著者
大歳 太郎
出版者
星城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

従来のシンボルを取り入れたコミュニケーションエイドの一種であるPDAを参考として,新しいPDAのプロトタイプ機器を開発し,予備的実験を実施する.そして,当該機器を用いて,自閉性障害児の重症度別,精神発達年齢別におけるPDAを用いたシンボルのマッチング得点の比較から適応年齢を検討し,セラピストが自閉性障害児にPDAを提供する際の適応指針を構築する.
著者
牧野 勲
出版者
旭川医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

赤血球局在ケト胆汁酸還元酵素系の役割とその特性について研究実施計画に沿って検討し、下記の成果を得た。1.赤血球内ケト胆汁酸還元酵素の部分精製と特性に関する検討。酵素の部分精製はBerseusの方法に従って実施し、現在も進行中である。本酵素系の特質については試験管内実験から、(1)至適温度は37〜40℃、(2)至適pHは7.0、(3)ケト胆汁酸の還元能はC3位のケト基にのみ限定される、(4)肝における3αーHSD酵素とは作用が類似するも同一でない、(5)70℃、2分間の加熱で失活することを明らかにした。2.赤血球還元機構を加えた胆汁酸代謝マップの作製。デヒドロコ-ル酸の経静脈負荷試験から検討を加えた。従来デヒドロコ-ル酸はその全てが肝で還元代謝を受け、胆汁中ヘモノハイドロキシ体20%、ダイハイドロキシ体70%、トリハイドロキシ体10%となってい排泄されると考えられて来た。したし本研究によりデヒドロコ-ル酸はその一部が大循環血中で赤血球によりC3位のケト基が還元され、モノハイドロキシ体となり、その後肝に摂取されて代謝を受ける副経路が存在することを明らかにした。その程度は負荷量の10ー20%に及ぶため、本副経路は生理的意義を有するものと判断された。この場合、上記成績はデヒドロコ-ル酸および代謝還元体の肝摂取速度を度外視したものであり、したがって20%以上のデヒドロコ-ル酸が本副経路を経由することが考えられ、現在詳細な検討を行っている。3.赤血球還元機構由来の血中胆汁酸の検討。これ迄施行した血中胆汁酸分析で、末梢血中に3ケト胆汁酸を認めなかった。本所見から腸管内で3ケト胆汁酸が生成され、それが循環血中に流入しても、赤血球局在ケト胆汁酸還元酵素により速やかに、3αハイドロキシ体に還元されることが推察された。
著者
小崎 完 水野 忠彦 大橋 弘士
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

申請書の研究計画・方法に従い、購入機器のセットを行い、あわせてそれらを一括制御するためのコンピュータプログラムを作成し、電解研磨中の電流あるいは電位変動の連続的な測定記録を可能するシステムの構築を行った。つぎに、このシステムを用いて、放射性腐食生成物を模擬した酸化皮膜を形成した304ステンレス鋼を燐酸溶液中で定電位電解研磨した際の電流変動の観察を行った。この場合、燐酸濃度は28vol%とし、ステンレス鋼はあらかじめ電気炉において600℃で一定時間酸化させたものを用いた。電解研磨の際に観察された電流変動スペクトルを、最大エントロピー法(MEM)によって解析した結果、0.01Hz〜10Hzの周波数範囲で、比較的再現性のある周波数スペクトルが認められた。特に、0.1Hz〜10Hzの周波数範囲においては、両対数グラフ上で直線関係を示し、その傾きが-1から-4となった。この傾きは電解研磨開始直後には比較的高い値を示すが、研磨が進行するにつれて徐々に-3以下の低い値に落ち着く傾向のあることを見い出した。それらの傾きと測定電流値の平均あるいは分散値との相関については今後の課題である。以上の観点から、電解研磨除染時の電流変動を観察しその周波数スペクトルの傾きに着目することにより、除染進行状態をモニターできる可能性が認められた。ただし、現段階においては、ステンレス鋼試料上の酸化皮膜の厚さ、撹拌、温度、電解液濃度などのパラメーターについて十分に把握していないので、今後これらについてのデータを精力的に収集するとともに、従来用いられてきた除染条件の再評価及び最適除染条件の提案を行う。
著者
玉川 洋一 杉本 章二郎 小林 正明
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

原子力発電所およびその周辺施設等における主に建屋内の漏洩放射能のモニターを行うため,ガンマ線のコンプトン散乱を利用した数個のシンチレーターからなるリアルタイム型全方向有感型の検出器の開発を行った.2インチのNaI(Tl)シンチレーターとプラスチックシンチレーター等を組み合わせて,角度分解能5°でガンマ線のエネルギー同定可能な検出器のプロトタイプを2つ製作し,ガンマ線源の飛来方向を視覚的に捉えるための描画ソフトも開発した.
著者
赤塚 洋
出版者
東京工業大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1998

