われる. 本書は2部から構成されている. 第I部はこのような新しい法令作成方法論の原理的可能性を示すために書かれた,日本ソフトウェア科学会誌「コンピュータソフトウェア」36巻3号(2019)に掲載された論文をそのままの形で転載したものである. 被保険者の資格,年金の支給期間及び支払期月,併給の調整に関する3 つの典型的条文を通して,論理式化の方法やその構造化の方法等を示すと同時に,検証に必要なテストデータとしての年金原簿の扱いなどについて述べている.また,条文の誤りの定理証明システムによる検証例について述べている. 第II部は,第I部で述べた内容を事例の面から補強するために,そこで紹介した方法を国民年金法のより多くの条文へ適用した結果を詳細かつ具体的に述べたものであり,このような手法を広く実践する際の助けとなることを目的としたものである. 各条文ごとに,(1)条文の文章,(2)論理式記述,(3)検証スクリプトと検証結果,(4)それらの内容に関するメモを付加した.論理式記述は,パターン表現を用いてなるべく簡潔になるように心懸けたが,このようなパターンの定義などを基本用語定義集として纏めた.検証においてはテストデータとしての年金原簿が必要であるが,各条文の検証に必要な複数の年金原簿も纏めて収録した.最後に,日付けを抽象データとして扱った検証事例,実際の暦による日付け記述,論理式記述に基づく年金システムシミュレーターの構成の概略などを収録した.
著者
林 美希
出版者
早稲田大学多元文化学会
雑誌
多元文化 (ISSN:21867674)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.二三五-二二二, 2018-02-28
著者
福田 博美 後藤 正樹 岡本 陽 山田 浩平 五十嵐 哲也 山田 玲子
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教職キャリアセンター紀要 (ISSN:24240605)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.167-174, 2022-03-29

学校における子供の「おもらし(尿便失禁)」の援助の現状を示し、排泄支援に関する課題を明らかにすることを目的とした。養護教諭の調査から、学校種を問わずほとんどの学校で「おもらし」は起こっており、養護教諭が主たる援助者として対応していた。養護教諭・教諭共に、教員養成段階で「おもらし」の対応は学ぶ機会が少ないという学習の課題があった。さらに、教員の「おもらし」に対する対応の知の蓄積がなされていない課題、医療機関との関係の課題、「おもらし」の片付けのマニュアルが嘔吐の消毒のように作成されていないという感染拡大を予防する危機管理の側面の課題も見つかった。「おもらし」の着替えやお尻を拭くといった子供への対応や汚れた床などの片付けは、十分な時間が無く、人手不足を感じる負担に思う支援であった。今後、排泄に関する学習機会を、養成教育および現職教育において効果的に提供する方法や、科学的根拠に基づいた学校での「おもらし」への支援のマニュアル作りが望まれる。
著者
宗像 みずほ 冨岡 森理 角井 敬知
出版者
利尻町立博物館
雑誌
利尻研究 (ISSN:09199160)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.5-18, 2023-03

We report six freshwater ostracods from Rishiri Island, Hokkaido, Japan: Cypricercinae sp., Cavernocypris sp.1, Ca. sp.2, Cypridopsis vidua, Candonini sp., and Metacypris cf. digitiformis. This is the first report of freshwater ostracods from this island. We provided brief descriptions of their morphology, presented partial nucleotide sequences for their mitochondrial cytochrome c oxidase subunit I(COI) and/or nuclear 18S rRNA genes, and determined a partial 16S rRNA sequence for the endosymbiotic bacterium Cardinium in some species. A key to six species collected from this island was presented.

3 0 0 0 OA 英米の俗信(1)

著者
小泉 直
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 人文・社会科学編 (ISSN:18845177)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.43-50, 2012-03-01
著者
髙井 愛子 長井 美有紀
出版者
福井大学教育・人文社会系部門
雑誌
福井大学教育・人文社会系部門紀要 = Memoirs of the Faculty of Education, Humanities and Social Sciences University of Fukui (ISSN:24341827)
巻号頁・発行日
no.7, pp.113-132, 2023-01-20

本研究は研究ノートで、サステナブル化粧品におけるエコ認証マークの認知度や理解度、その重要性について現状を把握し、どの程度生物多様性の理解が消費者において浸透しているのかを調査する。海外で先行しているサステナブル化粧品の事例を通じて、今後の有効な化粧品への認証マーク活用についての研究課題の検討を目的としている。
著者
吉川 宏
出版者
北海道大学法学部
雑誌
北大法学論集 (ISSN:03855953)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3-4, pp.21-113, 1963-03-30
著者
吉川 宏
出版者
北海道大学法学部
雑誌
北大法学論集 (ISSN:03855953)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.66-157, 1963-08-31
著者
彌永 信美
出版者
弘前大学國史研究会
雑誌
弘前大学國史研究 (ISSN:02874318)
巻号頁・発行日
no.106, pp.17-41, 1999-03-30