著者
中園 薫 長嶋 祐二 細野 直恒
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.488, pp.85-90, 2009-03-16
被引用文献数
4

著者らは,外国人や聴覚障害者など,音声でのコミュニケーションが不自由な人を対象とした,コミュニケーション補助,システムVUTEを開発している.従来のAACがほとんどが静止画ピクトグラムを用いていたのに対し,VUTEでは動画ピクトグラムを用いることにより理解度の向上を計る.また,動画ピクトグラムのデザインの際に,手話表現を参考としている.現在,消防や怪我,急病などの救急時におけるコミュニケーションに限定して,システムを試作中である.本報告では,手話の表現様式の分析に基づいた,動画ピクトグラムのデザイン指針について述べる.続いて,試作したシステムの構成と機能概要について述べる.
著者
生田目 美紀 北島 宗雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.56, pp.90-91, 2009-06-20

This paper reports an eye-tracking experiment conducted to compare alternative representations on web pages. The experiment simulated a directory-based information search task to understand how it is performed when directories are represented in text, labeled-pictograms, or unlabeled-pictograms. The eye movement data were analyzed by the parametric ANOVA to understand how the method of directory search adopted by the hearing group and the deaf group might be different under the influence of the differences in directory representations. The result demonstrated that only in the labeled-pictogram representation, the hearing group and the deaf group performed equally well in terms of the eye movement measures.
著者
竹西 亜古
出版者
兵庫教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

人は、社会にある様々な対象に「危険あるいは安全」という評価をするが、このようなリスク認知は、科学的事実としての評価からずれることが多い。本研究は、そのようなリスク認知の心理過程を、対象に対する感情的イメージや過去の記憶の影響から明らかにした。さらに明らかにした心理モデルを、福島第一原子力発電所の事故による風評被害に応用し、拒絶行動をもたらす心理過程を検討した。
著者
中山 優季 小倉 朗子 松田 千春 筧 慎治 川田 明広 本間 武蔵 R.N Pamlea.A.Cazzolii
出版者
財団法人東京都医学研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

筋萎縮性側索硬化症長期人工呼吸療養者における対応困難な身体症状の内容と発生機序および対応策を検討した。症状は、全身各部位に及び、随意運動障害の二次的障害、情動・自律運動系の障害、人工呼吸器装着・臥床の合併症、その他の合併症に大別された。精査が困難であること、意思伝達障害により自覚症状や程度の把握が困難なことから対応は困難を極めた。そこで、意思伝達維持のため、生体信号や微細な筋活動を検出する方法を模索し、病理的にも機能保持されるという肛門括約筋を用いる方法を着想した。
著者
山口 惣一郎 鳥居 甫吉
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会年次大会講演予稿集 (ISSN:09191879)
巻号頁・発行日
no.31, pp.203-204, 1995-07-26

In this paper we will show you regarding vertical and horizontal radiation patterns of 4L-polyloop antennas with finete reflector which we have measured recently. We have obtained good results on the hexagon 4L-polyloop antenna acording to the measured data. This antenna has a structure of directly stacked twin "Wavelength Circumference Loop Antenna"
著者
松田 直樹
出版者
東京女子医科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

心臓に伸展刺激が加わることにより、様々な現象が引き起こされることが知られている。洞結節が機械的伸展刺激を受けることにより、心拍数は増加する(陽性変時作用)が、その電気生理学的機序については全く明らかにされていない。一方、カルシウム電流は、洞結節細胞のペースメーカー電位形成において最も重要な構成要素である。本研究では、細胞膜伸展刺激によりカルシウム電流がどのような影響を受けるかを検討する。家兎単一洞結節ならびに心房筋細胞にガラスパッチ電極を用いてwhole-cell電圧固定法を行なった。10mM EGTAを含む電極内液を用い細胞内カルシウムをキレートし、2mM カルシウムを含む外液潅流下で、細胞膜伸展前後における電流変化を測定した。細胞膜の伸展にはパッチ電極を介して直接細胞膜に陽圧を加える方法と細胞外液に低浸透圧液を潅流させる方法を用いた。細胞膜伸展刺激によって内向き電流が増大し、この変化はNifedipineによって完全に抑制され、カルシウム以外にバリウム等も透過し得ることから、既存のL型カルシウム電流が膜伸展感受性を示すことが明かとなった。この細胞膜伸展によるカルシウム電流の増加は再現性をもって認めたが、カルシウム電流のキネティクスには影響を与えなかった。つぎに、細胞膜伸展によるカルシウム電流増加の機序を分析した。カルシウム電流の主な調節はCyclicAMP依存性タンパクキナーゼ(Aキナーゼ)によるチャンネルのリン酸化によることが知られている。Aキナーゼを特異的に抑制するProtein kinase inhibitor存在下でも膜伸展によりカルシウム電流は増加した。このことより、細胞膜伸展刺激は、これまで知られている機序を介さずにカルシウム電流を直接増加させることが判明した。この心筋細胞膜伸展によるカルシウム電流の増加は、既述した伸展による陽性変時作用のひとつの機序となると考えらた。
著者
Welcome! 京大プロジェクトチーム
出版者
京都大学外部戦略室
巻号頁・発行日
2010-12

