著者
林 寿和
出版者
環境経済・政策学会
雑誌
環境経済・政策研究 (ISSN:18823742)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.28-37, 2021-09-26 (Released:2021-11-02)
参考文献数
26

本研究は,近年,実務主導で急速に発展している投資ポートフォリオのカーボン分析に焦点をあて,関連文献の包括的なレビューを通じて,カーボン分析のこれまでの発展史を,概念形成・任意開示・TCFD対応・新指標開発の4つの段階に分け整理を行った.さらに,カーボン分析の実施目的・指標・実務上の課題についても整理を行った.目的については運用パフォーマンス向上と環境面のインパクト創出という異なる考え方が併存する中,GHG排出量をベースとする指標から金銭価値や温度を単位とする指標まで,指標の多様化が明らかとなった.同時に,機関投資家がカーボン分析を実施する際に実務上の課題が複数存在することも浮かび上がった.
著者
北川 恵
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.439-448, 2013

本稿では,アタッチメント理論に基づく親子関係支援の基礎と臨床の橋渡しについて,欧米の先行研究を概観したうえで,日本での今後の課題を考察した。親の内的作業モデル,敏感性,内省機能といった特徴が子どものアタッチメントの質に影響するという基礎研究知見に基づいて,それらを改善することを目的とした介入プログラムが開発された。介入効果が実証されているものとして,敏感性のみに焦点づけた短期間の介入(VIPP),内省機能に焦点づけた長期間で密度の高い介入(MTB),敏感性と内的作業モデルに焦点づけた比較的短期間の介入(COS)について概観した。介入とその効果についての報告が蓄積されたことから,有効な介入の特徴(焦点,頻度,期間)や,介入の要素(安心の基地,心理教育,ビデオ振り返り)についての議論が起こり,また,臨床群の評価に適切な測定方法開発の必要性が高まった。日本での今後の課題として,欧米の知見を日本に応用する際に,アタッチメントの普遍性と文化についての検討が必要であること,支援の場に安心の基地を実現する臨床的工夫を行いながら,アタッチメントの変化に関わる要因について実践に基づく仮説を生成することが必要であると論じた。
著者
鹿野 憲嗣
出版者
北海道農業研究センター総合研究部
雑誌
北海道農業研究センター農業経営研究 (ISSN:13471821)
巻号頁・発行日
no.102, pp.59-65,141〜153, 2009-08
被引用文献数
1

今日は私の経営概況やこれまでの過程、そして自給飼料生産への取り組み、あとガレガを中心とした取り組み、最後に経営状態の考え方等を報告させて頂きます。写真1の左の方ですがリゲルファームという看板があります。みなさんにリゲルとはどういう意味かとよく言われるのですが、これはオリオン座の一等星でありまして、リゲルファームを設立した1月の南の空の一番明るい星がリゲルなので、リゲルファームと名づけました。写真1の右側の方は、ガレガですが、花が咲いた時に周りの農家の方とか普通のお子様達が「この花かわいいね。花瓶に挿したいから持っていっていいでしょうか」とよく言われたりしています。北海道、戦略。
著者
玉田 芳史
出版者
京都大学東南アジア研究センター
雑誌
東南アジア研究 (ISSN:05638682)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.127-150, 1996-06

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
黒川 真頼[作詞]
出版者
コロムビア(戦前)
巻号頁・発行日
1941-10
著者
松田 太希
出版者
日本体育・スポーツ哲学会
雑誌
体育・スポーツ哲学研究 (ISSN:09155104)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.85-98, 2015 (Released:2016-03-18)
参考文献数
50
被引用文献数
2 1

The purpose of this paper is to clarify why the corporal punishment remains in sports groups focusing on Freud’s group psychology. Most arguments on the corporal punishment was apt to deny or solve the corporal punishment until now. But, can the corporal punishment be really got rid of? Imamura says that if people have relations with each other, we can never avoid violence. If so, it is natural that the corporal punishment occurs in sports groups. Therefore, we must understand why the corporal punishment remains in sports groups. This paper tries to investigate the psychic structure that the corporal punishment remains in relations between a coach and players in sports groups. To do it, we regard the situation that keeping the corporal punishment as the extension line of normal human relations rather than abnormal. Then, this paper focuses on “group psychology and the analysis of the ego” written by Freud. Freud says that the group is formed and kept up by the union of libido among members. We should take notice of the Freud’s argument in that respect that the ego of a coach spends all the ego of players. Freud calls the union of libido between members and a leader “being in loved”, and if “being in loved ” sublimates into “idealization”, the ego of members will be destroyed by losing their critical thinking on the character of their leader. Freud’s argument gives us a hint to consider why the corporal punishment remains in relations between a coach and players in sports groups.

