著者
井土 愼二
出版者
愛知県立芸術大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究を通して得られたタジク語音声とウズベク語音声の分析によって、両言語の接触地域において母音音素体系の収束がおそらく起こっていること、そしてこの収束がおそらくタジク語の母音連鎖推移に干渉していることが明らかになった。
著者
上田 尚 下嶋 篤
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, no.18, pp.27-30, 2010-05-24

現在ある装丁やブックデザインの理論は,書店で直に接触することを前提に形成されている.本研究では,オンライン書店の商品陳列特徴のうちカバー表1の縮小表示に着目し,原寸で視認した場合との印象の変化をSD法により調査,分析した.その結果,カバー表1の表現形式が写真でもイラストでも,縮小による印象への影響は少ないことが示唆された.しかし,人物のグラフィック要素を含むとき,含まないときに比べ,縮小によって印象に変化が起こりやすいということが示唆された.
著者
實川 幹朗
出版者
心の諸問題考究会
雑誌
心の諸問題論叢 (ISSN:13496905)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.35-42, 2004 (Released:2004-09-07)
参考文献数
3

伊藤幹治「日本文化の構造的理解をめざして」を対象とした批評論文。伊藤は、日常の生活の場が宗教的行事にも用いられるなどの民俗的事実から、「ハレとケとが自由に入れかわる」相互転換を「イレカワリの原理」と名づけた。こんにちでは聖俗のきびしい対立を理論的前提に民俗・宗教の分析の行なわれる場合が多いけれど、伊藤の提唱する原理の方が、世界的に見ても実態に合っている。聖俗の対立を和らげての理論化も考えられるが、そうすると、聖と俗を絶対的に区別してきた西欧のキリスト教社会の建て前に外れることとなる。この建て前それ自身もまた一つの民俗的事実なので、無視することはできない。つまり、聖と俗を基本概念とした分析は、いずれにしても民俗的事実に反するほかない。これに対しハレとケは、もともと相互に転換し、相手の契機を内に含むことが、建て前でも実態でも明らかである。そこで、こちらを基本概念にすえて、聖と俗を分析対象とする体制の方が、一貫性の面で優れている。聖と俗を、人為的に固定されたハレとケとして理解するのである。キリスト教の高度な神学や哲学は、本来は転換する民俗の固定化のための努力と理解することができる。伊藤の論旨は、この方向の可能性を開いたものだが、じゅうぶんに展開することとができなかったのが惜しまれる。
著者
岡田 美穂
出版者
福原学園九州女子大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

1.研究目的本研究は、存在場所ニ格の習得における日本語学習者の辿る発達順序で、存在場所ニ格と動作場所デ格との混同によるニ格の誤りが見られる発達過程の次には、どのような発達過程あるのかを明らかにすることを目的として、JSL環境、JFL環境の「中位レベル」の中国語を母語とする学習者を対象に調査を行った。2.研究実施計画(1)研究内容・方法文献研究によって第2言語習得としての格助詞習得研究、認知言語学の観点を取り入れた研究、国語学における格助詞研究について把握した(図書購入)。(2)調査JSL環境では福岡市の九州産業大学、JFL環境では九州大学との協定校である中国の大連外国語大学を訪問し日本語教員の協力を得て調査を実施した。また、学習者がどのような基準で格助詞を用いているかについてインタビューを行った(日中辞書購入)。(3)分析・結果調査票のデータをパソコン(購入)に入力し分析を行った(データ入力人件費、統計処理関係図書購入)。JSL、JFLの「中位レベル」に、存在場所ニ格を誤ってデ格とした誤答率と範囲限定デ格の正答率との間に正の有意な相関関係が見られたことから、学習者のニ格の習得において、存在場所ニ格と範囲限定デ格との混同によるニ格の誤りが見られる発達過程がある可能性があることが分かった。(4)研究成果の発表研究の成果は、2012年2月10日に韓国の仁川大学の「東アジア日本語・日本文化フォーラム」、同年2月18日に東京のお茶の水大学の「第二言語習得研究会関東大会」で発表した。このような研究を重ね、今後もしも格助詞の発達過程の法則性が明らかにされ、その法則性を使った格助詞教授のより効率的なアプローチが開発されれば、日本語教育者の一助になると確信する。
著者
編集部H
雑誌
印刷雑誌 (ISSN:00201758)
巻号頁・発行日
vol.93, no.3, 2010-03-15
著者
吉田 純一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.60, no.477, pp.173-179, 1995
被引用文献数
2 1

