著者
張 孟余 内川 公人
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.75-78, 1993-11-25

世界各地の動物園で飼育される蛇類に広く多数寄生して宿主に被害を及ぼすことで知られるヘビオオサシダニが, 愛媛県立砥部動物園のミドリニシキヘビと上野動物園のボアから見つかった。本邦新記録種であるうえ, 肉眼的にイエダニに酷似する種類であるので, 本種の形態を示した。
著者
長澤 実佳
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.662-668, 2019

<p>微小血管手術を予定された54歳の女性イスラム教徒患者の周術期管理を経験した.イスラム教の宗教上の理由から,麻酔管理では生物由来製品(ブタ),アルコールは使用できないなど使用薬剤に制限があり,患者に確認を行う必要があった.イスラム教徒の周術期管理には,麻酔管理以外にも通訳の問題,ハラール食の提供,未婚の女性では男性医師の診察に制限がある,生活習慣の違いを理解する,などの配慮が必要となることがある.当院で経験した症例から学んだ,イスラム教の概要と,使用に制限のある生物由来製品を提示し,イスラム教徒患者の周術期管理における注意点を考察する.</p>
著者
土屋 貴志
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.125-129, 1994

オーストラリアの哲学者ピーター・シンガーは選好功利主義に立って、重い障害をもつ新生児の安楽死を擁護するが、この主張はドイツ語圏の人々に、ナチスの「安楽死」の苦い記憶を想起させることになった。シンガーを招いたシンポジウムは障害者を中心とする広汎な抗議行動のために軒並み中止に追い込まれ、ドイツのマスコミはシンガーを「ファシスト」呼ばわりした。攻撃はさらに生命倫理学や応用倫理学、果ては分析哲学全般にまで飛び火し、これらの分野の研究者は学問的生命すら危ぶまれている。日本国内にも、バイオエシックスを弱者を切り捨て生命操作を押し進めるためのイデオロギーとみなす見方が一部にある。「シンガー事件」は、バイオエシックスの本質と意義を再考し、今後の日本の生命倫理学のあり方を考える上で、看過できない重大な問題を提起している。
著者
高津 俊司 佐藤 馨一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.93, 2004

本研究は、開発者負担金による鉄道整備の事後評価を目的として、都市開発と一体的に整備が進められた臨海副都心線(りんかい線)を事例として、開発者負担金について開発者にアンケート調査を行い、開業後の輸送実績を元にして鉄道計画支援システム(GRAPE:GIS for Railway Project Evaluation)を用いて鉄道整備効果を分析し、開発者負担方式の評価と今後の課題を考察した。その結果、次のような知見が得られた。_丸1_事後アンケート調査によれば、鉄道に対する評価としては、広域、大量、高速などの特性を評価し、約8割の会社が「受益があるのである程度の負担はしかたない」と回答している。費用負担の額についても、計画時点より現時点の方が、「ほぼ妥当である」との回答が増加している。_丸2_りんかい線の整備による開発区域内の利用者便益(割引後30年集計)をGREPEで推定すると、開発者の費用負担金の額を上回った。_丸3_これらの結果から、鉄道整備の財源方式として、請願駅方式で駅周辺の開発者からの負担金を徴収する方式は、一定程度の妥当性があると想定される。
著者
小島 道裕
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.145, pp.317-347, 2008-11

