著者
小藪 健 永山 誠司
雑誌
保健物理 : hoken buturi (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.294-298, 2003-12-01
著者
撫原 華子
出版者
東京女子大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年度は、18世紀初頭のジョン・ウェブスター改作劇を通じて、当時の劇場において女性観客が持っていた影響力の一端を浮かび上がらせることを目指した。中心として取り上げた劇は、ネイハム・テイト(1652-1715)作Injur'd Love ; or, The Cruel Husbandである。この劇は、イギリス演劇史上、女性を主人公に据えたごく初期の作家であるウェブスターの悲劇The White Devilの改作であり、1707年に初版が出版されている。この改作において、改作者テイトは原作には描かれていた暴力的描写を排除するか、緩和された形に書き換えている。本年度の研究では、女性観客の嗜好がその書き換えに影響した可能性を検証した。具体的には、このテイトによるウェブスター改作劇とその原作との異同を分析することから始め、そこに表象されている女性像の変容について、ひいてはその変容の社会的、演劇的背景、および女性をめぐる当時の言説が改作に及ぼした影響について考察した。その考察をする際、特に軸としたのは以下の点についてである。(1)Tateによる改作において暴力描写が排除あるいは緩和されていることが「女性観客の好み」に沿った結果であるとするならば、その裏には男性側の(あるいは当時の文化全体の)意図とはどのようなものだったのだろうか。(2)18世紀初期に、女性作家が暴力を描いた劇が(少ないながらも)存在することは何を意味しているのか。(3)ウェブスター改作受容史全体における暴力表象の変遷。17世紀から21世紀までの各時代性と、暴力表象の削減あるいは強調はいかに関わるか。以上の点を軸としながら、18世紀初めの男と女の間に存在していたせめぎ合いの状態について議論し、当時劇作家が作品を創作する際に女性観客が大きな影響を及ぼしていた可能性について探った。
著者
大内 憲明 粕谷 厚生 武田 元博 甘利 正和 河合 賢朗 櫻井 遊
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

抗癌剤の開発において癌の転移メカニズム並びにドラッグデリバリーシステムを理解することは非常に重要である。我々は非常に精度の高い分解能を持った生体内イメージングシステムを開発し、転移中のがん細胞における膜タンパクPAR1を追跡することに成功した。更に、薬剤の大きさと動態の関連の検討のため蛍光ナノ粒子を担癌マウスに注入し生体内イメージングを施行した。更に、抗がん剤内包高分子ミセルの構造的安定並びに抗腫瘍効果を評価する新たな方法を開発した。
著者
野崎 淳夫 吉澤 晋 小峯 裕己
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
no.416, pp.9-16, 1990-10-30

The indoor NO_2 concentration in Japanese dwellings were measured with various parameters using badge-type passive monitors. The comparison of the method by badge-type passive samplers developed by Dr. Yanagisawa and the conventional chemi-luminescence method was made in the measurement of indoor NO_2 concentration. The measured values with badge-type samplers agree with the ones from the chemi-luminescence monitors. Indoor NO_2 concentration is mainly influensed not by the outdoor concentration but the usage of combustion appliances, especially the type and the usage time of appliances. The life pattern in the room also influenced the indoor NO_2 levels.
著者
野崎 淳夫 吉澤 晋
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
no.429, pp.17-23, 1991-11-30
被引用文献数
4

To estimate the indoor concentration of NOX by the usage of flue-less type combustion appliances, experimental study was carried out in a laboratory where the ventilation rate, consequently oxygen concentration was controlled. The NO generation rate decreased proportionally with the depression of oxygen concentration to a certain point, K_c, beyond which the decrease rate was much less. N0_2 showed the almost constant generation to K_c, beyond which decreased proportional to oxygen concentration. Though we could not determine K_c with radiant type heaters, the decrease of NO_x emission rate was proportional to oxygen and moderate compared to "fan heater"s.
著者
島田 照久
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

