著者
瀬古 弘 吉崎 正憲 楠 研一 つくば域降雨観測実験グループ
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.93-103, 1998-02-28
参考文献数
13
被引用文献数
5

1995年8月16日, 東北地方を横切って東西に延びる寒冷前線が南下した時に, 関東地方で南西から北東に線状に並んだスコールラインが見られた。このスコールラインの成熟期の構造を, つくばのドップラーレーダー, アメダス, 気象官署や地方自治体(群馬県, 埼玉県, 栃木県, 茨城県)の観測データなどを用いて解析した。スコールラインの中では, 強い降水域が進行方向前面に並び, 後側に弱い降水域が広がっていた。スコールラインの移動に相対的な地上風の分布を見ると, 降水域では冷気外出流に伴う発散があり, その前面では前方からの暖かい風との収束がみられた。一方, 高度2〜4 kmの水平風をみると, 強い降水域では後方へ吹き出し, 弱い降水域では後ろからの乾いた空気の吹き込みが見られた。地上の気圧のメソスケールの変動を見ると, 降水域の前面で低圧, 強い降水域で高圧, 降水の止むところでは低圧であった。規模は小さいけれども, 本事例のスコールラインはアメリカ中西部や熱帯で見られるものとよく似た特徴を持っていた。
著者
林田 理惠 横井 幸子 黒岩 幸子 宮崎 衣澄 金子 百合子 山本 有希 柳町 裕子 熊野谷 葉子 堤 正典 小林 潔 小田桐 奈美 角谷 昭美 加藤 純子 北岡 千夏 佐山 豪太 竹内 敦子 ボンダレンコ オクサーナ 三浦 由香利 宮本 友介 依田 幸子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

国内ロシア語教育各機関における教育カリキュラムの質的評価を行い,問題点を明確化,さらに各機関における語学能力到達度の相互比較を実施した.また全国高校・高専・大学ロシア語学習者1114名を対象にアンケート「ロシア語とロシア語学習に対する意識調査」を実施,量的・質的分析に基づき学習者の動機づけと学習環境との相関性観察を行った.国内外でその結果を発表,ロシア語学習者の傾向を明らかにし,ロシア語教育のあるべき方向性について明確な指針を提示した.さらに,カリキュラム・教材開発,指導方法,評価システム,就職関連情報等について,各機関教員の共同利用サイト『ロシア語教育支援・就職情報』を構築し公開した.
著者
中島 義雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.975, pp.34-36, 2008-04-07

船井電機にとって,2007年は飛躍の年になる予定だった。薄型テレビ市場が北米で本格的に立ち上がり,普及価格帯の製品に強みがある船井電機にとって好材料がそろっていたからだ。しかし…。 結果は無残だった。業績予想を何度も下方修正した。2008年3月期の最終的な営業損益は,1999年の上場以来,初めての赤字になる予定である。一体何があったのか。
著者
石合 正道
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ファンコニ貧血(FA)経路は、活性化され、その中心的役割を担うFANCD2がモノユビキチン化されるが、モノユビキチン化FANCD2の生理的役割はいまだ充分には解明されてない。我々はFANCD2の会合分子探索を行い、ユビキチン結合ドメインをもつUBR5とUFD1を同定した。本研究では、ubr5欠損細胞、ならびにsiRNAによるufd1ノックダウン細胞の作製・解析、FA経路分子との相互作用、マイクロレーザー照射によるDNA損傷部位へのタンパク質の集積などの検討を行った。当初の予想に反し、UBR5、あるいはUFD1ならびにその関連分子ともFA経路との機能的相関が弱いことが示唆された。
著者
薬袋 秀樹
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
図書館学会年報 (ISSN:00409650)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.145-160, 1997-12-30