京都大学では、本学での大学生活にあこがれてキャンパスを訪れる中・高校生に向けてキャンパス案内冊子を作成しました。この冊子は9名の現役学生が「初めて京都大学を訪れる人たちにも、キャンパスでの学生生活の魅力を感じてもらいたい。」との思いを込めて企画・編集したものです。学生の口コミによるお勧めスポットを掲載するなど、中・高校生のみなさんにキャンパスでの学生生活の雰囲気をイメージしてもらえる内容となっています。京都大学のキャンパスの雰囲気が知りたい方、大学見学や修学旅行、イベント参加などでキャンパスを訪れた方にご利用いただき、「京都大学らしさ」を感じながらキャンパスでの時間を楽しんでもらうことを目指しています。
著者
二又 政之 松田 直樹 清水 敏美 増田 光俊
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1.単一分子感度ラマン分光法の確立:(a)化学的増強メカニズムに関して,Agナノ粒子は,アモルファスカーボン等に覆われており,色素の第1層吸着が抑えられるために,大きなSERS増強度は得られない。(b)しかし,塩化物イオン等を添加すると,表面化学種が置換され,カチオン性色素が静電的に強く吸着できるようになる結果,銀粒子間のナノギャップに存在する色素が,巨大SERS信号を与える。このとき色素の発光スペクトルがバルク状態とは大きく変化し,銀ナノ粒子と色素間に電子移動相互作用が働いていることが判明した。(c)これに対して,シアン化物イオン等は排他的に吸着し,表面化学種と銀ナノ粒子を溶解する結果,SERSがクエンチされる。3次元時間領域差分法で,平均ナノギャップがハロゲン化物イオン添加前の1nmから2nmにわずかに開くことで,活性化の過程で測定されたLSPピークの短波長シフトが再現された。以上のように,SERSの化学的増強効果に関して,アニオンによるSERS活性化およびクエンチの微視的過程が,ここで初めて明らかになった。また,単一分子感度までは得られないが,通常の金属蒸着膜やコロイド集合体よりは2-3桁大きな増強度を再現性よく与える金属ナノ構造を,電子ビーム,ナノ粒子オーバレーヤなどのリソグラフィ技術を用いて形成し,生体分子への超高感度分析・定量分析性を確かめた。2.近接場振動分光法の確立:AFM型近接場ラマン分光を電極/溶液界面に適用するために,倒立型顕微鏡のX-Yステージを改良し,ITO電極を基板とする3電極式溶液セル,AFMや分光器を有する測定装置を構築した。この装置により,溶液中のナノ構造体のトポグラフィやその近接場イメージと,チップ増強ラマン信号の検出に成功した。感度と空間分解能改善のために,プローブへの金属ナノ構造形成を進めた。
著者
川上 洵 南寿 礼次郎 大森 淑孝 杉本 博之 加賀谷 誠 徳田 弘
出版者
秋田大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1988

1.膨張コンクリ-トを鉄筋コンクリ-ト管に適用し、そのひびわれ強度の改善を計った。1)膨張コンクリ-トの材料特性を明らかにした。2)普通コンクリ-トと膨張コンクリ-トの複合化を行うことによりケミカルプレストレスを導入した。このとき、管を多層円柱とモデル化し応力解析を行いプレストレスの分布を示した。3)外圧試験により膨張コンクリ-ト使用(ケミカルプレストレス導入)によるひびわれ強度の上昇を定量的に示した。2.PC鋼材を用い、鉄筋コンクリ-ト管に機械的プレストレスを導入し、外圧強さの向上を計った。1)PC鋼を鉄筋コンクリ-ト管の外壁に巻き緊張・定着して機械的プレストレスを導入した。2)機械的プレストレスとひびわれ強度の関係を明らかにした。3.鉄筋コンクリ-ト管の内壁にライニングするポリマ-モルタルの材料特性を検討した。1)ケミカルアタックに対する抵抗性、2)遠心力ライニング時の親水性、3)鉄筋コンクリ-トとの付着特性、4)外圧試験におけるひびわれ強度が明らかにされた。4.高強度耐酸コンクリ-ト複合管の設計及び製作を行った。1)複合管を構成するポリマ-モルタル、膨張コンクリ-ト、普通コンクリ-トの打込み厚さ、鉄筋及びPC鋼の量及び配筋などに関し、その材料特性及び価格を考慮し、できるだけ大きな外圧強度が得られる最適設計を行った。2),1)の結果に基づき、実用管の試作を行い、その外圧試験を行った。
著者
宮澤 三雄
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

