著者
神戸 美輪子 星 和美 細田 泰子
出版者
畿央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は潜在看護師の復職教育プログラムを構築することである。調査(1)~(3)の結果から、復職研修は潜在看護師同士の交流を持てるようなプログラムとし、救命救急処置や安全の技術、観察とアセスメント能力を養えるような内容を扱うことが必要であると考えられた。構築した復職研修を評価するために、潜在看護師を対象として一般的な研修受講群(コントロール群)と教育プログラム受講群(実験群)の2群に分け、復職の意欲や自信、不安について比較検討を行ったところ、構築したプログラムの有効性が示唆された。
著者
岡田 章宏
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

イギリスでは、1997年以来地方自治制度改革が大規模に進められてきた。そこでは、地方政府に対し「権限踰越の法理」が適用されない広範な裁量が与えられ、「コミュニティ・リーダー」として多様な民間セクターと協働し、様々な課題に積極的に対応することが求められている。本研究では、こうした動きを近代以降の流れに位置づけながら、この国の伝統的な「住民自治」的あり方との歴史的位相を明らかにした。
著者
丸山 真人 中西 徹 遠藤 貢 永田 淳嗣 松葉口 玲子 中西 徹 遠藤 貢 永田 淳嗣 松葉口 玲子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

人間の安全保障は、人間が安心して生活できることを保障するものであるが、そのためには地域での経済活動が自立していなければならない。本研究は、その条件として、地域コミュニティが確立していること、経済生活の中に廃棄物の再利用システムが埋め込まれていること、希少な自然資源の利用者が相互の利益を尊重し調整し合う制度を有していること、女性に自立の機会が与えられていること、環境教育が充実していること、などを明らかにした。
著者
和田 進 二宮 厚美 山崎 健 岡田 章宏 浅野 慎一 澤 宗則 太田 和宏 橋本 直人 岩佐 卓也
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日本国内のみならず、グローバル社会全般にわたって不平等、格差、秩序の崩壊などの社会矛盾が広がりつつある。その構造的な要因と打開の方向を検討するのが本研究の目的である。本研究にかかわる研究者はこれまで「人間発達と社会環境」の相互関係、つまり主体と環境の双方向作用に注目しながら共同研究を推進してきた。その成果に立ち、本研究においては現代世界の秩序の崩壊と再構築の現状分析、および、その対抗軸として人間発達human developmentと新しい公共性neo publicnessの分析を行った。国際連合の提唱する「人間開発」やA.K.センの「潜在能力論」の限界をこえる「人間発達」のありかた、J.ハバーマス、U.ペック等の掲げる公共性の内包する矛盾を再検討する形で、現代社会の秩序形成を探求した。なお、その成果は報告書「Human Developmentと新しい公共性を軸とした社会秩序の学際的研究」(総ページ数446頁)としてまとめた。
著者
稲場 圭信 櫻井 義秀 大谷 栄一 濱田 陽 ランジャナ ムコパディヤーヤ
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、海外との比較により、ソーシャル・キャピタルとして日本の宗教が担う社会的な役割の特徴を明らかにした。3割以下と宗教人口の少ない日本においても宗教の社会貢献活動が活発化している。その内容は、災害時救援活動、発展途上国支援活動、平和運動、環境への取り組み、地域での奉仕活動、医療・福祉活動、教育・文化振興など非常に多岐にわたり、日本の宗教がソーシャル・キャピタルとして機能する可能性が示唆された。
著者
榊原 秀訓 岡田 章宏 大田 直史 庄村 勇人 友岡 史仁 洞澤 秀雄 田中 孝和 上田 健介 萩原 聡央 和泉田 保一
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

行政組織だけではなく、サードセクターを含む民間組織が行政サービスの提供を行ってきている。また、目標設定・協定締結や検査・評価が多用されてきた。公益事業関係では消費者組織の権限が強化され、都市計画領域では住民参加も進んでいる。同時に、サービス提供主体間の協働、透明性・情報公開やアカウンタビリティの確保、サービス提供労働者の労働条件確保、利用者の人権保障を目指した改革がなされ、公務員の伝統的価値を守る規範も策定されている。
著者
冨田 爽子 水野 晶子
出版者
拓殖大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では1560年から1601年の間にJohn Wolfeがその出版に関わった書籍474冊のデータ収集と分析を行なった。データ収集に関しては、日本で収集可能なものは研究代表者と研究分担者と共同で行い、海外での収集は英国・イタリアで研究代表者が行った。エリザベス朝の作家、翻訳者、出版業者そしてパトロンや被献呈者、書物収集家などについての正確で詳細なデータベースを共同で作成した。
著者
風早 康平 篠原 宏志
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.91-104, 1996-09-20
被引用文献数
3

