著者
時本 義昭
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.A1-A25, 2007-09

フランスではギゾーによって一八三四年に初めて大学に憲法講座が設置され、そこで初めて憲法の講義を行ったのはイタリア出身のペッレクリーノ・ロッシである。本稿は、その最初の講義の講義録を紹介するとともに、それを七月王政下の諸情勢の中に位置づけることによって評価したものである。ロッシの『憲法講義』は「開講の辞」と一〇五講義から成り、前半で人権が、後半で統治機構が論じられている。そこでは一八三〇年憲章の存在を前提として歴史的観点と比較法的観点から分析がなされている。同憲章の存在を前提としているという意味で『憲法講義』は法実証主義に立脚しているが、このことが『憲法講義』の後世への影響力を弱めた原因の一つである。すなわち、『憲法講義』は現行制度に密着するあまり個々の点で理論的展開が不十分なものとなり、体制の崩壊ととものその妥当性を失ったのである。その結果、講義内容の学問的レベルは高いとはいえず、個々の点における後世への影響も強いとはいえない。しかし、『憲法講義』の意義は、フランス革命に由来する諸原理に立脚した公法を初めて体系化することによって近代憲法学の原型を示したことにあると考えるべきである。
著者
古名 丈人 島田 裕之
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.132-137, 2006 (Released:2008-06-06)
参考文献数
60
被引用文献数
10 5

平均寿命の延長と老化に伴う個人差の増大は,運動学研究における決定論的な議論を困難にする.一方,疫学的な研究は大規模な代表性ある集団を対象とすることが多く,高齢者の諸機能の特徴,平均像を同定することができる.本稿では,まず,高齢者の運動機能研究における疫学的視点の必要性を述べ,長期縦断研究の結果から高齢者の歩行機能の加齢変化を提示した上で,健康や寿命との関わりについて概説する.さらに,運動学やバイオメカニクスと疫学の共通の課題となる転倒に焦点をあて,学際的な研究によってこれらの問題が解決できる可能性について述べる.

3 0 0 0 OA 石神問答

著者
柳田国男 著
出版者
創元社
巻号頁・発行日
1941
著者
青木 聡 草野 智洋 小田切 紀子 野口 康彦
出版者
大正大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

離婚後に円滑な親子交流を実施するために必要な知識や心構えを学ぶホームページ「リコンゴの子育てひろば」を公開した。また,離婚後の共同養育に関するインターネット調査を行い,離婚後の共同養育や親子関係の再構築に必要な支援を検討するための知見を得た。一方,コロナ禍により,親教育プログラム(体験学習型グループワーク)の試行実践と効果検証を行うことができなかった。

3 0 0 0 刀剣と歴史

出版者
日本刀剣保存会
巻号頁・発行日
no.422, 1964-11
著者
山口 昌樹
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.129, no.2, pp.80-84, 2007
被引用文献数
25 26

厚生労働省の人口動態統計資料によると,1977年から1997年までは年間20,000-25,000人で推移していた自殺者数は,1998年に一気に年間3万人を越え,それ以降3万人前後で推移している.このことからも,自殺に至る一因であるストレスが原因の神経精神疾患は,既に深刻な社会問題となったことが窺われる.さらに,ストレスは,神経精神疾患以外にも生活習慣病など様々な疾患の引き金のひとつと考えられている.そこで,ストレスの状態を遺伝子レベルで診断し,疾患の予防や治療につなげようとする試みが始まっている(1).これは,慢性ストレスの検査と言い換えることができよう.一方で,疾患の前段階,すなわち人が日常生活で感じているストレスの大きさを客観的に把握する試みもなされている.その目的のひとつは,自らのストレス耐性やストレスの状態をある程度知ることによって,うつ病や慢性疲労症候群などの発症を水際で食い止めようという予防医療である.もうひとつは,五感センシングが挙げられる.独自の価値観で快適性を積極的に追求する人が増えてきており,それと呼応するように,快適さを新しい付加価値とした製品やサービスが,あらゆる産業分野で創出されている(2).消費者と生産者の何れもが,味覚や嗅覚を定量的に知ることよりも,それらの刺激で人にどのような感情が引き起こされるかということ(五感センシング)に興味がある.これを可能にするためのアプローチのひとつが,唾液に含まれるバイオマーカーを用いた定量的なストレス検査である.これらは,急性ストレスの検査が中心的なターゲットといえよう.ストレスとは,その用語が意味する範囲が広く,研究者によっても様々な捉われ方,使われ方がなされていることが,かえって混乱を招いているようだ.代表的な肉体的ストレスである運動とバイオマーカーの関係については,これまでに様々な報告がなされている(3).筆者が注目しているのは,主として精神的ストレスであり,人の快・不快の感情に伴って変動し,かつ急性(一過性)もしくは慢性的に生体に現れるストレス反応である.ここでは,唾液で分析できるバイオマーカーを中心に,このようなストレス検査の可能性について述べてみたい.<br>

