著者
"柿沢 昭宣" "カキザワ アキノブ" Akinobu" "KAKIZAWA
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-25, 1999-07

よく知られているように、株式会社の発生は、1602年設立のオランダ東インド会社にもとめられるというのが学会の定説である。定説とされている理由は、株式会社が資本の大量動員に適した会社企業であって経済活動の発展とともにその重要性をいちじるしく高めてきているなかで、このオランダ東インド会社は今日の株式会社の形態的特徴をほぼそなえていて、その後の株式会社の形成に大きな影響をあたえたという点にある。しかし、株式会社の発生についてのこのような説明には、資本の大量動員に資するなら別の会社形態でもよかったのではないか、いいかえれば株式会社の形成は歴史上の偶然事にすぎなかったのかという疑念をよびおこす。しかし、株式会社の本質は諸人格の結合体というより、無数の資本の結合体というところにあり、したがって特定の諸人格から自立した会社企業が株式会社にほかならないといってよいから、株式会社は、近代的銀行制度の発展と歩調をあわせるようにして形成され、発展してきたというのが株式会社形成の実相なのである。なぜなら、株式会社に結集した資本はその持ち手たる人格から自立した資本というあり方のうちにあり、この資本の人格からの自立化をおしすすめたのが、この近代的銀行制度だったからである。近代的銀行制度は、社会のあらゆる遊休資本を自らのうちに集積する一方で、それを資本市場に投ずることによって、社会の貨幣資本という貨幣資本に、その持ち手の努力や才覚を超越した均一の利子率を賦与し、かくして資本の人格からの自立化を実現させることになったからである。
著者
山田 奈生子
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 (ISSN:13481118)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.195-210, 2008-03

行財政の構造改革は外交・安全保障、経済運営と並び基本的政策課題である。わが国が構造的な財政危機を抱えるなか、ともにその政治の主要テーマを「行財政の構造改革」とし5年間の本格政権を全うした中曽根政権と小泉政権。夫々の政治手法、時代認識、国家ビジョンの違いがその成果にどのように影響を及ぼし、結果として国民が手にした具体的成果とは何であったのかを検証することは、今後わが国の行財政の構造改革をさらに推し進めていく上で必要なことであると考える。本論文では、国民が「行財政の構造改革」により具体的成果を手にするためにはどのような手法をとるべきなのか。その答えを求める一つの方法として中曽根内閣の行った行財政の構造改革の手法と成果について論じる。
著者
西田 忠男
出版者
島根大学
雑誌
島根大学教育学部紀要. 教育科学・人文・社会科学・自然科学 (ISSN:18808581)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.7-15, 2013-12-25

本稿では、第三の教育改革とも呼ばれる、昭和50年代以降から今日に至るまでの学校や教師を取り巻く教育環境の変化を、おもに制度上の変化(改革)を手がかりとして考察した。一連の変化(改革)の基本的な方針は中曽根内閣(当時)において設置された臨時教育審議会で示された新自由主義の考え方に基づくものであった。具体的な改革の内容とそこから表面化してきた新たな課題として、①教員資格の規制緩和(多様化)や学校運営の合理化・効率化が教職の専門性や同僚性を低下させているという問題、②教職のサービス産業化と教員の多忙化が教育の質の低下を招いているという問題③教育の受益者負担という流れとそれが経済格差に繋がってきているという問題、④学校教育や教師への信頼回復ための「資質向上」策と、それに対し教職の現実と専門職としての教師の「資質」の中身を捉え直す必要性という問題、があることが明らかとなった。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1697, pp.102-105, 2013-07-01

秦にとって、ツバンプロジェクトは興奮の連続だった。入社以来プラスチック畑を歩んだ秦は、プラント輸出は門外漢。膨大な英文の契約文書の作成に悪戦苦闘し、世界中の銀行団から資金を調達する。
著者
内潟 安子
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.99-103, 2002-02-01

『ぜいたく病』といわれた2型糖尿病は20世紀末になって遺伝子解析が急速に進み, 人類全体に広く分布する飢餓あるいは節約遺伝子と関連した疾患であることが明らかとなった.膵インスリン産生細胞破壊を病因とする1型糖尿病も, 20世紀末には膵特異的自己抗体の存在, 自己抗原の解明にまで辿り着き, 自己免疫機序の遮断という1次予防へと研究が進んでいる.このような進歩から糖尿病の根本的治療(たとえばある薬を内服すれば食事内容に関係なく血糖が上がらないとか, 家族歴のある糖尿病未発症者には予防薬を投与するとか)が早晩望まれ, "糖尿病治療はやっかい"というイメージがくずれることが期待される.しかし, 糖尿病が自己評価能力と密接に関連したメンタルな病気であることも考慮しなければならない.糖尿病の治療は現在自己管理という名の自己責任に負うところが大きい.自己管理の評価が即座に血糖コントロールや合併症に表れる.また一生かけて自己管理しなければならないことも大きな負担になろう.うまくできないことが患者本人の責任に帰っていき, 自己評価の低下, 自己破壊をきたす.これはさらに血糖コントロールを悪化させ, 患者QOLを低下させる合併症を進展させることとなる.将来, 画期的な治療薬が開発されても2型糖尿病の1次予防には検診が最も重要であることはゆるがない.検診結果を等閑にしてしまえば画期的治療薬もなんの役にも立たない.上記の悪循環を断つ治療がもう一方で必要となる.ここに心身医学的治療がこれからもっと糖尿病治療に必要とされる所以がある.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ニューメディア (ISSN:02885026)
巻号頁・発行日
no.1385, 2013-09-16

