著者
日詰 裕雄
出版者
高松市立国分寺北部小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

○研究目的この国の景気がデフレ局面に入り,先行きの光明が見えなくなった今,経済,消費行動の基礎となる経済リテラシーを身に付けさせることは焦眉の急である。生産縮小,雇用の悪化,消費の縮小という負の連鎖が加速しつつある。もはや「東洋の金満国」ではない。身の丈に合わせて,成熟した立ち振る舞いを示すことが重要となった今こそ,21世紀の中葉に活躍する今の子どもたちにとって,必要不可欠となる経済リテラシーを小・中学校7か年の社会科学習で系統的に習得させることに目を向けることは重要である,と考えた。本研究では,小・中学校7か年の社会科学習で育成すべき経済リテラシーを整理・検討し,「経済リテラシーの育成をめざした小・中学校7か年社会科カリキュラム(試案)」を開発する。○研究方法小学校教員2名と中学校教員2名とでチームをつくり,日々の授業実践の中から経済リテラシーを検討する。そのために,平成4年度香川大学教育学部附属高松中学校3年1組在籍40人への追跡調査と,「生活経済テスト」を作成し小・中学生で実施する。それらの結果分析を基礎的資料として,「経済リテラシーの育成をめざした小・中学校7か年社会科カリキュラム(試案)」づくりに迫る。○研究成果1小・中学校7か年の社会科教育で育成すべき経済リテラシーの妥当性が検討できた。2小学校3・4年用「私たちのくらしをよくするためのちょうさ」,小学校5・6年用「私たちの生活を向上させるための調査」,中学校2年用「よき経済人となるための調査」,中学校3年用「よき経済人となるための調査」問題が作成できた。3「経済リテラシーの育成をめざした小・中学校7か年社会科カリキュラム(試案)」が作成できた。4研究成果の一端は,平成22年10月の全国社会科教育学会(同志社大学)で発表し,一定の評価を得た。
著者
森 征洋 鎌田 章司
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.79-88, 1994-02-28
被引用文献数
6

"肱川あらし"と呼ばれる特異な現象が発生する愛媛県肱川河口付近の風の日変化の平均的特性について調べた.河口付近にある長浜の風の日変化は瀬戸内海沿岸の平野部とは大きく異なった特徴を示し,日中に比べて夜間から早朝に風速が強くなり,陸風が顕著に発達する.長浜では総観場の気圧傾度が小さく,天気がよい場合に,夜間,風速が1Om/sを越えるような強い陸風が発生することがある.この長浜の夜間の強風は,対比を行った沿岸平野部では見られないもので,特異な地形で生ずる強風の典型例を示している.
著者
安斎 育郎
出版者
立命館大学経済学会
雑誌
立命館経済学
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.377-394, 1997-02
著者
榎本 有希 六車 崇 久保田 雅也 中川 聡
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.10, pp.828-834, 2010-10-15 (Released:2010-12-04)
参考文献数
11

目的:小児二相性脳症の臨床経過とその特徴を明らかにし,二相目の発症前における単相性脳症との鑑別の可能性について検討する。対象・方法:2007年4月から2009年8月の間に国立成育医療研究センター集中治療室に痙攣・意識障害で入室した患者について,診療録を後方視的に検討した。単相性脳症群26例と,てんかん・熱性痙攣群 10例を対照群として,第3病日までのlactate dehydrogenase(LDH),fibrin/fibrinogen degradation products(FDP),Dダイマーの最大値を各群間で比較した。結果:脳症と診断された患者は36症例で,そのうち二相性脳症は10例(28%)であった。痙攣重積で発症した脳症22症例中,二相性脳症は8例(36%)で,一相目の痙攣が重積した症例が8例,重積しなかった症例が2例だった。二相目発症の中央値は第5病日(最小第4病日-最大第8病日)だった。ステロイドパルス療法,低体温療法,頭蓋内圧センサー挿入下の脳圧管理などが施行された。10症例中2例で一相目から積極的な治療を施行したが,二相目の発症を予防できなかった。転帰は全例生存で,後遺症なし 1例,軽度の神経障害 5例,重度神経障害 4例であった。 LDHの最大値はてんかん・熱性痙攣と単相性脳症,二相性脳症との間で有意差がみられた(p=0.017,0.002)。FDP,Dダイマーの最大値はてんかん・熱性痙攣と二相性脳症との間に有意差がみられた( p=0.018,p=0.033)が,いずれのマーカーも単相性脳症と二相性脳症の間に有意差は認められなかった。結語:小児では痙攣後,一過性の症状改善の後に再度痙攣や意識障害を来す転帰不良な疾患群が存在する。発生頻度が少なくないにもかかわらず,その発症予測は現時点では不可能である。小児の痙攣後には神経学的症状が軽度であっても二相目発症の可能性を視野に入れた管理が必要である。
著者
川瀬 茂樹
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.244-251, 1971-12-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
生山 厳 小林 省蔵
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.89-93, 1993
被引用文献数
3 32

