著者
上野 雅清
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.18, no.10, pp.1207-1216,i-iii, 1966-10-01

抗生物質の普及は感染症の治療を容易にした反面, 耐性菌の出現, 菌交代症, 弱毒性菌の病原性化等のわずらわしい現象を招来する結果となり, 弱毒性菌としてあまりかえりみられなかつたD群レンサ球菌の分野においても, 本菌を起因菌とする胆嚢炎, 心内膜炎, 虫垂炎等の発生が注目され始め, その報告もみられる. 私はたまたま本菌による重症産褥敗血症を経験して以来, 産婦人科領域において単に腟内常在菌としか考えられていなかつたD群レンサ球菌においてもこのような現像が想定され得ると考え, 従来本菌研究の障害とされた亜型が多く出現する生物学的同定法をさけ, 血清学的同定法を導入することにより本研究を行つた. その結果, 本菌を単独起因菌とする尿路感染症の存在を確認し, 菌数10^4/mlをもつて本菌の成立とみなした. また, 尿路感染症の他, 産褥熱, 流産後子宮内感染症において検出される本菌の菌型を対照群と比較検討した結果, 感染群の尿, 血中, 子宮, 腟より分離されたVI, VII, VIII型に起炎性との関連を認めるとともに, 本菌による上記感染症の感染経路を追及して直腸, 大腿内側上部, 外陰部, 腟, 子宮, 尿路における感染経路を知り得た. さらに本菌の毒力を観察する目的からマウスを用いて実験を行い, 病巣由来株は非病巣由来株よりも毒力が強く, 副腎皮質ホルモン投与により死亡率の上昇, 死亡までの日数の短縮がみられ, 組織学的にも心, 肺, 肝, 腎に小膿瘍の形成を認め, グラム染色により本菌の存在を確認した. 本菌の抗生物質に対する感受性は他群のレンサ球菌と異なり, 耐性株が多く, 多重耐性株も多数認められ, 抗生物質を使用した感染症の直腸, 腟における細菌叢の変動を観察した例においてもProteus等と同様に, 菌交代症の菌種として出現する傾向がうかがわれた. 以上の実験成績から, 単に常在菌と考えられていたD群レンサ球菌といえども, 抗生物質, 副腎皮質ホルモン投与等の外的, 内的因子の負荷に伴う共存細菌の急激な変動, 本菌の増殖, 菌型の変動, 耐性株の増加, 耐性度の上昇, 網状内皮系統の貧菌力の低下等, 菌側, 宿主側の諸条件が加わるならば, 異所に侵入して病原性を発揮することも可能であると考えられ, 日常臨床においてこれ等諸条件を観察し, その予防に留意しなければならない.
著者
藤原 英憲
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.29-37, 1982

近年, IgE によって mediate されるアレルギー反応の chemical mediator である histamine または bradykinin が, 標的細胞からの histamine の遊離を抑制するのみでなく, 遅延型アレルギー性反応または細胞性免疫応答の発来を阻止することが報告されてきた.今回, 私は IgE で mediate されるアレルギー性反応の chemical mediator (histamine, bradykinin, serotonin, acetylcholine) が, 抗原または mitogen (PHA, Con A, LPS) によって誘導されるリンパ球の活性化に及ぼす影響について検討した.その結果は次のとおりである. 1) 抗原で誘導されるリンパ球の活性化は, histamine (10^<-4>-10^<-5>M) または bradykinin (10^<-5>M) の処理によって有意に抑制された.また, serotonin の処理によっては軽度に抑制される傾向を示したにすぎず, また, acetylcholine の処理によっては何らの抑制作用も認められなかった. 2) mitogen (PHA, Con A) で誘導されるリンパ球の活性化は, 10^<-4>M serotonin の処理によって抑制されたが, acetylcholine によっては何らの抑制効果も認められなかった. 3) 抗原またはmitogen (Con A) によって誘導されるリンパ球の活性化に対する histamine または bradykinin の抑制効果は, H_1antagonist (dexchlorpheniramine) によって阻止されなかったが, H_2-antagonist (cimetidine) によってかなりよく阻止された.これらの結果は, histamine または bradykinin によるリンパ球の活性化の阻止は, リンパ球の H_2 receptor を介するものであろうことを示唆している.また, このことは, 即時型過敏反応はそれに引続いて起こる細胞性免疫反応に影響を及ぼすものであることを示す.
著者
高野 弘子
巻号頁・発行日
pp.1-26, 2012-01-31
著者
内田 勇人 大貫 克英 諸冨 嘉男 青山 英康
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山醫學會雜誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.111, no.1, pp.1-9, 1999-02-28

