著者
浅田 正三
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.A56-A64, 2004

ダイオキシン類の測定分析に係る精度管理制度に関するものとして, 環境省関係では 「ダイオキシン類の環境測定に係る精度管理指針」 および 「ダイオキシン類の環境測定を外部に委託する場合の信順性確保に関する指針」 に基づく 「ダイオキシン類の請負調査等の受注資格審査表」 制度があり, 経済産業省関係では特定計量証明事業者認定制度 (MLAP) がある。また, 任意の制度としてISO/IEC17025 (試験所および校正機関の能力に関する一般的要求事項) に基づく試験所認定制度がある。ダイオキシン類測定分析機関は, 現在, これらの制度の下で精度管理の維持を行い, 信頼性の高い測定分析データの確保を行っている。ここでは, これら精度管理制度について経緯, 制度の概要, 比較・相違および現状等について概説する。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1435, pp.156-158, 2008-03-31

東京・JR恵比寿駅の東口改札。ここで今年2月25日から3月23日までの1カ月間、ある最新技術を応用した実証実験が繰り広げられた。 改札機の上部と側面部に張られている横105mm、縦210mmのステッカー広告。このうち東口改札の2つのレーンにあるものは、ほかのレーンと様子が違う。しばらくすると広告の表示内容が切り替わるのだ。
著者
田島 信元
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.40-49, 1997

母親の自己イメージ, 妊娠受容感と子どもの誕生後における母親の育児態度, 子どもへの慟きかけ行動との関連が調べられた. 妊娠中に母親に自己イメージと母親イメージ, 妊娠受容感について評定を依頼した. また, 生後1か月時および8か月時において, 育児感想について母親に評定してもらった. 生後3か月時の家庭訪問時に, 母子の社会的相互交渉が観察された. その結果, 母親の自己イメージや妊娠受容感は1か月時の育児感想とは関連がみられたが, 8か月時への影響は示されなかった. 8か月時の育児感想は, むしろ3か月時に観察された母子の社会的相互交渉のなかでみられた, 子どもの行動と母親の付随的な応答と関係が示された. 母親の母性は, 自己イメージや妊娠受容感などの母親の背景要因のみに影響されるのではなく, 現実の母子相互交渉のなかで形成され変化するものであることが示唆された.
著者
上別府 圭子
出版者
日本精神分析学会
雑誌
精神分析研究 (ISSN:05824443)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.29-38, 2003-02-25
参考文献数
23
著者
嵯峨山 積
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.109, no.6, pp.310-323, 2003-06-15
参考文献数
49
被引用文献数
3 5

北海道北部の遠別町ルベシュベ川,幌延町上ヌカナン川および天塩町男能富の西方域の遠別層・声問層と勇知層から採取した31試料について珪藻化石分析を行った結果,Thalassiosira oestrupii帯とNeodenticula koizumii-Neodenticula kamtschatica帯の連続する2つの化石帯を認識した.これら化石帯の存在とF・T年代値(3.8±0.4Ma),シルト岩から細粒砂岩へと漸移する層相変化,大きな地質構造の差異は認められないことから,秋葉ほか(2000)が示唆した遠別層・声問層と勇知層間の100万年という大きな時間間隙は本調査域では存在しないという結論に達した.勇知層におけるより上位の地層からの淡水棲種と中新世絶滅種の増加は,堆積盆の浅海化と陸域からの堆積物供給量が増加したことを示唆している.
著者
久保 和彦 佐藤 方宣 小宗 静男
出版者
JIBI TO RINSHO KAI
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.122-127, 2013

