著者
佐川 志朗 萱場 祐一 皆川 朋子 河口 洋一
出版者
Ecology and Civil Engineering Society
雑誌
応用生態工学 = Ecology and civil engineering (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.193-199, 2006-01-30
参考文献数
21
被引用文献数
2 4

本研究は,水面幅約3mの直線河道を呈する実験河川において,24調査区における努力量を統一させた魚類捕獲調査を行い,エレクトリックショッカーの捕獲効率を算出し,各種に対するショッカーの効用および効果的な魚類捕獲の方法について考察することを目的とした.調査の結果,底生魚および遊泳魚ともに捕獲効率が高い種および低い種が存在し,前者としては,アユ,ドジョウおよびシマドジョウ属が,後者としては,オイカワ,タモロコおよびヨシノボリ属が該当した.オイカワおよびタモロコの捕獲効率が低かった原因としては,第1年級群である40mm以下の小型個体の発見率が小さかったことが示唆された.また,ヨシノボリ属については,微生息場所である河床間隙中で感電した個体が発見できなかったために,第1,第2年級群を含めた全サイズ区分にわたって捕獲効率が低かったことが考えられた.ヨシノボリ属やコイ科魚類の稚仔魚が分布する河川でショッカーを用いて捕獲を行う際には,たも網を用いて感電個体をすくい捕るのと併せて,あらかじめ通電する箇所の下流に目の細かいさで網を設置しておき,すくい捕りのすぐ後に,足で石を退かせながら水をさで網に押し入れるような捕獲方法を併用することが望ましい.今後は,本邦産魚類の各種に対して,様々な水質条件,ショッカー設定下での捕獲効率を明らかにするとともに,各魚類の成長段階ごとにショッカーの影響程度を把握し,効果的で魚類個体群への影響を最小限とする魚類捕獲手法の検討を行う必要がある.

2 0 0 0 歴史地理

著者
日本歴史地理学会 編
出版者
吉川弘文館
巻号頁・発行日
vol.91(3), no.559, 1966-11
著者
北原 章男
出版者
吉川弘文館
雑誌
歴史地理 (ISSN:03869180)
巻号頁・発行日
vol.91, no.3, pp.19-27, 1966-11
著者
藤田 達生
出版者
国際忍者学会
雑誌
忍者研究 (ISSN:24338990)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.16-27, 2018 (Released:2020-03-05)
参考文献数
36

戦国時代において、伊賀衆や甲賀衆とよばれた戦闘集団は、伊賀国や近江国甲賀郡の国人・土豪の同名中を中核に、彼らに従属する被官衆と、百姓の傭兵集団たる足軽衆によって構成されていた。足軽衆は、独自に強力な軍事力を発揮し、他国まで出陣して攻城戦をおこなうことさえあった。伊賀衆や甲賀衆は信長に抵抗して惣国一揆や郡中惣による領域支配を維持しようとするが、甲賀衆は天正二年に、伊賀衆は天正九年に敗退して臣従する。豊臣秀吉は、当初彼らの軍事力を活用するが、天正十三年閏八月、畿内近国を制圧した直後に兵農分離策を断行して、兵として他国で仕官するか、農として在国するかの選択を迫った。仕官を求めて他国に出て行った伊賀衆や甲賀衆のなかに、卓越した諜報能力を評価されて服部正成のように幕府に仕えたり、諸藩に召し抱えられる者があった。彼らの実態は足軽クラスの下級武士を束ねた諜報集団であって、それが忍者組織として認知されてゆくことになるのである。
出版者
同潤会
巻号頁・発行日
1942
著者
森 勇太
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.17-31, 2011-04-01 (Released:2017-07-28)

本稿では聞き手に利益のある行為を話し手がおこなうことを申し出るときの表現(以下,申し出表現)の考察を通して,「-てあげる」「-てさしあげる」などの恩恵を与えることを示す形式(以下,与益表現)の運用の歴史的変化について調査を行った。現代語で上位者に「-してあげましょうか」と,与益表現を用いて申し出を行うことは丁寧ではない。一方で,与益表現は「-てまいらす」などの表現をはじめとして,中世末期ごろにその形式が現れるが,中世末期から近世にかけては与益表現を用いて上位者に申し出を行う例が一定数あり,その待遇価値は高かったものと考えられる。この歴史的変化の要因としては,(1)恩恵の示し方の歴史的変化(聞き手に対する利益を表明することが抑制されるようになった),(2)利益を表さない謙譲語形式の有無の2点が考えられる。
著者
萩原 早紀 栗原 一貴
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1_52-1_62, 2016-01-26 (Released:2016-03-26)

本論文では,俗に“コミュ障”と呼ばれている人間の性質に注目し,その中で他人と視線を合わせられない症状をもつ人々を社会福祉学的な観点から支援するためのシースルー型HMD を使用したシステムの提案を行う.この“コミュ障”支援システムは,彼ら/彼女らが他人と視線を合わせられないというコミュニケーション上の問題を緩和・改善するために,顔検出技術と視覚情報提示により相手の顔を隠したり,視線をそらす癖を改善するように指示したり,視線の挙動の客観的なデータを提示したり,コミュニケーション上の危険状態が発生した場合その場から脱出する手段を与えてくれる.このシステムのプロトタイプを実装し,評価した結果,いくつかの機能は有効に働き,今後の改善点が得られた.

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1884年03月19日, 1884-03-19
著者
村田 政穂 奈良 一秀
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.99, no.5, pp.195-201, 2017-10-01 (Released:2017-12-01)
参考文献数
58
被引用文献数
1 3

トガサワラ林の外生菌根菌 (以下,菌根菌) の種構成や出現頻度が土壌の深さによってどのように変化するかを明らかにするため,成木の菌根と埋土胞子の種組成を調べた。奈良県三之公川のトガサワラ林内の25 地点において,四つの土壌深度区別に土壌ブロックを二つずつ採取した。二つの土壌サンプルのうち,一つからは成木菌根を取り出し,DNA 解析によって菌種同定を行った。もう一つの土壌サンプルは,埋土胞子の種組成を調べるためバイオアッセイに供試した。バイオアッセイではダグラスファーとアカマツ実生を宿主とし,育苗後にDNA 解析で菌種を同定した。その結果,成木の菌根菌の出現頻度と菌根菌種数は土壌深度が深くなるにつれて減少する傾向がみられたが,菌根菌の埋土胞子は最も深い土壌で出現頻度が高くなる傾向を示した。また,埋土胞子の菌根菌はショウロ属のみが検出され,それらの感染によって苗の成長は有意に促進された。埋土胞子は攪乱後の菌根菌の感染源として重要であるが,その垂直分布についてはこれまでに報告がなく新たな知見である。さらにトガサワラも攪乱依存種と考えられており,本種の保全において菌根菌の埋土胞子を活用できる可能性がある。
著者
福留 厚 松峯 敬夫
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.36, no.8, pp.1999-2006, 1983

Cefoxitinsodium (マーキシン注射用, 以下CFXと略す) は<I>Streptomyces lactamdurans</I>が産生するCephamycin Cの誘導体として, 最初に開発されたCephamycin系抗生物質である。CFXは, 特にグラム陰性桿菌のうち, <I>Escherichia coli, Klebsiella, Proteus</I>に対して, 優れた抗菌力を示し, 又多くの抗生物質に耐性の嫌気性菌<I>Bacteroides fragilis</I>に対しても極めて有効であると言われている1~4)。<BR>今回, 著者らは消化器外科領域での重症感染症に対して, CFXを使用し, その臨床効果, 起炎菌, 副作用に対する検討を行つたので報告する。