This study was designed to clarify the characteristics of height, body weight, body composition and grip strength in Chinese baseball players, and also to examine whether the differences in physical profiles existed by position as the basic data in the country developing a baseball.The subjects were 35 baseball players (19.8±2.3 years) consisting of the champion and the upper distinguished teams in the highest level of baseball tournament in China. The survey was carried out in July and August of 1996 in Tianjin City, China. The mean values of height, body weight and lean body weight (LBW) of Chinese baseball players were 179.7±4.7cm, 77.3±8.6kg and 67.0±6.5kg. Those values were significantly taller and heavier than the average of 20-year-old male persons which lived in Beijing City, China; that is 6.9cm, 18.7kg and 16.1kg, respectively (P<0.01). Chinese pitchers were taller and heavier than Chinese players of other positions. The mean values of height and LBW of Chinese pitchers, infielders and outfielders were significantly smaller (P<0.01) and lighter (P<0.05) than those of professional players in the United States, respectively. Although no significant differences were observed in the mean height and LBW between Chinese pitchers and those of collegiate pitchers in the United States, the mean value of LBW of Chinese pitchers were significantly heavier than those of Japanese collegiate and professional pitchers (P<0.05, respectively). These results are as follows: 1. Baseball players in China are selected based on body muscle mass. 2. Pitchers are selected especially than the players of other positions. 3. As for body muscle mass, there is no difference of body muscle mass between China of developing country and Japan and the states of most developed countries.
著者
河口 信夫 坂部 俊樹 稲垣 康善
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.116, no.1, pp.103-110, 1995-12-20 (Released:2008-12-19)
参考文献数
23

Term Rewriting System (TRS) is one of the simplest computation models for functional programming languages. It can also be used to model term manipulation required in program verification and transformation. In such applications, an environment for term rewriting with user friendly graphical interface is strongly required for analyzing structure of terms and rewriting processes. Most TRS interpreters developed so far are text, based ones, and hence they do not provide sufficient supports for analyzing structure of terms. We have proposed a new idea for a term visualization based on Graphical User Interfaces (GUI) [11] [12]. This paper shows how to realize the idea with the functional programming language Standard ML (SML). We illustrate the implementation can be easily modified and extended since the rewriting part and GUI part of the program are clearly separated owing to the module system of SML.
著者
後藤 惠之輔 北嶋 清
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学工学部研究報告 (ISSN:02860902)
巻号頁・発行日
vol.30, no.54, pp.57-62, 2000-01

In this paper the authors carried out a barrier-free survey and tried to make a toilet map in the builing of Faculty of Engineering, Nagasaki University. Because of being a public facility, Nagasaki University is used by a lot of peoples including the disabled. Owing to the barrier-free survey with a wheelchair it was cleared that there are many barriers such as stairs, gloomy passages, and a narrow lift in the building. In a toilet map presented here not only the location but the kind of toilets are shown together with the location of stairs, slopes and the lift. Lastly the authors made a few proposals in order to improve facilities in the Faculty for barrier-free ones.
著者
理学部企画委員会建物小委員会
出版者
東京大学理学部
雑誌
東京大学理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.33-35, 1988-03

1 0 0 0 OA 藤公詩存

著者
伊藤博文 著
出版者
博文館
巻号頁・発行日
1910
著者
原田 和則 三隅 厚信 三隅 克毅 馬場 憲一郎 跡部 安則 近藤 浩幸 前野 正伸 本明 宜彦 金光 徹二 赤木 正信
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.965-969, 1987-04-01
被引用文献数
11 13

胃上部癌の外科的治療における噴門側胃切除 (噴切) か胃全摘 (全摘) かの術式の選択について, 両術式間の術後機能障害の比較検討を目的として, 術後の満足度, 術後愁訴, 脂肪消化吸収試験, 消化管ホルモンの成績などから考察を加えた. 脂肪消化吸収試験, 術後の栄養障害, 消化管ホルモンの面からは噴切が全摘に比べ, また全摘では間置術が Roux-Y 術に比べて良好であった. 胃上部癌の外科治療においては, 十分に根治性が得られる範囲内で切除線を決定することが前提条件であり, 根治性を第一義的に考えて術式の選択をすべきである. その際, 根治性が保たれ残胃を大きく残すことが出来る場合には噴切適応の意義があると考えられた.
著者
植田 寛郎 大渕竜太郎 遠藤州
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.2478-2488, 2002-08-15
被引用文献数
3

