- 著者
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大出 訓史
安藤 彰男
谷口 高士
- 出版者
- The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
- 雑誌
- 電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
- 巻号頁・発行日
- vol.J97-A, no.4, pp.323-331, 2014-04-01
近年,様々な音響再生方式が提案されており,評価手法の確立が求められている.著者らは,体験品質という観点から,体験の肯定的な評価に使われる“感動”という言葉に着目し,感動評価尺度を提案した.これまでに著者らが実施した音楽聴取実験の結果,感動の評価値が高い評価者群と低い評価者群の印象の差が,感動評価尺度では大きく,音楽の感情価では小さいことがわかった.これは,感動の要因となる印象が,音楽の感情価とは異なることを示唆する.そこで,本研究では,音楽聴取時の感動の要因を探るため,感動の度合いに応じて差が生じる音楽や音響の印象を調べた.まず,感動評価尺度の一般化を目的に,118名による評価実験に基づいて感動評価尺度の再構成を行い,次に,音楽や音色,音響機器の評価に用いられる評価語80語を用いた音楽聴取実験を行った.その結果,感動の度合いによる評価者間の印象の差は,「音色がよい」や「艶がある」などの音響の印象で大きいことがわかった.感動の種類によって相関の高い音楽や音響の印象が異なることから,音楽の印象と音響の印象の組み合わせによって感動が促進される可能性が示された.