著者
吉富 秀樹
出版者
津山工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、プール排水口に身体を吸着されるという事故を未然に防止するため、流体自身の流れで吸引力を制御できる渦室付排水管を研究開発するものである。これまでに渦室付排水管の小型モデルを用いて研究を進めてきたが、実機サイズでの特性が確認できていなかった。そこで、本研究では、新たに実規模渦室付排水管を製作して特性試験を実施し、小型モデルの研究成果の有効性を確認すると共に設計データを整備した。
著者
K Loganovsky
出版者
CODATA
雑誌
Data Science Journal (ISSN:16831470)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.BR13-BR35, 2009-09-24 (Released:2009-09-24)
参考文献数
183
被引用文献数
35

The aim of this paper is to analyze the current evidence on radiocerebral effects following exposure to 20 mSv on the fetus and >300 mSv on the thyroid in utero; at 16-25 weeks, abnormalities were >10 mSv and >200 mSv, respectively. In adults, radiation-associated cerebrovascular effects were obtained at >0.15-0.25 Sv. Dose-related neuropsychiatric, neurophysiological, neuropsychological, and neuroimaging abnormalities following exposure to >0.3 Sv and neurophysiological and neuroimaging radiation markers at doses >1 Sv were revealed. Studies on radiation neuropsychiatric effects should be undertaken.
著者
石田 肇 岩政 輝男 土肥 直美 平田 和明 鵜澤 和宏 米田 穣
出版者
琉球大学
巻号頁・発行日
2007

鎌倉市由比ヶ浜地域には大量の中世人骨が出土している。刀創受傷率は材木座遺跡が最も高く65.7%であり、由比ヶ浜南遺跡が1.3%であった。また、当時の人口構成の復元を行った。男女比はほぼ1:1であり、未成年と成人個体の比は2:3であった。平均寿命が24.0歳という結果が得られた。中世壮年期女性人骨に結核が認められたので報告した。同位体分析の結果から、中世鎌倉では、2歳前後で、離乳を始めている可能性が高いことがわかった。中世人の歯冠サイズが小さい傾向があることを明らかにし、当時の劣悪な生活環境を反映したものと推論できる。由比ヶ浜南遺跡の動物骨資料分析から、タフォノミー分析が動物考古学にも有効と思われた。オホーツク文化人集団の頭蓋形態小変異を用い分析を行った。RelethfordとBlangero法では、東部オホーツク群では、高いRii値と低い観察値を示すことから、形態的な多様性を失っている可能性を示した。オホーツク文化人は、バイカル新石器時代人、アムール川流域の人々と類似性があることが再確認された。サハリン、北海道東北部のアイヌは、後のオホーツク文化集団などの影響を強く受けた可能性がある。ミトコンドリアDNA分析の結果等は、オホーツク文化人とアイヌとの関連を支持するものであり、日本列島の人類史を書きかえる可能性を示した。久米島近世人骨の頭蓋形態小変異の研究は、琉球列島の人々が、先史時代から歴史時代にかけて、本土日本からのみならず、南方からの遺伝的影響を受けている可能性を示唆した。同資料の変形性脊椎関節症の評価を行った。女性においては腰部での重度化を認め、その要因は男女間の食性の差も示唆される。また、右肘関節の関節症も女性に多い齲歯率、生前脱落歯率が男性より、女性に有意に高く、女性特有のホルモンの変化による影響に加え、米田らの安定同位体分析では、女性が炭水化物から、男性は魚類からたんぱく質を摂取する傾向があり、男女間の食習慣の違いも反映していると思われる。
著者
中川 聖一 秋葉 友良 山本 一公 土屋 雅稔
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

音声認識の高精度化と音声認識結果の整形化、音声ドキュメントからの検索語の高速・高精度検索法の研究を行った。音声認識の高精度化に関しては、従来のHMMを越える新しい音声認識モデルを提案し、その有効性を示した。音声認識結果の整形に関しては、話し言葉音声の音声認識結果からの書き言葉への整形のための確率モデルを提案し、その有効性を示した。音声ドキュメントからの検索語の高速検出に関しては、音節のnグラムインデックスに基づく手法を提案し、その有効性を示した。
著者
杉山 あかし KOGA Browes.S.P KOGA-BROWES Scott KOGA-BROWES S
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

