著者
伴 清治
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.209-215, 2018 (Released:2018-08-02)
参考文献数
16

クラウンブリッジにおけるデジタルデンティストリーの活用のためには,歯科用CAD/CAMシステムにおけるマテリアル選択が必須である.しかし,歯科用CAD/CAMシステムは材料と加工法の組み合わせによりきわめて多種多様なシステムが活用されており,さらにシステムは年々多様化し,使用可能な材料が増える傾向にある.したがって,マテリアル選択には各方法・材料の基本的知識を,最新情報を元に把握しておく必要がある.本報では,歯科用CAD/CAMシステムで使用される材料の特性について,最適材料の選択に役立つように,セラミックス系材料,金属系材料,レジン系材料の3つの素材に大別して,解説する.
著者
筒井 健一郎 渡邊 正孝
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.5-16, 2008-04-30 (Released:2012-11-27)
参考文献数
43
被引用文献数
3

本論文では, 脳内の報酬系にかかわる最新の知見を取り上げてレビューする。黒質緻密部 (SNc) および腹側被蓋野 (VTA) のドーパミン細胞は, 側坐核, 背側線条体, 辺縁系, および前頭連合野など, さまざまな報酬関連領域に軸索を投射しており, 報酬の脳内表現に重要な役割をはたしている。ドーパミン細胞が報酬の予測誤差の検出に関わっているのに対して, 側坐核や辺縁系に属する複数の脳領域は, 報酬から快感や喜びを生じさせることに関わっている。背側線条体は, 特定の刺激や行為の価値を学習することに関わっており, パブロフ型および道具的条件づけの成立に重要な役割を果たしている。前頭連合野は, 行為を実行したり将来の行動を組織化したりするための動機づけの支えとなる, 短期および長期の報酬期待に関わっている。また, 行動選択肢の評価, 行おうとする行為の検討や, 行為の結果のモニタリングなどに関わることにより, 報酬情報に基づいた意思決定に重要な役割を果たしている。
著者
井上 敦子 仲田 義啓
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.112, no.6, pp.351-361, 1998-12-01 (Released:2007-01-30)
参考文献数
46

There have been many efforts to develop novel antipsychotic drugs with improved clinical efficacy and reduced side effects such as extrapyramidal side effects and hyperprolactinemia. Recent evidences from studies on the effects of novel antipsychotic drugs such as clozapine on neurotransmitter receptors are prompting reconsideration of the dopaminergic hypothesis of schizophrenia. This paper gives an overview of the current understanding, including our data, of the effects of several antipsychotics on dopamine receptor subtypes. The recent cloning of dopamine receptors has revealed that multiple dopamine receptor subtypes are generated from at least five distinct dopamine receptor genes. Aripiprazole, a candidate for a novel antipsychotic, has an antagonistic activity against dopamine D2 receptors with a high affinity, but has a weaker potency to up-regulate D2 receptors than haloperidol in the striatum and inhibitory effects on D2-receptor binding activities and mRNA in the pituitary, when it is chronically administrated to rats. Thus the occupancy or influences in D2 receptors in the striatum are involved in the extrapyramidal side effects of typical antipsychotic drugs. These studies provide new leads to understand the pathophysiology and causes of schizophrenia and to develop more effective and safe methods of treatment.

3 0 0 0 工業評論

出版者
工業評論社
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, 1931-04

3 0 0 0 OA 大正名器鑑

著者
高橋義雄 編
出版者
大正名器鑑編纂所
巻号頁・発行日
vol.第1編, 1926
著者
佐藤 哲彦
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.82-95, 2003

本稿は犯罪の質的研究において科学性・合理性を保証する説明方法に関して論じたものである.ここではとくに,シンボリック相互作用論にもとづく薬物使用の質的研究における代表的二研究を取り上げ,そこで採用されたデータ収集と説明の方法が,どのような形で科学性・合理性を保証し得たのか,あるいはし得なかったのかを論じている.そして最後に,科学性・合理性を保証し得なかった方法における問題点を克服するための新たな方法を提案している・具体的にはまず,リンドスミスによる分析的帰納にもとづいた阿片依存の研究を取り上げ,この研究が,調査対象者との会話やインタビュー,医学文献にもとづいた質的な研究であるとはいえ,仮説演繹法を用いたものであることが明らかにされる.そのことにより,科学的な質的研究の方向の一つが示される.次に,ブルーマーらによる記述的な薬物使用者研究を取り上げ,この研究が,同じく調査対象者へのインタビューや彼らとの討論にもとづいたものではあるものの,調査対象者の世界を合理的には説明できていないことが明らかにされる.そして,その問題を乗り越えるために,ディスコース分析の手法を導入することが提案される.
著者
豊下 祥史 佐々木 みづほ 菅 悠希 川西 克弥 原 修一 三浦 宏子 越野 寿
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.95-105, 2020-09-30 (Released:2020-10-25)
参考文献数
30