メニエール病治療薬であるイソソルビドは、苦く特有な味であるために、服用に困難を極める弱点がある。これまで多様な方法が試みられたが、良好な服用法は確立されていない。その服用感を改善するため、健常人 33 名にイソソルビド+ある種の溶液の組み合わせ ( 1 : 1 混合) を 6 種類試飲してもらい、服用しやすさを 5 段階評価で検討した。原液の味に関しては苦味の評点が高かった。服用感については、原液の平均評点が 3.18 だったのに対し、オレンジジュースは 4.12、リンゴ酢は 3.12、炭酸水は 3.30、コカ・コーラ<sup>TM</sup> は 3.76、ポカリスエット<sup>TM</sup>は 3.61、緑茶は 2.82 と、オレンジジュース、コカ・コーラ<sup>TM</sup>、ポカリスエット<sup>TM</sup>は有意に服用しやすさを改善したが、緑茶は逆の傾向が見られた。患者がイソソルビドの服用しにくさを訴えた場合は、オレンジジュースかコカ・コーラ<sup>TM</sup>、ポカリスエット<sup>TM</sup>で倍量希釈することで服薬コンプライアンスを上げられる。
著者
関 なおみ
出版者
医学書院
雑誌
公衆衛生 (ISSN:03685187)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.63-65, 2004-01
著者
福田 アジオ
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
no.50, pp.p263-278, 1993-02

日本の民俗学研究は従来集落その他の景観を資料として活用してこなかった。村落内部で伝承されてきた民俗事象のみに関心を集中させてきた。そのため,外見として示される景観のもつ意味については検討されることなく放置されてきたと言える。しかし,日本の中央部でも,関東・中部地方と近畿地方では東の緑,西の黒というように集落景観に大きな相違があり,さらに村落が作り出したさまざまな事物においても相違がある。この相違が民俗学にとっても重要な研究課題であることを主張した。東西の村落景観の相違を対比的に整理すれば,東の緑,西の黒という集落景観の印象の相違を作り出しているのは,家々の集合状況としての集村か小村かの違い,屋敷周囲の施設である屋敷林,垣根,塀等の有無の相違である。そして,それを基礎に,個別屋敷の様相,小祠や墓地の配置などにおいてもそれに対応した相違がある。その外見としての村落景観が示すものは,その社会の内部秩序の反映であり,家を強調する東とムラを強調する西をそれぞれ示している。東の村落景観は個別屋敷を閉鎖的な空間として示し,生活に必要な装置をその屋敷内外に揃えておこうとしてきた。単に生産・生活という現世の装置だけでない。神仏を祭る施設,あるいは墓地という他界につながる施設まで屋敷内あるいは屋敷続きに設けている。屋敷を拠点とした家の独自性,個別性,完結性を強調する社会が作り出した景観と言ってよいであろう。それに対して,西の村落景観は個別の家が明確ではなく,集落全体としてひとまとまりになっていて,ムラとしての結集を家々の密集と個別の家の開放性で表示していると言えそうである。個別屋敷は居住用であり,その他の生活・生産に必要な施設は村落として設定している。この家中心社会としての東を象徴する村落組織が「番」組織であり,ムラ中心社会の西を象徴する村落組織が「衆」組織である。以上のことを論じることによって,民俗学研究にとっても景観が重要な資料となり得ることを述べたものである。Conventional Japanese folklore studies have not made full use of the outward appearance of villages as data material. Attention has been concentrated only on the folklore phenomena handed down in the villages. This being the case, it can be said that the meaning of landscape, expressed as the outward appearance, has been neglected, and left unexamined. However, in the central part of Japan, village landscape is very different in the Kanto and Chubu Districts, and the Kinki District ; for example, green in the east and black in the west. Furthermore, there are also differences in the various customs generated by the villages. In this paper, the author gives his opinion that these differences are an important subject of study in folklore.A comparative arrangement of the differences between village landscape in the east and west shows that the different impression of village landscape, that is, green in the east and black in the west, is caused by the way the houses are gathered together (whether they are organized into concentrated villages or small villages) ; and by the existence or otherwise of hedges, fences, walls, etc. enclosing the houses. On this basis, there is a corresponding difference in the aspects of individual homesteads and the location of small shrines and cemeteries. What the village landscape shows is a reflection of the internal order of the society ; this is shown in the east where the "ie"(family) is stressed, and the west where the "mura" (village) is stressed. The village views of eastern Japan show the individual houses as closed spaces, where facilities necessary for daily life have tended to be set up in or near the house. These facilities are not limited to the tools of this world, which are used for production and living ; facilities related to the other world, for example, facilities for the worship of gods and Buddha, as well as cemeteries, are set up in or adjacent to the homestead. This may be regarded as a view generated by a society that attaches importance to the independence, individuality, and completeness of the ie (family). Village landscape in the west, on the other hand, do not show individual houses clearly. The village as a whole is one entity, and concentration as a mura (village) is shown by the density of the village and the openness of individual houses. Individual homesteads are merely places to live in, and facilities necessary for other living and production activities are set up by and for the whole village. The village organization that represents eastern Japan as a family-oriented society is the "ban", or "turn", type of organization, and that representing western Japan as a village-oriented society, is the "shu", or "multitude", type of organization.By the above discussion, the author has described how landscape can become important data material for folklore study.
著者
小池 義和 森野 博章 栗原 邦彰 糸井 成夫 河上 達 清水 悦郎
出版者
Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology
雑誌
JAMSTEC Report of Research and Development (ISSN:18801153)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.49-58, 2014
被引用文献数
3

