著者
山下 宏
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2022論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.167-174, 2022-11-04

将棋の棋譜から対局者名を深層学習で推測した。アマの棋譜とプロの棋譜、それぞれ別に検証した結果、アマは98.9 %、プロは57.2 %を特定できた。棋譜は1 局面だけを与えるのでなく、連続した64 局面以上を与えると精度が上がる。また対局日の情報は重要である。40 年など長期間にわたるプロの棋譜では流行の戦法を多くの棋士が指すため特定が難しい。アマのネット将棋の棋譜は短期間、短時間で指されるため好みの陣形を何度も選択しやすく個人の特定が容易である。
著者
小泉 昂也 折原 良平 清 雄一 田原 康之 大須賀 昭彦 Takaya KOIZUMI Ryohei ORIHARA Yuichi SEI Yasuyuki TAHARA Akihiko OHSUGA
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18810225)
巻号頁・発行日
vol.J101-D, no.9, pp.1363-1371, 2018-09-01

人や企業は様々な条件下で最適な行動を取るのだろうか.取らないのであればそれはなぜか.その原因を求めることは,実際の個人・企業等の理解を大きく助ける.また,ゲーム理論はスポーツや経済学そしてその他の社会科学の理解に大きく関わってきた.本研究は比較的データが集めやすく混合戦略を適用できるサッカーのPK戦に注目し,独自の確率を考慮した利得表を作成した.その利得表を用いてPK戦におけるキッカーの最適戦略を求め,最適戦略と実際の戦略とのズレを明らかにした.そのズレの原因を求める為にデータセット内の各データ項目についての確率分布を比較するというアプローチをした.データはインターネット動画サイトより収集した,プロ選手による2001年〜2017年の間の世界各国のPK戦150試合(計1539人分)を使用した.実験結果として,最適戦略と実際の戦略との間にズレが存在することが分かった.またそのズレには国籍・スコア差の関与が示唆された.その結果から,サッカーPK戦における最適戦略と実際の戦略との間におけるズレの原因を推定した.本手法はスポーツ分野以外への応用も期待できる.
著者
小川 功
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 = JOURNAL OF ATOMI UNIVERSITY FACULTY OF MANAGEMENT (ISSN:13481118)
巻号頁・発行日
no.27, pp.1-29, 2019-01

鉄道網が拡大する明治20年代から明治30年代までの私鉄勃興時代に、特定の企業や信仰を背景とせず、旅館業者同士の緩やかな結合による共済組織で「定宿帳」(同盟旅館の名簿類)を発刊した「一新講社」と「大日本旅館改良組」の形成過程を分析した。さらに同種の「日本同盟大旅館会本部」が刊行した時刻表『旅行独案内』と「全国漫遊の独案内とも云つべき有益雑誌」の『大旅館雑誌 旅客之楽園』の内容をごく少数の残存号を発掘して紹介した。明治31年10月発行した創刊号は一ヵ月前同一団体で創刊した時刻表の姉妹編ないし別冊特集といった性格を有する。鉄道に関する特異なまでの詳述傾向は『大旅館雑誌』発行所主事・赤井直道「漫遊者大中居士の実地視察感悟に因て起稿」した個人的嗜好によるものと判断した。最後に『大旅館雑誌』に掲載された「大旅館」がどのような旅館であったのかを数量的に検証し、京都・奈良・金沢の古都等での掲載旅館群のその後の栄枯盛衰の軌跡を探索した。
著者
八百 啓介
出版者
北九州市立大学文学部
雑誌
北九州市立大学文学部紀要 = Journal of the Faculty of Humanities, the University of Kitakyushu (ISSN:13470728)
巻号頁・発行日
no.74, pp.37-46, 2008