目的:固定性義歯による欠損補綴治療に比較して,可撤性義歯による治療は咀嚼機能の回復程度に個人差が大きいにもかかわらず,義歯装着者に関する認知機能と咀嚼機能に関する研究は少ない。本研究では,認知機能低下の危険性がある可撤性義歯装着高齢者の口腔機能を明らかにするため,認知機能の低下の有無,義歯装着の有無によってグループ化し口腔機能の比較を行った。 方法:299名の高齢者に対し,認知機能のスクリーニングテストと義歯装着の有無によって,義歯を装着しておらず認知機能の異常を認めない群,義歯を装着しておらず認知機能の低下が疑われる群,義歯を装着しており認知機能の異常を認めない群,義歯を装着しており認知機能の低下が疑われる群を設定し,残存歯数の計測,咀嚼機能検査,最大咬合力測定,25品目の摂取可能食品アンケートおよびオーラルディアドコキネシス計測を実施した。 結果:義歯を装着しており認知機能が低下している群において,残存歯数と咀嚼能力が有意に低下していた。さらに,義歯装着者を欠損の大きさによって群分けし,口腔機能を比較したところ,全部床義歯を装着しており認知機能の低下している群で有意な咀嚼機能の低下を認めた。 結論:認知機能の低下が疑われる全部床義歯装着者は,客観的評価である咀嚼機能検査と主観的評価である摂取可能食品アンケートの両方で有意な低下を認めた。
著者
塩澤 全司 高橋 昭
出版者
山梨医科大学
雑誌
山梨医科大学紀要 (ISSN:09105069)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.10-19, 2000

向坂兌(1853年4月~1881年6月)は,明治維新に活躍した日本の法曹界の偉人である。28歳で夭逝したため,現在その名を知る人は少ない。向坂は佐野藩に育ち,明治3年に貢進生となり,大学南校に進み,東京開成学校で学び,学力優秀であった。入江陳重,岡村輝彦らとともに,明治9年に第2回文部留学生として英国に留学し,Middle Templeにて法律を学び,明治12年に英国の法廷弁護士・バリスター(barrister)の資格をとる。その後,ヨーロッパ各国を歴訪し,明治14年5月に帰国したが,肺結核のため,同年6月14日に他界した。夭逝を悼む人が多く,顕彰碑が建てられた。これは戦争で戦火に破損されてはいるが,今も龍巌寺に存在する。向坂兌の姉は「升」といい,名古屋大学第三代学長勝沼精藏の祖母である。升は,夫・精之允が35歳で自害し,息子・五郎が40 歳で遭難死したため,孫の精藏と六郎を養育した。国際的な活躍をし,多くの人々を導いた勝沼精藏は,若くして他界した向坂兌の遺影を大切にしていた。
著者
五野井 郁夫
出版者
国際基督教大学
雑誌
社会科学ジャーナル = The Journal of Social Science (ISSN:04542134)
巻号頁・発行日
no.85, pp.5-22, 2018-03-31

This paper focuses on presenting and analyzing some of the most importanttheological models of participatory democracy, deliberative democracy and liquiddemocracy to emphasize their possibilities and limits. Each of these democratictheories are located between democratic bipolar models‒representativedemocracy and direct democracy‒ and have explicit commitment to reconsiderexisting models of representative democracy. Liquid Democracy is bothdemocratic political idea and the open source political voting platform createdand practiced by the Swedish and German Pirate Parties as a way to create ascalable and delegate democratic political party in the era of development of theinformation society and social network. Recently this idea has partly been appliedby the working groups of Bundestag (German federal parliament). This papershows how these three models of democracies can be embedded into theframework of existing democratic bipolar models by attempting to providetheoretical foundations of "mixed government" in democratic theories.
著者
小二田 誠二
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.34-43, 2012

<p>近世の実録は、実在の事件に取材しながら、書写、伝承していく過程で、場合によっては荒唐無稽と思われるような変容を遂げる。それは、現代の科学的思考から見れば「非・事実」、「虚構」である。しかし、そうした虚構によってこそ「事実」は言語化できるとも考えられる。具体的な資料を検証できる実録を材料とすることで、我々にとっての事実とは何か、記録する営みとは何か、と言う文学の根源的な課題に近づくことができるだろう。</p>

3 0 0 0 OA 日本戯曲全集

著者
渥美清太郎 編, 校訂
出版者
春陽堂
巻号頁・発行日
vol.第十五卷, 1933
著者
川上 量生
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.1096-1097, 2020-10-15
著者
神山 伸弘
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 = JOURNAL OF ATOMI UNIVERSITY FACULTY OF LITERATURE (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
no.45, pp.A11-A42, 2010-09

ヘーゲルは、1822/23年冬学期の「世界史哲学」講義において〈インドの天文学〉に関して詳細な言及をしている。しかしながら、ガンス版ないしカール・ヘーゲル版の『歴史哲学』では、それが明確に跡づけられず、かえって〈インドの天文学〉のいかがわしさのみが伝わる格好になっている。しかし、〈インドの天文学〉を詳細に伝える「世界史の哲学」講義のイルティング版にしても、集積テキストの編纂という方法論が禍して、ヘーゲルが〈インドの天文学〉をそれなりに評価していた文脈を読み取ることが難しいものとなっている。 本稿では、イルティング版とグリースハイム・ノートとを対比するなかでイルティング版の問題点を指摘しながら、さらに〈インドの天文学〉を理解するために必要な知見を確認する。そして、そのことを通じて、ヘーゲルが「世界史哲学」を講義するさい、経験的知識を〈情報知〉として可能なかぎり収集している姿を浮き彫りにしていく。