著者
立岡 裕士
出版者
鳴門教育大学地域連携センター
雑誌
鳴門教育大学学校教育研究紀要 (ISSN:18806864)
巻号頁・発行日
no.31, pp.103-113, 2016

早鳥/はやとりという作品は,戦前・戦後を通じて約40年間,小学校国語教科書に教材として利用された。この作品には国定教科書系と光村出版系との二つの種類があるが,構成には大きな差はない。いずれの作品でも主題となっているのは,子どもと重ね合わされる楠の伸びる力とそれが障害となった時の人々の対応とである。人々の対応をどれほど重視するかは教科書によって同じではないが,この二つの近代的価値がこの教材を長く採用させることになった要素であろう。Hayatori is a tale adapted as a textbook material of elementary school. It was adopted nearly for 40 years in spite of great social change in Japan. This author enquired the value laden for the tale as the background of the preference for thie tale. The growth power of a camphor tree identified as those of children, and the decisiveness of people who were compelled to confront the tree, are the main element for the preference.
出版者
京田辺
雑誌
同志社女子大學學術研究年報 = Doshisha Women's College of Liberal Arts annual reports of studies (ISSN:04180038)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.132(1)-118(15), 2016-12-26

中世前期に編纂された『賦光源氏物語詩』の解釈・注釈稿の第十稿。それぞれの巻を詠む漢詩(七律)が、どのように物語の内容と関連しているか明らかにする。論文
著者
胡 忠恒
出版者
日本古生物学会
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.135, pp.395-"400-1", 1984-10-15

ウォルコット採石場より採集した中期カンブリア紀の三葉虫Ehmaniella burgessensisの個体発生を記載した。E. burgessensisの原楯期はSao hirsuta, Crassifimbra walcotti, Glyphaspis cf. parkensis, Yuknessaspis santaquinensis, Trymataspis convexus及びEhmaniella sp.の原楯期と良く似る。しかしその中年期は二組の形態群に分けられる。即ちE. burgessensis, Sao hirsuta, Glyphaspis cf. parkensis, Yuknessaspis santaquinensis, Ehmaniella sp.が一組, Crassifimbra walcotti及びTrymataspis convexusがもう一組である。この現象は, これらの三葉虫が共通の祖先より由来し, その後二つの異なる群に分かれたことを示すものであろう。
著者
岩渕 茂
出版者
日経BP社
雑誌
日経パソコン (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.692, pp.89-92, 2014-02-24

アカウントには2種類ある/Windowsストアで検索/アプリをインストールする
著者
金子 昂夢 柳井 啓司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.230, pp.53-58, 2013-09-26

近年,スマートフォンのような位置情報を扱えるデバイスの普及に伴い,撮影した画像に位置情報を付加することが容易となった.また,ツイートと呼ばれる短文を投稿できるサービス,Twitterの普及により,自分が今何をしているのか,どこにいるのかといったことを投稿する人が増加してきた.ツイートには本文の他に画像や位置情報を添付でき,外出先で撮影した位置情報付き画像を即座に投稿することができる.本研究では,これらのTwitterに投稿された位置情報付き画像ツイートから視覚的なイベントの検出を試みる.まず,対象をより小さな地域に分割し,各地域において前日の状態と比較して得られるスコアが一定以上となるキーワードを検出した.そして,検出されたキーワードを含むツイートの各画像から画像特徴量を抽出し,クラスタリングを行った.クラスタリング結果からイベントの代表的な画像を選出し,中心座標を計算して地図上に表示させた.実験では,日本とアメリカで投稿されたツイートを用いて,それぞれのデータセットを作成した.検出の結果,台風や虹,花火大会,スポーツの試合といったイベントが検出され,画像からその様子を視覚的に捉えることができた.
著者
矢嶋 直規
出版者
国際基督教大学キリスト教と文化研究所
雑誌
人文科学研究 : キリスト教と文化 : Christianity and culture (ISSN:00733938)
巻号頁・発行日
no.47, pp.1-32, 2016-03

本稿は、ヒューム道徳哲学成立に果たしたバトラーの人間本性概念の意義を検討することを目的とする。バトラーにおいて神による自然の統治と人間の道徳的統治が類比的に扱われている。自然と道徳の統一はヒューム哲学を貫く根本的な主題である。ヒューム道徳哲学は、合理論と道徳感情論の対立また人間本性の道徳性をめぐる性善説と性悪説の対立を時代的背景として成立した。ヒュームはその論争にバトラーが論じた人間本性そのものの解明を目指す立場から決着をつけようとした。この点でバトラーはヒュームが目指した「人間の科学」の成立に重要な手がかりを提供している。本稿で私はバトラーの道徳哲学の基本構造を明らかにし、ヒュームとバトラーの議論の親近性と影響関係を具体的に指摘することで、ヒュームの「人間の自然(本性)」がバトラーの統一的な人間本性の理論を引き継ぐものであることを示す。その過程で両者の理論がともに道徳と自己利益の一致を論証していることが明らかになる。こうして本稿では、ヒュームがバトラーの「習慣」概念を批判的に発展させることで、良心論を中心とするバトラーの神学的道徳論を神と良心の存在を前提としない世俗的道徳論へと転換したことが論じられる。
著者
佐藤 光輝
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.475-485, 2007-07

