著者
藤本 直浩 原田 修治 日田 官 高橋 康一 松本 哲郎
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, 2002-03-01

androgen receptor(AR)の転写活性を調節する共役因子、および抗アンドロゲン作用を示すとされる2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin(TCDD)の受容体であるAryl hydrocarbon receptor(AhR)の発現について前立腺癌培養細胞、前立腺組織における発現を調べた。【方法】前立腺癌培養細胞(DU145,PC3,LNCaP,LN-TR2)、針生検または手術(TUR-P)によって得られた前立腺組織(肥大症9例、癌21例)についてRT-PCRを行い、ARA55、ARA54、ARA70、SRC1、TIF2、RAC3、FHL2、AhRの発現を調べた。【結果】ARA54、ARA70、SRC1、RAC3は調べたすべての細胞株で発現していたが、ARA55、TIF2はLNCaP、DU145で発現を認めないか、わずかな発現しか認めず、FHL2はLNCaP、LN-TR2には発現していなかった。前立腺組織に於いてはTIF2,RAC3以外の共役因子は発現しており、ARA55、SRC1はホルモン療法に反応が悪い症例で発現が高かった。AhRはLNCaP、LN-TR2には発現していなかったがDU145、LNCaP、前立腺組織においては発現を認め、その発現量には各検体間で明らかな差はなかった。【結論】共役因子の発現パターンに相違があることから、共役因子の相違が前立腺細胞のアンドロゲンに対する反応性の違いに寄与している可能性が考えられる。また、前立腺におけるAhRの役割に関しては、良性(肥大症)、癌およびその悪性度において明らかな差は見られず、明らかではなかった。
著者
松川 実
出版者
高岡法科大学
雑誌
高岡法学 (ISSN:09159339)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.一九七-二三三, 2000-03-15
著者
山﨑 むつみ 岩澤 まり子
出版者
Japan Society for Information and Media Studies
雑誌
情報メディア研究 (ISSN:13485857)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1-10, 2015

本研究では,リンクリゾルバによる学術文献のナビゲートの精度の向上のための方法を検討した.リンクリゾルバでナビゲートできなかった学術文献のうち,WEB上から入手できた文献を対象として,これらの入手方法と入手源を調査した.その結果,出版元や著者所属機関のページ,ソーシャル・ネットワーキング・サービス等において無料公開された学術文献にナビゲートできない状況が認められた.無料公開されたオープンアクセス文献のナビゲートを確実にするためには,ナビゲートシステムの改善だけではなく,文献がナビゲートされやすいように公開者による対応が必要であることがわかった.当面のナビゲートの問題を解消するためには,サーチエンジンの補完的使用が有効であったが,その時々に応じた利用者支援も必要である.
著者
茅野 真男 薄葉 文彦 池川 徹 戸山 雅子 小川 聡 半田 俊之介 中村 芳郎
出版者
The Japanese Society of Electrocardiology
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.183-190, 1986

失神26例を, 失神時心電図所見により, 持続性心室頻拍 (SVT) 8例, 非持続性心室頻拍 (NSVT) 5例, 心室細動 (VF) 5例, 心電図記録なし (syncope) 8例の4群に分け, programmed ventricular stimulation (PVS) を施行した.対象例の基礎心疾患は, 虚血性心疾患10例, 心筋症7例, 基礎心疾患なし5例, その他4例である.VT誘発は, 右室の2カ所で, 2連発早期刺激法を用いた.その結果, 9例でinduced SVT, 8例でinduced NSVTが誘発された.各群でのinduced VT (SVT+NSVT) の誘発率はSVT100%, NSVT60%, VF60%, syncope38%, induced SVTのみの誘発率はSVT75%, NSVT20%, VF40%, syncope 0%であった.失神時と誘発時で12誘導心電図上VT波形を比較しえたSVTの4例全例とも, QRS波形は一致した.induced SVTの停止に, 4例でDC shockを要したが死亡はなかった.PVS法は, VT, VF, 失神時心電図のない例において, 発作の原因推定に有用な方法と思われる.
著者
鯵坂 秀之 小山 文誉 魚谷 知佳
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 = Journal of gastroenterological cancer screening (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.237-242, 2011-03-15
参考文献数
13

胃内視鏡検診の精度を評価するために, 2006年9月から2009年8月までの内視鏡検診発見胃癌42例のうち, 逐年内視鏡検診の既往を持つ"広義偽陰性例"20例を対象に, 臨床病理学的特長を検討するとともに, 前年度の記録を見直した。肉眼型は全例早期陥凹性病変(O-IIc 18例, O-IIb+IIc 1例, O-IIa +IIc 1例)であった。組織型は分化型が12例(tub1 9例, tub2 3例), 未分化型が8例(sig 5例, por 2例, muc 1例), 最大腫瘍径は16例が25mm以下であったのに対し, 4例は37mm・43mm・47mm・81mmと突出していた。壁深達度/リンパ節転移はM/N0が17例, SM1/N0・SM2/N0・M/N2が各1例ずつであった。前年度の記録を見直した結果, "非狭義偽陰性例"(前年度顕性病変なし)は5例, "見落し例"(前年度記録なし)は4例, "見逃し例"(前年度病変あり)が8例, "生検不備例"(前年度生検にて非悪性と判断された)が3例であった。内視鏡検診でも偽陰性があり, 逐年受診を勧めることが重要である。
著者
齋藤 浩 望月 太
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.2, pp.89-99, 2014-02