近年,深海探査の要求は高まっており,低コストで簡易な深海探査システムの実現が望まれている.江戸っ子1号プロジェクトは,東京下町の中小企業,大学,研究機関,金融機関,企業有志がフリーフォール型の簡易深海探査システム実現を目的として集まって実施したプロジェクトである.プロジェクトでは,深海7800 mでの3Dビデオ撮影に成功している.このプロジェクトに参加した筆者らは,江戸っ子1号プロジェクトで使用したフリーフォール型深海探査システムのガラス球内部に温度センサと気圧センサを設置し,深海の温度プロファイル,着底,離底の検知ができないかを検討した.その結果,センサ出力から得られる体積変化分から着底,離底の検出が可能となることを確認した.
著者
松尾 久枝 加藤 孝正
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.45-51, 1990
被引用文献数
1

精神遅滞幼児の母子関係解明のために、質問紙による母親の養育態度と現実の母子交渉場面での発話との関連性を子供に対する拒否感に焦点を当てて検討した。対象は15名の中度・軽度精神遅滞幼児(CA:1歳4ヵ月〜5歳1ヵ月)とその母親である。養育態度は、田研・両親態度診断検査(幼児版)の母親用を実施し、「消極的拒否」「積極的拒否」の得点を算出した。母親の発話は、玩具統制下自由遊び場面での発話を分析し、養育態度と母親の発話との相関係数を求めた。その結果、「消極的拒否」「積極的拒否」態度の強い母親ほど子供の発声に対して応答的で、肯定的、共感的内容の発話を多く示した。拒否的養育態度と観察場面での拒否的発話とは一致しないとの結論を得た。拒否的態度の強い母親ほど拒否的発話をしないことがあげられよう。
著者
川名 優孝
出版者
Japan Society for Intellectual Production
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.2_35-2_39, 2013

本稿では,江戸っ子1号プロジェクトを通じて,金融機関と企業,大学との連携についてその経緯と課題等について述べる.本プロジェクトは,金融機関の顧客中小企業および大学,国の研究機関が連携して推進するプロジェクトである.これは,関西で推進された「まいど1号プロジェクト」に刺激されたもので,西が宇宙なら東は深海を目指し,深海探査機の開発と商用化を目的としている.この探査機の特長は,動力を必要としない簡便かつ安価なもので,海底資源探査に貢献するとともに,新たな市場を創造する可能性がある.金融機関は危機感を持ち,地域の活性化を図るため大学や究機関と協力してソリューションを企業に提供する新たな取組みを開始した.本プロジェクトはその一例となる. <br>
著者
山田 真裕
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.2_52-2_69, 2011

This paper is a case study of organizational transformation in a prefectural party unit of Japans Liberal Democratic Party (LDP). Ibaraki prefecture was one of the bulwarks of LDP dominance and the prefectural organization ("kenren") had been proud of own strength. But, at the defeat in the 2009 gubernatorial election, many conservative local politician and interest organizations were against the "kenren" and supported the incumbent governor, Masaru Hashimoto, and let him win. The defeat broke the previous regime at the "kenren", and the Ibaraki-kenren was forced to rebuild its organization and to try transforming itself from being a prefectural member-centered organization to becoming a more inclusive organization. <br>  The purpose of this article analyzes the process of the gubernatorial defeat and the organizational reformation in the kenren following that defeat, to claim the necessity of further accumulation of analysis about local organizations of political parties, not only from perspective of national level confrontation among parties, but also local conflict among local politicians and interest organizationswith a peculiar dynamism.