著者
山崎 健一朗 和田 浩卓 桜田 伊知郎 門之園 一明 佐伯 宏三
出版者
横浜市立大学
雑誌
横濱醫學 (ISSN:03727726)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.197-200, 2005-05-31

背景:脈絡膜破裂を伴った外傷性黄斑円孔に対し硝子体手術を行った一例を経験したので報告する.症例と所見:26歳女性,うちあげ花火が直接右眼にあたり鈍的外傷となった.初診時の矯正視力は0.01であり,白内障,前房出血,黄斑円孔,脈絡膜破裂に伴う黄斑下出血と網膜浮腫がみられた.3週間後黄斑円孔は拡大した.6週後の蛍光眼底造影にて黄斑部に及ぶ網膜循環障害を認めた.受傷6週間後にインドシアニングリーンを用いた内境界膜剥離術を行った.黄斑下手術は行わなかった.結果:術後黄斑円孔は閉鎖し,視力は0.5に改善した.重篤な術後合併症は見られなかった.結論:脈絡膜破裂のある外傷性黄斑円孔に対しても硝子体手術は有効であると考えられた.
著者
松村 冨美子
出版者
夙川学院短期大学
雑誌
夙川学院短期大学研究紀要 (ISSN:02853744)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.29-39, 1989-12-25

This study is aimed at discovering a new sewing technique whereby Japanese yukata can be made safe from seam puckering after washing. The following experiments were conducted in this present investigation : Two yukatas, one sewn by hand, the other by machine, were made, using the same two types of thread. These samples were examined to study the phenomenon of seam puckering both before and after washing. Our findings are as follows : 1) There is no great difference in seam puckering observed between hand-made and machine-made yukata after washing. 2) However, it is clear that machine-made yukata exhibit a little less seam puckering than hand-made yukata. 3) Moreover, concering partial seam puckering after washing, our research shows that three parts of a yukata, namely, sode-guchi, sode-furi and eri-shita are more prone to seam puckering than the other parts of a yukata. Thus, this experiment demonstrates that it is clearly necessary to develop a new sewing technique that will guarantee that the three above-mentioned parts of a yukata are made safe from seam puckering after washing.
著者
北 洋輔
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年度は、発達的支援システムの中核となる評価法の確立にむけて、次の四点を主に検討した。1.社会性認知に関わる評価法:PDDの社会性認知に関する神経学的特性を評価するための基礎的検討を行った。健常成人を対象に自己顔認知課題を実施し、NIRSと眼球運動計測装置を用いて、脳血流動態と視線パターンを同時計測した。自己顔認知時に右下前頭回周辺における酸素化ヘモグロビン濃度の上昇が有意に認められた。社会性認知に関わる責任領域の一つが示され、課題・測定法の有用性が示された。2.同評価法の運用:PDDの臨床症状と1で示した脳機能との関連を検討した。健常成人・定型発達児・ASD児を対象に、1の実験パラダイムを行うとともに、臨床症状と心理的特性を併せて評価した。結果、臨床症状が重篤であるほど、脳機能が低下している一方、自己意識傾向が強いほど、脳機能の賦活が認められた。臨床症状・心理的特性を脳機能によって客観的に評価可能と示された。3.行動面の評価および介入による変容:PDD児の向社会的行動を評価するために新規の二次元モーションキャプチャーシステムを開発し、評価を行った。PDD児は向社会的行動の前段階に注目行動の少なさが顕著であること、介入によって注目行動が増加し、向社会的行動を示すことが明らかとなった。4.発達性ディスレクシアに関わる評価法:Magnocellular systemを神経生理学的に評価する視覚誘発電位(VEP)の評価法を模索した。新規の刺激により一定程度の同systemの機能評価が可能であり、発達性ディスレクシア児がVEPに特異性を認めると明らかになった。以上、四点より、発達的支援システムの中核をなす評価法が、教育・心理・神経生理学等の観点からの複数の異なる領域から、融合的アプローチによって到達出来たものと考えられる。
著者
松田 由利 橘 秀樹 石井 聖光
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.609-615, 1979-11-01
被引用文献数
33

The propagation characteristics of solid-borne sound in building structures are studied by field measurements on three standing buildings and scale model experiments using a simplified building structure. Both in the field measurements and the scale model experiments, vibration acceleration levels(V. A. L. )at a number of widely distributed points in the structures are measured as one point of the structure is excited. From the results of the scale model experiments, it is revealed that the relative V. A. L. at any point is determined by its distance(r)from the excitation point via the shortest route in the structure, regardless of the propagating direction. It is assumed that the variation of V. A. L. (L_r)in buildings can be expressed as, L_r=P_0-Nlog r-Mr(P_0 depends on the strength of excitation)and the value N and M are examined from the results of measurements. From the results of the scale model experiments, the value of N is determined to be 20, regardless of frequency. Using this value, the M value in each octave band is determined from the results of the measurements taken on the standing buildings. The result shows that the M value is approximately proportional to the square root of the frequency.
著者
山本 光重 佐藤 智和 横矢 直和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.627, pp.55-60, 2002-01-23
参考文献数
6

花火ショーの演出作業において, 花火師は花火の打ち上げ位置, タイミングや音楽との同期などの多くの要素を決定する必要がある.しかし従来, 花火師は危険性や金銭的なコストの問題から演出結果を視覚的に確認することができず, 演出作業を円滑に行うことが困難であった.そこで, 本研究では, 効率のよい演出作業を実現するための花火演出支援システムを提案する.ユーザは計算機を用いて打ち上げ位置, 花火の種類, 打ち上げタイミング, 音楽といった情報を入力し, 演出作業を行う.演出結果は入力されたデータに沿って, 花火の実写映像を利用して計算機上でシミュレートされ, モニタやHMD上に可視化される.これによって, 花火師は効率よく作業を進めることが可能となる.
著者
安藤 宏
出版者
上智大学
雑誌
上智大学国文学科紀要 (ISSN:02895552)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.131-144, 1993-01-16

