著者
出光 一哉 稲垣 八穂広 有馬 立身
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ベントナイト粘土中のイオンの移行挙動は、放射性廃棄物処分の安全評価のため重要であるが、地下の還元環境を模擬した実験は困難であった。また、イオンの中には移行の極めて遅いものがあり、その移行パラメータを現実的な期間で得るための手法が必要とされていた。提案者らは、電気化学的手法を用いて、ベントナイト粘土中に安定な還元環境を生み出し、粘土中のイオンの移動を加速して移行のパラメータを得る手法を開発した。本手法を用いることにより、ベントナイト中に安定した還元環境を生成することに成功し、その環境における鉄イオン、アルカリイオン、アルカリ土類イオンの拡散係数、分散係数を得た。
著者
本間 俊司 石井 淳一 古閑 二郎 松本 史朗 近沢 孝弘 菊池 俊明 半沢 正利 柴田 淳広 小山 智造
出版者
埼玉大学地域共同研究センター
雑誌
埼玉大学地域共同研究センター紀要 (ISSN:13474758)
巻号頁・発行日
no.4, pp.69-73, 2003

A simulation system for uranium crystallization process is developed for designing the reprocessing by plutonium-uranium co-erystallization. Experiments of batch crystallization are conducted in order to validate the system. Calculated recoveries of uranium are in good agreement with experimental ones, and the error is within 5% when the recovery of uranium is greater than 70%.
著者
光岡 真一 池添 博 西尾 勝久 チョン スンチャン 渡辺 裕
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

原子番号が104番より大きな超重元素は自然界には存在せず、加速器からの重イオンビームを標的原子核に照射して人工的に合成されおり、120番元素の合成候補であるニッケル64と変形したウラン238との反応において、入射エネルギーの微調整が容易でエミッタンスのよい重イオンビームを供給できる日本原子力機構のタンデムブースター加速器を用いて、融合障壁分布を測定し、重い元素合成への新たな道を拓く。
著者
田邉 朋行 稲村 智昌
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.26-41, 2009 (Released:2010-05-14)
参考文献数
16

原子力施設に対するテロ懸念の高まりや, 再処理施設の本格稼働等プルトニウム平和利用の着実な推進の確保等を背景に, 我が国では, 原子力開発利用分野における秘密情報管理の重要性が高まりつつある. 本稿では, 2001年の9・11同時多発テロ以降その内容を強化してきた, 米国の商業用原子力発電施設における秘密情報管理の先行導入事案を, 法制面及び実務対応面の両面から調査・分析し, その特色を抽出するとともに, 同分析を通じて, 我が国における詳細制度設計や実務対応のあり方についての示唆を得た.
著者
星井 牧子 生駒 美喜 室井 禎之 生駒 美喜 室井 禎之
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、日本語を母語とする学習者のドイツ語習得過程と学習環境との関係について、学習環境の異なるドイツ語学習者を対象にドイツ語でのインタビュー調査を行い、口頭コミュニケーション場面における言語行動を考察した。調査は38名に対して行なわれ、インタビューの文字化作業、分析の基盤となるデータベースの作成を行なった。コミュニケーション中心の少人数制授業を受けた学習者は、文法・語彙・音声・コミュニケーション行動の各側面において、ポジティブな変化をしていることが確認された。
著者
加藤 義春 高橋 正雄
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.25, no.12, pp.841-846, 1976-12-10
被引用文献数
4

(7.5〜50)%のンルトニウムを含むウラン-プルトニウム混合酸化物中のウラン及びプルトニウムを電位差滴定法を用いて逐次定量した.ウランとプルトニウムの混合酸化物を硝酸,フッ化水素酸に溶解し,硫酸白煙処理を行う.クロム(II)溶液を加えてウランとプルトニウムをそれぞれウラン(IV),プルトニウム(III)に還元した後,塩化カリウム-塩酸緩衝液5mlを加え水で30mlに希釈する.水酸化ナトリウム溶液を加えてpHを1.0〜1.5に調節した後,白金-飽和カロメル参照電極を浸し,溶液に残っているクロム(II)をクロム(III)に空気酸化する.窒素を通気して溶存酸素を除き,更に窒素通気を続けながら0.1M硫酸セリウム(IV)標準溶液でウラン(IV)を滴定する.ウランの終点に達したら0.02M硫酸セリウム(IV)標準溶液でプルトニウム(III)を滴定する.硫酸白煙処理後,1試料の滴定に要する時間は約30分である.
著者
川元 佳子
出版者
兵庫県加古川市立陵北小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