Zuigenji temple in Fukui city is a well known temple which was built by Masachika MATSUDAIRA, the fifth feudal lord of the Fukui clan. The main hall was moved from the residential building called "Kozashiki", which was a section of the "Honmaru palace" of Fukui castle. The palace of "Kozashiki" was built between the thirteenth year of the Bunsei (1830) to the second year of the Tempo (1831) for Naritsugu MATSUDAIRA who was the fourteenth feudal lord of the Fukui clan. The main hall of Zuigenji temple is of great historical importance as it is only remaining building of the original Fukui castle.
著者
松田 一朗 橋本 峻弥 須田 貴志 池田 悠 青森 久 伊東 晋
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.8, pp.1486-1495, 2011-08-01

本論文では,JPEG方式で記録されている静止画像のデータサイズを削減するため,画質を保持したまま再符号化する手法を提案する.JPEG方式は離散コサイン変換(DCT)を用いた非可逆符号化アルゴリズムを採用しており,符号化に伴う画質劣化はDCT係数の量子化ひずみによって生じる.したがって,JPEG画像データより抽出された量子化済みDCT係数を再量子化せずに可逆符号化することで,再符号化の前後で再生画像を完全に一致させることが可能となる.提案方式では,ブロック間の相関を利用したイントラ予測を導入するとともに,適応的な確率モデルに基づいた算術符号を用いることで,量子化済みDCT係数の効率的な可逆符号化を実現している.シミュレーション実験の結果,提案方式によって既存のJPEG画像データの符号化レートを19~33%削減できることを確認した.
著者
荻ノ迫 善六 澤田 均 山下 雅幸
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.319-324, 1996-01-31
参考文献数
23
被引用文献数
1

富士山麓にはシロクローバが標高2,400mまで分布しており,標高との関連で自生集団の変異パターンを分析するのに最適である。本研究は,富士山麓の異なる標高から株で収集した5集団について,標準環境下で比較試験を行うことにより,以下の仮説を検証することを目的とした。(1)シロクローバの高地集団では個体が矮小化する傾向にある。(2)高地集団と低地集団ではバイオマス分配パターンが異なり,環境ストレスを強く受ける高地集団では根部への分配割合が高く,頭花への分配割合が伝いのに対して,競争のより厳しい低地集団では葉部(葉柄を含む)への分配割合が高いであろう。(3)クローナル成長パターンにも両集団間に差があり,高地集団は短いストロンを多数分枝する密集型の成長パターンを示すのに対して,低地集団は長いストロンを少数分枝させるゲリラ型の成長パターンを示すであろう。実験の結果,3つの仮説は支持された。したがって,シロクローバの高地集団が矮小化しており,比較的密集型のクローナル成長パターンを持つことが確認された。さらに,頭花の生産量,頭花へのバイオマス分配,葉部への分配が少ないが,根部への分配は多いことが確認された。このような集団間差をもたらす背景について考察した。
著者
飯田 貞夫 江口 旻 志村 聡 大島 徹 Sadao Iida Akira Eguchi Satoshi Shimura Toru Oshima 茨城キリスト教大学 松蔭大学 亜細亜大学 茨城県立水戸飯富養護学校
出版者
茨城キリスト教大学
雑誌
茨城キリスト教大学紀要 2 社会・自然科学 (ISSN:13426370)
巻号頁・発行日
no.40, pp.185-204, 2006