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。研究会報告
著者
野中 直子
出版者
Showa University Dental Society
雑誌
昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.135-149, 1998-06-30
被引用文献数
5

骨層板が積層して構築されている成熟骨では緻密質内にはコラーゲン細線維がほぼ一定の方式にかなって配列されている.すなわち, 骨層板内のコラーゲン細線維の配列の主方向は骨に作用する応力の方向と一致していて, 骨組織に加わる牽引や歪みに抵抗しうる力学的合理性をもった配列を呈すると考えられている.一方, 海綿質の骨小柱は圧迫に抵抗するように応力線に一致した配列を示しており, 骨全体としての力学的強度の支えとなっている.下顎骨においても外形の異なった骨と共通の内部構造を備えている.下顎骨には筋の作用による牽引力が他の形態の骨と同様に加わるが, 歯からの咀嚼圧も応力として加わり, 成人の下顎骨を構成している骨層板は咀嚼筋による牽引や咀嚼力に適合した構築を呈していると考えられている.本研究では下顎骨の緻密質の骨層板を構築しているコラーゲン細線維と, 下顎骨に加わる応力とについて検討する目的で, 解剖学実習用男性遺体の若年者から摘出した有歯下顎骨の基質線維構築を高分解能の走査電子顕微鏡で観察した結果を考察した.若年者の下顎骨の外基礎層板の最表層は全域が束状のコラーゲン細線維からなる基質線維束で構築されていたが, 基質線維束は下顎骨の各部では骨に加わる応力に適合した配列を呈していた.歯槽縁は密に配列された近遠心方向に走向する基質線維束からなっていたが, 基質線維束は上前方から下後方への配列に変化して歯槽部を構築する線維束に移行していた.歯槽部はほぼ上下方向または上前方から下後方に配列された基質線維束で構築されていた.歯槽部から下顎体部への移行部では上前方から下後方に走向する基質線維束は下顎体部では近遠心的な配列になる.下顎体部はほぼ近遠心方向に走向する基質線維束で構築されており, 下顎底部も下顎骨の下縁に平行な近遠心的な配列を示す基質線維束からなっていた.下顎体内側壁では顎舌骨筋線の上部は上前方から下後方に走向する基質線維束で構築されていたが, 下後方への基質線維束は顎舌骨筋線上で近遠心方向に配列された線維束に移行していた.咬筋粗面では基質線維束の間隙に咬筋の腱が数多く侵入していた.外基礎層板では最外層は基質線維束がほぼ近遠心方向に配列された約2.5μmの厚さの層板からなっており, 隣接する層板は約1μmの厚さで基質線維束はほぼ上下方向に配列されていた.外基礎層板では基質線維束の走向の異なる層板が交互に積層されていた.ハバース層板を構成する骨単位は約4μmの厚さの層板と約1μmの厚さの層板とが交互に配列されていた.骨単位を構成する厚さ約4μmの層板内の基質線維束はほぼ長軸方向に配列されており, 厚さ約1μmの層板内の基質線維束は同心円状の走向を呈していた.骨単位の各層板内では基質線維束は平行に配列されているが, 隣接した層板問では基質線維束は斜めに交叉していた.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1346, pp.112-115, 2006-06-19

6月12日、午後10時。日本にとってワールドカップ(W杯)ドイツ大会の最初の試合である対オーストラリア戦が始まると、日本全土の人々の目はテレビに釘づけとなった。今や野球をしのぐほどの国民的スポーツとなったサッカー。とりわけ、監督ジーコ率いる日本代表チームの人気は絶大だ。 その日本代表がドイツにたった直後の5月27日、土曜日。
著者
納光弘
雑誌
内科
巻号頁・発行日
vol.69, pp.1323-1327, 1992
著者
中村 敦夫
出版者
文芸春秋
雑誌
文芸春秋
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.364-372, 1974-11
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.145-148, 1987-01-01

論文タイプ||年譜
著者
宮田 渡 小山 長雄
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
日本鱗翅学会特別報告 (ISSN:05495210)
巻号頁・発行日
no.5, pp.1-27, 1971-08-31

