著者
前田 英三 萩原 俊昭
出版者
日本作物學會
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.68-76, 1974 (Released:2011-03-05)
著者
小谷 二郎 江崎 功二郎
出版者
石川県林業試験場
巻号頁・発行日
no.42, pp.10-14, 2010 (Released:2011-07-13)

冷温帯のミズナラを主とする二次林で、集団枯損被害が上木の残存状況と林内の稚樹の生育状況に与える影響を調べた。残存木の林相は、ミズナラ優占型、ミズナラ-小高木型、ブナ優占型、小高木型の4つに区分された。区分された林内の稚樹は、ミズナラ優占型とブナ優占型ではブナの密度が高く、ミズナラ-小高木型と小高木型ではミズナラのほかいくつかの高木樹種の密度が高い傾向にあった。ブナ堅果の大豊作年の影響で、大量に実生が発生した林分もみられた。以上のことから、基本的に今後ともミズナラを主とする林分が維持され、中にはブナが優占度を増加させる場合や、一部では多様な樹種構成に変わる場合なども考えられた。
著者
沢口 敦史 佐藤 導謙
出版者
日本作物學會
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.505-509, 2001 (Released:2011-03-05)

春播コムギの初冬播において、根雪前20-25日に播種すれば越冬が良好であることを既報で示した。本報では初冬播栽培において春播栽培よりも安定的に多収を確保する技術として、発芽抑制剤と播種量について検討した。発芽抑制剤試験では、薬剤により越冬後の出芽個体数を増加させ、早期播種においても多収のコムギを生産することが可能な剤が認められた。また試験結果から、最大収量の95%以上を得るためには、178個体m-2以上の生存個体が必要であると判断された。播種量試験では、播種量を春播栽培の標準量(340粒m-2)、1.5倍あるいは2倍量を検討した。播種量を増やしても穂数は増えるが穂長と千粒重がやや低下し、収量は標準量播種量とほぼ同じであった。越冬率は越冬可能な播種時期においても40%~89%であった。これらより、最大収量の95%を得るためには、必要生存個体数178粒を最低の越冬率である40%で除して得られたm2当たり445粒が播種量として適正であり、これ以上は収量増加に効果的でないと判断された。
著者
平塚 伸 渡辺 学 河合 義隆
出版者
園藝學會
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.62-67, 2002 (Released:2011-03-05)

ギ酸カルシウムによるニホンナシの摘花効果と、その機構について検討した。1%のギ酸カルシウム溶液を受精前の雌ずいに散布すると、柱頭への花粉の付着と花柱内の花粉管伸長が明確に抑制され、30~40%の果実が落果した。一方、同濃度の酢酸カルシウムや乳酸カルシウム溶液による摘花効果は認められなかった。有機酸カルシウムが花粉発芽に及ぼす影響をin vitroで比較すると、ギ酸カルシウムは他の塩より明らかに強い抑制力を示した。有機酸について同様に調査した結果、ギ酸の発芽抑制作用は際立っていた。以上の結果より、ギ酸カルシウムによるニホンナシの摘花機構は、ギ酸による受精阻害と考えられた。摘花されなかった果実の生長や成熟期の果汁糖度は、対照区と殆ど差が認められなかった。このように、ギ酸カルシウムはニホンナシの摘花剤として利用できる可能性が示された。
著者
林 恭平 根来 圭一 岩本 和也
出版者
和歌山県農林水産総合技術センター
巻号頁・発行日
no.5, pp.67-73, 2004 (Released:2011-03-05)

