著者
高濱 裕子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.51-59, 1993

幼児の"プラン共有"に, 保育者がどのような影響を与えているのかを検討した。幼稚園期2年間におけるごっこ遊びの発達は, 保育者と幼児との相互交渉を通して検討された。その際, 保育者と幼児とのコミュニケーションプロセスに, Bmnef (1983/1988) の"フオーマット"の概念を援用して, 分析的に捉えた。2名の幼児の遊びとそこに関わる1名の保育者の行動とは, 幼稚園において毎週1回, 2年間に渡って縦断的に親無された。プランの共有面から分析した結果, 幼稚園期のごっこ遊びには, 4段階の発達段階が見出された。また, 幼児の遊びの質的変化に対応させて, 保育者も段階的にフオーマットを変容させていることが明らかになった。これら5段階のフオーマットは, f1:仮想一オープン, f2:依頼一援助, f3:折衝一意味付与, f4:要請一協同解決, f5:表明一承認と命名された。フオーマットの概念は保育分析の枠組みとして十分に有効であることが示された。
著者
岡野 邦彦
出版者
日本シミュレーション学会
雑誌
シミュレーション (ISSN:02859947)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.83-88, 2003-06-15

A simulation for conceptual design of fusion reactors is reviewed. There are a lot of sophisticated plasma simulations for fusion research, but usually those calculation processes are rather heavy to merge into simulations for the design survey of reactor concepts. The simulation system for conceptual reactor design, described here, uses more simplified models and formulae while various constraints from physical and engineering points of view can be taken into consideration consistently.
著者
Yamamura Takayoshi
出版者
Cultural Resource Management Laboratory, Graduate School of International Media, Communication, and Tourism Studies, Hokkaido University
雑誌
北海道大学文化資源マネジメント論集
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-9, 2009-05-29

This paper examines how the town of Washimiya has become a mecca for anime lovers ever since fans from all around the country rushed to visit after it was used as a setting for the TV animation series Lucky Star. As a result, the town has successfully hosted two anime-related events for these fans. As a result, it was found that the local Commerce and Industry Association played a central role in each process. It was also discovered that, with the town's Commerce and Industry Association at the core, a local shrine, local shops, fans and corporations from outside the region (copyright owners and a tourist agency) were able to build mutually beneficial relationships as a backdrop to the current success.
著者
天谷哲也
雑誌
日レ歯誌
巻号頁・発行日
vol.11, pp.109-115, 2000
被引用文献数
13
著者
天谷 健一
出版者
信州大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

スピン三重項超伝導体Sr2RuO4において,磁場を[001]軸に垂直に印加した場合に1K以下の温度領域で上部臨界磁場直下の磁場で生じる新たな「低温高磁場超伝導相」の起源を調べるために,[001]軸に垂直に磁場を印加して精密比熱測定や一軸応力下での比熱測定を行い,比熱のとびの大きさ,潜熱の有無などを詳細に調べ,この転移の次数を確定させる予定であったが,精密な磁気トルク測定から,転移の詳細を調べることができることがわかったので,現在実験方針を変更し,磁気トルク測定を中心に調べた.得られた磁気トルク曲線を磁場で割ることにより,超伝導磁化の磁場に垂直な成分が得られる.この垂直磁化の磁場依存性を解析することにより,低温高磁場相への転移の詳細を調べた.0.5K以下の温度領域での,1.1 Tから1.3 Tにわたる超伝導混合状態から「低温高磁場超伝導相」への転移が起こる磁場近傍に,垂直磁化が磁場の上げ下げによって異なる値をとる「ヒステリシス」が見られ,さらに,増磁過程での転移磁場と減磁過程での転移磁場が異なることが明らかとなったことから,超伝導混合状態から「低温高磁場超伝導相」への転移は1次相転移の可能性が強いことがわかった.一方,上部臨界磁場での「低温高磁場超伝導相」から常伝導状態への転移については,増磁過程での転移磁場と減磁過程での転移磁場には測定の精度内で差は見られず,次数を明確にすることはできなかった.
著者
岡村 智教 上島 弘嗣 門脇 崇 森山 ゆり
出版者
滋賀医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