京都とその周辺を描いた「洛中洛外図屏風」の内、室町期の景観を持つ「初期洛中洛外図屏風」四本は、大名上杉家に伝来した上杉本を除いて、制作事情が明らかでなかった。本稿では、屏風の中に「登場人物」と言える個人の像を検出することによって、その主題を明らかにし、初期洛中洛外図屏風全体についても統一的な理解を試みた。最も古い「歴博甲本」は、一五二五年に、室町幕府の実権を握っていた細川高国が、嫡子稙国への家督譲渡と新たな将軍御所の建設を契機として、自らの事績を描かせたものであり、作者は幕府御用絵師の狩野元信である。「東博模本」は、細川晴元の政権を中心主題として描いたものであり、「上杉本」は、細川氏の館を中心とする構図をそのまま用いながら、管領が細川氏から上杉氏に代わるというメッセージを表している。「歴博甲本」に始まる「権力者とその統治する都市」という主題の屏風は、その後も狩野派によって受け継がれていくが、「歴博乙本」にはそのような権力者を顕彰する主題は見いだしがたい。名所絵・風俗画として描かれたと考えられ、近世に量産される洛中洛外図屏風の先駆と位置づけられる。In the versions of "Rakuchu-Rakugai-Zu Byobu" (folding screens depicting scenes in and around Kyoto), except for the Uesugi version handed down in the Uesugi family of daimyo (feudal lords), the production background to the four early versions of "Rakuchu-Rakugai-Zu Byobu", which contain scenes of Muromachi Bakufu, had yet to be clarified. In this article, I clarified the works' themes by detecting within the folding screens the images of individuals that could be called "characters," and I have attempted to obtain a unified understanding of all early versions of Rakuchu-Rakugai-Zu Byobu.The oldest – the "Rekihaku A version" – was produced in 1525, when Hosokawa Takakuni, who was at the helm of the Muromachi Bakufu, had his achievements depicted by the Bakufu painter, Kano Motonobu, on the occasion of the transfer of responsibility for the family to his son Hosokawa Tanekuni, and the building of a new palace for the Shogun. The regime of Hosokawa Harumoto is depicted as the main theme in the "Tohaku replica," and in the "Uesugi version" and although the composition still has the Hosokawa residence at its center, there is an inscription stating that the office of the Kanrei (Shogun's Deputy) was taken over by the Uesugi family from the Hosokawa family.The theme of "the person in authority and the city ruled by him" first appears in the "Rekihaku A version" and was handed down in the Kano School; but themes that praise the authorities cannot be found in the "Rekihaku B version." The piece must therefore have been created as a landmark guide/genre painting, and can be identified as the pioneer of the Rakuchu-Rakugai-Zu Byobu commercially produced in early modern times.
著者
鈴木 堅弘
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.13-51, 2008-09

本論は、春画として最も有名な北斎画の「蛸と海女」を取り上げ、この画図を中心に春画・艶本表現における図像分析を試みた。まず具体的な図像分析に先駆けて、同種のモチーフが「あぶな絵」や「浮世絵」にも描かれている背景を追うことで、近世期の絵画表現史における「蛸と海女」の画系譜を作成した。そしてその画系譜を踏まえて、北斎画を中心とした春画・艶本「蛸と海女」の図像表現のなかに、同時代の歌舞伎、浄瑠璃、戯作などに用いられた「世界」と「趣向」という表現構造を見出すことにより、春画・艶本分野においても同種の演出技法が用いられていたことを発見するに至った。また、こうした図像分析を通じて、北斎画を中心とした春画・艶本「蛸と海女」の表現構造が、太古より連綿と続く「海女の珠取物語」の伝承要素や、江戸時代の巷間に流布した奇談・怪談の要素で構成されていることを読み解いたといえよう。 なお、これらの考察により、春画・艶本の性表現のみに注視しない、新たな見方を提示することができたに違いない。
著者
牧 和生 Maki Kazuo
出版者
九州国際大学現代ビジネス学会
雑誌
九州国際大学 国際・経済論集 = KIU Journal of Economics and International Studies (ISSN:24339253)
巻号頁・発行日
no.6, pp.47-70, 2020-10

本論文は、2000年代(ゼロ年代)以降のアニメにおいて多数世に送り出され、現在においても一定の地位を獲得している「日常系アニメ」に焦点を当てた。さらに、本論文では日常系アニメの中でも、特に日常系4コママンガを原作とするアニメ作品を研究対象にしている。日常系4コママンガを原作とするアニメ作品は、その本数自体はアニメ全体の中でもわずかであるが、ほぼ毎年一定数が制作されるなど1つのアニメカテゴリーを成している。本論文では、これらの日常系4コママンガを原作とするアニメ作品が制作され続けていることに対する経済学的意味ついて、現代社会における閉塞感および視聴者側の心理的な側面に注目して検討したものである。
著者
飯野 秋成 飯野 なみ
出版者
一般社団法人 芸術工学会
雑誌
芸術工学会誌 (ISSN:13423061)
巻号頁・発行日
vol.76, pp.42-49, 2017

