著者
鈴木 晶子 松田 ユリ子 石井 正宏
出版者
東京大学大学院教育学研究科生涯学習基盤経営コース内『生涯学習基盤経営研究』編集委員会
雑誌
生涯学習基盤経営研究 (ISSN:1342193X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1-17, 2014-03-10

本研究は、貧困世帯の子どもたちが集中的に進学する公立普通科課題集中校の学校図書館における交流相談の取組みの実践的フィールドワークである。交流相談とは、学外から包括支援が可能な相談員が学校に出向き、生徒たちの潜在的ニーズや課題を発見し、社会的な自立を支援する新たな支援手法である。分析の結果、交流相談は相談機能だけではなく課題発見機能を有していること、学内での相談支援活動は交流相談での課題発見と相談を経て、必要に応じて個別相談につながり、さらに地域資源へとつながっていること、学校図書館がもともと交流の機能を備えていることで、交流相談の場としても有効に機能することがわかった。さらに、セカンドプレイスとサードプレイスの間にある「2.5thプレイス」たる交流相談を起点として、貧困世帯生徒を地域につないでいく有効な支援のあり方として「貧困世帯生徒への+2.5thプレイスモデル」を提示した。
著者
武藤 貴也
出版者
京都大学公共政策大学院
雑誌
公共空間
巻号頁・発行日
vol.2013 Spring, pp.26-28, 2013
著者
今井 福司 岡部 晋典
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.368-373, 2011-09-01

本報告では, Twitterを用いた大学間での授業実践について述べる。現在ICTの活用が幅広い分野で求められており, TwitterはICT活用のメディアの1つとして挙げられる。今回は異なる二大学間で電子書籍に関する同一の課題を設定し, Twitterを用いて発言させる演習を行った。それぞれの授業は曜日も時間帯も異なっていたが, Twitterを用いることで, 互いの受講生の交流を実現でき, 協力要請を行った大学図書館員の授業参加を容易に行えた。授業後の受講生に対するアンケート結果では, 授業に対する積極的な評価がある一方, 授業計画の見直しや, 教材について改善が必要であることを示唆するような評価も見られた。
著者
筑波大学附属図書館
巻号頁・発行日
2011-11-09

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震とその余震では、筑波大学附属図書館の筑波地区の各図書館も施設・資料に大きな被害を受けましたが、その後は復旧が進み、一部を除いて今まで通りのサービスが提供できるようになりました。震災直後から復旧に向けたいろいろな取り組みをしてきましたので、復旧の取り組みを振り返り、記憶を風化させないためにポスターという形で記録し、図書館総合展で展示しました。
著者
西台 満 NISHIDAI Michiru
出版者
秋田大学教育文化学部
雑誌
秋田大学教育文化学部研究紀要 人文科学・社会科学 (ISSN:1348527X)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.1-5, 2012-03-01

A person who gains a profit without a legal cause commits “the unjust enrichment” in Civil Law. He is required to recover the original condition by compensating the other party for his loss.The profit to be restored, however, is limited to “as much as existing” when he is asked for compensation, provided that he made the profit in good faith. Good faith means that he received the goods or money believing that he was entitled to do so.Money spent for amusements is commonly considered “not existing” so that he doesn't have to return it to the opponent. On the other hand, money spent for living expenses is counted “existing”, because it lets him escape paying the same sum of money from his savings.I take objection to such common view in this paper. Profiteer should pay the whole amount of ill-gotten gains including the amusement expense. But he doesn't have to return even the living expenses, when he has no means. I interpret that this is just the effect of good faith.
著者
岡田 英己子
出版者
東京都立大学人文学部
雑誌
人文学報. 社会福祉学 (ISSN:03868729)
巻号頁・発行日
no.21, pp.23-97, 2005-03-25

1990年頃から「平塚らいてうは優生思想の持ち主」論が通説として流布している。その典拠とされるのが、平塚執筆の「避妊の可否を論ず」に記された断種法要求であるが、実は原稿は3種類あり、刊行時期も食い違う。では、フェミニズムの旗手である平塚は、いつ、どのようにして女性の「性と生殖の自己決定」から、「性と生殖の国家管理」断種法要求にまで暴走していくのか。平塚著作の検討を通して、新婦人協会の花柳病男子結婚制限法案の修正経緯を概観し、同時に民族衛生学会の永井潜やドイツ社会事業に精通する海野幸徳との比較から、「いか程の優生思想の持ち主なのか」を査定した。これは優生学歴史研究方法の再考であり、また第一波フェミニズムの最初の敗退の背景解明にも繋がるものである。
著者
崔 紗華
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
pp.1-331, 2019

早大学位記番号:新8448
著者
高雄 芙美
出版者
北海道大学文学研究科
雑誌
研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.125-141, 2014-12-20

西日本各地で標準語化とともに関西方言化が進んでいるが広島では他地域ほど関西方言化が見られないことが指摘されている。この他地域とは異なる広島方言の特性を捉えるためには広島方言の実態を明らかにする必要がある。本稿では広島方言の「のだ」形式について,標準語,関西方言と比較し記述することで,広島方言の文法的特徴の一面を明らかにする。加藤2003,2006によると「のだ」は,命題内容について判断済みの情報である,ということを表す。また終助詞「よ」は命題内容について,発話者が排他的な知識管理をおこなう準備あること示す。どちらも話者の知識管理に関わる談話マーカーである。広島方言,関西方言では名詞化辞「の」は「ん」となり,「のだ」は広島方言では「んじゃ」,関西方言では「んや」となる。「んじゃ」「んや」の前が否定辞「ん」「へん」など撥音のときは「のじゃ」「のや」のようになる。「んじゃ」「んや」は言い切りの場合,気づき・発見の用法で使われることが多い。自分の情報を披瀝する場合は広島方言では「んよ」,関西方言では「ねん」が使われることが多い。広島方言では「*んじゃよ」とはならず「んよ」と,名詞化辞「ん」に直接「よ」がつく。伝聞の形式「んと〔んだって〕」も名詞化辞「ん」のあとにコピュラ辞が現れない。推量形や従属節などは広島方言では「んじゃろう」「んじゃけど」のように「んじゃ」が現れるが,関西方言では「んやけど」「ねんけど」のように「んや」「ねん」の両方が現れる。また「のなら」「のだったら」のような仮定形は広島方言では「んなら」が一般的で,関西方言では「なら」は使われず「んやったら」が一般的である。広島方言では従属節の「んじゃけー〔んだから〕」,「んと〔んだって〕」で在来の方言形が保たれているが,関西方言では「んやから」「んやって」のように標準語と同じ形式が使用されている。関西方言は「ねん」のような独自の方言形式を持つ一方使用頻度の高い文法形式に標準語化が見られる。広島方言は「ねん」のような独自の形式はないが,「のだ」形に用いられるような使用頻度の高い文法形式で在来の方言形を保持している。
著者
西原 博史
出版者
早稲田大学社会科学学会
雑誌
早稲田社会科学総合研究 (ISSN:13457640)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.65-75, 2013-07-25