入社プロセスならびに入社後の社内教育過程において、ニュース取材者の専門性や倫理観は形成されると考えられ、それはメディアの内容に直接反映されると考えられるが、ニュース制作者のあり方はこれまで明確ではなかった。テレビが現実についてのイメージを作り出すにあたって、テレビの内容を創り出す制作者の現実観は大きな影響を持っていると考えられるので、その人々のあり方を明らかにするのが本研究の目的である。具体的には、以下の項目に関する詳細な理解を可能とする情報収集を行なった;(1)テレビニュース制作者が職業上のこの立場を獲得する過程、(2)テレビニュース制作者の典型的な職業履歴パターン、(3)経営者・同僚から評価される個人的・専門的資質。本年度は、1、中堅現役報道カメラマンに同行取材し、長時間録画カメラにて本人のバックグラウンド及び学歴、今までの研究研鑽経歴を調べた。映像を作る際の基準や価値観、倫理観まで切り込んだ。/2、入社から退職までをカメラマンとして過ごした既退職カメラマンにインタビュー取材し、現在のカメラマンの在り方及び価値観と比較した。/3、人事採用担当者に採用基準をインタビューした。/4、入社内定者に入社前インタビューを行ない、テレビ局で働くイメージとキャリアへの展望を聞いた。/5、NVivoソフトを使って、インタビュー取材した映像をデータベース化した。/6、NHK資料館、TBS資料館、慶応大学メディア・コミュニケーション研究所、東京大学図書館(情報学際情報学環)を尋ね必要な資料を収集した。ただし、東日本大震災のため、テレビ局が多忙となり、当初予定したものよりも調査は小規模なものにならざるをえなかった。
著者
小野 智彦 小倉 恵 小沢 敏彦 林 良一郎 清野 清春 広瀬 晴三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, 1996-03-11

三菱電機は、リニアライザを実装した節電機能付きグローバルスター搭載用の7GHz固体電力増幅器(C-SSPA)を開発した。以下に、その構成と主要性能について報告する。
著者
三澤 浩昭 森岡 昭 岡野 章一 土屋 史紀
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

1.外圏大気観測用2次元分光イメージング装置の開発先ず、惑星・衛星外圏大気観測用の2次元分光イメージング装置の開発を行った。本装置は、1)2次元入射光を分光用の1次元出射光に変換するバンドルファイバー製の次元変換光学系と、2)既存の入射/出射光学系と接続するための開口値変換光学系から成る。バンドルファイバーは入射系12×12、出射系144の配列からなる。装置は光学ベンチに組上げ、東北大の60cm望遠鏡(入射系)と高分散分光計(出射系)に接続した。分光データは液体窒素冷却CCDカメラで取得し、PC上でイメージに変換する構成とした。2.水星とイオ衛星の外圏大気の観測1の装置を用いて、イオと水星の大気観測を実施した(継続中)。イオについては、従来、大気放出量にイオの木星に対する視位置依存性が示唆されてきた。その存在の確認と放出様相の確認を目標として観測を行い、様々な視位置について有意なデータを得た。一方、水星については、水星が太陽から大きく離れる観測適期に集中観測を実施したが、天候に恵まれず現時点では大気放出過程導出に重要なデータが十分には得られていない。このため、次の観測適期となる平成18年6月に再観測を行う予定である。3.数値計算による外圏大気放出過程の究明当ループが開発した希薄大気の生成・消失に関するモンテカルロコードを用い、大気放出過程の数値実験を進めた。結果として、水星については、太陽風による水星表面粒子の叩出しが、従来の想定以上に効果的に働いている可能性が示された。一方、イオについては、磁気圏イオンによる大気粒子の叩出し/引剥がしと太陽光による脱離が相作用して放出量を制御している可能性が示された。
著者
前田 洋一
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.209-215, 1996-02-20

