著者
岡村 和明 NIZAMUL Islam
出版者
高知大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、既婚女性を対象にある時点での正規労働、非正規労働の経験がその後の働き方に及ぼす効果を検証した。その結果、既婚女性自身の観察されない特性およびランダムな要因等を明示的にコントロールした場合でも、正規労働、非正規労働双方において、ある時点での仕事経験が同じ形態の仕事を経験する確率を高めることが明らかとなった。この結果は、仕事経験の内容が既婚女性自身の能力および選好に長期的な影響を及ぼすことを示唆している。
著者
蛭田 秀一 安藤 詳子 山田 宏 島岡 みどり 今枝 敏彦 小野 雄一郎
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

各種介助作業方法間で、介助者側の負担感と患者側の安心感を比較した。また、負担感や安心感と介助者の筋力との関係を検討した。作業として、ベッド上での仰臥位から長座位への起き上がり介助(5方法;患者の右側から)とスライド板使用の車椅子からベッドへの水平移乗介助(3方法)を設定した。被検者は18人の介助者役(平均年齢21.4±SD0.6歳、平均身長157.9±5.9cm、平均体重52.7±5.8kg)と1人の患者役(身長152.2cm、体重48.9kg)の女子看護系大学生であった。方法によっては、患者支持用補助具として、フレキシムーブ(把手紐付きのたわみ可能な介助板)とフレキシベルト(把手紐付き介助ベルト)を使用した。起き上がり介助における介助者の全身負担感(Borg's RPE値)は「ムーブ使用・右膝ベッド上置・回旋引き起こし」が平均10.8±1.6で、他の4方法に比較してそれぞれ有意に(P<0.05)低かった。「患者右前腕固定・回旋起こし」(11.2±2.1)と「ムーブ使用・回旋引き起こし」(11.6±1.7)はともに、「患者背部持ち上げ起こし」(13.2±2.2)、「対面左肩保持引き起こし」(13.3±2.4)より有意に低かった。7段階で尋ねた患者の安心感については、最良の「ムーブ使用・右膝ベッド上置・回旋引き起こし」と最低の「患者背部持ち上げ起こし」の間のみ有意差がみとめられた。移乗介助における介助者負担感は、「ムーブ使用」が「支持具不使用」より有意に低値を示し、患者安心感は「ムーブ使用」が「ベルト使用」に比べ有意に良好であった。筋力との関係については、「支持具不使用」移乗において介助者の脚力が高いほど患者安心感も高いという有意な相関関係がみられた。本研究の結果、介助方法や補助用具の選択の際には、介助者側、患者側双方からの評価を総合的に検討すべきであることが示唆された。
著者
町田 宗博 目崎 茂和 山下 欣一 渡邊 欣雄 都築 晶子 三浦 國雄 中村 誠司 高良 倉吉
出版者
琉球大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1991

本研究の目的は、以下の3点である。1.中国における風水思想とその変遷,及び朝鮮・沖縄におけるその受容と展開を風水書や民間説話などの文献・民俗資料を通して明らかにし,各地域の比較を行う。2.日本の中でも復元可能な沖縄地域の風水説の受容,政治・歴史的背景との関連,近代以降の受容を,文献と野外調査を踏まえて総合的に検討し,その全体像を解明する。3.以上の個別研究を踏まえ,沖縄を中心として韓国・台湾・香港の風水文化の異同を学際的に比較検討する。これらの目的の達成のため,本年度は,2回の研究会と現地検討会(風水巡検)を開催した。特に本年度は,沖縄県石垣島において,風水見(風水師)与儀通事親雲上鄭良佐による与那国島,波照間島を除く全集落を対象とした風水見分文書・「北木山風水記」が見つかり,風水巡検は,同文書と現地集落の対応関係に力点をおいた。この結果,沖縄における風水見の風水知識受容の態様と,具体的集落空間に対する認識形態の一端が明らかになった。このことは,「風水」が,沖縄の景観解読の一つの鍵になりうることをも示唆している。また,研究会においては次の発表を得た。【中国(香港・台湾)の風水】中国大陸の風水研究書について(宮崎順子)【韓国の風水】韓国の風水研究-村落風水を中心に-(朝倉敏夫),現代韓国の風水説(野崎充彦)【沖縄の風水】八重山の村落風水(新城敏男),与儀通事親雲上鄭良佐の風水見分(町田宗博)【インド,タイ】タイ北部の山岳民族の風水について(吉野晃),タミル風水孝-南インド内陸農村社会の自然観と経済観(重松伸司)【公開講演会】中国の呪符について(坂出祥伸),気功と風水(津村喬)【風水巡検】八重山風水文書と現地集落との対応関係(小浜島・竹富島・石垣島)【討論会】村落風水の比較研究-沖縄・韓国・中国-
著者
高橋 悠子 中村 任 守屋 友加 白木 孝 林 伸英 熊谷 俊一 岡村 昇 八木 麻理子 竹島 泰弘 松尾 雅文 栄田 敏之 奥村 勝彦
出版者
日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.11, pp.1111-1116, 2006-11-10
参考文献数
23