日本伝統野菜・帰化植物・生薬等計21種の植物から香気物質(精油)を得、精油構成成分及び香気特性を解明した。AChE阻害活性については、モミジガサ及びヨブスマソウの精油が強い阻害活性を示した。β-セクレターゼ(BACE1)阻害活性については、数種の精油において阻害活性を有することを見出し、精油香気物質や生物変換生成物の一部にも有効な活性を有する物質があることを明らかにした。本研究成果から、認知機能賦活の生化学的要因に植物香気物質が有効である可能性を示唆した。
著者
東海 正 大本 茂之 藤森 康澄 兼廣 春之 松田 皎
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.715-721, 1997-09-15
参考文献数
19
被引用文献数
6 3

A separator-trawl used for a mantis shrimp catch in Tokyo Bay has a separator panel and two codends; separator net-panel (100mm stretched mesh length) on part of the top of the first codend (62mm mesh length) which is covered with the second codend (33.6mm mesh length). The fishermen hoped mantis shrimp as a main target species would be caught in the second codend and be separated from starfishes retained in the first codend, because large amounts of starfishes cause difficulty in fishermen's hand-sorting on deck. Separation efficiencies of the trawl were obtained from the catch numbers in the two codends in a fishing experiment. Separation efficiency between species <i>i</i> and <i>j</i> is defined as γ<i><sub>i</sub></i>+γ<i><sub>j</sub></i>-1, where γ<i><sub>i</sub></i> is the recovery ratio in the codend for <i>i</i>-species, that is, a proportion of the <i>i</i>-species catch number in the <i>i</i>-species codend. While the recovery ratio for starfish in the first codend was 0.96, that for mantis shrimp in the second codend was 0.66 which was not so high as expected. Thus, separation efficiency between mantis shrimp and starfish was 0.62. Although the separator net-panel has enough large mesh size for small animals, e.g. small crab <i>Carcinoplax vestina</i>, some species of low swimming ability failed to pass through the separator panel and were retained in the first codend. This implies that separation performance of the separator-trawl depends on the swimming ability of each species in the net as well as mesh selectivity of the separator net panel.
著者
吉田 貴富
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
no.30, pp.439-452, 2009-03-21

対話型ギャラリートークが日本に紹介されると同時に,学校教育への導入・応用の動きも始まり,啓蒙書的・指南書的な書籍の出版も相次いでいる。しかし,これらの書籍はほぼ共通して進行役(ファシリテーター)の美術的素養や扱う作品に関する知識・理解・解釈を問題にしない。むしろそれらは不要であるとの言説も存在する。はたしてこのような認識や喧伝の仕方は,学校教育における対話型鑑賞を実り多いものに導くであろうか。本稿は,対話型ギャラリートークに関する文献,アメリア・アレナスの対話型ギャラリートーク,それに小学生を対象とした実践例を再検討して,対話型ギャラリートークを学校教育へ導入・応用する際に重要な要件のひとつとして,進行役が,扱う作品に関する知識・理解・解釈を具えていることが挙げられることを明らかにした。
著者
岡部 寿男 宮崎 修一 廣瀬 勝一
出版者
京都大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