本稿は近世の菓子料理書における飴の製法から外来技術の影響を探るとともに、近世小倉藩における飴の生産についての近年の研究成果を踏まえて、北九州地域の飴について考察するものである。すなわち、江戸時代においては糯米・麦芽を原料とする麦芽飴に空気を混入した堅飴と砂糖を原料とする砂糖飴の二種の外来系の飴が存在したのである。三官飴は、中世以来の膠飴(地黄煎)をもとに、近世初期に西日本各地に来航した唐人によってもたらされた気泡を入れるための牽白技術によるものと考えられるが、小倉の「三官飴」は、本来の三官飴とは別種の粘度の低い引飴の一種であったと思われる。
著者
後藤 蔚
出版者
東洋大学
巻号頁・発行日
2009-03-25

2008
著者
成 耆政 葛西 和廣
出版者
松商学園短期大学総合研究所
雑誌
地域総合研究
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.73-95, 2010-06
著者
矢野 栄二 西川 翔子 山根 雅史
出版者
近畿大学農学部
雑誌
近畿大学農学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Agriculture of Kinki University (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
no.41, pp.1-10, 2008-03-01

Aphidoletes aphidimyza (Rondani), an aphidophagous species of Cecidomyiidae, is widely distributed in the world.Larvae of this species feed on a wide variety of aphids, at least 80 species having been known as hosts. In many countries,A. aphidimyza has been used extensively as a biological control agent against aphids, particularly in greenhouses, andhas been proved effective. An exotic strain of this species has been commercialized to control aphids in protected culturesince 1998 in Japan. Use of this strain has not been very successful, possibly because of maladaptation to environmental conditions in Japan or improper use of the strain. Study of the natural distribution of A. aphidimyza in Japan, prior to commercialization of its exotic strain, revealed that this species is distributed commonly in Japan. Use of domestic strains,which are well adapted to both the physical and biological environments in Japan, is recommended to avoid environmental risk by use of the exotic strain. The biology and use for biological control of European strains of A. aphidimyza have been studied and published by many authors. It is worthy to review these studies for the development of biological control using domestic strains of A. aphidimyza in Japan. In this review, the biology of A. aphidimyza, i.e., the taxonomy, morphology, development, oviposition, predation, mating and interspecific interactions with other natural enemies, will be described. Then, mass production and storage of this species, its use for biological control in greenhouses and its role in the regulation of aphids in orchards will be discussed as practical information.
著者
青山 巧
出版者
京都文教大学
雑誌
臨床心理学部研究報告 = Reports from the Faculty of Clinical Psychology Kyoto Bunkyo University (ISSN:18843751)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.147-158, 2022-03-31

Today, we see a diversification in the attitudes toward and circumstances of romantic relationships, as seen in the variety of gender identities and sexual orientations, and changes to the ways people meet due to the emergence of dating apps. However, there are few psychological studies focused on romantic relationships.This study aims to investigate the trends and problems of research into romantic relationships in Japan, focusing on the nature of the subjects of research, research participants, research methods and the definition of a romantic partner. In line with previous studies, the scope of research materials was limited to papers on romantic relationships published in academic journals between April 2013 and March 2020 by 56 academic associations that are members of the Japanese Union of Psychological Associations (as of April 2021).Based on our criteria, we found a total of 33 studies for analysis. Using the KJ method, we conducted analysis on what kind of phenomena were the subject of research. Studies were then classified into six categories: emotional experience and cognition; pathological phenomena; phenomena related to relationship continuity; comparison with other relationships; effects; and relationship research methodology. Romantic relationship research conducted in Japan in recent years is said to have been more focused on negative emotional experiences such as jealousy, anger, anxiety, and so on, in addition to pathological phenomena such as domestic violence, stalking and controlling behavior.When focusing on survey participants and survey methods, we found that, excluding two reviews, 23 of 31 studies (69.7% ) conducted questionnaire surveys on university students. This suggests a persistent bias in terms of survey participants and methods. Of the 33 studies, 11researches restricted their survey participants to heterosexuals. Out of which, only four defined the nature of a romantic partner, and all focused on heterosexuals.
著者
上間 篤
出版者
名桜大学
巻号頁・発行日
no.14, pp.1-10,