単胚性二倍体のカンキツ,クレメンティン,'リー','清見'および'安芸津10号'('カラ'×ポンカン)を種子親とし,二倍体ナルト×四倍体フナドコより得た三倍体実生を花粉親として交配を行った.交配果は成熟時に収穫し,各果実より取り出した完全種子を試験に供した.<BR>完全種子より得た実生は大部分が二倍体で,その他異数体や一部三倍体および四倍体も認められたが,クレメンティンを種子親にしたものから2個体,'リー'を種子親にしたものから1個体の半数体が得られた.半数体の胚は,二倍体の胚と比較して大きさにほとんど差がなく,発根も正常に起こり,発根後の直根の伸びも順調であった.しかし,土に移植した後は成育は著しく劣った.これら半数体について核リボソームRNA遺伝子および葉緑体DNAの分析を行い,その起源を推定した.その結果,いずれの個体についても種子親に特異的なバンドが認められたが,花粉親に特異的なバンドは認められず,これらはいずれも種子親起源の半数体であると考えられた.
著者
和田 啓爾 石垣 静香 上田 かおり 阪田 正勝 羽賀 正信
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Chem Pharm Bull. (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.3555-3557, 1985
被引用文献数
2

An antivitamin B_6,4'-methoxypyridoxine (1) was isolated from the seed of Ginkgo biloba L. (Ginkgoaceae). The albumen of the seed of G. biloba L., which is called "Gin-nan or Ginkyo", is used as a crude drug in China and as food in Japan. However, in Japan, there have been about 70 reports of "Gin-nan sitotoxism." In this paper, we report that the substance responsible for this sitotoxism is 4'-methoxypyridoxine (1), which is known to have antivitamin B_6 activities. This compound (1) is reported for the first time from natural products.

1 0 0 0 OA 音韻仮字用例

著者
白井寛蔭 著
出版者
[ ]
巻号頁・発行日
vol.附説 上,
著者
松尾 浩一郎
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.165-175, 1997-10-30

本研究の目的は, 感情を表現した比喩の理解が幼児期においてどのように発達するのかを明らかにすることであった。本研究では, 喜び, 悲しみ, 怒りという3種類の感情を表現する直喩を作成し, 4歳児, 5歳児, 6歳児における理解を調べた。被験児は, 実験者の口頭で読まれた比喩文に対して, 4枚のカード(喜び, 悲しみ, 怒りの表情を示したカードおよび白紙のカード)の中から1つを選ぶというやり方で, 比喩文が表現する感情について答えた。白紙のカードは, 比喩文が表現する感情がわからない場合, または比喩文が喜び, 悲しみ, 怒り以外の感情を表現していると思われる場合に選択するように教示された。主な結果は次のとおりであった。(1)感情の種類によって比喩理解の発達の様相が異なっていることが示唆された。(2)4歳児の正答率はチヤンスレベルをこえたが, 比喩の理解が成人に類似した形で安定するのは5歳になってからであった。(3)熱い液体に関わる語句によって怒りが表現された場合に悲しみの表現と判断しやすいなど, 幼兄の誤答には一定の傾向が認められた。
著者
冨田 昌平
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.228-238, 2001-11-15
被引用文献数
1

