著者
陳 峻文 貝谷 久宣 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.57-68, 2000-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究では、患者がエクスポージャーを実施する際の困難点を検討した上で患者教育を行い、患者教育がエクスポージャーの実施に及ぼす影響を検討することを目的とした。予備調査によって患者がエクスポージャーを実施する際に感じる困難点を明らかにした上で、研究1では、患者教育前後の患者の自己効力感の変化を検討した。その結果、患者教育前に比べ、患者教育後には、エクスポージャーを実施できるというセルフ・エフィカシーや、自らエクスポージャーを実行する意欲が高くなることがわかった。研究2では、エクスポージャー実施に及ぼす患者教育の効果を検討した結果、患者教育あり群は患者教育なし群よりも症状をコントロールできるというセルフ・エフィカシー、エクスポージャーが実施できるというセルフ・エフィカシーが有意に高く、エクスポージャー後の状態不安とSDSの得点が低下することがわかった。最後に、エクスポージャー実施に先立つ患者教育の意義が議論された。
著者
Prashant KUMAR Rakesh GAIROLA 久保田 拓志 Chandra KISHTAWAL
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.99, no.3, pp.741-763, 2021 (Released:2021-06-14)
参考文献数
69
被引用文献数
9

インド夏季モンスーン(ISM)期間中の正確な降雨量推定はインド亜大陸およびその周辺で最も重要な活動の一つである。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、Global Satellite Mapping of Precipitation(GSMaP)降雨プロダクトとして、全球客観解析データ等を補助データとして用いて計算した衛星プロダクトであるGSMaP_MVKや全球地上雨量計データで調整したGSMaP_Gaugeを提供している。本研究では、2016~2018年のISM期間で、インド南西部の州の1つであるカルナータカ州における高密度地上雨量計ネットワークを基準として、GSMaP降雨プロダクト(バージョン7)の日降雨量を検証する。さらに、本研究の主目的として、これらの高密度地上雨量計観測を、ハイブリッド同化法を用いてGSMaP降雨量に同化することで、最終的な降雨推定を改善する。ここで、ハイブリッド同化法は二次元変分(2D-Var)法とKalmanフィルタの組合せであり、2D-Var法を用いて地上雨量計観測を統合し、Kalmanフィルタを用いて2D-Var法の背景誤差を更新する。準備としての検証結果は、GSMaP_Gauge降雨量が北部内陸カルナータカ州(NIK)と南部内陸カルナータカ州(SIK)地域で十分な精度を持ち、西ガーツ山脈の地形性豪雨領域で大きな誤差を持つことを示唆する。これらの誤差はGSMaP_MVK降雨量の地形性豪雨領域でより大きかった。ランダムに選択した地上雨量計観測を用いたハイブリッド同化結果は、独立した地上雨量計観測と比較して、GSMaP_GaugeとGSMaP_MVK降雨量の精度を改善した。これらの日雨量における改善は地形性豪雨領域でより顕著である。GSMaP_MVK降雨プロダクトは、JAXAの運用処理において地上雨量計による調整が含まれていないので、より大きな改善を示した。また本研究は、Cressman法や最適内挿法と比較して、用いられた雨量計の数のインパクトに対するハイブリット同化法の優位性を示す。
著者
坂本 快郎 市村 隆也 水流添 周 中尾 光善
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.137-143, 2005-03-25 (Released:2011-03-02)
参考文献数
46
被引用文献数
1 1

老化はヒトを含む全ての生物に共通した生命現象であるとともに, 多くの疾患や病態の発生と関わっている. 近年, DNAメチル化とクロマチンをはじめとするエピジェネティクスの研究が進展して,細胞の老化現象とも密接に関わることが明らかになってきた. 加齢とともにDNAメチル化パターンが徐々に変化する事実からも, 癌や自己免疫疾患, 代謝病, 神経疾患等の発症機序との相関性が注目されている. DNAメチル化検査は技術的に確立されており, 癌の早期診断, 治療薬剤の選択や予後因子に適用されている. さらに, エピジェネティクスを標的とする薬剤開発 (エピジェネティック治療) が提唱されており, 疾患の予防や治療に貢献できる可能性が高まりつつある.
著者
牧野 利明 中村 峰夫 野田 敏宏 高市 和之 井関 健
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.505-510, 2005-07-10 (Released:2011-03-04)
参考文献数
3
被引用文献数
3 2

