著者
笹野 寛 水落 雄一朗 伊藤 彰師 薊 隆文 藤田 義人 祖父江 和哉
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.375-384, 2011 (Released:2011-06-28)
参考文献数
7

硬膜外カテーテル挿入を超音波ガイド下に行うと,穿刺予定の硬膜外腔がある椎弓間隙の位置に合わせて,皮膚刺入点,穿刺方向,深さを決めることができる.これらの利点により,穿刺の安全性の向上,患者の快適性の向上,穿刺にかかる時間の短縮などを期待できる.2008年1月に英国のNICE(National Institute for Health and Clinical Excellence)が超音波ガイド下硬膜外カテーテル挿入に関するガイダンスを発表し,挿入困難が想定される状況下では有用であるかもしれないと述べている.本稿では,2008年5月より導入した,われわれの施設における18ヵ月の経験をもとに,傍正中斜矢状面像を用いた超音波ガイド下硬膜外カテーテル挿入法のピットフォール,今後の課題について述べる.

3 0 0 0 OA 声の規範

著者
澁谷 智子
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.435-451, 2005-09-30 (Released:2009-10-19)
参考文献数
38
被引用文献数
3

本論文では, 耳の聞こえないろう者が出す発音の不明瞭な「ろうの声」が, 聞こえる人に「逸脱」として認識され, スティグマ化される現象を取り上げる.「ろうの声」は動物や怪獣といった「原始性」と結び付けられる一方で, 表象空間においては美化され, 感動の演出に使われてきた.しかし, こうした扱いと, かつて手話に向けられていたまなざしには, 類似点が認められる.今日, 手話が社会で肯定的に受け入れられている事実からは, スティグマ化の過程が社会の解釈によって大きく左右されることが示唆される.論文の後半では, ろうの親をもつ聞こえる人々の語りに焦点をあてる.この人々は, 親の印象操作を行う一方で, 親の声に対する自らの愛着も強調している.「ろうの声」に対する否定的な見方は必ずしも普遍的なものではなく, 聴者社会の規範を学ぶことで獲得されるのである.しかし, 「ろうの声」に対する聴者側の違和感は, 異なる文化や言語に対する違和感と違って, あまり表立って語られることがない「障害者を差別してはいけない」という道徳意識のためか, その違いはまるで存在しないかのように扱われやすい.しかし, 潜在的に生じる緊張感は, 聴者がろう者に深く関わるのを避ける要因の1つにもなっている.この違いを認識し, 聴者社会があたりまえに捉えている思考を見直すことは, 「文化」と「障害」の構造を考えるうえで有意義な視点を与えてくれるであろう.
著者
三浦 雄一郎
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.45-50, 2022 (Released:2022-12-23)
参考文献数
8

Conventional evaluation methods are not sufficient for finding sports dysfunction. The reason for this is that athletes have exceptional muscle strength and range of motion as a result of adaptation to sports. In anticipation of these characteristics, we need to be creative in our evaluation methods and treatment. In this paper, I would like to discuss the evaluation of upper limb and trunk dysfunction based on the characteristics of motor function of athletes, and how we can try to improve them.
著者
鍵谷 方子
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.14-17, 2014-02-01 (Released:2014-02-21)
参考文献数
18
著者
吉久 光一
出版者
The Institute of Noise Control Engineering of Japan
雑誌
騒音制御 (ISSN:03868761)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.13-17, 1990-02-01 (Released:2009-10-06)
参考文献数
15
被引用文献数
2

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1928年10月05日, 1928-10-05

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1920年06月26日, 1920-06-26
著者
渡辺 昌良
出版者
The Laser Society of Japan
雑誌
レーザー研究 (ISSN:03870200)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.195-198, 1998-02-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
7
著者
Yu-ki Nishimura Junya Komatsu Hiroki Sugane Hayato Hosoda Ryu-ichiro Imai Yoko Nakaoka Koji Nishida Shu-ichi Seki Toru Kubo Naohito Yamasaki Hiroaki Kitaoka Sho-ichi Kubokawa Kazuya Kawai Naohisa Hamashige Yoshinori Doi
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Reports (ISSN:24340790)
巻号頁・発行日
vol.4, no.12, pp.571-578, 2022-12-09 (Released:2022-12-09)
参考文献数
16
被引用文献数
1