高解像度の衛星観測と気象シミュレーションデータを解析し、山形県庄内平野に吹き込む季節風は、ユーラシア大陸の地形の影響を受けつつ、日本海の海洋フロントによって段階的に気団変質を起こしていることを明らかにした。冬季季節風は、冬の日本海の海況や日本列島の気象に決定的に影響し、強い季節風が気象災害の原因となることもあった。本研究で明らかになった日本海における大気海洋陸域相互作用は、日本の冬の気象のさらなる理解に貢献する。
著者
植村 一広
出版者
山口大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ロジウム挿入型白金一次元鎖(-Pt-Rh-Pt4-Rh-Pt-Cl-)の結晶構造をもとに, -Pt-M-Pt4-M-Pt-Cl-(M=異種金属)の繰り返し単位を有する,新規異種金属挿入型白金一次元鎖の合成検討を行った.検討の結果,Pt-Rh部位の補助配位子と架橋配位子を替えた新規ロジウム挿入型白金一次元鎖とロジウム挿入型白金八核錯体の合成,そして、その単結晶X線構造解析に成功した.また,興味深い電荷分布を持つ,新しい白金-異種金属多核錯体の合成に成功した.
著者
渡部 直人 鈴木 浩 野邊 潤 三邊 考志
出版者
日本シミュレーション学会
雑誌
シミュレーション (ISSN:02859947)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.94-97, 1996-06-15

To evaluate the safety of transporting radioactive materials on the road tunnel, we made the risk curve, which is the cumulative probability of the heat quantity of the package. This risk curve was calculated by the simulation on the tunnel fire and the probability density function of parameters (heat generation, duration of fire and etc.)
著者
林 春男 福永 弘樹
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-10, 1992-05

平成3年9月27日夕刻広島地方を襲った台風9119号による停電を中心としたライフライン災害を事例として、ライフライン間の相互連関と、それが社会生活に及ぼす影響について、台風災害に関する新聞記事から抽出した136件の現象についてISMの手法を用いて現象間の因果関係を構造化した。その結果、今回の災害が、停電、強風、高潮、交通機関の混乱の4種類の比較的独立した現象群に分かれることが明らかになった。とくに、停電による波及効果は広い範囲に及んでおり、ハイテク社会の脆弱性をあらわにし、停電による断水の発生というライフラインシステム相互の被害の連関を生み、生鮮食料品の物流システムにおける冷蔵庫の重要性を明らかにした。強風による高潮も広範な波及効果を持っており、水産物被害や塩害だけでなく、浸水による交通機関の混乱や家屋被害を引き起こした。強風、停電、高潮のいずれの場合にもその結果として、交通機関の混乱と学校での臨時措置の必要性という2つの問題が発生していた。このため、この2つは都市域での大規模災害に共通する問題点として、十分な対応策を考慮すべきであるといえる。ライフライン間の相互連関の事例として今回の災害を見ると、ライフライン間の機能障害波及が見られ、そのなかでも電力途絶による断水がもっとも深刻な問題になっていた。とくに傾斜地の高所部や屋上揚水タンクを持つビルでは深刻な問題だった。高層化がすすむ大都市における地震防災を考える上でも貴重な事例であるといえる。
著者
渥美 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EE, 電子通信エネルギー技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.547, pp.65-70, 2002-01-09

負荷平準化用の電力貯蔵電池として開発したNAS電池の概要と用途展開を紹介した。NAS電池は、活物質として負極にナトリウムを、正極には硫黄を用い、電解質にはナトリウムイオン導電性の固体電解質、ベータアルミナを使用する。運転温度は300℃程度の高温である。NAS電池はエネルギー密度と耐久性が高い。単電池試験では、6500サイクルを超過する耐久性を示している。安全性についても各種の試験検証を行ってきた。また、NAS電池は高温の運転温度を維持する必要があるが、充放電を繰り返している場合には保温電力をあまり必要としない。応用面では、負荷平準化を基本として、非常電源や無停電電源との兼用、風力・太陽光発電の出力変動吸収など、多様な用途が考えられる。
著者
竹内 章 大津 智 室山 誠一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-09-05

