著者
辻河 典子
出版者
明治学院大学言語文化研究所
雑誌
言語文化 (ISSN:02881195)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.117-131, 2019-03-31

特集 トランスレーション・アダプテーション・インターテクスチュアリティ
著者
渡辺 祐邦 WATANABE Yuho
出版者
北見工業大学
雑誌
北見工業大学研究報告 (ISSN:03877035)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.109-152, 1973-10

This paper aims to make clear some obscure points in the birth of Hegel's famous metaphor "Master and Slave". Investigations are made on 1)its origins in Hegel's early theological writings,2)its prime form in his attempts at philosophical system in the Jena period and 3)related ideas behind the metaphor. The results are : 1.Figures of the slave and the term "Slavery" in the early writings are not of the same meaning as in the later works. They are only an analogy and used for expressing political and religious alienation. He borrowed this usage from the contemporary literature of politics which he read in his youth. 2. In the system of Jena period,"Mastery and Slavery" is a category for the primitive relation of individuals,which is natural but not yet true,and is only a personal overwhelming by violence. 3.In the Phenomenology of Mind,it is a metaphor and not a category of any real social status. It has a pedagogical meaning and relates with many important philosophical ideas of his time,e.g. the ideal of human education of Aufklarung, the cultural forming (Bildung),J. Steuart's theory of the economical dependence of individuals in the civil society,and the reminiscence of the Greek democracy.
著者
山崎 智仁 水内 豊和 山西 潤一
出版者
富山大学人間発達科学部発達教育学科発達福祉コース
雑誌
とやま発達福祉学年報 (ISSN:21850801)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.57-61, 2019-05-31

知的障害特別支援学校小学部に在籍するダウン症児を対象に、国語科にてインタビューを通して相手に伝わるようにゆっくり話すこと、聞いたことをメモすることなどを指導した。また、インタビューしたことを整理し、ICT機器を活用することで学校紹介を作成し、ロボットを使って発表した。その結果、友達や教師にゆっくりと話しかけるようになったり、AIに慣れ親しんで遊んだりする姿が見られるようになった。
著者
黒崎 岳大
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.247-265, 2016 (Released:2018-02-23)
参考文献数
22

マーシャル諸島共和国マジュロ環礁には、東太平洋戦没者の碑と聖恩紀念碑という日本政府が建立した記念碑がある。前者は1984年に第二次世界大戦の犠牲者への追悼の意味を込めて建立され、後者は1918年に台風被害を受けた同環礁に対する大正天皇の支援を記念して建てられた。 建立した日本側の意図とは異なり、今日のマジュロ環礁民たちは、両方の記念碑の建立を日本がもたらした経済開発による地域の発展と結びつけて考えた。1980年代には、日本からマーシャル諸島への経済支援の実施と慰霊巡拝による日本人の訪問再開が重なった。マジュロ環礁民は、東太平洋戦没者の碑の建立を、日本からもたらされるODA事業によるローラ地区の発展と結びつけて歓迎した。同様に、戦前に建立された聖恩紀念碑に対しても、同紀念碑が建立された時期がコプラ産業の発展によるマジュロ環礁の開発が進んだ時期であったことと結びつけ、彼らは紀念碑を豊かな時代の象徴として考える言説が確認された。 二つの事例から、記念碑の建立とそこから現地の人々が想起する意味との関係について、次のように解釈できる。一つは、歴史的文脈を超えて生じさせる記念碑が有している記憶やイメージを喚 起する力である。戦没者の碑の建立と経済援助の開始が同時期だったことから、同碑が地域開発を想起させるエージェンシーと化した。同様に住民は紀念碑に対しても、植民地主義という文脈を超えて、戦前のプランテーション開発による経済開発を想起させたと解釈できる。 一方、記念碑の建立と経済開発を結びつけた言説が生じた背景に、戦後の米国による統治政策との関係がある。米国からも多大な財政支援があったにもかかわらず、現地の人々は、社会インフラ整備など目の前に見える形で顕在化された日本のODA事業に対して、豊かさの象徴を見出した。 そこには、強制移住政策や過度な欧米文化の流入という目に見えない形で現地社会に深刻な影響を及ぼす米国に対する不満が存在すること、そして、その対比の中で記念碑の建立と日本の経済開発を結びつける言説が生み出されたのだと解釈できる。
著者
宮地 諒 森 健太郎 出口 美由樹 米倉 佐恵 波 拓夢
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H2-140_1, 2019 (Released:2019-08-20)