Recently, high dose gentamicin (GM) has started to be used for the treatment of Duchenne muscular dystrophy (DMD). Previously, since the intravenous infusion of GM for 1h once a week at a dose of 7.5mg/kg/day had caused no significant adverse events in a course of therapy lasting 6 months, we decided to try conducting such therapy for four courses in the present study. We continuously assessed renal function by monitoring serum creatinine, serum cystatin C (Cys-C), serum urea nitrogen (BUN), urinary β_2-microglobulin and urinary N-acetyl-β-D-glucosaminidase (NAG) activity. Serum creatinine levels were found to be much lower than the normal range, while, at 0.65 to 0.78μg/mL, serum Cys-C levels, were within the normal range and so was BUN, suggesting that the glomerular filtration rate in the DMD patients receiving GM therapy was being maintained in the normal range. Therapeutic drug monitoring of GM indicated that it was being rapidly eliminated from the systemic circulation though a slight elevation of urinary NAG activity in 1 patient indicated the possibility of impaired renal proximal tubules. It will thus be necessary to optimize our patient management strategy.
著者
三枝崎 剛
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

符号,格子及び頂点作用素代数について,組合せ論の立場から考察し,研究を行った.格子から構成される球面デザインの非存在を証明した.球面t-デザインとは,球面上の有限集合で,ある条件を満たすものである.一般に,t-デザインならば(t-1)-デザインになり,高いtのt-デザインを見つけることが,目標である.例えばE8格子の原点から等距離にある点集合は,球面上に存在しており,その集合は,7-デザインになっている事が知られている.では,8-デザイン以上になるか否かは,非常に興味ある問題である.ここで,非常に面白い事に,この問題は数論で古くから未解決である,レーマー予想と同値になっているのである.今年度,特別なの2次元整数格子に対して,デザインの非存在を証明出来た.具体的には,2次元整数格子は虚二次体の整環とみなす事が出来るが,類数1,2の整環に対応する格子に対して,デザインの非存在を証明した.4次直交群の有限部分群から構成される球面t-デザインのtの値を決定した.直交群の有限部分群の軌道は,自然に球面上に存在していると考えられるが,そうして構成されるt-デザインの,tの値は余り高くならない事が予想されている.この予想を確認するべく,今回は,最近になって分類が完成した4次直交群の有限部分群全てに対して,t-デザインとなるtの値を決定した.共形デザインの非存在を証明した.近年,頂点作用素代数(以下VOAと略す)上に共形t-デザインという概念が定義された.例えば頂点作用素代数の最も重要な例である,ムーンシャインVOAは,共形11-デザインを構成する事が知られている.更に,球面デザインの時と同じく,12-デザインになるか否かは,レーマー予想と同値になる.研究代表者は,自由ボゾン型VOAに関して,デザインの非存在を示した.更に,格子VOAに関しても,非存在を示すべく研究中である.
著者
梅埜 國夫 下野 洋 富樫 裕
出版者
国立教育研究所
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

1 高等学校生物教育の内容として、教科書から抽出した455項目について、各項目ごとの必要度を評価してもらうために、生物教育の専門家792名に対してアンケート調査を行った。(内訳は、生物教育学会の会員である大学教官126名、教育センター所員44名および教育センターから推薦してもらった高校教員623名)回答は、557名(70.3%)から得られた。2 このアンケート調査の結果を参考にしながら、高校生物教育のミニマム・エッセンシャルズを策定した。3 ミニマム・エッセンシャルズを基にして、高校生物教育の教育課程試案(シラバス試案)を作成した。この試案では、高校生物の内容を9つの領域に区分し、各領域毎に、具体的な内容項目をA・B・Cの3ランクに示けて示した。Aランク:国民的教養としてのミニマム・エッセンシャルズ。すなわち、生徒の将来の進路のいかんを問わず高校卒業生の一般教養として必要不可欠な内容。したがって、できれば必修科目の中でとりあげたい内容。Bランク:発展的・補修的内容。すなわち、生徒の将来な進路の希望によって、選択科目の中で取り上げたい内容。Cランク:参考程度の内容。もし余裕があれば取り上げても良いという程度。4 本研究についての研究報告書を作成した。
著者
Ohara Jun Yamamoto Shoji
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
Journal of the Physical Society of Japan (ISSN:00319015)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.250-253, 2005-01-15
参考文献数
50
被引用文献数
7