日本産のSphingidae,Saturniidae,BrahmaeidaeおよびBombycidaeの4科55種の後頭形態を研究し,それによって類縁関係を検討した.1.上記4科の後頭部はいずれも,側溝部,縁毛帯および内側板を備え,PPP・PPA・PAA・APP・APA・AAAの6後頭型に分けられる.2.スズメガ科の後頭型はPPP,PPA,PAA,APA,AAAの5型からなる.本科は節板に分枝をもつ点において他の蛾類といちじるしく異なっている.また,Macroglossum,Gurelca,Cephonodes,およびHemarisの4属は小個眼部をもつ点でスズメガ科の他の種と異なっている.3.スズメガ科を除く3科は後頭形態に共通性があり,なかでもイボタガ科(PPA型)とカイコガ科(APA,APP型)が近縁である.4.各科における各種の類縁関係は図19〜20に示した通りである.分類上問題になる属はスズメガ科ではPsilogrammaとMeganotonで,この両属は後頭形態からみるとたがいに同属である.ヤママユガ科ではRhodinia属のR.fugax fugaxとR.jankowskii hattoriaeとは別属としてよい程異なっている.カイコガ科では,OberthueriaがBombyxとまったく異なるものであることはまちがいないが,これとPseudandracaまたは他の科との類縁関係は未詳である.
著者
福田 安佐子
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科共生人間学専攻
雑誌
人間・環境学 (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.55-68, 2016

ゾンビとは, 歩く死者, 生きている死者と呼ばれ, それは, 腐敗した身体を引きずってのろのろと動き, 集団で人問に襲いかかる.噛み付かれた人間は, 生きたまま肉体を食われるか, うまく逃げたとしても, 自らがゾンビへと変化し, 理性や感情を失い, 他の人間を襲いはじめる.このようなゾンビ像は, 1970年を前後して.ジョージ・A・ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リピングデッド5をはじめとする三部作の世界的なヒットによって生み出された.しかしながら, 2002年以降のゾンビ映画は, そのより凶暴な特徴により〈走るゾンビ〉や〈ゲームゾンビ〉と呼ばれ, 従来のものとは異なるものとして説明されている. 木稿では, ゾンビ映画史を振り返りながら, 1930年頃に西カリブ諸島を舞台に生み出されたゾンビが, ロメロの作品によって, その造形と物語構成の点でいかに変容したかを説明する.この時, ロメロゾンビとは, 前述の特徴に加え, 人間に似た怪物, という特徴を獲得していた.一方で, ロメロゾンビは当時のホラー映画におけるゴアジャンルの影響を受けることで, より残虐性を増したまた別のゾンビ像を形成した, つまり, 人問に似た怪物としてのゾンビと, 腐敗しよりグロテスクなゾンビである.双方はともにそれぞれの仕方で観客の恐怖を煽った.く〈走るゾンビ〉においては, この二種類のゾンビが様々な仕方で一つの映画の中に共存している, この共存の特殊な事態にこそ〈走るゾンビ〉の特異性が存在することを明らかにする. We know what zombies are. They are referred to as the "walking dead" or "living, dead". They have started to decompose, zombies walk in a tottering. manner, and they attack humans en masse for flesh meat. If a zombie attacks someone, that person will either be eaten alive or if he is lucky to escape, the victim himself will transform into a zombie and start to attack others. Such an image of zombies was rendered around the 1970's, by the Zombie trilogy filmed by George Andrew Romero (Night of the Living Dead, Dawn of the Dead and Day of the Dead). However, zombie films produced after 2002 portray them in another way. Zombies in these films arc called "running zombie" or "game zombie" and it is explained that they are vastly different from Romero's zombies. In this paper, we reconsider the historical view of zombie films and how zombies, who were in fact born in the West Indian nation of Haiti around 1930, have transformed in terms of representation and narrative thanks to the influence of Romero's works. Romero's zombies, in addition to the above-mentioned features, were human-like monsters. Furthermore, the effect of the gore genre, where Romero's zombies are also classified, created another image of the zombie : the one with more brutality and blood-shed. These two types of zombies, one as a human-like monster and another more grotesque and bloody, exist in their own works and frighten audiences in their own ways. Yet, in works containing "running zombie", these two types of zombies co-exist in the same film in various ways. It is in this special co-existence that a specificity of the "running zombies" is found.
著者
香川 由紀子
出版者
東京女子大学比較文化研究所
雑誌
東京女子大学比較文化研究所紀要 (ISSN:05638186)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.21-39, 2017

This paper examines the image of the "fairy" held by today's Japanese people through analysis of questionnaire responses, and analysis of juvenile literature and young-adult fiction from the point of view of gender. Results are as follows.According to the data obtained from the questionnaire, many female Japanese university students typically picture a "fairy" as a tiny, cute girl in a romantic dress with wings, such as Tinker Bell from Peter Pan. This image corresponds to the "fairies" depicted in juvenile literature. In some works, the cute, romantic appearance of the fairies reflects the desire of the heroine, who is around ten years old, to overcome her inferiority complex; in other works, it reflects the female readers' dreams for a happy, romantic marriage. On the other hand, young-adult fiction portrays the existence of various types of fairies from Western folklore, including male ones, but they also have a cute appearance; at the same time, it creates the original beautiful strong male fairy with wings.The cute appearance of fairies reflects the Japanese people's tendency to regard "tiny things" and "good, old things" as "cute," even if they are uncanny or fearful objects. With the admiration for the West added to this, the romantic beautiful fairies have become the ideal for Japanese girls.