著者
石川 博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CVIM, [コンピュータビジョンとイメージメディア] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.158, pp.193-204, 2007-03-19
参考文献数
58
被引用文献数
31

ビジョンや画像処理の多くの問題を,エネルギー最小化の問題と捉えることができる.そのエネルギー最小化の方法として,近年,グラフの最小切断(グラフカット)アルゴリズムが,ますます有用で人気のある手法となり,ビジョンや画像処理に盛んに応用されるようになってきた.本稿では,グラフカットの離散最適化への応用を概観し,主要な3つのアルゴリズムを詳述するとともに,具体的にステレオやセグメンテーション等,ビジョンやグラフィックスヘの応用を紹介する.
著者
辻本 臣哉
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.92-95, 2019

<p>This paper studies the <i>Hosshinshū</i>, <i>Shasekishū</i> and <i>Tsurezuregusa</i> in relation to Tendai <i>hongaku</i> philosophy. The following results are obtained. Firstly, the <i>Hosshinshū</i> is not affected by Tendai <i>hongaku</i> philosophy. Its stance detests this impure world and encourages seeking rebirth in the Pure Land. The <i>Shasekishū</i> has the idea that everyone can reborn in the Pure Land. However, it does not contain the idea that this real world is a manifestation of Buddha. Finally, the <i>Tsurezuregusa</i> accepts the real world. It finds the truth in the real world and might be affected by Tendai <i>hongaku</i> philosophy.</p>
著者
右田 裕規
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.129-145, 2004-10-25 (Released:2010-04-23)
参考文献数
33

本論文の目的は, 戦前期女性の皇室観の分析を通じ, 民衆の生活世界に根ざしつつ, 近代天皇制と「女性」の関係を捉え直すことにある.アプローチしたのは, 1900-10年代以降の女性に広く現れた, 「スターとしての皇室」への強い憧憬・関心という心性である.本論文ではこの心性につき, 男性の皇室観と比較しつつ, 歴史社会学的な考察が加えられる.具体的にはまず, 戦前期女性の上記の心性が, 近代天皇制の大衆化を推進していった過程を概観することで, 彼女らが天皇制の質的変容をもたらしたことが示される.さらに上記の心性形成の諸要因の解明を通じ, 戦前期大衆天皇制の形成と日本の近代化過程との関係性が, ジェンダー論的視座から提示されるとともに, 家父長制と天皇制の間に対立のモメントの存在した事実が明らかにされる.

4 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1936年03月20日, 1936-03-20
著者
藤本 誉博
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.204, pp.11-30, 2017-02

本稿は、室町後期(一五世紀後期)から織田権力期(一六世紀後期)までを対象として、堺における自治および支配の構造とその変容過程を検討したものである。当該期は中近世移行期として「荘園制から村町制へ」というシェーマが示されているように社会構造が大きく変容する時期である。堺においても堺南北荘の存在や、近世都市の基礎単位になる町共同体の成立が確認されており、これらの総体としての都市構造の変容の追究が必要であった。検討の結果、堺南北荘を枠組みとする荘園制的社会構造から町共同体を基盤とした地縁的自治構造が主体となる社会構造への移行が確認され、その分水嶺は地縁的自治構造が都市全体に展開した一六世紀中期であった。そしてこの時期に、そのような社会構造の変容と連動して支配権力の交代、有力商人層(会合衆)の交代といった大きな変化が生じ、イエズス会宣教師が記した堺の「平和領域性」や自治の象徴とされる環濠の形成は、当該期の地縁的自治構造(都市共同体)の展開が生み出したものであると考えられた。そして、様々な部位で変化を遂げながら形成された一六世紀中期の都市構造が、近世的都市構造として一六世紀後期以降に継承されていくと見通した。This paper examines the feudal and autonomous regimes and their shifts in Sakai from the late Muromachi period (the late 15th century) to the period of the ascendancy of Oda Nobunaga (the late 16th century). This century was a transitional period from medieval to early modern, when the social regime changed drastically, as represented by the shift from the manorial system to the township system. Likewise, in Sakai, it has been observed that after Sakaikita-shō and Sakaiminami-shō (Northern and Southern Sakai Manors) were established, township communities emerged as the basis of the early modern city. Thus, it is important to inquire into the process of changes in the municipal regime to reveal how these basic units were integrated and developed into a new municipal regime.The results of the analysis indicate a shift from a feudal regime based on the manorial system developed under the framework of Sakaikita-shō and Sakaiminami-shō to a society characterized by territorial autonomy based on township. The watershed in this shift was the spread of the autonomous territorial regime around the city in the mid-16th century. This shift in the social regime was accompanied by major changes, such as the change of authorities and the replacement of dominant merchants (egōshū). The development of the autonomous territorial units (town authorities) at that time also seems to have contributed to the construction of moats as a symbol of autonomy as well as the development of Sakai into a "place of peace," as a missionary of the Society of Jesus described it. Moreover, this analysis suggests that the municipal regime which had been established and changed in different ways in the mid-16th century formed the basis of the early modern municipal regime in the late 16th century and thereafter.
出版者
中央氣象臺
巻号頁・発行日
vol.昭和2年 氣象表ノ部, 1929
著者
蔵川 圭
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.67-72, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)