教師の子どもに対する視点を理解することで担任教師の学級経営支援ができるのではないかと考えた。「教師用RCRT (Role Construct Repertory Test)」という方法を使い教師の「子どもに対する視点」を把握できることは先行研究(浦野,2001)により明らかであったが、従来の実施方法は高度なデータ処理や専門家によるコンサルテーションを必要としていた。そこで、専門的な知識を持たない教師であっても比較的簡単に実施し、結果を理解することができるような方法の改良・開発が必要であると考え、教師用RCRTの応用的な実施方法の検討を含めた支援介入プログラムを開発することを本研究の目的とした。プログラムにおいてQ-U(QUESTIONNAIRE-UTILITIES)で学級の状態をアセスメントした上で、教師用RCRTを実施した。その実施においては従来の教師用RCRTに教師の意図的方向付けを把握する川元版教師用RCRTを加えた。その結果、産出されたコンストラクト・抽出された因子の内容が二つの教師用RCRTにおいて違いがあった。また、教師内地位指数(順位)でも大きなズレを示す児童が存在することも確認された。分析データから教師自身の視点を把握、二つの因子分析の比較と教師内地位指数から学級の荒れを防ぐための方法を検討した。その結果、教師内地位指数の範囲外の児童及び気になる児童について継続観察をすることとなった。継続観察以後、Q-Uの学級生活不満足群が減少し学級生活満足群が増えるなど、教師内地位指数の差から抽出された子ども及び学級全体が良好な結果へと変化していた。また、教員の感想からも、自分の視点を知ることで教師としての視野が広まり学級経営がやり易くなったという意見が多く出された。
著者
梅田 克樹
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

イタリアの農業は、危機的状況に陥っている。厳しい環境下において農場を維持するために、生産コストの圧縮や農産物の付加価値向上、農外部門への進出などが図られている。イタリア中北部においては、アグリツーリズモや農場レストランと、農産物加工・販売とを組み合わせる事例が多くみられる。そのために必要なコンヴァンシオンを獲得するための手段として、地理的表示システムの活用や有機・減農薬農業への参入が相次いでいる。
著者
秦 兆雄
出版者
神戸市外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究はほぼ計画通り、先行研究の文献を購入、精読しながら、主に夏休みや春休みなどを利用した参与観察と聞き取り調査により、かつて調査した石川県及び千葉県の農村で親族と宗教儀礼に関する具体的な資料を収集した。また、必要に応じて北海道十勝地域の農場と阿寒湖のアイヌ部落、兵庫県の香住町と赤穂市及び愛知県の吉良町なども調査し、具体的な資料を収集してきた。これらの資料が先行研究や日中社会との比較研究などにおいて、どのような学術的な位置づけや意味をもつのかについては、既に日本と中国の学会などでの口頭発表や論文発表及び著書で公開してきたが、今後も国際的な学術誌などに積極的に発表していく予定である
著者
森本 道孝
出版者
近畿大学英語研究会
雑誌
Kinki University English Journal (ISSN:18827071)
巻号頁・発行日
no.5, pp.67-78, 2010-01

近畿大学非常勤講師サム・シェパードの『地獄の神」のラストシーンでは、エマがただ一人舞台に残り、家に起こった危機を夫に知らせるためにポーチのベルを鳴らす。彼女の意思に反し、家の中はウェルチによってアメリカへの愛国心を示すもので満たされていくが、これはアメリカ国民が知らぬうちに愛国心を強要されている状況をも示す。この劇のタイトルはプルトニウムの語源である地獄神プルートを示すが、この物質の持つ見えざる浸透力はアメリカ国民に蔓延しているアメリカ国家の持つ力への盲目的な信念の忠実なメタファーとなっている。作中でヘインズが言うように、個人と国家の問題の境界は消失し、エマのベルはアメリカ国民の現状への警鐘の役目を担っている。これらの点から、この劇をもってシェパードがより視野を広げ、政治的視点をこれまでより明確に示していることを指摘したい。
著者
井上 純哉 足立 正信 石田 哲也 前川 宏一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

一般に局部変形の卓越する部材や鋼材が局部座屈する領域が内在する場合,すべての挙動を数値解析で追跡することは未だ困難である.そこで本研究では,実験によって代表させた領域での局所変形と力の関係に関する情報をそのまま構成則開発の検証データとするシステムの構築、並びに上記システムを構築する上で不可欠となる新たな解析手法及び設計手法の開発を目的とした.その結果,新たな知見として以下に列挙する研究成果を得る事が出来た.(1)解析-実験システム間の通信プロトコルの雛形の開発開発された通信プロトコルはデータ形式の拡張性・データの大規模化・分散/並列環境を考慮し,一般に広く用いられているDocument方式を採用した.開発された通信プロトコルを用い,小規模LAN内で通信試験を行い検証した結果,非線形性が小さい領域では概ね問題なく動作する事が確認された.(2)エレメントフリー確率有限要素法の開発材料の不確定性のみならず,複雑なRC構造物を容易にモデル化する事を可能にする事を目的に,エレメントフリーガラーキン法を摂動展開及びPolynomial Chaos展開を用いて拡張した確率有限要素法を開発した.開発された手法を様々な境界条件におけるモンテカルロシミュレーションの結果との比較により,その有効性及び効率性を示す事が出来た.(3)自己質量調整型仮想材料モデルの開発地中鉄筋コンクリート構造の接合部および隅角部に対して,自己質量調整型仮想材料モデルによって配筋を生成し,施工が前能で,しかも曲げせん断力を適切な裕度で伝達できる設計を提示した.本研究成果の特質としては,せん断破壊の寸法効果が顕著となる大型部材に対して特に有効である事が言える.