千代金丸と称される琉球王朝ゆかりの貴重な刀剣が今に伝世する。史書を参照すれば、この刀の本来の所有者は、三山時代の終焉期に今帰仁勢力を率いた攀安知であったことが判る。ところが、攀安知とその勢力の氏素性の観点から、千代金丸の来歴に言及した論考はいまだ皆無に等しい。興味深いことに、近年今帰仁城跡及びその周辺域から出土した考古学史料には、元朝に仕えて江南地方の経営と治安維持に奔走した西域出自の騎馬軍団との繋がりを反映する文物が数多く含まれている。本稿では、騎馬文化との関わりを傍証するこれらの考古学史料を拠り所にして、片手持ちの拵えを特徴とする千代金丸の来歴の真相に迫る。
著者
齋藤 雅史 伊藤 毅志
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2021-GI-46, no.3, pp.1-6, 2021-06-12

近年,将棋 AI はプロ棋士をはるかに凌駕するレベルにある.その結果,多くのプロ棋士が将棋 AI を自身の研究に取り入れるようになってきている.AI が賢くなるにつれて,我々人間は AI の影響を受け,その思考にも変化が生じている可能性がある.一方で近年の賢い AI が人間の思考に与える影響に関する研究はまだ少ない.将棋 AI は 2015 年頃に人間のトップを超えたと言われ,特に勝負の世界で生きているプロ棋士はその影響を強く受けていることが予想される.そこで,本研究では,人智を超えた将棋 AI の登場がプロ棋士に与えている影響について調査する.具体的には,プロ棋士の棋譜に注目し,将棋 AI を用いて AI との着手一致率や評価値の推移などを調べ,どのような変化が現れているのかを定量的なデータをもとに考察していく.
著者
大賀 郁夫 Ikuo OHGA
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 = Bulletin of Miyazaki Municipal University Faculty of Humanities
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-24, 2015-03-13

「交代寄合」は旗本身分のひとつで、かつては「三千石以上の無役の旗本で参勤する寄合」と定義され、幕末期には三三家があった。米良氏は米良山を領する交代寄合であったが「無高」で、参府はするものの江戸屋敷も持たず人吉藩江戸屋敷に寄居した。本稿では交代寄合である米良氏について、その系譜を整理・検討し、人吉藩との関係から人吉藩支配米良山の成立過程、米良氏の家督相続、参府状況、領主仕置権の観点から検討を加えた。そこで確認できたのは、米良氏の家督相続や参府額・暇願など、対幕府関係のほとんどすべてが人吉藩を通して行われていたこと、さらに米良氏の領内で起きた逃散などの事件でも、米良氏が独自に刑罰を科すことはできず、幕府や諸藩との交渉を含め人吉藩が主体となって処理がなされていたことである。また米良氏は「無高」とされ、米良山に設定された鷹巣山の管理が唯一の「役」であった。五年に一度参府をしたが、参府中は人吉藩江戸屋敷を仮住居とし、幕府の諸儀礼にも参列せずに一~二ヶ月で帰山したことなどを明らかにした。
著者
森 類臣 Tomoomi Mori
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Hyoron Shakaikagaku (Social Science Review) (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.89, pp.31-87, 2009-10-10

本研究は、2003年に盧武鉉元大統領が行った「記者クラブ」解体のプロセスに焦点を当てている。記者クラブは、日本による朝鮮半島植民地支配の遺物として、日本だけでなく韓国にも戦後継続して存在していた。官庁や大企業などの主要情報源におかれていた記者クラブを、韓国の歴代政権は情報統制に利用し、また、記者クラブ自体が排他的・閉鎖的・差別的構造を持っていたことは、日韓とも同じであった。2003年の記者クラブ解体前には、『ハンギョレ新聞』『オーマイニュース』などによる対記者クラブ闘争があった。