The optical conductivity of photogenerated solitons in quasi-one-dimensional halogen-bridged binuclear metal (MMX) complexes is investigated with particular emphasis on a comparison between the two family compounds R_4[Pt_2(pop)_4X]・nH_2O (X=Cl, Br, I ; R=NH_4, Na, K, ...; pop=diphosphonate=P_2O_5H_2^<2->) and Pt_2(dta)_4I (dta=dithioacetate=CH_3CS_2^-). Soliton-induced absorption spectra for the pop complexes should split into two bands, while those for the dta complex should consist of a single band.
著者
山木 朝彦
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学 : 美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
no.29, pp.563-575, 2008-03-27

本稿において展開する考察の目的は,戦後日本の美術教育思潮におけるリアリズム表現の受容の背景に,どのような教育観と芸術観が潜んでいたのかを明らかにすることにある。アプローチの方法は次のとおりである。この論文では,芸術思潮におけるモダニズムの概念を再検討することで,リアリズムをモダニズムと対置せずに関連づける試みを行っている。これは,リアリズム対モダニズムという従来の図式的な理解を克服し,戦後の美術教育思潮を客観的に俯瞰するためである。また,美術制作の分野で展開されたリアリズム追究の流れと美術教育の運動にみられるリアリズム受容の流れを複眼的に比較考量している。その目的は美術教育界と美術運動の両者に通底するモダニズムの精神を炙り出すとともに,美術教育思潮におけるリアリズムの特質を明らかにするためである。この論考の先には,ポストモダンをも踏まえた同時代の美術教育の思想的座標の位置づけを行う試みが予想される。
著者
河野 利佳子
出版者
フェリス女学院大学
雑誌
Ferris Wheel
巻号頁・発行日
vol.7, pp.58-75, 2004-03-31

著作権許諾確認未済のため
著者
小川 康 藤原 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-03-27

静電気放電(electrostatic discharge:ESD)とは電荷蓄積に基づく花火放電を指す.これから発生する電磁パルスは,マイクロ波帯に及ぶ広帯域の周波数スペクトルを含み,情報処理装置やディジタル機器に不測の誤動作や破壊を引き起こす.特に,帯電体同士の衝突・接触で生ずる間接ESDは直接的なそれよりも機器システムに及ぼす影響は深刻であり,しかも低電圧ESDほうが高電圧ESDよりも大きなダメージを与えるという.この種の特異現象は点火プラグのそれに酷似しており,両者には類似の機構の存在を思わせる.この観点から筆者らのグループでは,プラグギャップの電流解析法を間接ESDに応用することで発生電磁界を解析し,放射界強度が特定ギャップで最大に達することで発生電磁界を解析し,放射界強度が特定ギャップで最大に達することを数値的に誘導した.本文では,間接ESDモデルとして球対球電極を用い,同電極間の花火放電によるディジタル機器の誤差動作頻度を実測することで上述の特異現象を実験的に示す.また,この場合の機構が前報告の理論から定量的に説明できることも示す.
著者
勢田 二郎 角田 有紀 内田 洋子
出版者
山梨大学
雑誌
山梨大学総合情報処理センター研究報告 (ISSN:13439588)
巻号頁・発行日
vol.2, 1998

浴衣の製作方法の詳細を画像と文字により構成し、HTML言語で作成した。このホ-ムペ-ジを用いて、学生に実習させ、教育方法の効果をSD法で評価した。結果は、従来の授業方法よりやや良いというイメ-ジが得られた。このような学習形態は、実技教育に有効と考えた。
著者
田中 英朗
出版者
全国社会科教育学会
雑誌
社会科研究 (ISSN:0289856X)
巻号頁・発行日
no.35, pp.11-23, 1987-03-15