有料衛星放送の世界において、わが国で唯一のプラットフォームであるスカパーは、来年以降、大きな試練が待ち受ける。当面の最大の課題は、2014年5月末で終了する東経124/128度CSによるSDTV放送の終了である。現在124/128度のSDTV放送を利用する世帯からすると、視…
著者
中村 春木
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.116, pp.18P-22P, 2000-11-01

ゲノム、プロテオーム、フィジオームという、全体とネットワークとを解析する"-ome"研究が意味を持つのは、たとえばプロテオーム研究においては、素子としての個々の蛋白質分子と、素過程としての分子間相互作用がそれぞれ物理化学的に詳細に明らかにされていることが前提である。単なる部品の名前と結果としての各部品の機能だけでは、モデルとしてのネットワークを超えることはできない。そのための実体を明らかにする研究こそが、構造生物学およびそのゲノム・スケールでの構造ゲノム科学であり、創造的な薬物設計につながる。
著者
折本 善之 武井 昌秀 小山田 勉
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.203-206, 2003-04-05
被引用文献数
1

茨城県は日本ナシの栽培面積が1660 haと鳥取、千葉県に次ぐ主産県であり、品種別には'幸水'が全体の約6割と最も多い。茨城県の'幸水'成木に対する窒素施肥基準量は、黒ボク土における裸地栽培の場合、年間総量は250kg ha(-1)で基肥に8割、礼肥に2割の配分としている。従来の'長十郎'ではさらに、玉肥として果実肥大期に50 kg ha(-1)の窒素が加えられている。しかし、'二十世紀'での調査により玉肥は糖度低下や熟期遅延の原因となることが認められ、品質重視の'幸水'では玉肥を適用しない基肥主体の体系がとられている。しかし、本県における'幸水'の収量は近年低下傾向にあり、一部でこれを補うため施肥量や施肥回数が増加するなど施肥法に混乱が生じている。過剰な施肥は生産コストの増大を招くばかりでなく、地下水の硝酸汚染など環境にも悪影響を及ぼす危険性を有している。'幸水'は品質登録後約40年を経過するが、吸肥特性など栄養生理面の知見はそれほど多くない。そこで、効率的な施肥法開発の基礎資料を得るため、基肥を主体とする現行施肥基準のベースとなった'二十世紀'を対照象に、'幸水'の地上部新生器官(新梢、葉、果実)における窒素吸収特性を調査した。その結果、いくつかの知見を得たので報告する。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.547, pp.20-21, 2012-07-09

国土交通省と復興庁は、自治体が発注する東日本大震災の復興事業でCM(コンストラクション・マネジメント)方式を使った設計・施工一括発注方式を導入する。自治体の技術者不足を補い、復興まちづくり事業の進捗を早めるのが狙いだ。 羽田雄一郎国交相と平野達男復興相が6月15日の閣議後の会見でそれぞれ発表した。7月中に宮城県の東松島市と女川町でモデル事業を始める予定だ。
著者
平野 達男 山川 龍雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1632, pp.46-49, 2012-03-12

問 東日本大震災から約11カ月が経過した2月10日に復興庁が発足しました。手応えはいかがですか。 答 復興庁は被災地に3つの復興局を置き、支所や事務所も構えました。これらを含めて、総勢250人体制でのスタートです。自治体からの要望を一元的に受け付け、復興事業を統括する役割を担います。
著者
ヤンカンマン プラノーム 深井 誠一 市村 一雄
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.337-341, 2005-07-15

STS無処理または処理のカーネーション(品種エクセリア)の切り花を用い, 24℃または32℃で品質保持とエチレン生成を比較した.24℃では, STS処理によりカーネーションの品質保持期間は延長され, STS無処理のカーネーションでは, 処理9日後から花弁のin-rollingが観察された.32℃ではSTS無処理のカーネーションにおいても, 処理14日後でもなお花弁のin-rollingが認められず, STS処理した区と同等の品質保持期間を示した.STS無処理のカーネーションでは, 24℃では処理8-9日後にエチレン生成のピークが認められたが, 32℃ではごく微量のエチレン生成にとどまった.32℃に1日置きその後24℃に移した区では, 24℃一定の区と同様のエチレン生成のピークが認められた.一方, 24℃に1〜5日おき, その後32℃に移した区ではエチレン生成はごく微量であった.以上の結果より, カーネーションの切り花は, 32℃におかれた場合, エチレン生成が抑えられることが明らかとなった.
著者
西野 純也
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.195-218, 2010-03

はじめに一 「反米」政権イメージの形成(一) ポピュリスト大統領の誕生(二) 「進歩的」支持基盤と政権メンバー二 北東アジア地域安保をめぐる認識(一) 北朝鮮核問題と日米韓協調(二) 北東アジア国際政治構造に対する認識三 韓米同盟優先の政策決定(一) 韓国軍のイラク派兵(二) 在韓米軍の再配置と削減おわりに