Dietary supplements are gaining wide popularity in Japan and are used by a large number of patients as self-medication. Though dietary supplements cannot be considered as drugs, patients expect pharmacological benefits from them since they usually have very little knowledge of their effects. Thus, pharmacists have the responsibility to expand their knowledge of dietary supplements so that they can give better advice to patients who are using them. However, only a limited amount of information on dietary supplements is available to pharmacists.In the present study, we evaluated the content and solubility of coenzyme Q10 (ubidecarenone, CoQ10) in dietary supplements. CoQ10 is not only used as a dietary supplement, it is also prescribed as a drug by physicians. CoQ10 preparations were ground up and various techniques were used to extract the active ingredient, among them extraction using solvents, ultrasonication and heat. We found that the prescription drug preparations containing CoQ10, both original and generic products, had exactly the same content as stated on the label and had good solubility. Though dietary supplements containing CoQ10 also had the exact content stated on their labels, they showed poor solubility. Such poor solubility would give rise to major differences in elution and bioavailability between dietary supplements and prescription drugs containing CoQ10.
著者
佐藤 皇太郎
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会年次大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.32, pp.13-14, 2004

カメラ付き携帯電話を使った画像認識タロット占いシステムを開発した。並べたカードを撮影し、メールに添付して送信すると、インターネット上のサーバで画像認識し、占い結果を返す。タロット占いの伝統的な手順に則り、占いの依頼者の手で実物のタロットカードをシャッフルして並べることができるので信憑性が高い。タロットカードの意味が分からない初心者でも本格的な占いが可能である。カメラ付き携帯電話で撮影した写真画像の特徴である低解像度かつノイズの多い画像に対応した。カードの切り出しのために、カードの輪郭の曲率の変化を調べている。カードの照合には、濃淡画像と2次微分画像の両方を用いている。
著者
林 奈津子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.418-427, 2010-07-01 (Released:2012-01-31)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

静岡県西部の太田川下流低地において,1944年の東南海地震の際に生じた,噴砂地点と微地形・浅層堆積物との関係を考察した.液状化現象は一般的に,砂質の堆積物で構成される地表の微地形に対応して発生するとされるが,対象地域では局所的に後背湿地に集中して発生する場合がみられた.調査地における表層堆積物について検討したところ,後背湿地を構成する粘土-シルトの細粒堆積物の下位に,砂質シルト-砂の粗粒堆積物が検出され,噴砂地点の分布と対応することが明らかになった.さらに,この粗粒堆積物は遺跡で検出された埋没旧河道の両岸に認められ,地表の自然堤防構成層と同様の層相であるという特徴をもつことから,埋没した自然堤防構成砂層である可能性が高い.また,この自然堤防構成砂層が母材となった噴砂痕が弥生後期の考古遺跡から検出されており,1944年の地震時には,地表の微地形を構成する堆積物に加えて,このような埋没自然堤防構成砂層が液状化したと考えられる.
著者
明神 もと子
出版者
帯広大谷短期大学
雑誌
帯広大谷短期大学紀要 (ISSN:02867354)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.41-46, 2011-03-31 (Released:2017-06-16)
参考文献数
4

心理学者ヴィゴツキーは障害児教育においても、先駆的な理論を展開しており、発達と発達診断、障害の理解、教育方法など、現代においても、大きい示唆を与えている。障害特性やTEACCHプログラム、行動分析など行動主義に根ざした指導が広く行われている現代にあって、ヴィゴツキーの理論は新しく、挑戦的、批判的である。 障害児と健常児の発達には共通性を認めたうえで、障害に由来する発達の独自性があると考えている。障害については、1次的障害(脳の障害など)と2次的障害(知的障害など)を区別した。教育の効果があがるのは、生物的なものではなく、文化的なものとし、感覚訓練などでなく、高次精神機能に働きかけることが重要であるとした。指導には集団が重要であるとした。個別指導が強調される現在の現場実践の再検討を迫るものであろう。
著者
コッペル アコシュ Kopper Ákos 出雲 雅志 Izumo Masashi
出版者
神奈川大学経済学会
雑誌
商経論叢 (ISSN:02868342)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1-2, pp.59-69, 2017-01-31

研究ノート