本研究はウメ品種のS遺伝子型をPCR法により識別した。1.供試したウメ50品種から少なくとも10の遺伝子座を識別し、22以上の遺伝子型があることを認識した。2.和歌山県各地の‘南高’79樹のS遺伝子型はS1S7であったが、異なるS遺伝子型示す‘南高’が2系統あった。3.‘小粒南高’5系統のS遺伝子型はそれぞれが違う遺伝子型を示し、‘小粒南高’は遺伝的に様々な系統があると考えられた。4.‘南高’と自家和合性個体(‘地蔵’と‘剣先’)の交雑個体の中で、自家和合性個体をSf遺伝子の有無で識別することができたことから、S-RNase遺伝子は自家和合性個体判別の分子マーカーとして利用できることがわかった。
著者
原田 二郎 田中 孝幸
出版者
農林省北陸農業試験場
巻号頁・発行日
no.25, pp.65-78, 1983 (Released:2011-03-05)
著者
稲福 政史 幸喜 香織 蝦名 真澄 奥村 健治 与古田 稔
出版者
沖縄県畜産研究センター
巻号頁・発行日
no.45, pp.87-98, 2008 (Released:2012-12-06)

ギニアグラス新品種候補系統「琉球3号」の収量性および形態特性について「ナツユタカ」,「ガットン」および「パイカジ」と比較検討したところ,結果は以下のとおりであった。1. 「琉球3号」は他の品種に比べ利用1年目の初期生育性に劣るが,利用2年目以降は草勢に優れ,他品種に比べ旺盛な生育を示した。2. 「琉球3号」の利用1年目は2番草刈取り以降の再生性に優れ,また利用2年目および3年目の再生性は他品種と同等かやや優れた。3. 「琉球3号」の倒伏程度は極強で,試験期間中の台風襲来による倒伏はほとんどみられなかった。4.「琉球3号」は利用2年目以降の乾物収量が極多収で,沖縄県畜産研究センター(沖縄畜研)試験の利用2年目で551kg/a,3年目で464kg/aであり,また八重山家畜保健衛生所種苗圃(八重山家保)試験でそれぞれ325kg/aおよび245kg/aで,「ナツユタカ」比111~138%「ガットン」比139~161%であり,極多収で,永続性に優れる。5. 「琉球3号」の利用2年目以降の乾物消化率は「ナツユタカ」より優れ「ガットン」よりやや優れ,「パイカジ」よりやや劣る。また,出穂期における乾物消化率の減少が大きい。6. 「琉球3号」の出穂始日は10月17日で,「ナツユタカ」より32日,「ガットン」より47日および「パイカジ」より36日遅く,極晩生に属した。また,刈取り調査時の出穂期は11月上旬から12月下旬の年1回のみであった。7. 「琉球3号」は他品種に比べ穂長,稈長,葉身長,葉身幅および茎の太さが大型で,草型は直立である。以上の結果から「琉球3号」は大型で収量性に非常に優れ,また永続性および再生性にも優れるため,多回刈りによる収量増も可能であると考えられた。また,極晩生で,年1回の秋の出穂に伴う乾物消化率の減少が著しいが,出穂前から出穂始期に刈取りを行うことで,乾物消化率の減少を抑制し,年間を通して消化性に優れる高品質な飼料供給ができる可能性が示唆され,新品種候補系統として有望であると考えられた。
著者
山口 貴之
出版者
岩手県農業研究センタ-
巻号頁・発行日
no.15, pp.1-45, 2016 (Released:2016-10-20)
著者
松浦 茂樹
出版者
水利科学研究所
巻号頁・発行日
no.158, pp.9-27, 1984 (Released:2011-03-05)
著者
細野 哲央 小林 明
出版者
日本造園学会
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.897-900, 2009 (Released:2011-02-03)
著者
石川 雄治 古閑 文哉 内田 守譜 矢内 伸佳 渡邊 鋼一 佐藤 亮一
出版者
福島県農業総合センター
巻号頁・発行日
no.9, pp.33-38, 2018 (Released:2018-08-02)