昨年度に引き続き数値解析を行い、その結果、レーザー発振に必要となる励起酸素の生成には、ガス温度が低く(1000K程度)、電子温度が高い(7000〜9000K)熱的に非平衡なプラズマが望ましいと言う結果が得られた。そこで、マイクロ波放電により比較的低気圧(0.5〜10Torr程度)の酸素プラズマを生成し、同プラズマの酸素ヨウ素レーザー媒質への応用の可能性について検証を行った。本プラズマは石英放電管内部において、2.45GHzのマイクロ波放電により生成される。放電条件としては、マイクロ波発振電力600W,放電圧力0.5〜10Torr、酸素ガス流量0〜0.5l/minであった。酸素原子励起準位からの発光スペクトルを分光分析し、原子励起数密度分布を測定した。その結果、プラズマは電離プラズマに特有な密度分布をしており、同プラズマが電離プラズマであることを確認した。電離プラズマでは原子励起数密度が原子基底状態数密度に比例することにより、同プラズマが圧力が高くなるにつれ、また下流に進むにつれ酸素分子の解離度が低下することを確認した。励起酸素O_2a^1Δの検出を試みたが、測光システムの検出効率に限界があり検出できなかった。ダブルプローブ法によりプラズマ下流域において電子温度と電子密度を測定した結果、それぞれ0.4〜5.0eV,10^8〜10^<12>cm^3となり、両者ともに高気圧放電となるにつれて低下する傾向が見いだされた。また励起酸素O_2a^1Δの生成に適した電子温度7000〜9000Kの条件が、放電圧力4〜10Torrの間で達成されることを確認した。以上本件級の結果、マイクロ波放電酸素プラズマ下流域において、マイクロ波出力600W,放電圧力4〜10Torrにおいて酸素ヨウ素レーザー触媒として適切な酸素プラズマが生成されている可能性があることが判明した。
著者
吉田 邦彦 早川 和男 人見 剛 池田 恒男 今野 正規
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

震災、水害、火山活動などの各災害における被災者の災害復興政策において、住宅補償・生業補償の否定という従来からの負の遺産による居住福祉法学的配慮の手薄さは、比較法的考察からも先進諸国でも群を抜いて目立ち、災害救助法及び被災者生活再建支援法の現状では問題は山積し、さらに原発リスクにおける安全性チェックの制度的陥穽は事態を深刻化させることを、3.11以前に指摘したが、そうした中で東日本大震災が生じ、危惧が的中し、かつその後の災害復興における居住福祉法学的配慮のなさを指摘している。
著者
黒牧 謙一 竹田 省 関 博之 木下 勝之 人見 祐子 前田 平生
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.1213-1220, 1994-11-01
被引用文献数
10

産科における輸血の必要性と他家血輸血の危険性を考慮すると自己血輸血法の確立は不可欠である. 今回産科症例に対して自己血輸血を行い, 採血及び輸血による妊婦の血液性状の変化につき検討し, 妊婦の自己血輸血の臨床効果とともにその有用性と問題点につき検討した. 分娩時に出血が多量になる可能性の高い, 前2回帝切例, 前置胎盤や稀な血液型の妊婦, 34例を対象とした. 採血1週間前より鉄剤の投与を行い, 自己血採血は1週間ごとに300mlずつ3回行うことを基本とした. 分娩後は出血量に応じて自己血輸血を行った. 採血後エリスロポエチン値は上昇し, 同時に網状赤血球数は増加し, 脱血後急速に赤血球を増産していることが判明した. ヘモグロビン(Hb)値は900mlの採血で平均0.6g/dlの低下であった. ヘマトクリット(Ht)値, 総血漿蛋白(TP)値もHb値とほぼ同様の動きを示した. またその他の血液検査には大きな変動を認めず, 母児に対しても採血による影響は認められなかった. 分娩時の出血が多量であっても, 自己血の返血を行うことにより同種血輸血は必要なく, 正常産褥経過症例とほぼ同様の血液所見を示した. 輸血後は倦怠感やふらつきなども軽減し, 乳汁分泌も良好であった. 産科領域においても妊婦の自己血輸血のための採血及び輸血の安全性と有用性が確認された.
著者
猫田 泰敏 斉藤 恵美子 村田 加奈子 入江 慎治 原 正一郎
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、公衆衛生看護学の立場から、保健師養成課程の教育内容である疫学および保健統計学のミニマム・エッセンシャルズ(案)、すなわち、保健師学生が卒業時に最低限、身につけておくべき内容(案)を提案することである。また、これらの内容の習得に効果的で実践的な教育方法について、一部実践結果も含め、関連資料の提示を行った。
著者
小林 達夫
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

