著者
井手 勝美
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.23-31, 1978

本稿は若干の史料を補足して、旧稿「背教者・不千斎ファビアンの生涯」(広島工業大学研究紀要七-二)で解明できなかった彼の事蹟を明らかにしたものである。
著者
国里 愛彦 山口 陽弘 鈴木 伸一
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.324-334, 2008-03-31
被引用文献数
3

現在盛んに研究がなされているパーソナリティモデルにCloningerの気質・性格モデルとBig Fiveモデルの2つのモデルがある。しかし,2つのモデル間の関連性についての研究は少ない。そこで,本研究は,気質・性格モデルとBig Fiveモデルとの関連を検討することを目的とした。大学生457名を対象にTemperament and Character lnventory(TCI)とBig Five尺度を実施した。その結果,TCIとBig Five尺度は強い関連を示し,気質・性格モデルはBig Fiveモデルの説明を行うことが可能であることが示唆された。また,外向性を除くBig Fiveモデルの各因子の説明には,気質だけでなく性格が必要であることが示唆された。最後に,気質・性格モデルの観点からBig Fiveモデルの各因子の特徴について論議された。
著者
真嶋 智彦
出版者
東北福祉大学
雑誌
東北福祉大学研究紀要 = Bulletin of Tohoku Fukushi University
巻号頁・発行日
no.45, pp.69-85, 2021-03-18

昨今,医療環境の変化に伴い,医療ソーシャルワーク業務は多様化し,医療ソーシャルワーカーの配属部門が,従来の医療福祉部門から地域医療連携部門へと変化してきているとされる。本研究では,病院の地域医療連携部門の業務と医療ソーシャルワーク業務の関係について,先行研究をもとに検討を行った。その結果,以下のことが明らかとなった。地域医療連携業務はその成立過程で,医療ソーシャルワーク業務と共通部門が複数あったため,医療ソーシャルワークの一部は地域医療連携業務に統合された。その後,医療状況の変化や地域医療連携業務多様化の影響を受け,医療ソーシャルワーカー業務内の比重に変化が窺われる。また,医療ソーシャルワーカーに対する,間接援助及びメゾレベル以上での活躍に社会的期待が高まっている。
著者
田端 真弓
出版者
大分大学教育福祉科学部
雑誌
大分大学教育福祉科学部研究紀要 (ISSN:13450875)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.225-240, 2015-10

体育・保健体育科における「集団行動」は,戦前を起点とすることが指摘され,これまでにも体育授業で取り扱うことは妥当でないと批判されてきた。しかし,現行の学習指導要領にもその行動様式が含まれ,それらを補完するように文部科学省の手引きが発行されている。また,運動の特性を踏まえることなく行動様式を美化した授業展開が提案されることもある。本稿では戦後の体育関係者によって展開された「集団行動」をめぐる議論について明らかにし,「集団行動」が指導の対象とされる理由を検討する。これを受けて体育授業のあり方と収斂した。内容は以下のように集約される。「集団行動」の導入にはアメリカ進駐軍の指導とそれによる文部省の通達,教師たちの混乱,児童生徒のモラルのなさが関わっていた。当時の体育教師たちは戦前の教育の影響とそれによる戦後の衝撃から新しい指導法を生み出すことよりも,戦前の秩序運動や教練をモデルとする「集団行動」の指導に回帰することを要望した。これらは能率,安全,秩序など一定の論理により成り立っていた。一方で,歴史的反省,体育授業の本質,教師の快感や美意識に着目し,「集団行動」を批判,危倶する声もあった。これまでにこのような議論を経てきたが,学習指導要領とそれを補完する手引きによる指導の構造は現存している。体育授業は現在,「指導と評価の一体化」の域に到達している。それをめざした体育授業を展開させようとするならば,「集団行動」に費やす時間はないと考えられる。
著者
秋田 巌 Iwao AKITA 京都文教大学人間学部 KYOTO BUNKYO UNIVERSITY Department of Human Studies
雑誌
人間・文化・心 : 京都文教大学人間学部研究報告 = Reports from the Faculty of Human Studies, Kyoto Bunkyo University
巻号頁・発行日
no.1, pp.39-48, 1998-07-20

Great success of "Neon Genesis Evangelion" and "The Princess Mononoke" in 1997 are fresh in our memories. I found these simultaneous great hits more than a mere accident, and have submitted to the viewpoint of looking upon these heroines as "Non-human Wives"; Rei Ayanami as a "Disappearing Anima" and San as an "Animal Wife." The slender, delicate and frail looking image of this beautiful girl Rei is a historically important image for the Japanese; as the inner female image held by Japanese men, and as the soul or the God image of both men and women. And, this image goes back to Princess Kaguya in Taketori Monogatari. We have a long history of "The Disappearing Anima" repressing "Animal Wives," just as demons and devils have been repressed by the Christian God. Interestingly enough, we have "Animal-possession" such as fox-possession, snake-possession and dog (god) -possession rather than demonomania in the West. One of the features of modem Japan may be the over exclusion of "E" ‒uncleanliness, impurity or defilement‒ and this is expressed as the flood of goods for the removal of odors and the antibacterial products. "The Disappearing Anima" always exists on a pedestal. The divinity being enshrined. Whereas the "Animal Wives" have been looked down upon and exist in a low place. The relationship of these two different "Non-human Wives" may be thought to represent the mentality of excluding "E."
著者
吉川 麻衣子 よしかわ まいこ Yoshikawa Maiko 人文学部福祉文化学科准教授
出版者
沖縄大学人文学部
雑誌
沖縄大学人文学部紀要 (ISSN:13458523)
巻号頁・発行日
no.20, pp.1-16, 2018-01