物理的に離れた場所にいるプレイヤがネットワーク上で対戦ゲームを行う環境構築の基盤を作ることが本研究の目標である。信頼できるサーバを用意することにより容易に実現できるが、サーバ自身の不正やサーバの負荷を考え、サーバなしのいわゆるpeer-to-peer型の環境を対象とする。そのような条件下で、対戦相手の不正を如何に防御するかを考察するのが、本研究の目的である。これまでの研究において、順序機械を用いてゲームを形式的に定義し、その定式化の汎用性を示すとともに、具体的ゲーム(軍人将棋)に対して計算量の削減を行いJaval.4を使って実装した。本年度は、その関連研究として、プライバシーを確保したまま二者間で情報をやりとりし、所望の計算結果(主に認証、認可)を得るためのプロトコルの研究を行った。本研究では、基盤となる認証体系としてShibbolethを仮定し、その上で「マジックプロトコル」と呼ばれる暗号技術を利用して所望のプロトコルを実現する方法を提案した。以下に例を2つ挙げる。例えば、年齢制限のあるWebコンテンツの閲覧の為には、利用者は制限年齢より上であることを証明すれば良く、自分の年齢そのものはできるだけ公開したくない。また、サービス提供側も、年齢制限がどこにあるのかを公開したくない場合がある。このような状況で、お互いに自分の秘密情報を公開しないまま、結果となる判定だけは正しく行いたいという要求が生じるが、これを、Yaoの金持ち比べプロトコル(2人の参加者が、自分の所持金を相手に知らせずに、どちらが金持ちかを正しく判定するプロトコル)を用いて解決した。また、例えば、会社の採用の条件として、大学時代に科目Aの単位を取得しているという条件を課している場合、会社はそれがどの科目であるかを明かさずに、また、大学側は、その科目A以外の単位取得状況は知らせずに、学生が科目Aの単位を取得しているか否かのみを、会社が知るという要求が考えられる。この問題は、紛失通信というプロトコルを応用することにより解決した。
著者
山根 義則 櫻井 幸一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.95, no.353, pp.29-39, 1995-11-16
参考文献数
20
被引用文献数
1

鍵寄託方式における,裁判所に認められた盗聴を制限する方法について考察した.簡単な解決方法としては,盗聴期間に制限がついた鍵を利用することである.しかし,この方法は長期間でたくさんの鍵を必要とすることから能率が悪い.そこで提案する方法は,ブラインド復号化のプロトコルを応用することである.ブラインド復号化とは,暗号文の所有者は鍵の所有者に暗号文を明かさず,鍵の所有者は暗号文の所有者に鍵を明かさないで,文書を復号化することである.今回,ElGamal 暗号によるブラインド復号化方式を新たに提案し,それを利用したKey Escrow System を紹介する.
著者
亀田 達也 結城 雅樹 中島 晃 ウェア ポール
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

「人間の共感能力とは何か」という問いは、人文・社会科学の共通の根本問題であると同時に、進化生物学などの自然科学領域にもまたがる巨大な問いであり、社会的存在としての人間を理解する上で極めて重要である。本研究では、「原初的共感」という人間の基礎的な感情作用に着目することで、「高次の共感」、「感情の本質的社会性」といったより大きな問題群を考究可能にするための、概念的な整備を体系的に行った。3年間にわたる研究を通じて、二者間での感情の同期化に関する理論構築に力を注ぎ、表情模倣と呼ばれる現象の特定に成功した。表情模倣とは、ターゲットの感情的な表情表出を、受け手が自分の表情表出に引き受ける(再現する)現象を指す。この現象については、母子間の表情模倣に関する古典的な研究が存在するものの、非血縁の成人間の模倣については断片的な知見の蓄積に留まっており現象の再現性やその規定因はほとんど明らかにされていない。本研究では、表情模倣現象が相手の感情理解のための機能を有するという作業仮説を立て、顔筋の活動電位(EMG)を計測することで一連の検証実験を行った。実験の結果は、この仮説をおおむね支持するものであった。これらの知見は、「原初的な共感」のエンジンとしての表情模倣現象の重要性を示唆するもので、人間の共感能力の理論化に向けて有意義な出発点となる。
著者
宮崎 信之 YANG Jian
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

有機スズ化合物は船底塗料や漁網の汚染防止剤などにつかわれ、世界各地で海洋環境に深刻な影響を及ぼしている。本研究では、中国と日本の代表的な水生動物に注目して、その汚染実態と生物影響を調査することを目的としている。(1)中国では、これまで有機スズの研究が少ないので、有機スズ化合物に関する規制が皆無である。本研究では、中国の太湖に五つの調査点を設け、指標生物ドブ貝(Anodonta woodiana)を採集し、プチルスズ(TBT、DBT、MBT)とフェニルスズ(TPT、DPT、MPT)化合物質を測定した。その結果、プチルスズとフェニルスズ化合物質が両方とも初めで検出された。その上、両類汚染物質が有意な地域の濃度差異が見られた。(2)日本三陸沿岸産イシイルカ(Phocoenoides dalli)の親子個体の組織濃度と負荷量を研究し、TBT、DBT、MBT及びTPT、DPT、MPTの蓄積の実態と親子の移行の実証及び特徴を明らかにした。更に、イシイルカ体内のプチルスズとフェニルスズ化合物質の代謝能力、特異的な蓄積臓器としての肝臓におけるチトクロムP450の活性の関係の比較研究を行った。その結果、プチルスズよりフェニルスズ化合物質に対する代謝能力が明らかに弱いことを発見した。これらの一連の研究は水生生物における有機スズ類汚染物資の蓄積、代謝及び毒性のメカニズムの解明に関する重要な知見が得られた。