Background: Cardiogenic unilateral pulmonary edema (UPE) has been reported as an unusual condition and to occur in association with severe mitral regurgitation (MR). However, the prevalence of UPE in patients with severe MR remains unknown.Methods and Results: Among 143 consecutive patients with chordal rupture and significant MR, 38 patients with acute severe MR were studied. The prevalence of UPE was 50% (19 patients); all these patients had right-sided UPE. Eight (21%) patients had bilateral pulmonary edema (BPE). All 8 patients with BPE and 18 of 19 patients with UPE had chordal rupture of the posterior leaflet. All patients with UPE and BPE had severe MR with similar left atrial size. Chest radiographs taken ≤48 h from symptom onset diagnosed UPE in 15 of 19 (79%) patients and BPE in 3 of 8 (38%) patients (P=0.037). Chest radiographs taken >48 h from symptom onset diagnosed UPE in 4 (21%) patients and BPE in 5 (62%) patients (P=0.037).Conclusions: The prevalence of UPE was estimated as 50%; it was most frequently right sided and almost always associated with chordal rupture of the posterior leaflet. UPE is not rare, but common, particularly shortly after the development of acute severe MR caused by chordal rupture.
著者
水越 興治 二川 朝世 山川 弓香
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.119-127, 2013-06-20 (Released:2015-08-25)
参考文献数
12
被引用文献数
5 1

皮膚は最外層に位置する臓器であり,温湿度,日照量等の環境や日焼け等の流行といった体外から身体に影響を及ぼす外的要因や,かゆみ,痛み等の身体内部の個人差に起因する内的要因からの影響を受け,その状態は個人間でさまざまに異なっていると考えられる。したがって,それら外,内的要因を知り適切なスキンケアをすることは,健やかで美しい肌を維持するために重要であると考えられる。そこでわれわれは,外的,内的要因による皮膚状態の違いや変化が存在するかを検討するために,沖縄県から北海道に及ぶ日本全地域の,のべ5893536件の女性の皮膚状態の調査を20年間にわたり行ってきた。その結果,見た目のシミ,肌の色,シワの状態が2000年付近を境に傾向が変化し,この変化は肌色に関する流行の変化 (ガングロブーム,美白ブーム) や,UVの害に対する社会的認識の変化 (母子手帳から「日光浴」の項目の削除) との関連性が考えられた。また,毛穴の目立ちが,日照時間に相関する傾向が示された。皮膚のバリア機能の指標である角層細胞の配列規則性が,すべての季節で,敏感である対象者ほど悪いスコアをとる傾向が示された。また,健常な肌と考えられる対象者のほうが,角層細胞の配列規則性の年間の変動が大きい傾向であることが示された。
著者
入月 俊明 栗原 行人
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.355-369, 2023-07-08 (Released:2023-07-08)
参考文献数
56

瀬戸内区中新統の,従来,第一瀬戸内累層群と呼ばれた下部中新統上部〜中部中新統下部は様々な化石を豊富に含んでいることから,古くより地質学・古生物学的研究が盛んに行われてきた.これらの中新統からは,特に,前期中新世の明世動物群や中期中新世最温暖期(Mid-Miocene Climatic Optimum)の門ノ沢動物群を特徴づける貝化石が豊富に産出することで知られている.近年,微化石に基づく生層序学的研究が進み,瀬戸内区中新統の海成層は,相対的海水準が上昇した4つの期間に形成されたことが明らかにされた.このように,瀬戸内区中新統は,前期から中期中新世における汎世界的な気候変動や日本列島の構造運動に関連した古環境や動植物群の時間空間的変化を知る上で,最も適したフィールドである.本巡検では,近畿地方に分布する瀬戸内区中新統の代表的な地層である滋賀県甲賀市の鮎河層群と京都府綴喜郡宇治田原町の綴喜層群の分布域に赴き,これらの浅海成層と明世動物群を構成する貝化石群集の観察を通じて,両層群の対比や当時の古環境について理解する.