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1910年10月19日, 1910-10-19
著者
太田 雅己 堀江 邦明 土井 誠 田中 実 草場 公邦
出版者
東海大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

代数曲線,特に楕円モジュラー曲線の塔に付随する"大きな"p-進エタール・コモホロジー群の研究を行った.素数pと正整数N(pXN)を固定し,モジュラー曲線の塔{X^1(Np^γ)}(γ=1、2、……)を考える.昨年迄の研究により、これに付随するパラボリック・コモホロジー群の通常部分が良いp-進ホッジ構造をもつ事がわかっていた.即ち,この群に自然なp-進ホッジfiltrationが入り,それをA-進カスプ形式の言葉で記述することができ,"特殊化社塑像による個々のレヴェル,重さをもつコモホロジ群のp-進ホッジ構造が取り出せる事を示した。この研究の自然な継続,発展として開曲線の族{X_11(Np^γ)-{cusps}(γ=1,2,……)のエタノール・コノホロジー群の通常部分のp-進ホッジ構造の研究を開始した.これは上記結果をアイゼンシュタイン級数のp-進族を含む形に拡張する事を目標にしており、応用としてはアーベル対上のアーベル体上のアーベル拡大の具体的構成が見込まれている。未だ理論の全体が構築された訳ではないが,今年度の研究により次の諸点が明らかになった:・上記コホモロジー群が∧-加群としてうまくcontrolできる事;・モジュラー形式に関する,異なった重さに対応する"大きな"p-進ヘッケ環の通常部分が重さによらない事:・モジュラー形式の射影系と∧-進モジュラー形式の間に,カスプ形式の場合と同様の対応がある事;・一般ヤコビ多様体を用いて,上記コホモロジー群を記述するp-divisible群が構成できる事;等である.この研究は来年以降も継続して行う.尚,A. WKilesによりフェルマ-の最終定理が証明されたが,それについての解説的仕事も行った.
著者
安藤 哲也 小牧 元
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.47-56, 2009
参考文献数
31
被引用文献数
1

摂食障害への罹患しやすさには遺伝的要因が大きく関与している.これまで候補遺伝子法による相関解析ではセロトニン2A受容体遺伝子,セロトニントランスポーター遺伝子,脳由来神経栄養因子遺伝子多型と神経性食欲不振症との関連が,メタアナリシスで示された.罹患同胞対連鎖解析では第1,第2,第13染色体上に神経性食欲不振症との連鎖が,第10染色体上に神経性過食症と連鎖する領域が報告された.グレリンは主に胃から産生され,成長ホルモンの分泌を刺激し摂食と体重増加を促進するペプチドである.筆者らはグレリン遺伝子多型およびハプロタイプが神経性過食症に関連すること,同じ多型が若年女性の体重や体格指数,体脂肪量,腹囲,皮脂厚などの身体計測値,「やせ願望」と「身体への不満」という心理因子,空腹時の血中グレリン濃度と関連することを示した.さらにグレリン遺伝子多型が制限型のANの病型変化のしやすさにも関連していた.マイクロサテライトマーカーを用いたゲノムワイド相関解析により,神経細胞接着関連分子遺伝子領域(11q22)と脳関連遺伝子クラスター(1p41)領域で感受性SNPが検出された.近年,生活習慣病,多因子疾患の疾患関連遺伝子の同定に成果を上げているゲノム全体を網羅するSNPマーカーを用いたゲノムワイド相関解析の実施を摂食障害においても目指すべきである.摂食障害に関する臨床研究,疫学研究での評価項目に遺伝子解析を入れておくことが,発見された摂食障害関連遺伝子の意義を決めるのに重要である.