著者
小林 美也子 新井 一仁 石川 晴夫
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : journal of the Japanese Orthodontic Society : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13440241)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.258-267, 1998
参考文献数
39
被引用文献数
11

本研究の目的は, 抜歯・非抜歯の診断や頭蓋下顎機能障害との関連において注目され, 歯科矯正診断における重要な指標のひとつであるSpeeの彎曲の深さについて三次元的に分析し, 日本人正常咬合者の咬合の形態的特徴を一層明らかにすることである.教室で開発した非接触三次元形状計測システムを用いて, 本学の学生および教職員約3, 500名の中から選択した正常咬合者30名(男女各15名, 平均年齢23.2歳, 標準偏差3.5歳)の矯正用診断模型について計測を行った.水平基準平面は切歯点と左右側の第一および第二大臼歯の遠心頬側咬頭頂を通過する咬合平面とし, 両咬合平面に対する切縁中央と咬頭頂の垂直的な距離をSpeeの彎曲の深さおよびSpeeの彎曲に最も適合した球を算出し, 平均値と標準偏差を求めた.Speeの彎曲が最も深かったのは第二大臼歯を後方基準点とした基準平面に対する第一大臼歯の近心頬側咬頭頂で平均1.28mm, 標準偏差0.60mmであった.また球の半径は72.4mmから3498.9mmの範囲, 中央値は158.2mmであった.以上のことから, 本研究で選択した日本人正常咬合者のSpeeの彎曲の深さは, 以前の報告よりも平坦であること, Speeの彎曲は第二大臼歯で個人差が最も大きいこと, 左右側差は認められないこと, 第二大臼歯近心頬側咬頭頂においては, 女性は男性に比較して統計学的に有意に深いこと(p<0.01), ならびにSpeeの彎曲に最も適合した球の半径には大きい個人差が認められることなどの特徴が明らかとなった.
著者
小倉 肇
出版者
日本語学会
雑誌
國語學 (ISSN:04913337)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-15, 74, 2001-03-31

ア行「衣」とヤ行「江」の合流過程において,語頭:ア行[e-],非語頭:ヤ行[-je-]という語音排列則が形成されたことを『和名類聚抄』『土左日記』『本草和名』などの「衣」「江」の分布から推定する。「あめつちの歌」の「えのえ」も,この語音排列則に従っていることを述べる。語頭:ア行[e-],非語頭:ヤ行[-je-]という語音排列則が緩み,単語連接における後接語の初頭(語頭)という位置で[e-]>[je-]の変化が起き,[e-]の語頭標示機能が弱められ,最終的に,語頭:[je-],非語頭:[-je-]となって,ア行「衣」とヤ行「江」の合流が完了する。このような語音排列則の形成と変化を想定することによって,「大為尓」「いろは」の48字説についても,単なる「空想」ではなくて,成立する蓋然性の高いことを述べる。
著者
森田 芳朗 橋田 竜兵 笠 寛子
出版者
東京工芸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、1930年代のニューディール政策の一環として開発され、戦後居住者に払い下げられたメリーランド州グリーンベルト、オハイオ州グリーンヒルズ、ウィスコンシン州グリーンデイルの3つのグリーンベルトタウンが、払い下げから今日までに地区の運営組織・制度をそれぞれどのようなかたちで築き上げ、それによりどのような居住環境をかたちづくってきたかを、現地調査(資料収集、インタビューなど)により明らかにした。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1563, pp.48-51, 2010-10-25
被引用文献数
1

部屋の中を行ったり来たりしながら、床のゴミを吸い込む自走式の円盤形ロボット「ルンバ」。 2002年の発売以来、世界40カ国以上で累計500万台を売り上げる大ヒット商品だ。店頭での実演販売や、テレビの通信販売番組でおなじみの読者もいるだろう。 ルンバの発売元は、米マサチューセッツ州に本社を置くアイロボットだ。
著者
島田 泉 高木 修
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.269-276, 1995-10-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
11

The purpose of this study was to analyze decision-making process in help-seeking behavior with the information monitoring method. Four simulated situations were prepared in which help became necessary. Eight categories of further situational information were explained, and 67 subjects were asked to indicate which categories of information they would like to see before actually seeking others' help in each of the four situations. The number and categories of information requested, together with their order, were recorded. Also, questions were asked concerning the difficulty, hesitation, and confidence they had felt during the task, and ratings were made regarding how adequate the eight information categories and how real the four situations were. Results suggested that (1) only two steps were taken before a help-seeking decision was made in every situation, and (2) it was made in a fairly fixed pattern in term of the help's possible cost and probable attibutitons of why it became necessary.
著者
川勝 年洋 山崎 義弘 井村 誠孝
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.555-669, 1999-08-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
小久保 博崇 金岡 晃 満保 雅浩 岡本 栄司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.2086-2093, 2012-09-15