(1)本流のpHは,7.0~7.4の間にある。左岸支流のpHは3.4~7.6の問にあり,松川,荒川,須川など,上流に火山地帯がある河川と温泉水が流入する河川では酸性を示す。右岸支流のpHは,7.0~8.4の間にある。花崗岩,石灰岩地域を流下するため,アルカリ性を示す。(2)本流のDOは,10.2~11.4ppmの間にある。左岸支流は,8.9~13.6ppm。DOは扇状地の支流で12.2~13.6ppmと値が高い。右岸支流のDOは,8.7ppmと左岸より少ない。(3)本流の透視度は,7.6~27cmと低い値を示す。左岸の透視度は,荒川32cm,濁川40cm,摺上川44.5cmで低い値を示すが,他の支流は50cm以上である。右岸の透視度は,谷底平野や水田地帯を流下する胡桃川22cm,東根川24cm,境川41cmで低い。(4)本流の電気伝導度は,61.7~158μ&mho;/cmで変化する。左岸支流の電気伝導度は59.6~891.2μ&mho;/cmで変化し,温泉水が流入する小川891.2μ&mho;/cm,須川361μ&mho;/cm,荒川218μ&mho;/cmで高い。右岸支流の電気伝導度は,117~363μ&mho;/cmで,入川で363μ&mho;/cmと高く,谷底平野や水田地帯で高くなっている。(5)本流のCl^-の含有量は,22~38ppmの間にある。左岸支流のCl^-の含有量は,6~36ppmである。温泉水が流入する荒川,須川,松川で含有量が多い。荒川で36ppm,須川で32ppm,小川で28ppmである。右岸支流のCl^-の含有量は,4~86ppmである。入川で特に高い値(86ppm)を示しているが,原因は明らかではない。(6)本流のNa^+の含有量は,3.3~9.6ppmである。左岸支流の含有量は,0.3~28ppmで,水原川で28ppmと多くなる。右岸支流の含有量は1~36.6ppmの問にある。特に入川No.21入川橋で36.6ppmと最高値を示し,EC (891μ&mho;/cm)やCl^- (86ppm)も高い数値を示している。(7)本流のCa^<2+>の含有量は,2.5~19ppmの間で変化している。左岸支流のCa^<2+>の含有量は0.6~6.2ppmで,含有量は少ない。右岸支流のCa^<2+>の含有量は,3.7~22.5ppmと比較的多く,花崗岩,石灰岩地帯を流下する境川No.28飯野で22.5ppmと最高値を示している。(8)本流のMg^<2+>の含有量は,1.8~3.2ppmの間で変化している。左岸支流は,0.8~8ppmであり,荒川や須川など,火山地帯の河川や温泉水の流入する河川で含有量が比較的多い。右岸支流は左岸より多く,2~6.6ppmの間で変化する。(9)本流のNH_<4->Nは,0.12~0.25ppmである。左岸支流のNH_<4->Nは,0.1~0.47ppmで,反田川で0.47ppm,松川で0.25ppmと高い値を示した。右岸支流のNH_<4->Nは,0.12~0.43ppmで,東根川で0.43ppm,岡代橋より3km上流のNo.26根小屋橋で0.32ppmと含有量が多くなる。(10)本流のPO^<3->_4の値は,0.02~0.12ppmの間で変化する。左岸支流のPO^<3->_4は,0.001~0.13ppmで変化し,油井川で0.13ppmを示している。右岸側支流のPO^<3->_4は,0.12~0.43ppmで変化している。(11)左岸支流のCl^-の負荷量は,5.6~241.9g/secで変化する。須川241.9g/sec,荒川205.9g/secで値が高く,松川159.4g/secも高い値を示している。松川,須川,荒川は,いずれも上流に温泉がある。右岸支流のCl^-の負荷量は,1.6~93.9g/secで,木幡川で93.9g/secとなった。(12)左岸支流のNa^+の負荷量は,0.7~98.03g/secである。松川で98.03g/sec,須川で65g/sec,水原川で57.9g/sec,摺上川で56.3g/secで高い値を示す。右岸支流のNa^+の負荷量は,0.78~23.5g/secである。木幡川23.5g/sec,東根川18.9g/secと高い値を示した。(13)左岸支流のCa^<2+>の負荷量は,1~35.4g/secである。荒川で35.4g/secを示した。右岸支流のCa^<2+>の負荷量は,1.2~32.6g/secで,木幡川で32.6g/secである。(14)左岸支流Mg^<2+>の負荷量は,0.14~72.0g/secである。荒川66.7g/sec,須川60.5g/secで高い値を示した。右岸支流のMg^<2+>の負荷量は,0.4~9.6g/secで,左岸側に比べて負荷量の少ない地点が多い。(15)左岸のNH_<4->Nの負荷量は,0.0039~0.13g/sec。荒川1.27g/sec,須川1.02g/sec,荒川1.02g/sec,摺上川1.05g/secなど,温泉水が流入する河川で負荷量が多い。右岸の負荷量は,0.001~0.063g/secで変化している。We have conducted an investigation into the tributaries flowing into the Abukuma river. Our findings can be summarized as follows. (1) In the main stream of the Abukuma, the pH value is 7.0~7.4. In the tributaries of the left bank, it is 3.4~7.6. The Matsukawa, the Arakawa and the Sukawa show the acid reactions because of the inflows of hot spring waters. It is 7.0~8.4 in the branches of the right bank. They are alkalized because they run through the granitic and the limestone districts. (2) DO of the mainstream is 10.2~11.4ppm. In the tributaries of the left bank, it is 8.9~13.6ppm. DO of the branches of the right bank show 8.7ppm. (3) The transparency of the mainstream is 7.6~27cm. As for the tributaries of the left bank, it is 32cm (the Arakawa), 40cm (the Nigori river), and 44.5cm (the Suriage river). The other branches show more than 50cm. In the branches of the right bank, it is 22cm (the Kurumi river), 24cm (the Higashine river), and 41cm (the Sakai river). (4) The electric conductivity of the mainstream is 61.7~158μ&mho;/cm. The tributaries of the left bank show 59.6~891.2μ&mho;/cm. The high values are found in the Ogawa (891.2μ&mho;/cm), the Sugawa (361μ&mho;/cm), the Arakawa (218μμ&mho;/cm). They are fed by the thermal spring waters. In the branches of the right bank, it is 117~363μ&mho;/cm. The high value is observed in the Irilawa (363μ&mho;/cm) which runs through valleys and paddy lands. (5) In the mainstream, the content of Cl^- is 22~38ppm. In