著者
津田 正太郎
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.131-147, 2006

The purpose of this paper is to discuss why John Reith, the first Director-General of the BBC, had sympathy for fascism despite his pursuit of the independence of broadcasting from government control. In Japan, it is hardly known that his political thought was quite elitist. This paper shows that it was his elitism to make him pursue independence of the BBC from government control. Because he distrusted government elected by mass votes, he tried to establish public corporations which might be independent from it and enable elites to control the society without suffering from mass democracy.
著者
飯塚 和也 相蘇 春菜 大久保 達弘 逢澤 峰昭 平田 慶 石栗 太 横田 信三 吉澤 伸夫
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.124, 2013

福島原発事故により広範囲わたり飛散・拡散した人工放射性核種の中で重要な放射性セシウム(Cs)は,同族のアルカル金属であるカリウム(K)と化学的性質が類似しているため,植物体において,Kの輸送系により吸収されていると考えられている。Kの同位体である天然放射性核種であるK40の一部は,γ崩壊をする。そこで,樹体中に取込まれた放射性セシウムの挙動を調査するに当たり,K40に着目して,放射性核種ごとにCs134,Cs137とK40の比放射能(Bq/kgDW)の測定を行なった。材料は宇都宮大学演習林(空間線量率0.2~0.3μSv/h)のスギ,ナラ類,コシアブラである。供試材料の比放射能は,U8容器を用い,Ge検出器(SEIKO EG&G)で測定した。測定時間は,木材で6000S,葉で2000Sまたは4000Sとした。若齢木において,コシアブラの葉はナラ類のそれと比べ,非常に高い比放射性を示した。また,コシアブラの核種ごとの比放射能の季節変動では,晩秋は夏に比べ,Csは1.8倍の増加を示したが,K40では1.5倍の増加であった。
著者
植田 今日子
出版者
The Tohoku Sociological Society
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.43-60, 2013

いまだ大災害の渦中にあって,それまで暮らしていた地域社会を離れることを要請された人びとが,頑なといっていいほどに祭礼を執り行おうとするのはなぜだろうか.本稿はとくにもはや生計を支えない,祭礼だけのために飼われていた馬や牛を救出してまで催行されたふたつの祭礼,東日本大震災後の「相馬野馬追」と中越地震後の山古志の「牛の角突き」に注目し,後者の事例からそれらの敢行がどのような意味を持つ実践であったのかを明らかにするものである.とくに本稿の関心は儀礼的実践が災害そのものをどのように左右し,被災者自身の生活をどう形づくっていけるのか,という点にある.<br> 慣れ親しんだ地を去った人びとは,震災直後から明日,来週,来月,来年といったい自分たちがどのような生活をしているのか予測のつかない,過去から未来に向かって線状に流れる「直線的な時間」のなかに投げ込まれる.しかし本論でとりあげた祭礼「牛の角突き」の遂行は,人びとがふたたびらせん状に流れていく「回帰的な時間」をとり戻すことに大きく寄与していた.毎年同じ季節に繰り返される祭礼自体がいわばハレのルーティンだが,その催行のために付随的に紡ぎだされていく家畜の世話や牛舎の確保,闘牛場の設置といった仕事は,日常に発生するケのルーティンでもあった.そして一度催行された祭礼は「来年の今頃」,「来月の角突き」といった「回帰的な時間」をつくりだすための定点をもたらす.<br> このような事例が伝えるのは,地震直後に当然のように思わず牛のところへ走ってしまう,あるいは馬のもとへ走ってしまう,船のもとへ走ってしまう人びとの社会に備わる地域固有の多彩さをそなえた災害からの回復像である.牛や馬や船のもとへ走ってしまうことを否定するのではなく,その延長上にこそ決して一律ではない防災や復興が構想される必要がある.
著者
藤田 雅博
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.17, no.7, pp.947-951, 1999-10-15
被引用文献数
11 19