「ボルド」や「ラインガウ」のようなワインの地理的表示は,伝統的なワイン生産国では当然のルールとして定着している。わが国では,これまで単式蒸留焼酎や清酒の一部に地理的表示が指定されていたが,平成25年7月に初めてのワインの地理的表示として国税庁長官から「山梨」が指定された。地理的表示は知的所有権として保護されるほか,EUでは「樽発酵」などの表示をするには地理的表示が必要とされている。海外で日本の地理的表示が認められるには今後の交渉が必要となるが,今回の指定は大きな前進と言える。
著者
小倉 通男
出版者
The Japanese Society of Fisheries Science
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.581-585, 1968

The mackerel small Tenbin angling (balance line angling) boats based on Katsuyama harbour in Chiba Prefecture are operating in Tokyo Bay through a whole year, changing season to season gear and kinds of fish to be caught as follows, mackerel pole and line fishing, squid angling miscellaneous angling (line fishing for sea bream, troll fishing for yellowtail, vertical long line for blue fishes and etc.).<br> In this study, whether the fishing ability of the boats will be fluctuated or not by the change of gear and fish were investigated on selected twenty boats operating over 100 days a year from the ones based on Katsuyama.<br> In three kinds of the fisheries, mackerel Tenbin angling, mackerel pole and line fishing and squid angling, the correspondent degree of good or worse catch in any combination of two kind of the fisheries was high, especially remarkable between the Tenbin angling and the pole and line fishing for mackerel, due to, perhaps, the reason that the fishermen well know the behaviour of the fish. In miscellaneous angling, however, such relation was not found.
著者
多賀谷 昭 池田 次郎
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.204-220, 1976
被引用文献数
9

現代琉球人男性頭骨の17計測値について,沖縄地方と奄美地方を比較した結果,両地方間に明瞭な差がみられ,本州,九州の6地方型とこの両地方の分析では,琉球人が日本人の地方型の一つであることが明らかとなった。次いで琉球,西日本,東日本を朝鮮,中国,台湾,インドネシアの諸種族および八雲アイヌと比較した結果,南方のいくつかの種族が本州,九州に次いで琉球に近いこと,比較集団中,アイヌにもっとも近いのが琉球であることが示された。最後に,縄文,弥生,古墳人骨との比較では,琉球はこれらおよび現代日本人,アイヌに同程度に近く,朝鮮人とは比較的遠いという結果がえられた。
著者
脇田 修
出版者
日本史研究会
雑誌
日本史研究 (ISSN:03868850)
巻号頁・発行日
no.394, pp.p71-75, 1995-06
著者
津野 洋 張 鶴清 坂本 昌則 山田 春美
出版者
Society of Environmental Conservation Engineering
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.111-119, 2009

エストロゲン様活性を波長405nmにおける発色強度で測定するNRL/TIF2-BAPアッセイはフミン質系着色試水についても適用できると考え,その再現性ならびに適用性の評価を試みた.また種々の下水処理工程水や汚泥サンプルについてGC-MSから得られた結果と比較検討を試み,以下の知見を得た.<br> 1)E1がE2の1.6倍,E3がE2の2.7倍も感度が高く,BPAに関しても他の方法より活性値が2桁高く,NPは同程度であり,本法は感度の高い方法である.<br> 2)下水一次処理水および二次処理水のE2添加回収率は60%以上で,変動係数は20%以内であった.<br> 3)GC/MSによる測定値と高い相関性が確認され,フミン質系着色試水や汚泥に対しても適用可能であること,およびオゾン処理の評価においては安全側の指標として有用であることが示された.<br> 環境水における生態系への影響が合成物質に比べ天然エストロゲンが寄与していることを考えると,NRL/TIF2-BAPアッセイは安全側の水処理指標になると考えられる.
著者
井ケ田 良治
出版者
日本史研究会
雑誌
日本史研究 (ISSN:03868850)
巻号頁・発行日
no.370, pp.p81-88, 1993-06
著者
岡本 邦広 井澤 信三
出版者
The Japanese Association of Special Education
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.115-125, 2014

本研究では、行動問題を示す発達障害児をもつ母親と教師の協議ツール(岡本・井澤, 2013)を用いた協働的アプローチを行い、特別支援学校小学部6年生に在籍する発達障害児の行動問題の低減と家庭文脈に適合した支援の提供が可能か否かの検討を第一の目的とした。また、家庭文脈に適合した支援を提供した後、協働的アプローチを終了し、行動問題に関する記録のみ、あるいは記録なしでも支援行動が維持されるか否かの検討を第二の目的とした。その結果、「着替え」が協議ツール(1)により選定され、支援手続きが協議ツール(2)~(4)により決定された。また、母親が支援を行った結果、「着替え」は短時間で完了し、家庭文脈に適合した支援を提供できた。さらに、協働的アプローチ終了後、記録の有無の条件にかかわらず、母親による支援行動は維持された。結果から、協議ツールが家庭文脈に適合した支援に寄与したこと、家庭文脈に適合した支援や教師とのやりとりにより母親の支援行動が維持されたことが示唆された。