【はじめに、目的】 臨床上,自動下肢伸展挙上運動や歩行など種々の課題の中で大腿骨頭の腹側への偏移を有する症例は多く,それに対し股関節安定化運動を実施する場面はしばしばみられる.しかし,副運動の制御についての報告は少なく,股関節安定化運動時の筋活動については明らかにされていない.そのため,本研究は大腿骨頭の腹側方向への負荷に対して股関節安定化運動を行った際の筋厚を測定し,関与する筋を明らかにすることを目的とした.【方法】 対象は下肢や脊柱に関節障害などの既往がなく,日常生活に影響する疼痛がない健常成人男性10名(25.2±4.3歳)とした.測定肢位は背臥位にてベルトで骨盤と大腿骨遠位部を固定した肢位とした.大腿骨頭の腹側方向への負荷は坐骨結節より遠位の大腿部に空気の抜いたボールを挿入し,空気入れでボールに空気を入れた際に10kgfの負荷となるように調節し,負荷を与えた.被験者には負荷が加わった際に負荷に対して負けない程度に保持することを指示した.測定は腸腰筋,小殿筋前部線維,中殿筋前部線維,大腿筋膜張筋を安静時と負荷抵抗時に超音波画像診断装置(LOGIQ e,GE ヘルスケアジャパン社) のBモードにてリニアプローブ(10MHz)を使用し撮像した.腸腰筋は鼠径部中央,小殿筋前部線維・中殿筋前部線維・大腿筋膜張筋は上前腸骨棘と大転子を結んだ線上の遠位1/3部にて測定した.取得した画像から画像解析プログラムImage Jを使用して各筋の筋厚を計測した.統計解析はSPSSVer.19(日本アイ・ビーエム社)を使用し,安静時と負荷抵抗時の筋厚の比較は対応のあるt検定,各筋の筋厚変化率(安静時/負荷抵抗時)の比較は反復測定分散分析と下位検定にTukey法を行った.【結果】 安静時と負荷抵抗時の筋厚の比較では小殿筋前部線維のみ有意に低値(P<0.05)を示したが,その他の筋では有意差を認めなかった.各筋の筋厚変化率の比較では小殿筋前部線維が中殿筋前部線維・大腿筋膜張筋よりも有意に高値(P<0.05)を示した.【結論】 大腿骨頭の腹側方向への負荷に対する抵抗時には小殿筋前部線維の筋厚変化が腸腰筋,中殿筋前部線維,大腿筋膜張筋と比較して大きい.そのため,大腿骨頭の腹側偏移に対する股関節の安定化には小殿筋の関与が考えられ,小殿筋にも着目したエクササイズの検討が必要であることが示唆された.【倫理的配慮,説明と同意】被験者には事前にヘルシンキ宣言に基づいて文書と口頭にて研究の意義,方法,不利益等について十分に説明し参加の同意署名を得た上で実施した.
著者
Satoshi Hiraoka Ching-chia Yang Wataru Iwasaki
出版者
Japanese Society of Microbial Ecology / Japanese Society of Soil Microbiology / Taiwan Society of Microbial Ecology / Japanese Society of Plant Microbe Interactions / Japanese Society for Extremophiles
雑誌
Microbes and Environments (ISSN:13426311)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.204-212, 2016 (Released:2016-09-29)
参考文献数
185
被引用文献数
32 73

Metagenomic approaches are now commonly used in microbial ecology to study microbial communities in more detail, including many strains that cannot be cultivated in the laboratory. Bioinformatic analyses make it possible to mine huge metagenomic datasets and discover general patterns that govern microbial ecosystems. However, the findings of typical metagenomic and bioinformatic analyses still do not completely describe the ecology and evolution of microbes in their environments. Most analyses still depend on straightforward sequence similarity searches against reference databases. We herein review the current state of metagenomics and bioinformatics in microbial ecology and discuss future directions for the field. New techniques will allow us to go beyond routine analyses and broaden our knowledge of microbial ecosystems. We need to enrich reference databases, promote platforms that enable meta- or comprehensive analyses of diverse metagenomic datasets, devise methods that utilize long-read sequence information, and develop more powerful bioinformatic methods to analyze data from diverse perspectives.
著者
河口 真理子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.275-285, 2017-07-31 (Released:2019-08-29)
参考文献数
21

社会の持続可能性を高めるためには,企業のサプライチェーンを通じた環境社会配慮が不可欠だが,そのためには消費者と投資家からの働きかかけが必要である。エシカル消費が拡大すれば企業はエシカル商品開発に努力するし,ESG 投資の一環でサステナブルなサプライチェーンを投資家が評価するようになれば,企業は経営戦略の一環として取り組む。エシカル消費,ESG 投資いずれも日本での普及度は低いものの,最近いずれも注目度が上がっている。エシカル消費という言葉は知らなくても,環境や社会に配慮した買い物に賛同する消費者は 6 割以上にのぼる。ESG 投資は日本版スチュワードシップ・コード (SSC) とコーポレート・ガバナンスコード (CGC) 導入により,2014 年から 2016 年にかけて 7 倍以上に急拡大。しかし世界シェアでは 2%にすぎない。ESG 投資は倫理感ではなく運用パフォーマンス向上につながるとされ年金基金等,長期投資家の関心が高いことから今後も拡大が期待される。

2 0 0 0 OA 日本大辞林

著者
物集高見 纂
出版者
吉川弘文館
巻号頁・発行日
1907
著者
石川 奈保子 向後 千春
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.329-343, 2018-03-01 (Released:2018-03-16)
参考文献数
35
被引用文献数
2

本研究では,オンライン大学で学んでいる学生を対象に,自己調整学習およびつまずき対処方略の使用状況について明らかにするために調査を行った.その結果,以下の3点が明らかになった.(1)オンライン大学の学生のつまずき対処方略は,「学友に質問する」「教育コーチに質問する」「放置する」「自分で解決する」の四つの方略に分類された.(2)ゼミに所属している場合,学習の相談ができる学友がいる学生は,教育コーチや学友に援助要請することでつまずきを解消していた.一方,そういった学友がいない学生は,つまずいたときでも援助要請しない傾向があった.(3)学習の相談ができる学友がいる学生は,より多くの自己調整学習方略およびつまずき対処方略を使用していた.以上のことから,オンライン大学での学習継続においてメンターや学友との交流が重要であることが,自己調整学習方略使用の側面から裏づけられた.