マルウェアの脅威は日々拡大しており,いまや社会に実害を及ぼす脅威となっている.また未知のマルウェアの侵入や活動を検出し,被害を防ぐことの重要性が高まっている.本論文ではCCC DATAset2011の攻撃通信データを利用し,通信プロトコルヘッダの特性を,性質の異なる複数の機械学習手法を組み合わせて学習することで未知攻撃を含む攻撃通信の持続的な検知を試みた.決定木の定期的な再学習に加え二次元自己組織化マップ(SOM)による逐次学習を取り入れることで安定して高い精度を保てるように工夫することにより,99%前後の確率で攻撃通信の検知を行うことが可能となった.
著者
小久保 博崇 満保 雅浩 岡本 栄司
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2011 論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.3, pp.272-276, 2011-10-12

近年,マルウェアの増加率が過去最大になっており,未知のマルウェアが頻出している.そのため,未知のマルウェアの侵入や活動を検出し,被害を防ぐ必要がある.本研究ではCCC DATAset2011の攻撃通信データを利用し,通信プロトコルヘッダの特徴を,性質の異なる複数の機械学習手法で学習することで未知攻撃を含む攻撃通信の持続的な検知を試みた.
著者
前田 裕
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

同時摂動最適化法を用いることにより、学習機能をもつニューラルネットワークのハードウェア化が容易に実現できることについて検証した。ニューラルネットワークのハードウェア実現を想定した場合、パルス密度による数値表現が適していることを示した。また、サポートベクトルマシンを対象に、同時摂動を用いた手法を提案すると共に、ハードウェアシステムを実現した。さらに、同時摂動による学習機能を有する神経振動子をアナログハードウェアシステムとして試作した。
著者
桜井 光一 三浦 俊明 小木曾 健人
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.106, no.11, pp.1034-1039, 1986-11-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
21
被引用文献数
4

Protective effects of several hydroxyl radical (HO·) scavengers and superoxide dismutase on alloxan-induced diabetes were studied in vivo. Thiourea, methylthiourea, dimethylthiourea and ethanol, HO· scavengers (type 1), which easily cross cellular membranes, protected initial- and permanent-hyperglycemia. In contrast, mannitol and sorbitol (type 2), which can not cross cellular membranes, protected initial-hyperglycemia, but did not protect permanent-hyperglycemia. Furthermore, superoxide dismutase which is not expected to be incorporated into pancreatic β-cell, strongly protected initial-hyperglycemia but partially protected permanent-hyperglycemia. These results suggest that HO·primarily damages the β-cell membranes by acting at or neat a site involved in insulin release, and subsequently damages the intracellular components. From these results, the possible protective mechanism of these scavengers was discussed.
著者
山井 弥生(斉藤弥生)
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

介護サービスの準市場化が進む中で、ヨーロッパ諸国では大企業による市場の寡占化が懸念されている。介護サービスの質を保持するためには市場における適度な競争環境が必要となる。市民セクター研究の第一人者であるヴィクトール・ペストフは福祉サービス供給における理想的な福祉多元主義の実現に社会的企業の役割に期待しており、日本の協同組合医療・介護の役割に注目している。そこで本研究ではペストフとの共同研究として、JA厚生連、医療生協の9団体を対象に構造的なインタビュー調査を行い、その結果を比較検討する中で、協同組合医療・介護が副次的に生み出す社会的価値と、その創造機能を明らかにした。
著者
大井 秀一 佐藤 徹雄
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

有機電子デバイスや新薬などの付加価値の高い製品の開発は我が国が推進すべき最重要課題である。そして、これらの製品の生産には、廃棄物の低減、経済的な優位性、高い安全性を満足する高効率次世代型合成プロセスの開発が必須である。本研究では、炭素-水素結合の切断を伴う革新的な触媒的炭素-炭素結合形成反応の開発を基軸に、上記の社会的要請に応えられる実践的な炭素-炭素クロスカップリング反応の開発を行った。
著者
徳山 薫平 佐藤 誠 長坂 昌一郎
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

遅い時刻の夕食や朝食欠食などの食習慣は24時間のエネルギー消費量に影響しないが、24時間の平均血糖値を上昇させた(研究発表論文1)。朝食前の運動は朝食後の運動に比べて24時間で脂肪される酸化の量が多く、体脂肪増加の抑制に有効である可能性が示唆された(研究発表論文2)。また非運動性身体活動によるエネルギー消費の有無が血糖調節に影響することを明らかにした(研究発表論文3)。睡眠時無呼吸が重症化するに従ってエネルギー消費は高い傾向となり、脂肪酸化が抑制されていた(投稿準備中)。

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1937年09月22日, 1937-09-22
著者
小野 雅章 冨士原 雅弘 宇内 一文
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、天皇制教化のもと、国民統合・動員に大きな影響を与えた三(四)大節学校儀式に注目し、①その儀式のなかに、どのような経緯で国旗掲揚(掲示)や国歌斉唱が導入されたのかを実証的に明らかにするとともに、②およそ20世紀初頭に定型化した、三(四)大節学校儀式の内容をもとにしながら入学式・卒業式、始業式・終業式の儀式内容が確定し、そのなかで、国旗と国歌とが、それぞれ別の意図を持ちながら導入された事実を明らかにした。さらに、戦前に完成した学校儀式が戦後教育改革を経て、現在の特別活動の内容である儀式的行事にもその慣行が残っている事実を明らかにした。