勤務者男性約250人の上下肢血圧比(ABI)、上腕-足首脈波伝播速度(baPWV)を測定した。同時に血中の直接的・間接的抗酸化ビタミンであるα-トコフェロール、葉酸、ビタミンB12、炎症反応指標であるCRP(C反応性蛋白)、喫煙や飲酒などの生活習慣を測定し、ABI、baPWVとの関連を検討した。各血液検査指標の平均値は、α-トコフェロール;38.9μmol/、葉酸;15.4nmol/L、ビタミンB12;295pmol/L、CRP(geometric mean);0.47mg/Lであった。下肢の動脈閉塞症が示唆されるABI0.9未満の者は3名に過ぎず統計学的な解析は不可能であった。baPWVは年齢によって大きな差があるため、対象者のうち50歳代で循環器疾患の既往歴がなく、ABIが正常かつCRPの上昇を伴う急性・慢性炎症を持つ者を除外した178名を解析対象とした。baPWVの平均値は1468cm/sec(標準偏差;221)であり、単変量解析では、年齢、CRP、収縮期と拡張期の血圧値、心拍数、空腹時血糖値がPWVと有意な正の関連を示し、逆に血清脂質、BMI、葉酸、ビタミンB12、α-トコフェロール、喫煙、飲酒は関連を示さなかった。線形重回帰分析で危険因子相互の関連を調整すると、年齢、血圧値(収縮期または拡張期)、心拍数、CRPのみがbaPWVと有意な正の関連を示した。共分散分析で他の危険因子を調整した場合、CRP四分位別のbaPWVは、1431、1436、1507、1508cm/secであった。baPWVの増加は大動脈の早期の動脈硬化性病変の存在を示唆していると考えられるため、CRPの測定は動脈硬化の早期発見に有用と考えられた。一方、抗酸化ビタミンはbaPWVとは関連せず、より進行した動脈硬化プラークの形成抑制等に関連している可能性がある。
著者
小西 弘江
出版者
兵庫医科大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

文書により研究同意を得た健常人ボランティアより毛根を20本程度採取して、total RNAを抽出した。精製後、マイクロチップ電気泳動システム(コスモアイ)を用いてRNAの分解がないことを確認後、逆転写反応とCy3標識反応を行い、試料に含まれる全てのmRNAからCy3標識されたアミノアリルaRNAを増幅・合成した。この増幅産物をDNAマイクロアレイチップをもちいて、ハイブリダイゼーションをおこない、毛根に発現する遺伝子のスクリーニングを行った。スクリーニングの結果、ケラチン17、ケラチン10、トランスグルタミナーゼ1、SPINK5等の遺伝性皮膚疾患の原因遺伝子の発現が確認された。しかし、ケラチン1など発現が確認されない遺伝性皮膚疾患関連遺伝子も存在した。文書により研究同意を得た健常人ボランティアの毛根より、total RNAを抽出し、high fidelityのポリメラーゼを用いたRT-PCRを種々の条件のもとでおこなった。その結果、翻訳領域を全て含んだケラチン17、ケラチン10、トランスグルタミナーゼ1、SPINK5のcDNAを増幅することができた。このPCR産物はシーケンスすることにより目的とする遺伝子が増幅されていることを確認した。これらのプロトコールは今後の臨床における先天性皮膚疾患の確定診断に役立てていく予定である。一連の実験により、ケラチン17、ケラチン10、トランスグルタミナーゼ1、SPINK5は毛根をもちいた遺伝子解析が確定診断に使用できることが分かった。
著者
小林 芳規
出版者
古典研究会
雑誌
汲古 (ISSN:02892693)
巻号頁・発行日
no.49, pp.1-19, 2006-06
著者
山部 こころ
出版者
国立療養所大島青松園
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

等温遺伝子増幅法の一つであるLAMP (loop-mediated isothermal amplification)法を応用して、日和見感染菌(metallo-β-lactamase保有緑膿菌、バンコマイシン耐性腸球菌:VRE)の検査法を確立することを目的として研究を行い、以下の成果を得た。1.vanAならびにvanB遺伝子増幅のためのLAMPプライマーの設計薬剤耐性遺伝子(vanA, vanB)を標的として、LAMP反応に必要な4種類のプライマーをPrimer Explorer (Fujitsu : version 4)を用いて設計した。2.検出感度試験設計したLAMPプライマーを使用したLAMP反応によってvanAならびにvanB遺伝子の検出感度を調べた。その結果、LAMP法による両遺伝子の検出感度は既報のPCR法よりも高いことが明らかとなった(10 cells/tube)。また、遺伝子増幅に要する時間は40分であり、PCR法に比べて、大幅に検査時間を短縮できる可能性が示された。さらに、遺伝子の増幅を目視によって簡易判定できることが示された。3.特異度試験設計したプライマーの特異性はVREの臨床分離株80株と、関連細菌18種を使用して行った。この結果、LAMP法は従来のPCR法と同レベルの特異性をもつことが明かとなった。以上の結果からLAMP法をVREの検出、遺伝子型検査に臨床応用した場合、検出感度、特異性、迅速性と簡便性に優れた検査となる可能性が示された。4.LAMP法によるmetallo-β-lactamase遺伝子の増幅VIMならびにIMP遺伝子についてLAMPプライマーを設計し、遺伝子の増幅を試みた。その結果VIMについては遺伝子増幅を確認することができたが、IMPについては遺伝子が増幅しなかった。IMP遺伝子は多型性があり、プライマーの設計を再考する必要性がある。