本研究は,中学校理科における観点別評価と評定の実態を明らかにするために行ったものである。平成5年度末に,指導要録に記入された理科の観点別評価と評定を収集した。調査対象となった生徒は,男子538名,女子535名の合計1073名である。その結果,以下の2点が明らかとなった。(1)「関心・意欲・態度」,「知識・理解」,「技能・表現」の観点については,生徒の80%前後が達成していたが,「科学的思考」では生徒の約65%しか達成していなかった。(2)評定と観点別評価の間の相関値を見てみると,評定と最も相関の高い観点別評価の項目は,どの学年でも知識・理解の観点であった。相関係数は,0.80から0.84と高い正の相関値を示した。教師は生徒の能力を多面的に評価しようとしているが,本研究の結果は,知識・理解と評定の関連性を強調するものになっている。生徒の学力を多面的に評価するために授業と評価を一体化させることが急務である。
著者
小島 夏彦
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究では汽水湖中海で2年間,水質,渦鞭毛藻群集,休眠胞子(シスト)の定期的な調査を行い,(1)中海に生息する渦鞭毛藻群集の実態,(2)これら渦鞭毛藻群集が環境変化の中でどのような変動を見せるのかを明らかにすることができ,(3)群集変動はどのようなメカニズムのもとで起きているのかについて手がかりを得た.これらのことは今後の汽水域での渦鞭毛藻研究の指針になるものと考えられる.中海の渦鞭毛藻群集として32種が認識された.以前の中海におけるプランクトン調査では渦鞭毛藻は多くて数種が認識されていたにすぎない.したがって本研究で初めて中海の渦鞭毛藻群集の実態が明らかになったと言える.この群集で優占し,しかもほぼ周年観察されるものとしてProrocentrum minimum,Heterocapsa rotundata,small Gymnodinium complexがあげられる.特にProro.minimumの赤潮状態にも至る圧倒的な優占と無殻渦鞭毛藻の多様性の高さが中海渦鞭毛藻全体の特徴として指摘できる.中海では上述したように3つのグループが周年存在するがその個体数の変動は激しい.群集変動のメカニズムについては,汽水域が極めて環境変動が激しいことから,環境が短期間に大きく変化するような場所では常に環境状態をモニターできる状況に渦鞭毛藻が存在することが他種に対してアドバンテージを得ることになると考えられる.これはどういう形にしろ周年水中に遊泳体として存在することが環境変化に対する素早い対応を導くことを意味する.その意味では本湖で優占する上記3グループのほとんどがこの条件のもとに生息し,汽水環境に適応していると言える.これらのことから,シスト形成種は不適環境をしのぐための適応と考えられてきたが,汽水環境では特に独立栄養種は,シスト形成についてはそれほどプラスには働かないと考えられる.以上のことを考慮すると,古生態学へ渦鞭毛藻シスト群集を応用する時に過去のシスト群集がその当時の汽水湖の遊泳体群集を忠実に反映しているとは考えにくい.そのような状況を考えれば中海底質に多い従属栄養種のシスト群集の遊泳体群集の中での働きをさらに調べる必要があろう.
著者
谷口 義明
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

本年度は昨年度に購入したイメ-ジ増倍管付きのCCDカメラを用いた高速星像検出システムによる観測を行いデ-タ解析を行った。このデ-タに基づき、木曽観測所における星像ダンスの性質を定量的に解析した。このような研究は国内では初めてのものである。1)観測:観測は東京大学理学部天文学教育研究センタ-木曽観測所の105cmシュミレット望遠鏡の主焦点部にカメラを取り付けて行った。観測期間は4月から12月で計10晩以上に及んだ。CCDカメラは約10分角の視野をビデオレ-トで撮像する事ができるので、その視野中に写る全ての星像を解析することができる。解析可能な星の限界等級は約16等である。2)デ-タ解析:観測デ-タはSVHSビデオに集録され、その後1画面ずつディジタル化して写野中に写っている星像の位置を30ミリ秒毎に測定し、その動きを調べた。デ-タ解析は東京大学木曽観測所現有のパ-ソナルコンピュ-タX68000と国立天文台のSpark Stationを用いてなされた。3)結果:写野内の複数の星像の動きの相関を調べることで、星像の動きはわずか10分角の視野の中でも複雑な動きを示すことがわかった。独立した動きをしている領域は1.5ー2分角である。既ち、1枚のtipーtilt鏡で星像ダンスの補償をできるのは木曽観測所の典型的な観測条件のもとでは2分角以内であることが分かった。また、ビデオレ-トのフィ-ドバックで補償する場合、星像サイズを約2割小さくできることがシミュレ-ションの結果判明した。
著者
高橋 幸雄 牧本 直樹 滝根 哲哉 高橋 敬隆 宮沢 政清 大野 勝久
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