噴火時に放出される揮発性成分は, 噴火時に重要な役割を果たすにもかかわらず, その揮発性の性質ゆえに, 噴火後岩石などに固定されないため, 長い間, その組成や放出量は不明であった。最近10年ほどの間に, 様々な顕微分析法は, メルトインクルージョンの揮発性成分濃度の測定を可能にし, 火山ガスの遠隔観測法(TOMSやCOSPEC)は, 噴火時あるいは非噴火時のSO_2放出量の直接測定を可能にした。観測された火山噴火時のSO_2放出量は, メルトインクルージョンのS濃度とマグマ噴出物量から推定される量よりも一桁から二桁も過剰である(過剰な脱ガス)ことが多いことが明らかとなった。この過剰なSO_2の脱ガスは, anhydriteの分解により生成したSO_2による, あるいは, 噴火前にマグマ溜りに存在していたSO_2を含む気泡によるなどの原因が考えられている。非噴火時の活火山から放出されるマグマ起源ガスは, その存在自体が過剰な脱ガスである。多くの火山で100-4000 t/d規模のSO_2の放出がみられ, 大量のマグマが非噴火時にも脱ガスしていることが示唆される。火山ガス放出量およびマグマの揮発性成分濃度を用い, 伊豆大島, 桜島, 薩摩硫黄島, 有珠, ストロンボリおよびエトナの各火山についてどの程度の量のマグマが脱ガスに関与しているのかを示した。いくつかの火山では, この規模のガス放出が1000年以上にわたり続いており, 大規模なマグマ溜りから継続的にガスが供給されていることを示す。非噴火時の脱ガス機構として, 火道内マグマ対流がマグマ溜りから未脱ガスマグマを火道上部に運搬し, マグマが効率的に脱ガスするというモデルを示し, 伊豆大島を例に検討し, この対流が玄武岩質マグマから流紋岩質マグマまで幅広く生じうろことを示した。長期にわたり生産された大量の脱ガスマグマは, 脱ガスにより結晶化が促進され, ガブロなどとして, 火山体下部に貫入しているものと推定された。
著者
岩槻 幸雄
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

フエダイ上科魚類は、大きく3つの生活史のパターンがあることが判明した。Aタイプの代表的なフエダイ亜科魚類は、沿岸浅所で成長して、そのまま沿岸の岩礁域や砂浜地帯で成長・産卵するものが多いが、成長と共に水深200mの深所に移動するものもいた。大部分のものは琉球列島以南に分布生息するが、種子島・屋久島以北にのみ生息・産卵しているのは、フエダイ、ヨコスジフエダイ及びクロホシフエダイの3種のみであり、産卵場所は3種ともすべて九州南岸及び北西岸であった。しかも、3種の主な産卵場所は一カ所しかなく、そこから産卵された稚魚は黒潮及び対馬暖流に乗り、太平洋岸では房総近辺、日本海側では新潟沿岸まで稚魚が運ばれ、接岸・成長していた。更にその後、成長と共に産卵場所である九州地区に南下回遊している可能性が強く強く示唆された。Bタイプの代表的なハマダイ亜科魚類は、具体的な調査ではなかったが、琉球列島以南に分布し、沿岸域で主に産卵し、その沿岸浅所で成長し、その後成長と共に深所に移動するという生活史をもっているものと推察された。種子島・屋久島以北に、分布・産卵する種は殆どいないと判断された。Cタイプのタカサゴ亜科魚類は、琉球列島の珊瑚礁周辺で生涯の大部分を主な生息域として持ち、そこで産卵して浮遊期を送った後、生涯沿岸浅所の珊瑚礁周辺に生活史を持つと判断された。本タイプは、種子島・屋久島以北で分布・産卵するものはいないと判断された。以上のことから、我が国の沿岸性魚類の資源管理や増殖対策の検討を加えるにあたり、フエダイ科3つの生活史パターンを考慮することが重要であり、更に種子島・屋久島近海でフエダイ科魚類群集が完全に変わることから、琉球列島以南に生息するものと種子島・屋久島以北に生息するものと区別して考える必要があることが強く示唆された。
著者
岩槻 幸雄
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

インド-西部太平洋におけるクロサギ科クロサギ属魚類(Gerres)の分類学的再検討を行った。それらの結果は、以下のようになる。47公称種のすべてのシノニム関係を明らかにして6類似種グループ(complex)と2種の有効種を認め、下記にようにまとめられる。1)The Gerres oyena complex : G.oyena, G.baconensisとG.equulus ; 2)The Gerres filamentosus complex : G.filamentosus, G.infasciatus, G.macracanthusとGerres sp. 1 ; 3)The Gerres setifer complex : G.chrysops, G.decacanthus, G.setiferとG.silaceus ; 4)The G.erythrourus complex : G.erythrourusとGerres phaiya ; 5)The Gerres longirostris complex : G.longirostrisとG.oblongus ; 6)The Gerres subfasciatus complex : G.japonicus, G.maldivensis, G.subfasciatus, Gerres sp. 2およびGerres sp. 3 ; 特異的な種が2種 : G.limbatusとG.methueni. 従って従来8種程度が有効とされてきたが、7末記載種を含む合計22種が認められた。
著者
木村 清志
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

琉球列島,インドネシア,タイ,フィリピンにおける現場採集と世界各国の博物館からの借用標本に基づいて,アフリカ東岸からハワイ海域に至るインド洋-太平洋全域におけるトウゴロウイワシ科魚類の分類学的再検討を行った.その結果,次のような知見が得られた.1.ヤクシマイワシ属各公称種のタイプ標本調査から,本属各種の異名関係を明らかにするとともに1新種を発表し,さらに1種の未記載種を確認した.その結果,本属には11有効種が含まれることを明らかにした.2.ギンイソイワシ属についても,各タイプ標本の調査から,本属には5有効種が含まれることを明らかにした.また,BleekerのAtherina japonicaは明らかにギンイソイワシと同種であるが,この名は一次同名であるため,本種の学名に変更はない.3.Stenatherina属については,従来の知見どおり,1種が含まれる.4.ムギイワシ属については,ムギイワシを除く他の種,亜種のタイプ標本を明らかにした.Shultzが記載したムギイワシの3亜種については,基亜種であるムギイワシと明瞭な差異が認められず,その有効性については疑問が残された.5.これらの知見に基づき,同定を容易にするため,これら4属,およびヤクシマイワシ属とギンイソイワシ属に含まれる各種の明解な図を添付した検索表を作成した.6.本研究と付随して行われたヒイラギ科魚類,およびクロサギ科魚類の研究では,前者で2新種と1日本初記録種を発表し,さらに後者では2新種を含む科内の分類学的再検討を行った.