the tributary streams of hte left bank, it is 6~36ppm. The high values are seen in the Arakawa (36ppm), the Sugawa (32ppm), and the Ogawa (28ppm) into which the hot spring waters flow. In the branches of the right bank, it is 4~86ppm. That of the Irikawa shows especially high value (86ppm), but the cause is unknown. (6) In the mainstream, the content of Na^+ is 3.3~9.6ppm. In the tributary streams of the left bank, it is 0.3~28ppm. The highest value (28ppm) is found in the Kihara river. In the tributary streams of the right bank, it is 1~36.6ppm. At Irikawa (No.21) and the Irikawa bridge, the highest values are observed, and there the contents of EC (891μ&mho;/cm) and Cl^- (86ppm) are also high. (7) In the main stream, the content of Ca^<2+> is 2.5~19ppm. In the tributaries of the left bank, it is 0.6~6.2ppm. In the tributary streams of the right bank, it is relatively high value, 3.7~22.5ppm. The highest value (22.5ppm) is observed in the Sakai river (No.28) by the side of lino (No.28) which runs through the granitic and the limestone area. (8) In the mainstream, the content of Mg^<2+> is 1.8~3.2ppm. In the tributaries of the left bank, it is 0.8~8ppm. The high values are found in the Arakawa and the Sugawa into which hot spring waters flow. In the branches of the right bank, it is 2~6.6ppm. (9) In the mainstream, the NH_<4->N content is 0.12~0.25ppm. In the branches of the left bank, it is 0.1~0.47ppm. The high values are observed in the Handa river (0.47ppm) and the Matsukawa river (0.25ppm). In the branches of the right bank, it is 0.12~0.43ppm. The high values are found in the Higashine river (0.43ppm) and at the point 3 kilometers upstream from the Okashiro bridge (0.32ppm). (10) In the mainstream, the PO^<3->_4 content is 0.02~0.12ppm. In the tributaries of the left bank, it is 0.001~0.13ppm. In the Aburai river, it is 0.13ppm. In the branches of the right bank, it is 0.12~0.43ppm. (11) In the branches of the left bank, the load of Cl^- is 5.6~241.9g/sec. The high figures are found in the Sukawa (241.9g/sec), the Arakawa (205.9g/sec) and the Matsukawa (159.4g/sec) which have spas in their upper reaches. In the tributaries of the left bank, the load of Cl^- is 1.6~93.9g/sec. The highest figure is found in the Kibata river. (12) The load of Na^+ is 0.7~98.03g/sec in the tributaries of the left bank. The high value is seen in the Matsukawa (98.03g/sec), the Sugawa (65g/sec) the Mizuhara river (57.9g/sec) and the Suriage river (56.3g/sec). In the branches of the right bank, it is 0.78~33.5g/sec. The high value can be found in the Kibata river (23.5g/sec) and the Higashine river (18.9g/sec). (13) In the tributaries of the left bank, the load of Ca^<2+> is 1~35.4g/sec. The highest value is found in the Arakawa. In the branches of the right bank, it is 1.2~32.6g/sec. The highest value is observed in the Kibata river. (14) In the tributaries of the left bank, the load of Mg^<2+> is 0.14~72.0g/sec. The high values are observed in the Arakawa (66.7g/sec) and the Sugawa (60.5g/sec). In the branches of hte right bank, ti is 0.4~9.6g/see. The branches of the right bank show lower values than those of the left bank. (15) In the branches of the left bank, the load of NH_<4->N is 0.0039~0.13g/sec. The high values are found in the Arakawa (27g/sec), the Sugawa (1.02g/sec) and the Sugawa (1.02g/sec). They are fed by hot spring waters. In the tributaries of the right bank, it is 0.001-0.063g/sec.
出版者
日本共産党中央委員会
雑誌
女性のひろば (ISSN:03879429)
巻号頁・発行日
no.332, pp.49-67, 2006-10
著者
池田 和史 柳原 正 服部 元 松本 一則 小野 智弘 滝嶋 康弘
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.2474-2483, 2011-08-15