本稿では、「第1期~第2期ウルトラシリーズ」の6_曲の主題歌について、1つの番組の主題歌に含まれるメロディのモチーフが、後続番組の主題歌のメロディに継承されている状況を、メロディ譜から考察した。さらに、メロディに含まれる音符の音価について、平均情報量による分析を行い、モチーフの継承による平均情報量の変化の特徴を示した。 まず、「第1期ウルトラシリーズ」の主題歌である「ウルトラマンの歌」と「ウルトラセブンの歌」のそれぞれについて、作曲者の作風と、当時の各楽曲制作に求められた方向性を文献からリサーチした。「ウルトラセブン」は「ウルトラマン」の後継番組でありながら、主題歌の制作においてモチーフを継承する意図は確認されなかった。さらに、メロディ譜の分析により、「ウルトラマンの歌」と「ウルトラセブンの歌」のメロディには、明確に共通といえるモチーフは見られなかった。 また、「第2期ウルトラシリーズ」の主題歌である「帰ってきたウルトラマン」、「ウルトラマンA」、「ウルトラマンタロウ」、および「ウルトラマンレオ」には、「ウルトラマンの歌」および「ウルトラセブンの歌」のモチーフが、それぞれ変形されながら継承されていることを確認した。 さらに、「第1期~第2期ウルトラシリーズ」の6_曲の主題歌について、メロディの音価と音高の平均情報量を求め、2次元空間に配置すると、楽曲間のモチーフが大きく変形することなく継承されている場合に近接することを示した。モチーフが大きく異なる「ウルトラマンの歌」と「ウルトラセブンの歌」の2_曲が早期に生み出されたことにより、その後のシリーズにおけるモチーフ継承によって統一感を保持しながらも、多彩な楽曲群が生み出されることにつながっていることが示された。
著者
近藤 泉
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 言語・文化篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; LANGUAGE and CULTURE (ISSN:1344364X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.37-72, 2021-03-31

本論文においては,犯罪映画・ミステリー映画について,日本と中国の作品の比較を行う。このテーマについては,日中いずれにおいても,先行研究が存在しない。調査対象は2010年~2018年の9年間の作品とする。日本・中国とも各年度の興行収入ランキング上位の計約40本の作品を調査対象として,日中計80本ほどのすべての作品について,58の項目についてそれぞれ該当するかどうか一つ一つチェックし,表を作成する。日本と中国の表を比較することにより,できるかぎり客観的に日中の作品の比較を行う。ページ数の都合により,論文は3回ほどに分けて発表する予定であり,1回目の前回は中国の作品に関する部分を掲載しており,2回目の今回は日本の作品に関する部分を掲載する。次回は,作成した表などを使いつつ,日中の比較をする予定である。これにより,日中の映画の比較ができることはもとより,両国の社会や人々の意識の違いをも見て取ることができるはずである。
著者
髙坂 康雅
出版者
Japan Society of Personality Psychology
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.144-156, 2009
被引用文献数
2

本研究の目的は,大学生における恋愛関係の影響を明らかにすることである。大学生340名を対象に,予備調査をもとに作成した恋愛関係の影響に関する項目75項目について回答を求めた.因子分析の結果,「自己拡大」,「充足的気分」,「拘束感」,「関係不安」,「経済的負担」,「生活習慣の乱れ」,「他者評価の上昇」という7因子が抽出され,いずれも恋愛関係にある者の方がない者よりも強く感じていたことから,これら7因子が恋愛関係の影響であることが確認された。恋愛関係の影響と交際期間との関連はあまりみられなかったが,「拘束感」と「他者評価の上昇」は男子の方が,「生活習慣の乱れ」は女子の方が,強く感じていることが明らかとなった。また,女子では,関係満足度と「自己拡大」,「充足的気分」,「拘束感」,「関係不安」,「生活習慣の乱れ」が関連し,関係関与度と「充足的気分」が関連していたが,男子では,関係満足度と「充足的気分」との関連がみられただけであった。