Quark, Leptonの質量や混合角の起源を探ることは、素粒子論の中で重要な課題の1つです。また、超対称模型の枠組みでは、現実的な湯川行列を生み出す機構は、超対称性の破れの項への影響を考えながら議論すべきです。更に、超対称性の破れの項については、フレーバー間の縮退度に関して大きな実験的制限があります。上述のようなことを踏まえ、縮退したsfermionの質量を導きつつ湯川結合の階層構造を与えるような模型を研究しました。まず、超対称標準模型に加えて超共形固定点をもつようなSCセクターのある模型を研究しました。この超共形ダイナミックスがquark, leptonに大きなanomalous dimensionを生成するので、この模型では湯川結合の階層構造を出しつつ、縮退したsfermion質量を導くことが可能です。また、似たような結果を導く別の模型としては、余剰次元がwarp背景幾何上の模型を研究しました。この模型では、湯川結合の階層構造の生成に役立つのは、5次元bulk massによる、bulk場の局在化です。更に、ラディオンにより超対称性の破れが起る場合には、フレーバー問題も改善されることが分かりました。また世代間にS_3離散対称性を課すような模型を調べました。このような対称性はこれまで提案されてきましたが、我々の模型の新しい点はHiggsセクターにもこの対称性を課せるようにHiggsセクターを拡張した点で、そのため、超対称性の破れの項もこのような対称性をもつと仮定でき、FCNCへの効果を実験の制限程度に下げることに役立ちます。更に、弦理論の枠内で湯川結合の計算をしました。特に、興味があるのはorbifold模型で、なぜなら階層的な湯川結合が導けることが知られているからです。これまで代表的なmoduliへの依存性は分かっていましたが、今回我々は様々なmoduliへの依存性を計算しました。我々の結果の中で、現象論的に重要なことの1つは、湯川結合での物理的なCPの破れに関しては、ある特定のmoduliしか関与しないことを示した点です。
著者
萬代 武史 猪狩 勝壽 田原 秀敏 芦野 隆一 守本 晃 浅倉 史興
出版者
大阪電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1.複数のフックス型変数をもつ線形偏微分方程式(複数の超曲面で退化した偏微分方程式の典型)について,フックス型変数については正則で,その他の変数についてはジュヴレイクラスに属するという関数のクラスで大域的な解を構成する問題について,アルジェリアのMechab氏,Belarbi氏と協力して構成することに成功した.2.上記方程式に関する滑らかな零解の存在について,ある種の双曲性の仮定のもとで,1,2階の場合にはかなり一般な条件のもとで,また高階の場合には典型的な方程式について,存在を示すことができた.3.Blind Source Separationの問題(複数のソース信号が混じっている観測信号から元のソース信号を分離する)で,3つ以上のウェーブレットを用いる方法について,2つの場合との比較などを行い,有効性を確認することができた.また,信号差をもって混ざっている場合について,東京理科大の佐々木文夫教授との協力のもと,解析信号(analytic signal)になっているウェーブレット関数を用いた方法について,具体的なアルゴリズムの詳細,理論的な裏づけの考察、シミュレーションなどについて,ほぼ最終的な形が得られた.これらの結果は2008年度中に論文にまとめる予定である.4.信号のフーリエ像の「中心」,「幅」について,どのような定義がもっとも適切であるかという問題について,数学的観点およびウェーブレット解析の観点から考察を進め,特に「不確定性原理」の修正について部分的な結果と言いうる不等式が得られた.
著者
田中 篤司
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.686-689, 2004-08-20

量子論では,一般に,複合的な系の時間発展によって,全系を構成する部分同志が(量子的に)絡み合っていきます.本講演は,この絡み合いの過程の半古典論を通じた解析の報告です.特に,複合系として,内部自由度と"外部"自由度から成る量子多成分系(例えば,spinを担う粒子や,電子状態の励起を伴なう核の運動の模型です)を考察します.ここでは,内部自由度のcoherentな量子振動が外部自由度の伏見関数の干渉を誘発する一因であることを報告します.講演では,この量子干渉の破壊と古典的なchaos動力学の関係に言及しましたが,紙幅の都合によりこの点は割愛します.
著者
長谷川 豊祐
出版者
三田図書館・情報学会
雑誌
Library and information science (ISSN:03734447)
巻号頁・発行日
no.62, pp.1-27, 2009
被引用文献数
2

原著論文【目的】日本の大学図書館における業務電算化システムの導入が1994 年に8 割を超え,2002 年には99%の大学図書館が「電算化図書館」となった。現在は,インターネットや電子資料を活用した利用者志向の図書館サービスが多くの大学図書館で提供されるようになり,大学図書館は程度の差こそあれ「電子図書館」となった。本研究は,利用者志向の図書館サービスの展開を支える基盤となっている発注・支払,受入,目録,貸出・返却などの業務電算化の課題構造を図書館員の立場から解明する。【方法】2 グループ各6 名の大学図書館員を出席者としたフォーカス・グループ・インタビューを実施した。インタビューでは,図書館業務電算化に関する印象,図書館業務電算化が図書館に及ぼした影響,および図書館業務電算化の今後の方向など,探索的課題について話し合ってもらった。インタビューによって収集した発言内容を因果対立関係に着目して分析した。【成果】電算化の課題を10 個にカテゴリー化し,課題の構造を概念図として導いた。電算化における効果と課題として,1) 省力化と機能向上,2) 図書館の力量低下,3) 未完成なパッケージ,の3 点が明らかになった。