本稿では高速かつ高精度に有害サイトを検出するため, Webサイトの背景色やリンク先, ブラウザに特定の動作をさせるスクリプトなど, 有害サイトに特徴的に見られる傾向をHTML要素から検出する手法を提案する. 提案手法では有害サイトのHTMLに偏って出現するような文字列を自動的に抽出し, SVM(Support Vector Machine)を用いてこれらの特徴を組み合わせて有害サイトの検出を行う. 提案手法はWebサイトの本文の情報を利用しないため, 既存のキーワードベース方式によって検出が困難なサイトも検出が可能である. このため, 既存のキーワードベース方式と組み合わせて利用することで検出精度を向上させることも可能である. 大規模なWebサイトデータを用いた性能評価実験を行い, 既存のキーワードベース方式と比較して, 適合率を9.3ポイント向上するなどの性能向上を確認した.
著者
土屋 智子 谷口 武俊 小杉 素子 小野寺 節雄 竹村 和久 帯刀 治 中村 博文 米澤 理加 盛岡 通
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.16-25, 2009 (Released:2010-05-14)
参考文献数
20
被引用文献数
3 2

温暖化対策としての原子力の重要性が高まる中で, 信頼回復の切り札のひとつと考えられているのがリスクコミュニケーションの実施であるが, 原子力分野でこれを意図した活動が幅広く行なわれているとはいえない. 本稿では, 東海村を実験地として行われたリスクコミュニケーション活動の設計意図と実施内容を示すとともに, リスクコミュニケーションに対する住民と原子力事業者の評価を分析し, 原子力技術利用に伴うリスクに対する住民の視点を明らかにする. また, これらの住民の視点がどのように原子力施設の安全に関与するかを示し, リスクコミュニケーションにおける課題を論じる.
著者
中川 賀清 植村 貞繁 矢野 常広 中岡 達雄
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.683-687, 2007
被引用文献数
1