3 0 0 0 OA 日本史蹟大系

著者
熊田葦城 著
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
vol.第5巻, 1935
著者
岡田 唯男
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.509-514, 2021-12-25 (Released:2022-04-01)
参考文献数
23

HANDS-FDF (Home and Away Nine DayS - Faculty Development Fellowship) は, プライマリ・ケア領域の医師を対象としたおそらく日本で初のHome/Away形式の継続型faculty development (FD) コースである. 米国でFDを正式に学んだ医師が先行事例を踏まえて開発, 試験運用を経て周到に準備されたコースであり, 様々な独自の特徴を有していること, 計146名の修了生の活躍, 15年以上の歴史があることなどから, その開発の経緯も含めて参考にするべき点が多いと考えられる.
著者
荒木 達雄
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第67回(2016) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.62_1, 2016 (Released:2017-02-24)

内田良氏の提言で組(立)体操がクローズ・アップされ、文科省の指針発表にまで発展した。この問題は、体育の授業内ではなく「体育祭」という「スポーツ・イベント」内での事故が多発しているためである。もともとは体操領域に「組(立)体操」は位置しているわけであるが、指導要領にその種目の文言が戦後、一度明記されたのみであり、現在の「体つくり運動」でも明記されていない。また、名称の不徹底も問題となっている。それは「組立体操」、「組体操」の区別の仕方である。「組立体操」は、人間が2段、3段に積み上げて造形美を表現する「静的」な運動形態である。「組体操」は、2人以上で互いの力を利用し合って動く、「動的」な運動形態である。体育の指導者であれば、この違いを理解したうえでこれらの運動種目を指導すべきであろう。また、普段の授業内での練習した種目を厳選したうえで、体育祭での発表作品として選択すべきと考える。今回は、「組立体操」、「組体操」の目的を明確にして実践例を参加者に体験してもらい、発表作品にまで発展させていく企画である。
著者
関口 浩 町田 幸雄 尾股 定夫
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.99-109, 1996-03-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
25

日常頻繁に摂取する食品171品種の硬さについて,新測定法として硬さ測定用触覚センサを採用して調査した結果,以下の結論を得た。1.硬さ測定値は0Hzから3,868Hzまでと広範囲にわたっていた。この測定値を基に0Hzから4,000Hzを等分し,硬さを8段階に区分した。最低値を示した食品は茶碗蒸,最高値を示した食品はキャラメルであった。2.全食品の硬さの分布状況をみると,90%が硬さ順位1から4の間にあり,軟らかい方に集中していた。3.各食品群別に硬さの分布状況をみると,穀類,肉類,調理加工食品類,野菜類は硬さ順位4に多くの食品が分布していた。これらに比べて,いも類,種実・豆類,果物類,卵・乳類および魚介類は,硬さ順位1から2の間に分布する食品が多く,軟らかい傾向が認められた。菓子類は他の食品群に比べて,分布範囲が広く,硬さ順位1から8の間に分布していた。4.硬さ順位ごとに代表的食品を挙げると,1:プリン,豆腐,2:肉団子,大根(煮),3:うどん,ウィンナーソーセージ,4:ハンバーグ,食パン,5:せんべい,するめ,6:チョコレート,あめ玉,7:無し,8:キャラメル,キャンデーであった。5.硬さ測定用触覚センサは幅広い測定範囲と高い感度を有しているため,種々な食品の硬さの測定が可能であり,しかも,短時間で判定できるため,多くの食品について測定することが可能であった。
著者
稲葉 隆政
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.107-134, 1987-05

資料紹介