本研究では,トランスジェンダー青年が,思春期・青年期の発達過程においてどのような行為や心情を経験し,自らの生き方をどのように模索するのかを複線径路・等至性モデル(TEM)を用い質的に分析した。4 名の研究参加者がサポート・グループで語った内容から作成したTEM 図を基に分析したところ,①「自分らしさ」を模索する過程で自己を過剰抑制して自傷行為等に及び,②「性同一性障害(性別違和)」という用語を知って自らの性別違和感を理解し,③サポート・グループに参加することで他者と類似した経験を語り合えることの安心感を得て,④高校に進学することを選択し,⑤ジェンダークリニックを受診し,⑥大学・専門学校に進学することを選択していた。それらの経験に至る径路は多様であり,親や教師の理解が得られるかどうか,診断を受けて治療を開始できるかどうかが,トランスジェンダー青年が思春期・青年期を生きる上で重要な岐路となることが示唆された。Using the Trajectory Equifinality Model (TEM), this study has conducted that transmen youth experienced what kind of act and feelings in adolescence and groped for how I should live. The TEM was created based on the narratives of four transmen who participates in the support group. As the results, six important points were clear: for example, knowing the word"Gender Identity Disorder / Gender Dysphoria," finding the support group that can talk about oneself in peace, and having parents and teachers understand oneself. Their aspects were the complex and diversity of life.
著者
吉田 昌義
出版者
信州短期大学
雑誌
信州短期大学研究紀要 (ISSN:09182780)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.7-12, 2001-12-25

米国における同時多発テロ事件の発生が世界を震憾させた。ブッシュ米大統領は本件を「新たな戦争」(New War)と定義し、テロリズムヘの徹底抗戦を宣言した。同大統領が今回のテロ事件を「新たな戦争」と決めつけた意義は、一定のルールに則った20世紀的な国と国との戦争の概念を越えた21世紀的な戦争が始まったというところにある。「一国に対する攻撃は全世界に対する攻撃」であると断じ、直ちに戦闘態勢を整えた。日本も「遅ればせながら」(at the eleventh hour)対応策を講じようとしている。"An attack on one is an attack on all" というブッシュ大統領の演説のフレーズから即興的に借りて彼の演説中に取り入れたという小泉総理の国会答弁を聞くに及び、余りにも不用意な発言に限りない落胆の念を禁じ得なかった筆者である。総理のワシントンでの演説は、従来の憲法解釈を根底から覆す意味内容を包含しており、憲法で禁止しているといわれる「集団的自衛権の行使」を容認するものである。今回の同時多発テロ事件をめぐり日本の国際貢献活動を拘束してきた日本国憲法と国連憲章の矛盾を指摘し、国連加盟国日本の取るべき道は国際法優位の立場を踏まえながら、日本が超憲法的な対応策を採るべき時にきていることを強調した。「時は日本を待ってくれない」、それが日本を取り巻く今日の国際情勢である。
著者
韓 静妍
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.47-62, 2010-10-01

日本語における非情の受身は、状況描写の場面に用いられる状態性の表現という限られた用法を除いては、西洋語の翻訳文体の影響により近代以降本格的に発達したものと云われているが、近代以降の非情の受身の発達様相についての具体的な検証はまだ行われていないようである。本稿では、近代以降の文学作品における受身用例を年代別に観察することによって、時代による非情の受身の発達様相を明らかにすることを目標とし、状態を表す非情の受身から出来事を表す非情の受身への拡張、抽象名詞を主語とする受身の発達などの様相を年代ごとに示す。また、翻訳文体の影響を検証するために、近代初期の翻訳文献における受身用例を観察し、それらの日本語の受身体系への影響力について確認する。最後に、近代以降非情の受身が発達した日本語内部の動因として、自動詞的対応項という受身の役割について検討する。
著者
望月 要 佐藤 方哉
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.42-54, 2003-04-20

本稿は行動分析学の立場から"パーソナリティ"の概念的分析と実証的研究の展望を試みたものである。従来、人間の個体差を示すパーソナリティ"という概念は、個体の内部にあって、その人間の行動を決定する仮説構成体と考えられてきた。この定義は現在でも広く用いられているが、言うまでもなく、行動の内的原因を排除する行動分析学からは容認できない。しかし、"パーソナリティ"について行動分析学の立場から新たな定義を与えることは不可能ではない。本橋ではパーソナリティ"に対して「特定個人の行動レパートリーの総体」という定義を、まだパーソナリティ特性"に対して「個人において安定している共通の制御変数によって制御されるレスポンデントおよびオペラントのクラス」という行動分析学的な定義を提案し、これに基づいてパーソナリティ特性"の概念的分析を行なうとともに、行動分析学的立場から行なわれた幾つかの実証的研究について展望を試みた。行動分析学は行動を制御する主要な制御変数の探求を完了しつつあり、今後は、制御変数間の相互作用の分析に力を注ぐべき段階にさしかかっている。制御変数の相互作用を解明するとき、同一環境下で発生する行動の個体差は研究の重要な糸口となり、その意味においても行動分析学における個体差研究の意義は大きい。