情報通信ネットワークの新しい性能評価法に関して、基本的な研究および応用的な研究を行った。研究自体は個人あるいは少人数のグループベースで行い、月1回の月例会と年1回のシンポジウムの場で情報交換と研究成果の検討を行った。情報通信ネットワークは急速に変容しており、研究の内容も当初予定していたものとは多少違う方向で行わざるを得なかった。研究計画であげたテーマは次の4つであり、それぞれの研究の進展状況は以下の通りである。1. 入力過程の研究 長期依存性(long-range dependence)のある入力過程の研究と複数の入力がある待ち行列の解析が中心であった。そのなかで特筆すべきひとつの結果は、バッファの溢れ率に着目した場合、長期依存的であるかどうかよりも、ピーク時の入力過程の挙動が本質的であることが示されたことである。2. 極限的状況の研究 マルコフ性あるいは大偏差値理論を用いて、客数分布の裾が幾何的に減少することがかなり広い範囲のケースについて証明された。3. 混雑伝播の研究 ネットワークの多様性のため、研究が進展しなかった。4. コントロールの研究 ATMネットワークを中心に多くの研究がなされ、いくつもの新しい考え方が提案された。とくに移動体通信に関するものや料金によるコントロールの研究が始まり、新たな研究の芽が生まれた。
著者
本浪 清孝
出版者
近畿大学短期大学部
雑誌
近畿大学短大論集 (ISSN:03867048)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.1-17, 2010-12

(要旨)株式投資をする場合、会社の発表した決算予想に基づいて、予想PER、予想配当利回りが株価との関係で決定する。決算予想の修正を行う企業もあるが、そうした企業はまれである。四半期毎の決算発表が制度化されて、その場合、前期と比べて業績が良くても悪くても、予想を修正をしない企業が大多数である。筆者は四半期毎の決算を重視していなかった。それが大きな間違いであり、四半期毎の決算で、中間決算、年度末決算の上方修正がある可能性がある企業の株を買い、下方修正がある可能性がある企業の株は買わないか、売却を判断して、投資を行うべきであろう。 (Abstract) We use financial statements in decision making. We select the company by using forward PER and forward interest. But forward earning per share may be incorrect. In Japan, about the first quarter of 2011, a public companys disclosed a statement of accounts. Public company disclosed financial statements, too. We should analyze the first quarter or the third quarter's financial statemennts. Of course we should analyse second quater's financial statements and an annual financial statements.
出版者
京都大学
雑誌
生存圏研究 (ISSN:1880649X)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.54-55, 2006

京都大学生存圏研究所森林バイオマス評価分析システムは、細胞レベルから分子レベルにいたるまできわめて複雑な木質の性状を、専門的技術をもちいて正確な評価するシステムである。平成17年度末に専門委員会を立ち上げ、18年度より共同利用の運用を開始する。当初は、木質バイオマスの形成、特にリグニン分析とリグニン生成経路の網羅解析から受け付けるが、将来的には細胞形態評価をも含め、森林バイオマス(木質)のあらゆる評価分析へと発展させる計画である。
著者
五十嵐 広宣 末永 章一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.302, pp.59-65, 2003-09-05
被引用文献数
4