土田・剣持両教授定年送別記念号
著者
熊崎 敦司 野呂 昌満
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ソフトウェア工学研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.75, pp.9-16, 2005-07-28
参考文献数
13

実現段階のアスペクトに関する研究は盛んに行われており, 複数の計算モデルが提案されている.これらの計算モデルは相互に記述可能であるが, 我々は一つの問題に対して一意の解記述を行えることが工学的に重要だと考えている.本研究では, 計算モデル選択の規範を含むアスペクト指向ソフトウェアアーキテクチャスタイルを提案する.既存の計算モデルを統一的に説明可能なアーキテクチャスタイルに基づき, 選択の規範を示す.提案するスタイルにしたがったアーキテクチャ記述では, 構成要素間の関係によって適切な計算モデルを選択できる.提案したスタイルで, 携帯電話制御ソフトウェアのアーキテクチャを記述する例を通して, そのスタイルの有用性を確認する.
著者
北原 理雄 神谷 文子
出版者
千葉大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

1.予備的な分析として、西日本各地の小学校校歌をサンプルに、そこに謳われた景観要素の出現頻度と性格を考察し、校歌から抽出すべき景観要素の範囲を明らかにした。さらに、関東地方の小学校校歌をサンプルに、そこに謳われた景観要素の出現頻度と性格に加えて、主要景観要素の情景描写、地域性、また現実の景観との関係を明らかにした。2.三重県の3都市(津市・四日市市・松坂市)を取り上げ、各市内の小・中・高等学校を対象に、校歌の歌詞の中から景観要素を抽出し、地図上でその分布・頻度・影響圏の広がりを調べ、市民意識として共有される地域の景観構造を把握し、校歌に謳われた景観構造との照合を行い、両者の関係とその背景を明らかにした。3.千葉県の3都市(柏・八千代・銚子)を取り上げ、各市内の小・中・高等学校を対象に、校歌の歌詞の中から景観要素を抽出し、その分布と頻度から市民意識として共有される地域の景観構造を把握するとともに、それを現実の景観構造と照合し、両者の関係を明らかにした。また、各都市において校歌に謳われた景観の都市化の前後における変化を分析し、そこから市民のイメージの中に形成されている景観構造とその変容を読み取った。4.全国の各地域から選んだ人口規模10万〜50万の11都市(函館・八戸・秋田・前橋・清水・富山・奈良・松江・倉敷・松山・鹿児島)を対象に、それぞれの都市の小学校校歌の歌詞の中から景観要素を抽出し、その種類と頻度から校歌に謳われた景観像を都市比較的に把握した。また、その結果を踏まえて、地域景観の物的特性とイメージとしての景観像との関係を明らかにした。
著者
高野 公男 タカノ キミオ Takano Kimio
出版者
東北芸術工科大学
雑誌
東北芸術工科大学紀要 = Annual Review of Tohoku University of Art & Design
巻号頁・発行日
no.2, pp.36-51, 1995-11-15

The Purpose of this paper is to study the environment of Yamagata City by analyzing school songs of 53 primary and secondary schools in Yamagata City. Feature of the natural landscape such as mountains, rivers, the sky, fields, trees and flowers are often recorded in the songs. Mountains are mentioned most often. Mountain Zao and Mountain Gassan are both favorites of the people of Yamagata. Rivers have not appeared in the songs since 1965, because it seems water pollution has made rivers unappealing to the people. 姓の別表記: 髙野
著者
上町 達也
出版者
滋賀県立短期大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本実験では,アジサイのがく片の弁化の機構を解明することを目的として,アジサイの花序形成及び小花の発達過程について調査を行った.花序形成初期の花序原基は1つの原基が3つの原基に分裂して発達しているように見えた.しかし花序形成の後半になるにつれ,花序は1つの原基の基部に新たな原基が腋芽的に形成される,いわゆる岐散型の発達の様相を示した.開花調査と照らし合わせると,アジサイの花序はいくつかの岐散型の花序が集まった複集散型の花序であると考えられた.手鞠咲きアジサイでは,両性花の花軸に4〜6個の装飾花が着生するが,装飾花の花軸には側花蕾は着生しなかった.装飾花は両性花に比べて発達が遅かった.両性花の原基は花軸に側花蕾が着生した後にがく片の形成を始めたが,装飾花の原基は側花蕾を形成せずにがく片を形成した.装飾花の着生位置に花序が着生する場合があるが,その花序の中心の小花では,がく片の一部が弁化した,両性花と装飾花の中間型を示すものが多くみられた.またこの小花の花軸には1〜2個の装飾花が着生していた.額咲きアジサイでは,いずれの両性花においても花軸に側花序,あるいは側花蕾が着生していた.最も開花が遅く,形成された時期が遅かったと思われる両性花においても,その花軸には未熟な側花蕾が着生していた.額咲きアジサイでは,装飾花よりも発達時期の遅い両性花がいくつかみられた.これらの結果から,アジサイにおいて小花のがく片の弁化は,その小花の形成・発達時期よりもむしろ側花蕾形成と何らかの因果関係を持つことが示唆された.小花分化期に加温処理を行ったところ,額咲きの'紅ヤマアジサイ'及び額咲きで八重咲きの'隅田の花火'において,がく片の弁化した小花の割合が増加した.植物生長調節物質ががく片の弁化に及ぼす影響については現在調査中である.