心的な比喩に対する6歳児の理解を3つの実験によって検討した。本研究では,子どもは3つの領域における心的な比喩に対する解釈を求められた。つまり,容器比喩(例えば,「心が空っぽである」),物体比喩(例えば,「気が重い」),動作主比喩(例えば,「気持ちが足跡みしている」)の3つである。実験1では,16名の子どもが,比喩文に対する正しい解釈と誤った解釈という2つの絵画ストーリーを提示され,比喩文と対応するものを選択するよう求められた。実験2と3では,各20名の子どもが,比喩文に対する比喩的な正しい解釈,比喩的だが誤った解釈,字義的な解釈,無関連の解釈という4つの絵画ストーリーを提示され,実験1と同様のことを求められた。3つの実験で,子どもの大部分は,動作主比喩よりも容器比喩において正答を多く選択した。以上の結果は,幼児が持つ心のイメージという点で考察された。
著者
粟井一夫 浅田 朋宏 天内 廣 梅津 芳幸 水谷 宏 梁川 功 山下 一也 伊知地 宏志
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日放技学誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.83-106, 1992
被引用文献数
3

これは過去1年間におけるX線映画領域でのセンシトメトリー班の活動報告である.第47回総会において, その活動報告および公開討論会を行った.そこでの会員からの意見と助言は, この報告書を作成するにあたって参考にさせていただいた.施設間で同じ結果を得ることは, 現在の現場の状況を考慮するとなかなか難しいものがある.そのような状況で少しでも正確な結果を得るためにはどうすべきかを第一番に考えてこのような標準化をはかった.正確な特性曲線作成には現像処理系および濃度測定が大きな影響を及ぼしている.センシトメトリーの標準化をはかるにはこの二点の規格化が不可欠である.濃度計に関しては, JIS・IEC委員会「医用X線写真濃度計班」の報告に期待したい.終りに班活動を遂行するにあたり, 終始援助と理解をいただいた各施設の技師長と技師諸兄, そして実験材料を無償で提供していただいた日本コダック(株)および富士メディカル(株)に深謝を表する次第である.また, データ整理にあたり特性曲線プログラムを無償で提供していただいた斉藤誠氏(東京都立池袋保健所)に感謝いたします.
著者
米虫 敦 谷川 昇 澤田 敏 狩谷 秀治 野村 基雄 鎌田 実 中谷 幸 吉田 理絵
出版者
関西医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

経皮的椎体形成術後に放射線治療を施行を可能とするための基礎データを得ることが本研究の目的である。本研究により、骨セメントが放射線治療時の線量分布に与える影響を明らかにした。この結果を基にして、椎体転移による激しい疼痛の集学的治療として経皮的椎体形成術と放射線治療の併用療法が可能となり、疼痛緩和治療のイノベーションが創出される。本研究結果は、Radiology Research and Practice誌に公表した。

1 0 0 0 雅号の消失

著者
唐木 順三
出版者
自由社
雑誌
自由 (ISSN:04490401)
巻号頁・発行日
vol.9, no.8, pp.196-209, 1967-08
著者
谷沢 永一
出版者
至文堂
雑誌
国文学解釈と鑑賞 (ISSN:03869911)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.171-174, 1996-03
著者
岩佐 壯四郎
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.47-59, 1996-11-10

いわゆる<雅号>は、志賀直哉・谷崎潤一郎など<本名>を署名する文学者の登場した一九一〇年代以降次第に姿を消していった。<雅号>は、いずれは近代における文学という制度の負の領域に追いやられるべき運命にあったといっていいかもしれない。だがそれを、近代文学史の一つのエピソードとして片付けてしまっていいのだろうか。それは逆に、近代文学という制度の性格を照らしだしていはしないだろうか。