【目的】漏斗胸と自然気胸は,身長が高く痩せ型という共通した体型に多い疾患である.われわれはNuss手術後の自然気胸を6例経験したが,その頻度は比較的高く,Nuss手術の影響もあるのではないかと考えた.これらの自然気胸の特徴について調べた.【対象と方法】2006年12月までにNuss手術を施行した漏斗胸症例382例のうち,約2年間のバー留置期間中に自然気胸を発症した6例の特徴およびNuss手術との関連について検討を行った.【結果】6例のうち5例は10代男性で,1例は20代女性であった.6例の身長は170.2±4.9cm,体重は47.6±3.2kgであり,BMIは16.5±1.6で,すべて長身痩せ型であった.男性の1例はマルファン症候群を合併していた.Nuss手術前のCT indexは7.2±3.1で,全382例の5.2±2.8と比べ大きかった.また胸部レントゲン画像から計測したvertebral index, frontosagittal indexの術前値および変化率は,気胸を起こさなかった同年代の患者群に比べて,有意差がそれぞれ認められた.自然気胸を起こした群は陥凹が高度で,手術の改善度も大きかった.気胸発症までの期間は術後1から22か月で,右気胸が3例,同時性両側例が2例,異時性両側例が1例であった.5例に胸腔鏡下肺ブラ切除を行い,1例は様子観察で軽快した.非手術症例も含め,すべて肺ブラの破裂によって生じたと考えられたが,肺ブラは漏斗胸術前のCT検査で指摘されていなかった.【結論】Nuss手術後のバー留置期間中の自然気胸は,全漏斗胸症例の1.6%に発生した.自然気胸の原因は肺ブラであるが,胸腔を拡げるNuss手術が肺ブラへ影響を及ぼした可能性が考えられた.自然気胸はNuss手術後に起こりうる合併症として留意すべきと考えられた.
著者
岩井 浩 小川 晃一 畠中 順子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.89, no.5, pp.784-793, 2006-05-01
被引用文献数
4

携帯電話端末を人体の正面で保持する姿勢(PDA:Personal Digital Assistance姿勢)を高精度に模擬したi携帯電話端末アンテナ電磁評価用のリアル形状上半身擬似人体を作製した.寸法は日本人34,000人の統計データの平均値に基づいており,44人の20〜30歳代男性に対してPDA姿勢で38個所に及ぶ計測部位の計測値の平均を用いて決定した.擬似人体の肩と肘にそれぞれ上下・前後に移動可能となる機構を設け,手首が仰角方向に回転可能となる機構を設けることにより,姿勢の個人差により生じる端末と人体との相対位置関係を調整可能とした.直方体状の金属筐体に装着された素子長が1/4波長のホイップアンテナを用いて擬似人体の放射特性を検証した結果,日本人の平均に近い身長及び体重を有する人体と放射指向性及びPAG(Pattern Average Gain)がよく一致していることを確認した.
著者
吉田 智成 高橋 友和 出口 大輔 井手 一郎 村瀬 洋
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.28, pp.1-6, 2011-08-29

監視カメラ映像からの顔画像認識において,顔領域が低解像度であることは認識精度の低下を招く.この問題に対して,動画像を用いた超解像技術を利用することで認識精度が向上できると考えられる.しかし,従来の超解像は,平面物体を撮影した動画像を対象としている場合が多く,顔画像のように向きや表情の変化によって 2 次元的に非剛体変形する動画像を扱うことが困難である.そこで本報告では,局所領域毎に位置合わせをすることで,顔向きや表情の変化に頑健な超解像を行う手法を提案する.具体的には,フレーム間の位置合わせに非剛体レジストレーションを用いることで顔画像の非剛体変形に柔軟に対応する.実際に撮影した動画像を用いた実験の結果,超解像の性能向上が見られ,提案手法の有効性が確認できた.In a face recognition system with surveillance video cameras, the decrease in resolution of face images degrades the recognition accuracy. To overcome this problem, multi-frame super-resolution techniques could be used to improve the accuracy. However, most super-resolution techniques assume that a planar object is captured in input images. Therefore, it is difficult to apply them to face images that include non-rigid deformations caused by changes of face poses and expressions. In this report, we propose a multi-frame super-resolution method that can deal with changes of face poses and expressions. To achieve this, alignment of each local region between video frames is performed by using a free-form deformation method. Thus, the proposed method can easily deal with the non-rigid deformation of face images. Experimental results demonstrate that the proposed method improved the performance of super resolution for actual videos. From this, we confirmed the effectiveness of the proposed method.