本稿は,様々な学術的文化的データベースにおいて必要不可欠な著者識別子に焦点を当て,昨今の技術的,政策的変革の中で,それらがどのような様態をなして,どのように利用されるようになってきているのかを概観する。著者識別子は,著者名の曖昧性を排除し,学術的,文化的なあらゆる創作活動の結果である著作物を著者に正確に関係づける。著者名寄せとの対比の中で著者識別子を形式的に位置付け,現在流通する様々な著者識別子を品質の観点から整理し紹介する。さらに,グローバルな著者識別子であるORCIDとISNIが学術論文,研究データ,デジタルアーカイブを対象にしたデータベースにおいてどのように応用されるかを示す。
著者
森野 友介
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.88-101, 2014

スクリーンスケイプはスクリーンの映像だけではなく,その背後にあるさまざまな事象とその構造を含んだ概念である.この概念を用いることで現実の空間とサイバースペースの垣根を越えた研究が可能であり,双方の空間にわたる情報化社会にアプローチすることができる.映像の背後には技術,マーケティング,社会状況,コミュニケーションの4種類の要素がある.本稿では2Dのビデオゲーム空間の視点に注目した分析と聴き取り調査を行うことで,主に技術やマーケティングに関する調査を行った.その結果,コストと技術の制約の中でクリエイターは性能を最大限に活かす努力を行ってきたこと,技術の発展に伴い,ビジネスモデルが複雑化し,マーケティングの影響が徐々に強くなり,ビデオゲームの内容も変化したことが分析できた.このように,技術とマーケティングの影響を受けつつビデオゲームのスクリーンスケイプが発達したことが明らかになった.

4 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1925年12月16日, 1925-12-16
著者
加藤 百合
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.1020, 2017 (Released:2017-10-01)
参考文献数
4

朝にインフルエンザワクチンを接種すると,午後に接種する場合と比較して抗体力価が上がることから,概日リズムにより免疫システムが制御されていることが示唆されている.このメカニズムの解明は,様々な病原体に対する効率的なワクチン療法の確立に重要である.ワクチン接種による免疫獲得には,リンパ球が重要な役割を担う.リンパ球は抗原を探索するために,血液からリンパ節へ移行し(ホーミング),その後,遠心性のリンパ管を流れるリンパ液へと放出され(遊出),全身を循環する.これまでに免疫応答が,活動期と休息期で日内変動することは報告されていたが,リンパ球の概日リズムへの関与は長らく議論があった.本稿では,リンパ球が概日リズムで制御されることによって,リンパ節へのリンパ球の移行,リンパ節からのリンパ球の放出,さらには免疫応答が調節されていることを明らかにした,Druzdらの研究成果を紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Long J. E. et al., Vaccine, 34, 2679-2685(2016).2) Scheiermann C. et al., Nat. Rev. Immunol., 13, 190-198(2013).3) Hemmers S. et al., Cell Rep., 11, 1339-1349(2015).4) Druzd D. et al., Immunity, 46, 120-132(2017).
著者
新潟市編
出版者
新潟市
巻号頁・発行日
2007
著者
小林 裕志 姥浦 敏一
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.587-593,a2, 1988-06-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
12

草地造成技術のうち, 不耕起法はわが国独自の展開が遅れている分野である。本報では, 不耕起法の本質が原植生から牧草植生への転換を生態学的手法で行うことにあることを論述している。これには, 蹄耕法あるいは火入れ直播法などとは異質な, わが独自の方法-機械力利用-の確立が必要である。本報ではその先覚的事例を紹介する。また, わが国の各地において, 劣悪な自然条件のために放置されてきた未利用特殊地帯における草地造成の実際例として, コーラル地帯, シラス地帯, カルスト地帯, 有害土壌地帯, 泥炭地帯の実績を紹介する。