近年地理情報システムの利用が拡大し,その中核となるデジタル地図データの知的所有権保護の重要性が増してきている.本論文では,ベクトル型地図データに対して,デジタルデータの知的所有権保護技術の1つである電子透かしを適用することを検討する.ベクトル型地図は,建物の外郭,等高線,道路などの地物を2次元空間の頂点とその集合である折れ線や多角形で表現する地図である.本論文の電子透かし手法は,与えられた矩形の地図データを多数の小領域に分割し,その各々の小領域に含まれる頂点を移動してその座標の平均値を変化させて透かしを埋め込む.本手法の電子透かしは頂点座標値への乱数値の重畳,頂点の追加や削除,頂点の平行移動や回転,切り取り,その他の妨害に対してある程度の頑強性を持つ.Widespread use of geographical information systems prompted the investigations into protecting intellectual properties of digital maps.This paper proposes a digital watermarking algorithm that aims to protect intellectual properties of vector digital maps.A vector digital map represents geographical objects, such as buildings,contour lines, and streets using such (two-dimensional) geometrical primitives as vertices,poly-lines, and polygons.Our algorithm embeds a watermark bit by minutely displacing an average coordinate value of a group of vertices in a rectangular area.The rectangle is created by subdividing the map into rectangular sub-areas based on the density of geometrical primitives.Watermarks produced by this method are resilient, although not totally immune,against additive random noise,topology alterations due to addition and removal of vertices,translation and rotation of vertices, cropping, and other attacks.
著者
児島 治彦 戸井田 徹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.863-869, 1987-08-15
被引用文献数
9

本論文では 筆記制限がなく 拡張性に優れたオンライン手書き図形認識法について述べる.自由に手書きされた幾何学図形を対象とし ストローク入力と並行して認識を行うオンライン手書き図形認識法として 隣接する線分の構造に着目して認識を行う「隣接線分構造解析法」を提案する.本手法は ストロークが入力されるごとに処理を実行する.入力されたストロークと隣接するストロークとの関係をもとにセグメントを抽出し 認識を行う.拡張性を考慮し 図形作成に基本的に必要な基本図形単位と 基本図形の組み合わせからなる複合図形単位の2段階で 図面固有の知識を用いずに認識を行う.基本図形の識別には 基本図形を構成する頂点の数と連続する頂点間の線分の種別を用いる.複合図形の識別には 複合図形を構成する基本図形の種類と基本図形間の相対的位置関係を用いる.筆記制限なしに収集したデータを対象として認識実験を行った結果 基本図形4 111パタンについては988%の認識率 複合図形の例としてあげたフローチャートおよびHCP チャートについては 40枚の図面に含まれる390の複合図形に対して97.7%の認識率を得て 自由に手書きされた幾何学図形に対する本手法の有効性を確認した.
著者
山本 玲子
出版者
京都教育大学
雑誌
教育実践研究紀要 (ISSN:13464604)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.81-89, 2006-03-31

現在,小学校への英語教育の導入に関しては全国で賛否両論あり,またそのあり方も議論の途上である。京都教育大学附属京都小学校では,全学年において,週1回の担任とALTによる英語授業を実施している。また附属京都中学校と小中一貫教育をすすめる中で小5・小6・中1を中等部と位置づけ,小・中の教諭が連携してカリキュラムの開発・充実に当たっている。今年度より,中学の英語科教員が小5・小6の英語を担当するにあたり,小1から英語に接してきた子どもたちの内面を分析するとともに,学習初期の生徒が第二言語を習得する過程に照らし合わせ,特に子どもの心理面・モチベーションに焦点を当てて考察した。また,公立小・中学校でも徐々に実施されつつある中学校教員が小学校へ出向する形の小中連携についても,附属のケーススタディを基に考察を試みた。

1 0 0 0 OA 満蒙研究資料

出版者
北海道帝国大学満蒙研究会
巻号頁・発行日
vol.第22号, 1939
著者
岡崎 則男 鈴木 理恵子 佐多 辰 大沢 朗 渡辺 祐子 山井 志朗 和田 昭仁 渡辺 治雄
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR BACTERIOLOGY
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.505-511, 1997-04-25
被引用文献数
11 4

ベロ毒素産生性大腸菌 (VTEC) O157の増菌培養法につき, VTEC O157分離株を供試して検討した。トリプティケースソイブロス (TSB) において, 供試した5株のVTEC O157は培養温度 (36°C, 42°C) に係わらず旺盛な増殖を示したが, TSBにセフィキシム (CFIX), 亜テルル酸カリウム (PT) およびバンコマイシンを添加したTSB-CTVにおいては36°Cの培養で1株, 42°Cでは4株の増殖が阻止された。mECにノボビオシン (NB) を添加したmEC-NBの36°Cにおける培養では, 1株の増殖が8時間まで抑制されたものの, 24時間後の増殖は5株共に良好であった。しかし, 42°Cで培養すると, 5株中3株の増殖が阻止された。VTEC O157分離株90株のCFIX, PTおよびNBに対する感受性値 (MIC; μg/ml) は全てこれらの薬剤の培地添加濃度以上に分布した。このように, mEC-NBおよびTSB-CTVにおけるVTEC O157の増殖には培養温度が強く影響し, 42°Cでは著しい増殖阻害が認められた。従って, これらの培地は36°Cで使用するのがより適切であり, 特に, mEC-NBを42°Cで使用する現行の培養法には問題があると考えられた。また, これらの選択増菌培地に加えて, TSB等の非選択増菌培地を併用するのが好ましいと考えられた。