著者
小野 恭靖
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 1, 人文科学 (ISSN:03893448)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.111-114, 2013-02

『梁塵秘抄』巻二(天理図書館蔵)は江戸期の転写本であるが、その原本は室町時代の連歌師正韵の筆写本であった。正韵をめぐってはその事績を以前に紹介したことがある。その折、正韵の書写活動として「詠百首和哥(宗仲・重誠)」、武田本『伊勢物語』、並びに古筆切二種について言及しておいた。このうち二種の古筆切はいずれも正韵を伝称筆者とする『源氏物語』切と『後撰和歌集』(秋部中巻)切である。ところで、このほど正韵を伝称筆者とする新たな古筆切二種の存在を確認した。それは本稿で紹介する新出の『後撰和歌集』(慶賀・哀傷部)切と『千載和歌集』切である。Syoin(正韵) transcribed "Ryojin Hisyo"Vol.II(『梁塵秘抄』巻2) in the Muromachi era. I introduced Syoin in another report before, in which I referrd to his transcripts, such as "Ei Hyakusyu Waka"by Soucyu and Jyusei(『詠百首和哥(宗仲・重誠)』), "Ise Monogatari"possessed by the House of Takeda(武田本『伊勢物語』), and two kinds of the kohitsugire (pieces of the old books). In this report I newly introduce two kinds of another kohitsugire which are a piece of "Gosen Wakasyu"(『後撰和歌集』)and a piece of "Senzai Wakasyu"(『千載和歌集』).
著者
平澤 治寿
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.45-50, 1988-03-15

今日,教育の荒廃が問題となっている。普通学校にあっては,落ちこぼれ・登校拒否・いじめ・校内暴力などの問題が依然として跡を絶たない。それには,学歴偏重社会・受験競争の過熱・核家族化などのさまざまな原因が考えられる。これらの問題について,望ましい解決策が早急に求められており,教育に携わる者の切実な願いとなっている。障害児教育実地指導で,われわれは,養護学校,盲・聾学校,北海道療育園の実状を学ぶことができたが,そこで,初めて「教育の原点」に巡り会うことができたような気がする。その時,痛切に感じだのは,今日の教育問題を考えていくにあたっては,障害児教育抜きには論ずることができないということであった。児童・生徒ひとりひとりの障害や発達の状況を多面的・総合的に把握した障害児教育のちみつな指導が,今,障害児のみならず健常児にも必要である。教育情勢の展開に伴い,教育改革が必要になっているけれども,学校教育を見直していく場合,こうした観点から教育現場をもう一度じっくり見詰め直すことが先決であると思われる。障害児教育,健常児の教育が,それぞれの分野のみの研究に終わらず,相互に学び合い,望ましい交流教育を進めていくとともに,両者が一体となって子どもの幸せを追求することができたなら,教育問題の見通しは明るくなってくると考えられる。

1 0 0 0 OA まだ見ぬ親

著者
斎藤笹舟 著
出版者
今古堂書店
巻号頁・発行日
1913
著者
西尾 久美子
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.25-37, 2012-11-30

This study is intend as a social scientific investigation for as to why in Japanese traditional entertainment industry, The Takarazuka opera has maintained its high quality performance and survived to this day, with a focus on the structure of business system. With a view towards examining more heuristic facts on the basis of data, I found three peculiarity points of this business system. 1) The career development processes of performers open to the public as performances 2) Those performances are opportunities work like a star selection system. 3) Customers obtain pleasure from performances and performer's career development processes.
著者
籔根 敏和
出版者
京都教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

礼法、受身、投技を教材に伝統的行動原理を学ぶ「発見型柔道学習プログラム」の女子に対する有効性の検討と、抑技プログラムの開発を目的として、高校、大学で研究授業を行った。その結果、女子に対するプログラムの有効性が検証できた。また、投技学習の安全化と効率アップのための教具の開発や、受身プログラムの改良を行い、その有効性を検証した。抑技に関しては、発見型柔道学習の教材としての適性を実験的に検証した。
著者
中川 克志
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.66-78, 2002-09-30