現在, 地方分権推進委員会は, 地方分権, 規制緩和の観点から, 地方自治体における様々な専門職員の必置規制の廃止や見直しを勧告している。国から補助金を受ける公立図書館には, 館長が司書資格を持つこと, 一定人数の司書及び司書補を配置することが義務づけられているが, この2点の廃止が勧告されている。本稿では, 必置規制の定義, 評価, 成立条件を明らがにし, 現在の司書の制度がその成立条件を満たしているかどうかを検討した。その結果, 次の4点が明らかになった。(1) 地方では司書の養成・資格取得の機会が不十分である。(2) 司書資格の学歴要件と取得方法が柔軟性に欠ける。(3) 司書の配置は小規模自治体にも義務づけられている。(4) 司書の力量の客観的評価は行われておらず, 教育内容が不明確である。これらをもとに, 司書資格の取得方法, 司書の力量の評価, 図書館学教育, 司書の人事管理等について,そのあり方を論じた。
著者
中嶋 貞雄
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.699-705, 1996-10-05
著者
五十嵐 淑郎 佐伯 知司 四ツ柳 隆夫
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.39-43, 1983-01-05
被引用文献数
4 4

新しい水溶性ポルフィリン,α,β,γ,δ-テトラキス(5-スルホチエニル)ポルフィン{T(5-ST)P}を合成した. T(5-ST)Pは水によく溶解し,その水溶液は安定で,しかも酸性pH条件における試薬及びその錯体の二量体生成反応は認められなかった. ソーレー帯における吸収スペクトルは,酸性型(H_4P^<2+>)が特異的に長波長側(456nm,ε=32.9×10^4cm^<-1>mol^<-1>dm^3)に位置し,亜鉛錯体(428nm,ε=41.7×10^4cm^<-1>mol^<-1>dm^3)と十分離れていた. このスペクトル特性を利用して,二波長増感法による10^<-9>g/cm^3の亜鉛(II)の吸光光度法を開発した. 本法のsandell指標は,1.12×l0^<-4>μg/cm^2であり,公定法であるジチゾン法の14.3倍の感度である. 又,相対標準偏差値は1.31μ/25cm^3の亜鉛(II)に対しO.6%(10回測定)であった. 本法を市販の四塩化炭素特級試薬中の亜鉛(II)の定量に応用し,良好な結果を得た.
著者
島谷 康司
出版者
県立広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は,視覚性持続処理課題を用いた注意機能を評価するシステムを検証することであった。年中から年長児を対象に注意機能,運動機能,身体運動反応速度(視覚的注意を含む運動機能)の3課題を測定し,運動経験の有無によって視覚的注意機能の反応速度と身体運動反応速度の関係について検証した。対象は4~5歳の年中児19名,5~6歳の年長児22名とした。実験方法は,「もぐらーず」を使用して座位で上肢を利用してボタンを押す視覚的注意課題,立位で下肢を利用してボタンを押す身体運動反応速度の測定を行った。運動課題の測定には文部科学省の体力・運動能力調査に基づいて「反復横とび」,「立ち幅跳び」,「連続飛越し」,集中力には「静止立位時の重心動揺」の測定を行った。先の報告で,年長児童の粗大運動能力と注意機能の間には相関関係を示した(H23年度)。運動能力の上位群と下位群の比較では有意差は認められなかった。さらに運動能力の最も高い児の視覚性持続処理課題が低く,またその逆も認められたことから,低年齢層における座位時の視覚性持続処理課題の検査は適応的ではない。しかし,静止立位時の重心動揺と視覚性持続処理課題には関係性が認められ,年中児にとっては立位姿勢制御に注意を必要とした。また,年中児2名の発達障害疑いの児に粗大運動能力課題,視覚性持続処理課題,身体重心動揺検査を行い,同年代の児と比較した結果,低値を示した。上記のことから,年長児の場合は粗大運動能力と視覚性持続処理課題とを総合的に判断すること,年中児の場合は視覚性持続処理課題と粗大運動能力,さらに静止立位時の重心動揺を加えた総合的な評価が必要であることが確認できた。