高調波電流を効率良く抑制する技術がますます重要となっている中、著者らは、小形・高効率化を目指し二入力トランスを用いた方式の高力率コンバータを検討してきた。さらに、入出力電力のアンバランスを補償するためのエネルギー蓄積素子の低電圧化のための回路についても報告した。本報告では、トランス二次側に低電圧のエネルギー蓄積素子を有する高力率コンバータを提案し、動作条件、主回路動作、および無停電電源への適用について述べる。
著者
和田 修
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、各地方に残る民俗芸能のうち、近世初期の都市芸能が伝播したとみられるものを選び、その関連と変容について考察することを目的に掲げた。2004度以来3年にわたり、風流踊と古浄瑠璃人形を素材としてとりあげ、いくつかの地点を選んで調査、比較を行った。まず、長崎県対馬市に伝承される盆踊について、その民俗的な基盤、流入の経路、歴史的推移、現在の伝承状況とその変化などを調査した。対馬の盆踊は、近世中後期以降の盆踊とは異なるところが多いが、盆の風流踊であるという基盤は共通している。江戸時代初期から幕末・明治まで、本土で行われた各種の風流踊を受け入れ、重層的に今日まで伝承してきたところに歴史的な価値を指摘することができる。2004年度には対馬周辺地域および九州全域の風流踊を概観し、2005年度はそれにもとづき九州北西部の風流踊を重点的に調査した。さらに2006年度は九州南部の離島の風流踊を調査し、比較を試みた。とくに鹿児島県十島村には、対馬と類似の歌謡をもった風流踊が伝承されており、これを採録して、中央の歌謡書との比較検討を行った。また、その周辺の島々の風流踊についても調査し、歌謡を中心に比較を試みた。一方、古浄瑠璃人形については、新潟県佐渡市と鹿児島県薩摩川内市(旧東郷町)を中心に調査を進めた。佐渡では、文弥浄瑠璃の古い録音の整理と分析を行ったほか、現在では上演が稀になっている作品をノーカット収録し、基礎的研究資料の充実をはかった。東郷では歴史史料の調査を行い、伝来の時期と経路について考察した。また現在の伝承者からの聞き取りを重ね、近代以降の変遷についても、あらたな知見を加えた。これらの作業により、近世初期の歌舞伎・人形浄瑠璃などの舞台芸能が、予想されているより、かなり早い時期から、広い地域に伝播され、各地で享受されるとともに、独自の変容が行われた経緯の一端を明らかにすることができたと考えている。
著者
鳥山 祐介
出版者
千葉大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

18世紀ロシアの頌詩とギリシア・ローマ前年度に執筆した2本の論文を学術誌『スラヴ研究』『ロシア語ロシア文学研究』にそれぞれ発表した。また、ここで論じきれなかった問題を、ペテルブルクの国民図書館やヘルシンキのフィンランド国立図書館で収集した文献をも用いて新たに考察した論文を、北大スラヴ研究センターの雑誌に発表した。また、同様の趣旨で、日本18世紀学会において発表した。19世紀初頭のロシア文学と視覚文化ヘルシンキのフィンランド国立図書館、ペテルブルクの国民図書館にて、19世紀初頭のロシア社会における光学スペクタクルに関連する文献を収集し、それに基づいてプーシキンの小説『スペードの女王』における視覚的要素を論じた報告を研究会にて行った。目下論文化に取り組んでいる。また、18世紀の詩人デルジャーヴィンにおける絵画的要素に関する報告をロシア科学アカデミー・ロシア文学研究所(サンクトペテルブルク)において行った。
著者
角田 和彦 登坂 宣好
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文報告集 (ISSN:09108025)
巻号頁・発行日
no.439, pp.189-198, 1992-09-30
被引用文献数
2

A new finite element scheme is proposed to solve numerically incompressible viscous flow problems for high Reynolds number governed by the unsteady Navier-Stokes equations. This scheme serves in the finite element formulation based on the Petrov-Galerkin method using exponential weighting function. The unsteady incompressible Navier-Stokes equations are discretized by the semi-explicit scheme with respect to a time variable. As the computational scheme, the fractional step method which is one of the time splitting techniques is used effectively in this study. The validity of the proposed method is shown by numerical solutions of several flow problems.
著者
狩俣 繁久 金田 章宏 仲原 穣 仲間 恵子
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

石垣島石垣方言、宮良方言、西表祖納方言、多良間島方言、宮古島平良方言の格の記述と、とりたて助詞の中で最も注目され、係り結びの機能を持つと言われてきたduを記述した。同時に石垣方言、平良方言、今帰仁方言、首里方言の係助辞の比較研究を行ない、duに焦点化の機能は存するが、係り結びの機能を持たないことを指摘した。八重山方言の中でも特に研究の遅れていた西表方言の文法記述を行い、全体の概要を把握した。石垣方言の自動詞と他動詞の派生関係のタイプを記述し、ヴォイスと深い関係があることを記述した。