太陽光発電システムは、太陽電池で発電された直流電力をパワーコンディショナによって一般配電線と同様の交流電カヘ変換し連系するシンプルなシステムである。発電に際しての排気ガスやCoの発生もなく、地球エネルギー起源の二酸化炭素抑制策の一つとして期待されおり、2010年における導入目標は、482万kwと2001年度末の実績との比較では約10倍となっている。太陽光発電システムの中枢であるパワーコンディショナは、直流を交流に変換する機能のほか、一般電気事業者の配電線と連系するために必要な電気安全上の保護機能及び一般家庭内に取り付けられて使用されるため一般電気製品と同等の電気安全性を備えたものである。
著者
竹内 俊一 四分一 大介 寺島 信義 富永 英義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.12, pp.2675-2685, 2000-12-25
被引用文献数
8

ズームイン・ズームアウト画像シーケンスを用いた画像モザイク化処理によるロバストな絵画等の高精細ディジタル化手法を提案する.本手法は, 撮影対象の画像特徴やカメラの動きに起因するモザイク化処理のは破綻を回避できる点に特徴がある.本手法では, まずビデオ画像シーケンス獲得時に高解像度化が要求される領域と画像全体像の間でズームイン・ズームアウトを繰り返す撮影を行う.そして, その撮影画像フレーム間(隣接フレーム間及びanchorフレームと任意画像フレーム間)の平面射影変換推定を行い, その平面射影変換の推定精度に関して評価を行う.そして, 十分な精度で推定された平面射影変換行列を判定し, その行列のみを用いた画像モザイク化処理により, 平面静止画の高精細ディジタル化を実現する.本論文では実験を通じ, 本手法が, 平面射影変換推定の誤推定を回避し, 高精度かつ良好に平面静止画の高精細ディジタル化を実現できることを示した.また, 誤推定が生じない場合にも, 本手法が誤差累積の影響を受けず良好に画像モザイク化を実現できることも示した.
著者
天野 敏之 佐藤 幸男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.457-465, 2002-03-01
被引用文献数
58

本論文では,固有空間法を用いた画像補間法により,文字などのテロップを含む1枚の画像のみを用いて文字を補間により消去する手法を提案する.風景画などの画像はフラクタル的な性質があり,画像の自己相関性が仮定できる場合が多い.筆者らはこの点に着目し,欠損を含む1枚の画像のみから固有空間により画像を記述するルールを表現した.このように生成された固有空間は,画像の特徴を反映しており,この固有空間を用いることにより画像補間を実現した.本補間手法はオリジナル画像を復元するものではないが,実験の結果画像の自己相関性が成立する画像については違和感なく補間できることが確認された.
著者
山下 淳
出版者
静岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究では,方向変化が可能な複数台の視覚センサを持つロボットに対して,複数観測戦略を導入することで環境認識の確実性を向上させたロボットの行動設計手法を提案する.具体的には,(1)観測精度の向上と(2)視界の明瞭さ向上を目的とする.ここで,人間の目の可動範囲は限られているため,主にステレオ視のみで物体との位置関係を推定する.一方,ロボットの場合は可動範囲の制限がないため,(1-a)ステレオ観測(同じ物体を複数カメラで観測),(1-b)灯台式観測(別の物体をそれぞれのカメラで観測),(1-c)複合型観測((1-a)と(1-b)の組み合わせ)など同じ場所で環境認識を行う際においても,複数観測戦略を採ることができる.そこで,各方法の観測精度を向上させるとともに,状況に応じて観測戦略を切り替えることで,(1)を解決した.具体的には,環境中の目印となる物体の配置や個数などに応じて最適なロボットの移動経路・観測地点・観測戦略をそれぞれ計画する手法を構築した.ここでは,特にロボットのカメラの性能や移動性能に応じた行動設計方法を提案した.さらに,計画手法を改善することにより,行動設計に必要な計算時間を短縮した.また,悪天候時にはカメラの保護ガラス面に水滴や泥が付着するなど,常に明瞭な視界が得られるわけではない.そこで,(2-a)同じシーンを観測中の複数カメラの情報融合,(2-b)カメラ方向を変化させることにより得た単体カメラからの時系列情報融合,によってそれぞれ(2)を解決した.具体的には,視差のあるステレオ画像について,ノイズが付着していない部分の情報を組み合わせることで明瞭な画像を生成する方法を構築した.また,移動物体が存在する状況においても視野明瞭化を行う手法を提案した.