飼料由来の放射性セシウムにより体内が汚染された黒毛和種雌牛の飼い直し期間を短縮するために、ゼオライト給与による放射性セシウムの排出促進効果を検討した。試験では、清浄飼料にゼオライトを添加して給与した期間中の血液、尿及び糞の放射性セシウム濃度を測定するとともに、牛放射能測定装置により筋肉中放射性セシウム濃度の推定を行ったが、ゼオライト給与による放射性セシウムの排出促進効果は確認できなかった。
著者
梶山 誠 濱岡 秀樹 濱岡 明子
出版者
千葉県水産総合研究センター
巻号頁・発行日
no.12, pp.81-88, 2018 (Released:2018-07-04)

東京湾の富津干潟周辺海域で1998~2016年にアマモ類の分布調査を実施した。同海域にはアマモ,タチアマモ,コアマモが分布し,分布範囲は4km2,そのうちアマモ群落の面積は1.32km2,群落の密度は33%と推定された。群落面積は1999~2001年に低位で推移した後,増加傾向にあった。アマモ場の水温は2010年が顕著に高く,高水温が長期間継続する場合には影響があると推察された。2011年には東日本大震災の津波の影響と考えられるアマモの減少が見られたが翌年には回復した。本海域のアマモ場は,物理的な影響や水温環境を受けて増減するが今後も分布は継続すると考えられ,生物の多様性を維持していくうえで重要である。
著者
十川 和士
出版者
香川県農業試験場
巻号頁・発行日
no.63, pp.15-26, 2013 (Released:2014-01-09)

アスパラガス半促成長期どり栽培における春芽どり収穫期と夏秋芽どり収穫期のネギアザミウマ対策として,殺虫剤の土壌灌注処理の防除効果および土壌灌注処理と紫外線除去フィルムの展張を組み合わせた防除体系の効果を検討した。1.ネギアザミウマに対し殺虫活性の高いベンフラカルブマイクロカプセル剤,メソミル水和剤およびアセフェート粒剤を用い,夏秋芽どり収穫期の土壌灌注処理を検討した結呆,メソミル水和剤1,000倍希釈液を3L/m2株元灌注することで高い防除効果が得られた。2.春芽どり収穫期におけるメソミル水和剤の土壌灌注処理は,保温直前に3L/m2株元灌注することでネギアザミウマによる若茎への被害を軽減することができ,アスパラガスの秀品率を向上させることができた。3.土壌灌注処理と紫外線除去フィルムを組み合わせた防除体系は,一般POフィルムによる慣行防除と比較し,ネギアザミウマを対象とした殺虫剤散布回数を25%削減することができた。
著者
野田 公夫
出版者
富民協会
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.47-56, 1997 (Released:2011-03-05)
著者
三浦 知之
出版者
宮崎大学農学部
巻号頁・発行日
vol.57, pp.71-77, 2011 (Released:2012-12-03)

国指定の天然記念物となっているオカヤドカリ類は、主産地である南西諸島や小笠原諸島以外に宮崎県にも生息し、地域の方には子供の磯遊びの対象として古くから知られている。しかしながら、生息状況には不明な点が多く、一方でオカヤドカリ類が放置ペットとして野外でも見られることがあるため、保全対策などにも影響があり、早期に分類と分布に関する情報を把握する必要があった。そこで本研究では宮崎県内に生息するオカヤドカリ類を分類し、形態等に関する基礎資料を提示し、その生息分布に関しても報告することとした。宮崎県内の10ヵ所以上の海岸で、2種のオカヤドカリ類が見つかった。ムラサキオカヤドカリの雄は左右不相称で著しく長さの異なる第5脚底節突起を持つことが形態的特徴となる。本種は宮崎県の海岸に広く見られ、抱卵した雌が見つかることから、県内で繁殖し、個体群を維持していると考えられた。一方、ナキオカヤドカリでは、雄の第5脚底節左右突起の長さの差は、前種に比べて小さい。串間市本城川河口干潟に4~5月に出現の確認されるナキオカヤドカリはいずれも亜成体と思われる小型の個体であり、南西諸島から運ばれた幼生が定着している可能性が考えられる。