After John Cage extended the field of musical sounds to include all audible sound in the ealry 1950s, in the early 1960s La Monte Young adopted the strategy of including all sound into the musical world to innovate the traditional Western music and introduced the "inaudible" sound. This paper deals with the condition of how this "inaudible" but "perceptible" sound can be introduced into the musical world by investigating Young's "word pieces" (1960-62). I argue, first, that Young introduces the "inaudible" sound by declaring the audible judgement on sound unnecessary. Secondly, I consider the condition which secures this declaration, by concentrating on the process how Young reconsiders Cagean One Sound and reconstructs his own conception of sound and listening. By showing how the process of the "act of listening" has acquired the creative ability not only to transform sound but also to generate sound from nothing, in conclusion, it becomes clear that, by giving the creative ability to the "act of listening", Young introduced the "inaudible" sound and extended the field of musical sound to include all "conceivable" sound.
著者
橋本 美芽 石橋 裕
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、都市部に居住する高齢者を対象に、「外出行動の特性」および「外出頻度に影響を与える住環境やまちづくり等の物理的環境因子」の抽出を目的とする。東京都荒川区に居住する高齢者を対象に郵送調査とヒアリングを行った。その結果、1)外出頻度への影響は、物理的環境因子よりも主観的健康感が強く、バリアフリー整備のみでは外出頻度の低下防止に効果を得にくい、2)外出頻度低下者は地域社会との交流が減少し日常生活の行動範囲が狭小化している、3)都市整備には、トイレの増設と分散配置、ベンチと休憩場所の増設が必要である、等が明らかになった。
著者
袴田集義 著
出版者
東亜堂
巻号頁・発行日
1915

1 0 0 0 OA 発明家物語

著者
自学奨励会 編
出版者
自学奨励会
巻号頁・発行日
1918
著者
小林 薫 熊谷 幸樹 藤間 律子 近久 博志
出版者
公益社団法人 日本地下水学会
雑誌
地下水学会誌 (ISSN:09134182)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.349-360, 2009 (Released:2012-02-01)
参考文献数
22

地下水流動は、降水、気圧や周辺の井戸利用状況による時間変動、沿岸域の潮汐による日変動、融雪期の季節変動ならびに建設工事に伴う地下水流動阻害などにより変化している。現地の正確な地下水流動特性を把握するためには、地下水流動に影響を及ぼす前述の各種外的要因の定量的データや地盤の間隙水圧などとともに、連続的な地下水流向流速の変化を同時に把握できれば有効なデータになる。このことから、筆者らは地下水流動場の流向流速を簡易かつ連続的に計測することができる連続式流向流速計の開発を目指した研究開発を実施している。本論文は、内陸域や沿岸域の建設工事などで必要となる地下水流動場の流向流速を連続的に計測できる下端部ヒンジ構造を有する浮きセンサを搭載した連続式流向流速計の概要について述べる。次に、流体シミュレーションの結果を基に、開発中の連続式流向流速計に適した浮きセンサの断面形状と塩水および淡水中における各適用限界流速について明らかにする。
著者
酒井 隆太郎 宗像 雅広 木村 英雄
出版者
公益社団法人 日本地下水学会
雑誌
地下水学会誌 (ISSN:09134182)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.311-329, 2009 (Released:2012-02-01)
参考文献数
27
被引用文献数
1

広域地下水流動に関する評価手法確立のための調査の一環として、千葉県養老川流域の小流域において、河川流量および観測点付近の河川水、湧水、井戸水の水質、水素・酸素同位体比等の分析を行った。水文学的検討により、地下水流動特性と地質・地質構造との関係を把握し、地化学的検討から、流出域の地下水の起源や流動経路を推定を試みた。この結果、高透水性を持つ砂岩優勢互層(大福山を含む高標高部)で涵養された地下水の大部分は、地層の走向の方向に流動した後、Ca-HCO3(SO4)型地下水として下流域において流出するが、一部は深部まで流動し、Na-HCO3型地下水と混合した後に、低透水性の砂泥互層の亀裂等を通じて下流域において流出する可能性が推定された。